仮面ライダー龍騎 ベルデIFストーリー   作:残月

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すれ違う思惑

 

 

 

 

 

(ヤバい、ヤバい、ヤバい!さっき須藤さんは気絶したと思ったのにすぐに目が覚めたの!?その後で神崎士郎からカードデッキを受け取ったって事!?この状況はヤバすぎる!)

 

 

ベルデはなんとか起きあがろうとしたものの初めての戦いで緊張の糸が切れたのか体に力が入らない。原作において須藤は自身の罪を隠蔽する為にボルキャンサーに一般人を襲わせる事でモンスターの強化を図っていた。

テレビスペシャルで本来のベルデである高見沢が言っていた『ライダーが他のライダーの前で弱みを見せる事。そいつは美味しい獲物』その言葉が示す通り、今のベルデはシザースにとって美味しい獲物に他ならない。

 

 

「楓さん……話は聞きましたよ。ライダーの戦いの事もね」

「や、待っ……」

 

 

コツコツとベルデに歩み寄るシザース。ベルデはなんとか逃げようと身を捩るが体は言う事を聞いてくれなかった。スッとシザースの手がベルデに伸ばされベルデは身を硬直させた。

 

 

「まったく……貴女みたいな女の子が無理をしないで下さい。私や加賀を守ろうとして戦いに出た事は嬉しかったですけどね」

「………ふぇ?」

 

 

シザースはベルデを抱き上げた。所謂お姫様抱っこで。突然の事態にベルデはシザースを見上げながら呆けた声を上げた。

 

 

「あ、あの……」

「積もる話はミラーワールドから出てからにしましょう。制限時間もある事ですしね」

 

 

シザースはベルデを抱き抱えたままミラーワールドを出ようとする。ベルデはされるがままだった。

 

 

(なんでこうなってんの!?って言うかお姫様抱っこなんて前世も含めて初体験なんですけど!?須藤さんもなんか普通に良い人っぽいんだけど!?)

 

 

ベルデは頭の中がごちゃごちゃになっていた。そんなベルデの事はお構い無しにシザースはベルデを抱き上げたままミラーワールドから出た。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

ミラーワールドから出て変身が解除された楓と須藤は未だ気絶している加賀を店の奥に運んだ後、話し合う事にした。加賀は一応、逃げ出さない様に拘束はしている。

 

 

「じゃあ……須藤さんは潜入捜査でこのお店に?」

「はい。店長の加賀は以前から怪しい噂がありまして。私は数ヶ月前から捜査をしていたんですよ。加賀は狡猾な男で中々、人を信用しない。だから私は加賀の友人になり情報を集めていた……そして証拠が揃ったので逮捕に踏み切ろうと思った矢先にこの事件でした」

 

 

楓が須藤から聞かされた話は以下の通りだった。

須藤は実は潜入捜査でこのアンティークショップへ出入りしており店長が怪しいと思っていた。長期に渡る潜入捜査の末、今回の一件で店長の罪が確定し逮捕も秒読みといった所でボルキャンサーとシルバーロブスターの襲来となった。

 

そして神崎士郎からカードデッキを受け取り、モンスターから自分達を守ろうとしてくれた楓同様に自分もモンスターから人を守る為にライダーになった。

 

 

(須藤さん……物凄く真面目な刑事さん!?そう言えばテレビスペシャルだと浅倉を捕まえる為にライダーになったって話だった気が……じゃあこの世界の須藤さんはめちゃくちゃ頼りになるんじゃ!?)

 

 

楓は頭の中で須藤の原作との相違点に混乱していた。原作の須藤なら浅倉とは違うベクトルの残虐の極み。ライダー同士の戦いを避けていた城戸真司ですら自発的に戦おうとした極悪人。

だが、今目の前の須藤はどうだろう?刑事としての責任感もあり、ライダーとして人を守ると宣言する姿は間違いなく頼りになる大人だった。

 

 

「楓さん、私は貴女が戦う事には反対ですが……さっき私や加賀を守ろうと震えながらも戦おうとする姿勢から誰かが危機に陥れば、また戦ってしまうと判断しました。だから一緒に戦いましょう。私が貴女を守ります」

「須藤さん……はい」

 

 

真面目な顔で楓の両手を握りながら共に戦う道を示し、楓はこの須藤は頼りになるし原作の様に狂人にならないのならこれ以上の喜びはない。

原作の城戸真司と秋山蓮の様にモンスターから人を守れるライダーになっていければと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対する須藤は楓が共に戦う事に了承してくれた事に感謝していた。しかし楓には見せない様に黒い笑みを浮かべてだが。その顔を見るものが見たら死を操れるノートで新世界の神になろうと画策していた青年の笑みだと口にするだろう。

 

須藤は楓に真実を織り交ぜた嘘を告げていた。

須藤が元々様々な所へ潜入調査で加賀を含めた悪人と接触していた事は間違いない。だが、須藤は潜入調査から本当に悪事に手を染め始めていた。人の汚い欲望を見続けた須藤は刑事としての正義が濁っていった。

それこそ脆弱な正義よりも増え続ける悪意に飲まれていた。

 

だが楓の事もあり、須藤は考え方を改めていた。楓の笑みや優しさに触れてに澱んでいた心が僅かに浄化されたと言っても良いが須藤は元々何かに溺れやすいと言っても良い。

原作では犯罪の隠れ蓑にライダーの力を使っていたが、ライダーの力に飲まれ頂点を極めようとした。テレビスペシャルでは浅倉逮捕の為にとライダーになったが浅倉を逮捕した後で目標を見失い結局は力に溺れた。

 

 

(貴女は私のモノですよ……楓さん)

 

 

では今回は何に溺れたかと言えば楓自身にだ。自身の心を浄化した楓に執着していた。この娘は誰にも渡さない。その為になら須藤は再び犯罪を犯すし、他のライダーを踏み台にする事すら厭わないだろう。

 

 

「楓さん。加賀は逮捕しますが貴女は単なるバイトでしかない。貴女に罪が被る様な事にはしませんからご安心を」

「はい、お願いしますね須藤さん」

 

 

須藤は楓に向けて先ほどの黒い笑みではなく人の良い笑みを浮かべて楓を安心させた。対する楓は須藤に対する信頼感が高まっており、この世界では真面目な刑事である(と思っている)須藤を信用して後の事を任せる事にしていた。

 

 

楓は須藤を良い人だと誤解したまま刑事である須藤の保護下に入る事になる。須藤は合法的に楓を守れる立場を会得した。

 

二人の思いは間違った認識で交差し、更に運命が変わっていく事となる。

 




須藤さんヤンデレルートに突入。
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