仮面ライダー龍騎 ベルデIFストーリー   作:残月

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連載に切り替えました。


初変身と変わり始める須藤

 

 

 

須藤雅史は刑事であり元々は正義感に溢れた警察官だった。彼は潜入捜査で様々な犯罪組織や犯罪者と関わる内にその心は濁り始め今では刑事という立場を隠れ蓑にグレーな犯罪にも手を染めていた。

 

そんな須藤の裏の仕事仲間である加賀は仕事の斡旋人と言うか立場であり今では裏の相棒とも言える存在であった。

そんな加賀の経営するアンティークショップTIN'S COKKECTIONに女子高生のバイトを雇ったと聞いた時はなんの酔狂かと思った。

加賀曰く「純粋そうな女子高生をバイトとして雇ってる店が裏の仕事をしている訳がない」と言うカモフラージュの為なのだという。しかもバイトである日向楓は事故で両親を亡くしていて天涯孤独の身の上なのだという。

そんな彼女を憐れんでバイトとして雇っている恩人である店長と言うのが加賀の立ち位置なのだとか。

 

須藤は店長の友人だと楓に紹介され、以降は疑われる事も無く交流が始まった。最初こそ面倒な付き合いだと思っていた須藤だが段々、楓の純粋な性格に惹かれていった。楓の純粋な心を見るたびに自分自身が薄汚れているのだと否が応でも見せ付けらる反面、この娘は巻き込んではいけないと須藤の心の奥底に残っていた正義感に再び火を灯す事となる。

 

 

「須藤さん、次の仕事は大口の仕事になる。報酬の額も更に跳ね上がりますよ。そこで相談なんですが分け前をもっと増やせませんかね?今は7:3ですがせめて6:4しましょう」

「依頼の報酬の既に決まった事で口出しはしない約束でしょう?それに私はもう裏の仕事は……」

 

 

そんなある日、加賀が大口の仕事の契約をしたと言ってきたのだ。今までの様なグレーゾーンの裏の仕事ではなく完全にブラックな裏の仕事。楓と出会う前の須藤なら喜んで引き受けただろう。だが、楓との交流で刑事として人としての心を取り戻しかけていた須藤はそれを躊躇った。

 

須藤は既に裏の仕事に対する興味を失いつつあった。それよりも楓の事を知りたい。楓の為に何かしてやれないかと思う様になっていたのだ。

 

その時だった。まるで耳鳴りがしたかのようなキーンという音が須藤の耳に鳴り響いたのだ。須藤はその事に眉を顰めたが加賀の方は聞こえていないのか「どうしました須藤さん?」と言っている。

次の瞬間、店に設置されていた大きめの鏡から見た事もない様な化物が飛び出して来た。須藤は知らぬ事だが鏡の中に生息するミラーモンスターであり、その姿は蟹や海老と言った所だろう。蟹のミラーモンスター「ボルキャンサー」海老のミラーモンスター「シルバーロブスター」

二体のミラーモンスターは須藤と加賀を標的に見定めて待ち構えていたのだ。

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」

「危ないっ!」

 

 

須藤と加賀が悲鳴を上げた瞬間、ミラーモンスターが二人を捕食するべく襲いかかって来た。そんな二人を庇う様に店の外で様子を見ていた楓が二人を突き飛ばしミラーモンスターの襲撃を防いだ。

 

 

「あ、危なかった……逃げた!?」

「グゥゥゥゥゥッ!」

「キシャァァァッ!」

 

 

二人が無事である事に安堵した楓だったが、その隙にボルキャンサーとシルバーロブスターは再び鏡の中へと逃げていった。

 

 

「須藤さん!店長!……気絶してる?でも、今なら……」

 

 

先程突き飛ばした須藤と加賀は頭を打ったのか気絶していた。楓は二人が気絶しているなら今なら変身出来ると考えた。

 

 

「まさか最初の変身がこんな形になるなんて……変身!」

 

