仮面ライダー龍騎 ベルデIFストーリー   作:残月

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占いと死亡フラグ

 

 

 

「カードを他のライダーに盗られたぁ!?」

「………はい」

 

 

ガイに襲われて気絶した楓はミラーワールドではなく路地裏で目を覚ました。大した外傷は無かったもののカードデッキは黒くなっており、中にはバイオグリーザの契約カードが抜き取られていた。

この展開は原作で城戸が芝浦にドラグレッダーのカードを盗まれた時の話だと楓は即座に理解したが、何故自分がそのポジションになったか焦るばかり。ミラーモンスターに遭遇しない様にビクビクしながら花鶏へと帰って事の次第を真司、蓮、須藤、優衣……そして楓が知らぬ間に仲間になっていた手塚が話を聞いて驚く、呆れる、心配すると反応はそれぞれだった。

 

 

「カードを奪われるとはな。情けないどころか呆れるぞ」

「蓮、そんな事言わないで。早く楓ちゃんのカードを取り返さないと」

「そうだな。カードが破棄されれば、いつ契約したモンスターが襲ってくるか……」

 

 

ライダーとミラーモンスターの契約カードは謂わば二つの関係を結ぶ役割を果たしており、それが断ち切れればミラーモンスターは野生に戻り人を襲うだろう。しかも契約していないモンスターは執拗に人をつけ回す。つまり現状でバイオグリーザの契約が断ち切られた場合、バイオグリーザは楓を襲いに来る可能性が非常に高いのだ。

尤もガイのメタルゲラスやライアのエビルダイバーの様に自身の契約したライダーを倒したライダーを付け狙うなど多少の変化はあるものの一番可能性が高いのは現在でもライダー史上のトラウマシーンに挙げられるボルキャンサーに捕食されたシザースになりかねないのだ。

 

 

「ご安心ください楓さん。私がなんとかしますから」

「……おい、何処からそんなものを持ち出した?」

 

 

にこやかな笑顔を見せながらガシャンとトカレフのスライドを動かす須藤。現職の警察官が持ち歩いて良さそうな銃でないのは明らかであり、それを見た蓮は顔を歪めながら須藤に問い掛ける。

 

 

「押収品のトカレフです。何、バレませんよ」

「須藤さん、流石に落ち着いて!?ライダーバトルからリアルバトルロワイヤルに移行するのはマズいから!」

「そ、そうッスよ!俺達でなんとかしましょうよ……あれ、電話?」

 

 

子供のイタズラはバレなければ良いんだと言うような気軽さで楓のカードを奪った奴を仕留めかねない須藤に楓は本気で焦った。

ある意味で浅倉以上の危険人物へとなりかねない須藤に不安を感じていると真司の携帯に着信が入る。

 

 

「はい、城戸……え、編集長?はい、え、早く事務所に来いって……俺は今日……あ、はい。わかりました」

 

 

真司の電話の相手はどうやら彼の仕事先の上司の様だが妙に様子がおかしい。真司も不審がっている様だ。

 

 

「ごめん。仕事先から呼び出されちゃってさ。楓ちゃんのカードも探すからね!」

「あ、はい。お仕事頑張ってください」

 

 

真司は楓に謝罪をしながらも仕事先であるOREジャーナルへと行ってしまう。楓はにこやかに送り出したが心中は穏やかでは無い。何故ならば原作通りに事が進んでいるのなら今の展開は芝浦がOREジャーナルの顧客情報を不正に入手してOREジャーナルを乗っ取る話なのだから。

 

 

「では、私も仕事に戻りますが……楓さんは一人にならない様にして下さいね」

「………ふん」

「なら俺の仕事の手伝いをするか?俺は占い師だが店構えの設置を手伝って欲しい。モンスターが出たら俺が対処しよう」

「あ、はい」

 

 

須藤も仕事に戻り、蓮は鼻を鳴らしながら花鶏を出ていき、現状で楓を一人にするのは危険と判断した手塚は自身がやっている占いの手伝いをして欲しいと提案した。現段階で実は手塚には気になる事があり楓を誘ったのもあるが、一番の理由としては無力化されてしまった楓の保護が第一である。

 

 

 

 

◇◆

 

 

「真司……これからは彼が社長だ」

「ヨロシクね〜。クク……今時セキュリティ甘過ぎ。こんなんじゃどっかの誰かに顧客情報や重要書類なんかも簡単に盗られちゃうからね?」

 

 

OREジャーナルへ到着した真司は芝浦がOREジャーナルのPCをハッキングして顧客情報を盗んで社長の椅子に座り込んだ事を知る。編集長の大久保や上司の桃井は苦虫を噛んだ表情で怒りに耐えていた。その顧客情報や重要書類を盗んだ『誰か』が言うのだから怒りも当然である。

 

 

「ま、そう言う事だからさ。もっと面白い事になるしゲームを盛り上げるから……楽しみにしててよ」

「な……お前っ!」

 

 

芝浦は無邪気に笑いながら告げる。無邪気とは言ったがここまで悪意を感じる無邪気も無いだろうと真司達は思った。

更に芝浦は真司にのみ見えるようにバイオグリーザのカードもチラリと見せる。それは楓のカードを盗んだのが芝浦であると同時に真司は芝浦が自身がライダーである事も突き止めている事を示唆していた。

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

「未来が見えない……ですか?」

「ああ……正確には道筋が多すぎて絞り込めないと言うのが正しいかもしれんが」

 

 

一方その頃。手塚の占い屋を手伝って設営をした楓だったが占いの最中はやる事もなく暇である。お客さんの波が過ぎ去り、時間が出来た手塚は楓を占った。そして出た占いの結果がこれである。

 

 

「人を占えば……その人が持つ道筋がある程度見える。そしてその道筋は大きい流れが幾つかに別れていて人はその運命を自身で選ぶものだ。俺の占いは謂わば包囲磁石みたいなもので道を示す……だが日向の場合は道筋が多く枝分かれしていて占えないんだ。こんなにも可能性の幅が広い奴は初めてだ」

「未来が占えない……か」

 

 

手塚は楓の運命は無限だと言いたいのかも知れないが楓からしてみれば死亡フラグが多いから包囲磁石が狂ったんじゃ?と考えていた。事実、この世界に来てから死亡フラグ満載な展開を多々経験しているだけに笑えなかった。

 

そして楓は後々思い知る。芝浦が来たと言うことは更なる死亡フラグとなる浅倉威が参戦してくる事を。

 

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