安心してください
病んでます
やったね!
pixiv→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20052920
「あら?トレーナーさんですか?保健室にご用ですか?」
「ああ、すまないね。絆創膏をうっかり濡らしてしまって…替えが欲しいんだけど貰えるかな?」
そのウマ娘に会ったのは偶然だった…自宅で指先を怪我した翌日、巻いていた絆創膏を濡らしてしまったため保健室に替えの物を貰いに来た時だった。
「そうですか。それなら消毒もしておきましょう。どこを怪我したんですか?」
「指先をうっかりね。せっかくだからお願いしてもいいかな?えっと…君は?」
「私はローレル。サクラローレル。保健委員です。」
ローレルは手早く消毒と絆創膏の替えを貼ってくれた。
「これで良し、気をつけてくださいね。」
「ああ、助かったよ。ありがとう。」
「ところでトレーナーさんは誰の担当なんですか?」
「今はいないんだ。実は先日怪我で引退してしまってね…かわいそうに…レースを忘れたいと転校してしまったんだ。」
「そうだったんですか…私も脚は弱い方です。今は走れません。ずっとケガばかりでなかなか走れないからその子の気持ちはわかります…でも私には夢があります!」
前向きな子だと思った。ちょうど失意の中にいた俺は興味を持った。
「どんな夢だい?」
「西の果て。フランス。」
まさか、
「凱旋門です!」
唖然とした。一切の迷いも躊躇いもなく言い切った。だが俺の記憶が正しければ…
「それは…すごいな…君はどこのチーム所属だい?」
「いいえ、まだチームには入ってません。そもそもトレーナーさんがいませんから」
そのはずだ。残念ながら今初めてローレルの名前を知ったのだから。あのナリタブライアンとかならともかく今無名。それどころか走れないと言ったローレルが凱旋門だって?それは…
「どうして今走れないんだ?それなのに凱旋門を目指す。その理由を聞いても良いかな?」
「はい、それはですね……」
走れない理由はガラスの脚…今は無理はできないが可能性はある…
凱旋門にこだわる理由、こちらは言っては何だがよくあるパターン。ただしこのモチベーションと自分を客観視できる力はすごい。眠らせるには惜しいが自分のような若造よりはベテランか強豪チームの方が確実だ。自分ではまた…潰してしまう…
「なるほどそういうことなのか…何にせよまず脚がある程度よくなる必要があるね。」
「そうですね。まずは走れないといけませんから。」
「おっと長居してしまったね。それじゃあ。」
「はい、気をつけてくださいね…」
サクラローレルか…
「トレーナーさん!大丈夫ですか!?」
なにが起きたんだ?何で自分は転がってるんだ?階段を降りようとして…後ろから押された?とにかく立ち上がれ…ない…脚を痛めたようだ…というか全身痛い…
「トレーナーさんしっかりしてください!分かりますか!?」
「うう…君は?サクラローレルか?」
「はい、覚えていてくれたんですね……どこが痛いですか?」
そうしてローレルに担がれて保健室に向かう。幸い痛みはあるが歩ける。保健室に近かったのも幸いした。そして保健室のベッドに寝かせられる。
「さあトレーナーさんこれで大丈夫ですよ。市販のですけど痛み止めです。飲んでください。」
「ああ、ありがとう」
ローレルから錠剤と水を渡される。一息に飲む
「ふう…助かったよ…ありがとうローレル…」
「もう大丈夫ですよ。ゆっくり休んでくださいね」
可愛らしい笑顔だ。安心できる。さすが保健委員だ……
「そうです。ゆっくりおやすみしてくださいね……」
あれ?ここは?
「あ、起きましたか?おはようございますトレーナーさん」
ローレル?そうだここは保健室でローレルに運んできてもらったんだった。
「ああ…おはよう。助かったよローレルありがとう。」
「いいえこちらこそ。それより身体は大丈夫ですか?」
「ああ…痛み止めが効いたみたいだ。大丈夫だよ」
「そうですか…良かったです。でももう少しお休みになってから動いたほうがいいですよ?脚を捻ったみたいですから。」
「そうか…まあ急ぐ理由もないしそうしようかな…」
「はい、そうしてください!」
妙に嬉しそうだな?
そうして少しローレルと話をしてから帰ったのだった。
数日後外に出ると
「トレーナーさん!危ない!!」
いきなり声が聞こえ!!
背中に衝撃が…なんだ!?プラスチックの鉢植え?土が少し飛び散っている?そこまで重くなかったのかあまり痛くはないが…イタズラにしては過激だな…
「大丈夫ですかトレーナーさん!?お怪我は?」
「ローレル?ああ、大丈夫だよそんなに重くなかったみたいだ汚れただけ…」
「良かった…無事でよかったです!」
ローレルはそう言うと抱きついてきた。泣いているみたいだ。心配してくれたんだな…
「大丈夫だよローレル、何ともないから…心配してくれたんだね、ありがとう…」
人目も憚らずローレルは泣いている。困ったなどうしようか?