 

楓は鏡に自分の姿を写し、カードデッキを翳す。すると鏡からVバックルが飛び出し楓の腹部に装着される。楓はパチンと右手の指を鳴らしながら右腕を左肩の辺りに流す様な動きの後、カードデッキをVバックルに装着し、腕を広げると同時にカメレオンを模した仮面ライダーベルデへと姿を変えた。

 

 

「本当に変身出来た……って感動してる場合じゃない!早くアイツ等を倒さないと須藤さんと店長が危ない!」

 

 

ベルデはボルキャンサーとシルバーロブスターを追って鏡の中へと吸い込まれる様に消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだったんだ……今のは」

 

 

楓がベルデに姿を変え鏡の中へと消えていく様を見ていた須藤。

突き飛ばされて一瞬気を失いはしたもののすぐに意識を取り戻した須藤は気絶したフリをして事態を観察していたのだ。

 

ミラーモンスターの出現から楓の仮面ライダーへの変身、そして鏡の中の世界ミラーワールドに侵入とと信じられない光景が立て続けに起き茫然とするしかなかった。

 

楓が何故あの姿に変身出来るのか疑問は湧いたがそれ以上に須藤は先程楓が『自分達を守る為』に戦う事を選んだと考えていた。

楓の発言からあの化け物達は自身や加賀を狙って来たのは明白だ。

 

 

『刑事さんなんですか?凄いですね』

『店長とは歳が離れてますけど友達なんですね』

『須藤さん、お疲れですか?無理しちゃダメですよ』

『私ですか?確かに辛いですけど……店長は優しいですし、須藤さんも話し相手になってくれるじゃないですか。だから嬉しいんです』

『いつもありがとうございます。お巡りさん』

 

 

須藤の脳裏に楓と会ってから今日までの記憶が一気に呼び起こされる。ああ、そうだ……私はあの子を守りたい。薄汚れた自分だからこそ汚しちゃいけない清らかさなんだ。そう……あの子を私のモノにしたい……

 

 

須藤の中で楓に対する想いがドンドン強くなっていく。無機質だった瞳が欲望の色に染まっていると言っても良い。

 

 

『力が欲しいか?あの娘と同様に』

「っ!……誰ですか?」

 

 

思考の海に沈みかけた須藤を呼び戻したのは見知らぬ男性の声だった。痩せている男からは生気が感じられず何処か不気味だとすら思えた。

 

 

『俺の名は神崎士郎……あの娘に力を渡したのも俺だ。お前も力を欲するなら受け取れ。そして戦い続けろ。最後まで生き残ればお前の望みも叶うだろう』

「これは……楓さんが持っていたのと同じ……」

 

 

神崎と名乗った男は懐からカードデッキを須藤へ投げ渡す。反射的に受け取った須藤は楓の物と違い紋章が刻まれていないカードデッキに目を奪われた。

 

 

『モンスターと契約して力を得ろ。そして戦え!』

「契約……成る程、楓さんのと違うのはまだあのモンスター達との契約前の状態だからなのか……」

 

 

カードデッキに視線が向いていた須藤は既に神崎の姿が無い事に漸く気が付いた。そして神崎の発言から楓と自身のカードデッキの違いに気付く。先程の化物達と契約すれば力が得られる。

 

 

須藤は先程の楓同様にカードデッキを鏡に写した。それと同時に出現するVバックル。須藤は静かな笑みを浮かべカードデッキをVバックルに差し込んだ。

身に纏った姿は先程の色鮮やかな緑色のベルデとは違い全身黒ボディスーツでアーマーの部分のみが鈍色だった。

 

だが変身した須藤はそれを気に留める事もなく、先程のベルデ同様に鏡の中へと吸い込まれる様に消えて行った。

 




シルバーロブスターはオリジナルミラーモンスターです。
ボルキャンサーの海老バージョンの様な姿で頭部には大きい触覚がぶら下がっている。
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