仮面ライダー龍騎 ベルデIFストーリー   作:残月

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ヒーローはツラいよ

 

 

ガキィン!とナイトのウイングランサーが龍騎のボディに傷を付ける。

城戸真司が変身する仮面ライダー龍騎はつい先程、紅き龍ドラグレッダーと契約して改めて正式なライダーとなりミラーモンスターを倒したばかりだった。

その直後、自身よりも先にライダーとなった秋山蓮、仮面ライダーナイトに強襲され一方的に叩きのめされる。戦う気はないと告げる龍騎にナイトは非情に攻撃を重ねた。途中から龍騎も反撃に転じたがモンスターとの戦いの後で疲弊していた事とライダーとしての経験の差が如実に出てしまい、遂に龍騎はナイトに追い詰められてしまう。

 

 

「……トドメだ」

「お、おい……待てよ……」

 

 

ナイトがウイングランサーを逆手に構え、龍騎に振り下ろす。龍騎は動けない体でなんとか避けようとしたが体は言う事を聞いてくれない。

その瞬間だった。

 

 

「ハッ!」

「何っ!?」

「ナイトが……もう一人!?」

 

 

ナイトのウイングランサーを止めたのは同じくナイトのウイングランサーだった。驚愕するナイトと龍騎。それもそうだろう。トドメを刺そうとしたナイトの攻撃を防いだのはもう一人のナイトなのだから。

 

 

「何者だ!?」

「戦いを……止めに来ました」

 

 

もう一人のナイトを警戒してウイングランサーを構えるナイト。対するもう一人のナイトは女性の声で同じ様にウイングランサーを構える。

 

 

この状況に至るまで話は少し遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

「はぁ……不幸だ」

 

 

何処かの不幸体質の主人公みたいなセリフを溢す楓。

楓の住むアパートはとある理由から取り壊しが決定し、つい先日の話だが学校が終わり、新しいバイトの面接に行ったのだが面接は受けられず不採用を突き付けられたのだ。

 

それは何故か。単純に楓がバイトの面接に大幅に遅刻したからである。

放課後になり時間に余裕を持ちながらバイトの面接に向かおうとした楓だが、その途中でモンスターに遭遇し討伐をしたのだが、それが原因でバイトの面接に遅刻。その場で不採用が決まったのだ。

たかが遅刻くらいでと思う者もいるだろうがバイトのみならず面接とは対面する以外の部分もチェックされる。身嗜みや普段の言葉遣い。果ては面接に入る際に会社や店先での挙動ですら面接の対象としている企業も存在するのだ。

その中でも時間とは必ず守らねばならない項目の一つであり、仮に遅れるならば事前の連絡は必須だろう。

 

だがモンスターが街で人を襲おうとしている緊急事態に楓は事前連絡は出来ず、更に大幅遅刻。遅刻の言い訳が「モンスターから人を守る為に戦ってました」等とほざく訳にもいかず「困ってる人を助けてました」と言うしかなかった。その結果、不採用を突き付けられたのが先日の話である。

 

 

度重なる不幸な自身に自傷気味に笑うしかない楓。住む場所が失われ、バイトも決まらず、モンスターと戦う日々。

子供の頃は悪の組織と戦うヒーローやヒロインに憧れた時期もあったが現実は非情である。モンスターから人を守る為に時間を割けば自分の時間は当然消失する。特に生活どころか住む場所すら失いそうになっている楓にとっては死活問題である。

 

 

「学生がライダーやるって……やっぱ厳しいよね。そう考えるとある程度自由に動ける業種じゃないと厳しいわ」

 

 

ハァーと何度目になるかのため息。原作主人公の城戸真司はジャーナリスト。秋山蓮はフリーター。須藤雅史は刑事。北岡秀一は弁護士。芝浦淳は大学生。手塚海之は占い師。浅倉猛は脱獄囚。

前半の登場人物でさえ大半が自由に動ける状態なのだ。同じ学生である芝浦だが高校生と大学生では自由度が段違いである。

 

 

「須藤さんは『モンスター狩りは私がやりますから学業やバイトを優先して下さい』って言ってくれたけどモンスターに気付いたら黙ってるなんか出来ないよ……」

 

 

須藤は楓を気遣い、モンスター狩りはこちらでやりますから、と言ってはくれたが須藤も刑事としての仕事があるし、何よりも目の前で襲われた人を見た以上は即助けなければ被害が出てしまうし助けられる命を救えなくなってしまう。となれば自身を削ってでも正義の味方を執行するしかないのだ。

 

 

「不満ばかり言ってもしょうがないよね……今日もバイトの面接だし、幸いにもモンスターの気配は……」

「ダメ!戦わないで二人とも!」

 

 

気持ちを新たに本日のバイトの面接に向かおうとした楓だったが、大通りでビルの鏡を必死に叩く女性の姿が目に入る。その直後、キィーンと耳鳴りが聞こえて鏡を見れば戦いを繰り広げている仮面ライダー龍騎と仮面ライダーナイトの姿。

 

直後、楓はポケットからカードデッキを取り出しながら鏡を叩きながら叫び続ける女性、神崎優衣の下へと駆け出していた。

 

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