ベルデはガイに地味な攻撃を繰り返していたが決定打に至る攻撃は一度も与えられていなかった。
ガイは元々が強固な装甲をしており、本来であればカードを使って対処しなければならない。しかしコンファインベントがある以上はそうはいかない。
かと言ってベルデの攻撃力は全ライダー中、最下位である。
これがリュウガか王蛇であれば単純なスペック差で圧倒も可能だろうが女の細腕とスペックの低いベルデではこれが精一杯の行動だった。
対してガイは一度もベルデに攻撃を与えられていなかった。ガイは強固な装甲とコンファインベントで相手の攻撃を無効化した上でゴリ押し戦法が主体。
ベルデに早さとジャンプ力で劣っている場合、攻撃は当てられないのだ。しかもベルデは避ける事を前提にヒット&アウェイの戦法をしている。更にベルデはカードを使う素振りすら見せていない。
これによりガイの強みであるカード無効化とゴリ押し戦法が使えなくなっているのだ。
「当たらなければどうという事はないってか?だけど、そりゃ当たっちまえばどうにかなっちゃうって事だよなぁ!」
「あ、しまっ……あうっ!?」
実はガイは避けられ続けた事で戦法を変えていた。メタルホーンを振り回して闇雲に戦っている様に見せ掛けて、ベルデを壁に追い詰めていたのだ。その事にベルデが気付いた時にはもう遅かった。ガイのメタルホーンの突きをマトモに食らったベルデは突かれた胸部と壁に叩き付けたダメージで倒れ、動けなくなった。
「や、ば……くっ……痛っ!?」
「今更逃すかよ……もっと愛し合おうよ。ああ……なんだったらライダーバトルに脱落したなら飼ってやろうか?ああ、それがいい……があっ!?」
ベルデは今の状況がヤバいと判断してクリアベントで一時撤退を考えたがガイはそれを許さなかった。ベルデがカードを出した手を捻り上げカードを使わせない様にしたのだ。
そしてガイは仮面の下で狂気の笑顔と考えに至っていた。ガイ、芝浦は自分が楽しければ人を殺し合わせるゲームを開発したり、自ら手を下す事すら厭わない。
自分が楽しむためなら監禁くらいはやってのけるだろうと直感的に感じたベルデは咄嗟にガイの装甲がない箇所。つまりは股間を蹴り上げた。
「ちょっ……おまっ……使えなくなったらどうするつもり……」
「その方がいっそ世の為になりそうだけどね」
全スペックが最低値に近いとは言えどライダーの蹴りを股間にクリティカルヒットしたガイは今までの強さが嘘の様に股間を押さえたまま蹲っていた。
これは楓自身忘れている事だが芝浦は実は素の戦闘においては素人である。
カードの効力や芝浦の狡猾な戦い方と人の命を軽く見る性格から強そうに見えるが初戦の龍騎は城戸自身が戦いに前向きではない事。二戦目のナイトは秋山が戦いに迷いがあったから。三戦目となる乱戦時はナイト、ライア戦も秋山と手塚は戦う事に迷いや前向きでなかった事。
これらは城戸、秋山、手塚の三名が戦う事に迷い、人を殺す事に躊躇いがあり、逆に芝浦は人を殺す事に迷いが無かった。その事からガイは龍騎、ナイト、ライアを圧倒出来ていた。
しかし、戦いに迷いのない王蛇。ライダーですらエサとしか見ていないミラーモンスターのディスパイダー。相手が悪いとは言えリュウガには全く歯が立たなかったりする。
今現在も戦いを快楽と思うあまり隙だらけのガイはベルデの一撃を食らってしまったのだ。因みに王蛇に盾にされた時やディスパイダーに捕食された時もガイの油断が招いた事態でもある。
要はガイは強そうには見えるが実際はカードの力と状況が悪ければアッサリと負けてしまう側なのだ。
そんなガイの苦しみを見て「これで再起不能になったら手塚さんとのユナイトベントも防げた?」と思ってしまうベルデだった。
「くっそぉ……お前、お前、お前ぇぇぇぇぇっ!!」
「え、きゃぁっ!?」
股間の痛みに怒りが頂点に達したのか、ガイはベルデに襲い掛かった。ガイは両手でベルデの手首を掴んで地面に叩きつける。更に先ほどのように蹴られない様にマウントポジションに素早く移行した。
「く、この……」
「へ、へへへ……これで逃がさな……があっ!?」
「ハアッ!」
「無事か、日向!?」
押し倒されたベルデは身じろぎをして脱出しようとしたがガイの力の方が上である為、逃れられなかった。
ガイがいざベルデに追撃をしようとした瞬間、ナイトのウイングランサーがガイを突き飛ばした。突き飛ばされたガイはベルデの上から離れ、その隙にライアは素早くベルデを庇った。
ナイトとライアに変身した秋山と手塚であったが入ったミラーワールドで最初に見たのはガイに馬乗りにされ今にも(性的に)襲われそうになっているベルデの姿。
そこからナイトとライアの動きは早かった。即座にウイングランサーを召喚し、素早い突きでガイを突き飛ばすナイト。ライアは即座にフォローに回り、ガイの重みから解放されたベルデを即座に抱き上げながら庇った。
『『今のを須藤が見たら間違いなく芝浦を抹殺していたな』』
そして二人が導き出した答えも同じであり二人は頭の中で同時に呟いた。