戦いの後で喫茶店『花鶏』で話をする事になった一同。
優衣の淹れてくれた紅茶を飲み一息ついた所で話し合いが再開する事に。
「ライダー同士は戦い合う……最後の一人になるまで、ですか。だからキミは城戸君を襲い、止めに入った楓さんを傷付けたと」
「それがライダーの宿命だ。戦わなければ生き残れない。俺は脱落する気はない。倒すべきライダーは12人。お前達3人含めてな」
「そんなの間違ってるだろ!俺はモンスターから人を守る為にライダーになったんだ!」
須藤は蓮からライダー同士が戦い合う運命にある事を告げると須藤はそんな理由で真司や楓を傷付けたのかと非難する様な口調で呆れた。尤も須藤の怒りの焦点は楓を傷付けた一点にのみ集中しているのだが。
真司はライダー同士で戦うのは間違っていると主張するが蓮はそれを鼻で笑う。
「だったら倒されるだけだ。今回はあの女や刑事が邪魔をしたがあのままだったら俺が勝っていたんだからな」
「戦いの後で消耗した城戸君を襲い一方的に敵視すればそれは勝てるでしょう。キミは普通に戦って勝つ自信がないから襲ったんじゃないですか?それに楓さんや私は元々城戸君と同じでモンスターから人を守る為にライダーになったんです。自分勝手なキミと同じだとは思わない事ですね」
蓮の発言に須藤が反論して二人の視線がバチバチと火花を散らす。蓮は元より捻くれた性格であり、須藤は楓を傷付けた蓮を許す気は毛頭ない。つまりは相性が最悪なのだ。
そんな二人に優衣は口を挟めず、真司も圧倒されていた。そんな時、電話してくると店の外に出ていた楓が戻ってきた。
「はぁ……やっぱりダメだった……」
「楓ちゃん、どうしたの?」
戻ってきた楓はガックリと肩を落としていた。真司の『楓ちゃん』呼びに須藤の目付きは一瞬厳しくなったが楓から話を聞く為に須藤は敢えて黙った。
「私……今日、バイトの面接だったんですけど、面接に遅刻しちゃって今電話でバイト先に確認したら不採用って言われちゃって……」
「学生はお気楽だな。ライダーになったのにバイトの心配か?」
「彼女は両親を失い、バイトで生計を立てています。因みに最近住んでいるアパートの取り壊しも決定して彼女のバイトは死活問題なんですよ。キミからしてみればお気楽な話ですか。彼女はキミ達の戦いに巻き込まれたから再度バイト先を失ったんですよ恥を知りなさい」
楓の発言に蓮は捻くれた返答をしたが須藤の解説に気まずい表情になる。サラッと楓の個人情報が流出したが楓の事を知り、苦々しい表情になった蓮を見て須藤は少しだけ胸がすく気持ちになった。
「そっか……だったら此処でバイトしない楓ちゃん?勿論、住み込みで」
「え……」
「おいっ!」
楓の事情を知った優衣が住み込みのバイトを提案した。突然の事態に楓は反応出来ず、蓮は慌てた様子で声を上げた。
「楓ちゃんが良い子なのはもうわかったし、刑事である須藤さんからも信頼されてるみたいだから大丈夫かなって。それに此処でバイトするなら私がライダーの事情は知ってるし、融通も利かせられるよ。店長は私の叔母さんだから後で事情は説明しておくし」
「ふざけるな、俺は認めない!」
「何故、キミの許可が必要なんですか?キミは神崎優衣さんのなんなんですか?恋人でもなければ、この店のオーナーでもないキミにそんな決定権はないでしょう。それにそもそもキミが原因で楓さんはバイトの面接にすら行けなかったんですよ」
「そうだぞ、蓮。それになんで楓ちゃんが住み込みでバイトすんのが気に食わないんだよ」
蓮が反発するが真司と蓮が原因でバイトの面接に行けなかった事や須藤の指摘で口を閉ざす。更に真司が蓮に反発する理由を聞いた。
「コイツが此処で住み込みでバイトする事でライダーの情報を更に引き出してライダーバトルを有利に進められては困るからな」
「キミの頭は人の話を聞く機能が備わってないんですか?私や楓さん、城戸君はモンスターから人を守る為にライダーになったんですよ。ライダー同士での戦いも否定しています。それなのにライダーバトルに有利になる話をする訳がないでしょう」
蓮が楓の住み込みバイトを許さない発言をするが須藤がバッサリと切り捨てた。
「そうだぜ、蓮。楓ちゃんが良い子なのはわかってんじゃん。この子もモンスターから人を守る為にライダーになったんなら信じられるぜ」
「じゃあ、決まり。楓ちゃん、ヨロシクね」
「はい、ありがとうございます!」
「楓さん、私も時折様子を見に来ますから。神崎優衣さん、楓さんをお願いします」
「ちっ……」
真司が楓を信じ、優衣は楓のバイトを歓迎した。楓はトントン拍子に住む場所とバイト先が決まって歓喜し、須藤はたまに様子を見にくると宣言して、蓮はもう決定が覆せない事に舌打ちをした。
しかし、楓は忘れていた。花鶏でバイトするという事は仮面ライダー龍騎のストーリーにガッツリと関わってしまう事に。
住み込みのバイト先が決まって浮かれている楓がその事に気付くのは引っ越しを終えて一息ついてからだった。