「そうだトレーナーさん一応保健室で診ておきましょう?何かあったら大変ですから…あと身体を拭いておきましょう?」
そうローレルに促されて保健室に向かう。
「トレーナーさん背中拭きますね。」
「い、いや流石にそこまでしてもらうわけには…」
「遠慮なさらないで!さあ拭きますよ!」
やや強引に丸椅子を回され後ろを向かされる。し、仕方ないか…
ややドキドキしながら背中を拭かれる。そんなに汚れてはいないはずだがずいぶん念入りに拭いてくれるな… 気のせいか距離が近いような気配が…
5分か10分か、時間間隔が曖昧だが拭き終わったようだ…やはり長いような…
「ハイ!終わりました!すっかりキレイになりましたよ」
「ありがとう、助かったよ」
「いいえ、お役に立てて良かったです。」
それにしても最近変な目にあうな…一体何が起きてるのか…
「トレーナーさん?どうかしましたか?」
「いやあ最近変な目にあうなと思ってさ。階段だったり今みたいなのだったり」
「そうですね…どういうことなんでしょう?」
「ともかく助かったよ。ローレルは優しいんだな。」
「そんなことないですよ。でもそう言っていただけるのは嬉しいです。」
そう言ってローレルと別れたのだった。
なんだろう…付けられてる気がする…
誰かが見てるような…
今は自室への帰り道。さっきから誰かに見られてるような気がする。もちろん振り返っても誰もいない。こうなったら…
いつもとは違う細い道にサッと入る。さて釣れるかな?誰かが飛び込んでくる。それは…
「ローレル…?」
「あっ…トレーナーさん奇遇ですね。」
「なんで君が?」
「えっと…ほら、トレーナーさん最近変なことに巻き込まれるじゃないですか?だから何かあったら大変だと思って見守ろうかなと思って…また階段から突き落とされたら大変じゃないですか!」
彼女にしては歯切れが悪いな…?待てよ?
「階段から落ちた時、突き落とされたなんて言ったか?」
「えっ!い、言いましたよ〜やだなあ」
言ったかどうか曖昧だがローレルが近くにいたのは間違いない…鉢植えの時もそう、ローレルが声をかけて助けてくれた…
「ローレル…君は何を知ってるんだ…?」
「え、な…何のことですか…?」
「階段の時も鉢植えの時も君に助けられた。2回とも、偶然にしては出来すぎてないか?」
「そうですか?そういうこともあるかもしれませんよ…」
「階段の時は保健室が近かったからまだわかるが鉢植えの時は何であそこにいたんだ?」
「えっと〜なんでだったかな?忘れました。大した用事じゃなかったと思いますよ。」
「俺に会うのは大した用事じゃないのか?」
「そんなわけないじゃないですか!!……あっ……」
かかったな…
「ローレル…もう一度聞く。何を知ってるんだ…?どういうことなんだ…?」
ローレルはうつむき、震えながら答える。
「トレーナーさんは…トレーナーさんは運命の人なんです…」
「なんだって…?」
「トレーナーさんは私の夢を笑ったり馬鹿にしませんでした…それに今は担当がいない…前の担当は怪我で引退した…ここまで状況が揃ってるなんて…運命だと思いませんか??」
「ローレル…君は…」
「トレーナーさん…私…トレーナーさんに担当になってもらいたいんです。いえ…トレーナーさんが好きなんです!こんなに私とピッタリ合う人なんて他にいません!トレーナーさんはどうですか?私を担当してくれませんか??」
なんてことだ…ローレルは…ローレルの綺麗な瞳は今は何も見えない…真っ黒だ…
「ローレル、君には素質がある。それは認める。君が凱旋門を目指すなら俺みたいな若造ではなくベテランや強豪チームに…」
「それじゃダメなんです!!トレーナーさんしかいないんです…トレーナーさんじゃないとダメなんです…だって…だって好きになってしまったんですから…」
「俺は前の子を怪我させた…君は脚が弱い…危険だ…」
「それは誰が観ても同じです。例えベテランが観ても私の脚が急に強くなるわけじゃありません。時間をかけてじっくりやるしかないのは分かっています。その時間をあなたと過ごしたいんです…」
「そこまで分かっているうえに我慢ができるのに…俺なんかではもったいないぞ…」
「なんかじゃありません!!トレーナーさんはちゃんと私を見てくれました…私嬉しかったんですよ…どうしても嫌だと仰るなら…」
そう言うとローレルは自分のスマホを取り出した。
「これを学園に提出します。」
そう言って動画を再生した。そこには
「あっ!トレーナーさん!やめてください!やだっ!!」
服をはだけたローレルを俺が触ってる動画がそこにはあった。
「なんだ…これは…??」
「トレーナーさんが保健室でお休みになってる間にちょっと”手を借りました”」
