警察に逮捕された真司に会いに来た楓。アクリル板越しの面会に楓は真司が犯人じゃないと知っていても息を呑んでしまう。刑事である須藤も同伴しているが場の空気は凄まじく重い。
「真司さ……「楓ちゃん!俺やってないからね!?」わかってますから落ち着いてください」
「落ち着きなさい城戸君。私も楓さんもキミが犯人とは思っていませんから」
アクリル板越しに叫ぶ真司に楓は落ち着く様に促す楓。
今回の話は真司の勤めるOREジャーナルで、同僚の島田奈々子の誘拐事件が起こった。犯行に至った理由は自分の妻の医療費を手に入れる為と、記事で自分の人生を無茶苦茶にしたOREジャーナルへの復讐であった。そして身代金が要求され、その身代金を届けたのが真司だったのだが犯人はミラーモンスターに襲われて龍騎に変身した真司が倒した……とここまでは良いのだが誘拐犯が居なくなってしまった為に残された真司が犯人として扱われてしまったと言うのが事の顛末である。
その後、逮捕された真司は蓮には茶化され、編集長や同僚からは何故犯行に及んだのかと本気で問いかけられ精神的に追い詰められていた。その上、信頼している楓や須藤にまで疑われては真司の心は間違いなく闇堕ちしていただろう。
「私も城戸さんが犯人とは思ってませんよ……もしかしなくてもモンスターに襲われたんですよね?」
「うん……犯人がモンスターに襲われて俺が倒したんだけど、その後で警察が来たもんだから俺が犯人扱いされちゃって……」
「身代金を誘拐した犯人が居ない以上、状況的にキミが一番怪しいからね。多少強引でも辻褄を合わせてしまえば誤認逮捕だとしてもキミが犯人となってしまうでしょうね」
楓と真司はアクリル板の壁に顔を近づけ、小声で会話する。それは事情を知る仮面ライダーだけに話せる本当の理由だ。だが、そんな事情を知らない者からしてみれば刑事である須藤のコメントが正しい物になってしまう。
「このままいけばキミは犯人として容疑者から被告人になってしまうでしょうね」
「優衣ちゃんや沙奈子さんは弁護士を雇ってくれるとは言ってたんだけど……」
「この状況から巻き返しって出来るんですか?」
なんとか自分の無実の証明ができる物が無ければ真司の有罪は決定的になってしまう。優衣や優衣の叔母である沙奈子は真司の為に弁護士を雇うと言っていたらしいのだが楓からしてみれば、その弁護士こそが今回の……と言うよりも今後に深く話に関わってくる北岡秀一との出会いになる。
「その弁護士とまずは話をするべきでしょうね。楓さん、面会時間もそろそろ終わりますから……それと城戸君。私は当然ながらキミが犯人とは思っていませんから」
「あ、はい。城戸さん、私も城戸さんが犯人だなんて思ってませんから気を落とさないで」
「須藤さん、楓ちゃん……ありがとう……俺、嬉しいよ」
須藤と楓から信じていると言われて真司は涙が出そうになっていた。人に信じてもらえる事がこんなに嬉しい事なのだと再認識する程だ。
だが実際には須藤は真司の事を楓の事を守る為の防波堤の一つだと考えており、蓮の事もあるから楓を守る為のアイテム扱いなのだ。また真司を庇う事で楓の心情を上げる狙いもある。要は打算に裏打ちされた故の行動と言動なのだ。
楓は原作を知る身である事と生来のお人好しの性格から真司の事を信じている。
真司の事を信じて救おうとしている二人の間の中でもこんなにも差があるのも珍しい事だが真相は誰にも知られる事もなく話は進んでいく事となった。
そして真司と面会した楓は翌日に真司の弁護士にスーパー弁護士の北岡が雇われた事を優衣から聞かされた。
楓は「やっぱりかぁ……」と思いながらも口にはしなかった。何故ならば蓮や須藤もこの場にいて、下手に口にすれば二人から疑いの目を向けられるのは間違いないからだ。
その事はさておき、北岡が真司の弁護を受ける際に出した条件は二つ。
一つ目は依頼料が一千万円である事。二つ目はOREジャーナルに『正義の弁護士、北岡秀一』の記事を書かせる事だった。
北岡は限りなくブラックに近いグレーな方法で有罪を無罪に変えてきた事で評判がすこぶる悪い。それを払拭させる為に新聞記者であるOREジャーナルを利用しようと言うのだ。
この二つの条件を飲むのであれば北岡は真司を無罪にすると豪語したのだ。
その話を聞いた後で学校に行った楓は頭が痛くなっていた。所々は原作と違う流れになっていたと思っていたが原作通りな現状に頭を悩ませていたのだ。
もしも原作から話が変わっているのであれば物語が好転して欲しいと思っているのだが妙な所で原作沿いの展開にしかなっていない。原作知識が役に立たない状況ばかり続いている為に楓はため息しか出ない。
しかも、この後の展開で真司と北岡は仲違いをする。共闘をする話も多いが初期の頃は北岡の性格の悪さが目立つ話が多い為、楓のストレスは待った無しな状態へとなっていくのは間違いない。
「北岡さんと敵対しない状況にしたいんだけ『キィーン』ああ、もう……」
学校を終えた楓は花鶏へ帰らずに真司に会いに警察署へ行こうとしていたのだがモンスターの気配を感じてカードデッキを取り出しながらモンスターの気配が感じる方へと走り出していた。
「楓ちゃん。俺の所に来ない?」
「え、ええっ!?」
モンスターを倒した後で何故か楓は北岡に両手を握られながら口説かれていた。