ベルデとガイの戦いが苛烈を極めていた少し前……浅倉が立て篭もったファミレスで人質に銃を構えていた。自身が呼び出した北岡と須藤が間も無く来るからだ。
「ククッ……楽しみだな」
カシャンと銃のスライドを起こす。その瞳は獲物を前にした蛇そのものだった。不敵な笑みを浮かべこれから来るであろう北岡と須藤を待ち侘びていた。
(コイツ……なんで北岡さんと須藤さんを同時に呼んだんだ?こんな事をしても何にもならないのに……)
同じくファミレスにモンスター退治で居合わせた城戸は人質の中で浅倉が銃を突きつけていた少女を庇いながら疑問に思っていた。
どちらも浅倉と因縁のある人物だというのは理解しているが同時に呼び出す理由がわからない。
逮捕した須藤と無罪に出来なかった北岡を同時に殺すつもりなのだろうかと考えを張り巡らせている最中、浅倉に連絡用に渡された携帯電話に警察から連絡が入る。
「ほぅ……良いだろう。北岡と須藤が中に入ったら人質を解放する」
北岡と須藤が今現在、ファミレスの入口に待機している旨が伝えられる。それに満足した浅倉は人質解放を伝えた。
浅倉は人質の殆どをファミレスの出口付近で待機させたが一人の少女だけは保険の為に残る様にと捕まえた。
城戸が自分が残ると提案したが、浅倉は子供でなければ意味が無いと城戸の提案を突っぱねた。
それに対して城戸は「この子が残るなら俺も残る」と反論して浅倉は「物好きなバカがいたもんだ。勝手にしろ」と告げると邪魔にならない様に端に居ろと銃を構えながら告げる。城戸と少女は手を繋ぎながら浅倉の指示に従って下がった。
「浅倉、俺だ!」
「人質を解放しなさい!」
「北岡と須藤が入ったらお前等は外に出ろ」
北岡と須藤は浅倉を刺激しない様にゆっくりとファミレスの中に入る。浅倉に指示された人質達は北岡と須藤が入ってきたと同時に外へと出て行った。
そして北岡と須藤、浅倉は睨み合う様に対峙した。北岡と須藤はチラリと城戸に視線を移したが浅倉を刺激しない為と城戸に意識を割く余裕がないからだ。下手に浅倉の前で隙を見せればどうなるか想像に難く無い。
対して浅倉は北岡と須藤を見てニヤリと笑みを浮かべると自身のカードデッキを見せつけた。
「なっ……」
「お前……」
それを見た須藤と北岡は絶句した。まさか浅倉がライダーになったとは思わなかったからだ。
「成る程……脱獄出来た訳だ」
「それでまずは我々を相手に……と言う事ですか」
北岡と須藤はすぐさまカードデッキを取り出した。この辺りは戦いに迷いがある城戸達とは違う所だと言えよう。
それを見ていた城戸は「これもライダー同士の戦いだったのかよ……戦いは止められないのかよ……」と今回の浅倉脱獄と立て篭もり事件もライダーバトルの延長であった事を悔やんでいた。
城戸は浅倉の一瞬の隙を突き、浅倉を体当たりで突き飛ばしたが浅倉は即座に反撃して城戸を蹴り飛ばす。それと同時に警察の機動隊が浅倉を捕えるべく突入し暴徒鎮圧用のガス弾をファミレス内に撃ち込んだ。
煙が充満していく中で浅倉は仮面ライダー王蛇へと変身してミラーワールドへと入っていく。
「神崎士郎も人が悪いよ。そう簡単に勝ち残らせてはくれないって事か」
「ですが、我々のやる事は変わらないでしょう。それに奴を野放しにしていたら楓さんが襲われてしまう」
北岡と須藤は同時にカードデッキを構えて変身をする。北岡は呆れながらも浅倉に対する危機感を覚えていた。須藤は過去に浅倉を逮捕した経歴もあった事からやる事は変わらないと言い切るが考える事はいつも通り楓の事である。先程の電話で楓が浅倉に襲われる一歩手前だった事から須藤の楓セコムのセキュリティレベルは引き上げらていた。
因みにその頃、時を同じくしてベルデの蹴りがガイの股間を蹴り上げ倒れ悶絶したガイが逆上し、ベルデを押し倒していた。
その後、ナイトとライアがギリギリの所でベルデを救出したがナイトとライアの予想した通り、もしも須藤がそれを目撃していたら真っ先に抹殺していた事だろう。