よく見ればローレルが俺の手を掴んで自分を触らせてるのは分かる。そもそもウマ娘の力なら簡単に人の腕など折れる。でも
「そうですね。普通ウマ娘に力で勝てるわけないって分かります。でもパッと見た印象では強姦ですよね?噂はずっとついてまわりますよ?」
「ローレル…君は…」
「どうですかトレーナーさん…まだ私を担当する気になれませんか?」
「君は…そこまでして俺に担当になってほしいのか…?」
「言ってるじゃないですか…トレーナーさんしかいないんですよ…私と一緒にあの虹の先まで行けるのは…ねえトレーナーさん…どうしますか…」
俺は考える。考えるまでもないか…
「ローレル…本当にいいのか…?もう一度だけ考えてくれないか?君の素質なら凱旋門…はさすがに保証できないがG2いやG1も…ベテランとかならつれていけるんだぞ…それでも…それでもこんな実績のない…前の子を怪我させたヤツに賭けるっていうのか??」
「考える必要なんてありません…私にはトレーナーさんしか見えないんですから…」
「分かった…そこまで…そこまで覚悟を決めてるなら…俺も覚悟を決めよう」
「それじゃあ…」
「ああ…君をスカウトしよう」
「トレーナーさん…ありがとうございます!」
「まあそれに俺も君のことが嫌いなわけじゃないしな…」
「えっ…?」
「だって君は本来優しいし自分の事を理解してひたむきに努力できる。無謀をしない自制心…まあなぜか俺については変な事をしてるが…それにこの行動力。ここまでされるとは思わなかったが。これを走りに活かせれば活躍できる素質はあるんだ。普通にスカウトしたいものだよ」
「えっと…ありがとうございます?でも私はあなたに怪我をさせたりしたんですよ…?」
「まあ手段は褒められたものじゃないけど俺を好いてくれてのことなんだろ?それに最低限の怪我になるように気をつけてた。階段の時は保健室の近くを選んでいざとなれば飛び出して助けるつもりだったんだろうし。鉢植えは痛くないプラスチックに少量の土で汚れるくらいにして。あれは保健室に連れ込むのが狙いだったんだろ?」
ローレルは驚いているようだ。ここまでされても俺はローレルのことが嫌いにはなれない。むしろこんないい子に好かれるのなら悪くはないとすら思う。まあ脚はじっくり見ていくしかないがそれ以外は素質もあるしやっていけるのではないだろうか?
「そう言えば君が直接俺を突き落としたり鉢植えを落としたわけじゃないなら誰がやったんだ?協力者がいるんだろ?」
「ああ、それは心配いりません。不良ウマ娘をちょっと脅かして手伝ってもらっただけですから」
そういうことか。じゃあこの関係が拗れる心配はなさそうだ。
「それじゃあよろしく、ローレル」
「はい、お願いします!」
その笑顔はやはりカワイイものだった。
ローレルをスカウトしてから数日後、トレーナー室で資料を読んでいるときだった。
「痛ッ!」
「トレーナーさん?どうかしましたか?」
紙で手を切ってしまった…大したことないと思いながらも血がにじみ出る頃にはじんわりと痛みが出てきた。
「トレーナーさん、手を切ってしまったんですね?大丈夫です。私絆創膏持ってますから。」
そう言うとローレルは絆創膏を手に近づいてきた。気のせいだろうか?目に光が無い気がする。
「ローレル?それはありがたいんだけど…なにか雰囲気がいつもと違うような…」
「当然です、トレーナーさんの血を頂けるチャンスですから」
なんだって?あっけにとられていると近づいてきたローレルに手を握られ
「あむっ…」
切った指を咥えられてしまった…
「ローレル!何してるんだ!?」
「何って…トレーナーさんの血を頂きながら止血しているんです…トレーナーさんの血…美味しい…ふふっ…」
そう言うとローレルは止血を再開した。まったくこれではおちおちケガもできないな。もし包丁で指でも切ったらどうなってしまうのだろうか?少し考えてしまう…それはそれで良いかもしれないな…
実はローレルさんかなり好きなんですよね。病みやすそうなローレルさんに出会いから死まで見守られるのもいいよなあとかそういうことを思ってしまいますよね?
今回はローレルさんとの出会いを書いてみました。まあいたって普通のスカウトの手順ですね。よくあるパターンです。でも状況を繋げる技術が足りなくてぶつ切りになったのがもったいないですね。リベンジしたいですねするとは言ってません。
しまった今回はフランス語入れてなかったな。いつもここの殴り書きは本編を書き終わった後にだーっと作ってるんですけどそこで気づきました。追加するかなーどうすっかなあー投稿ボタンぽちーっしまったうっかり投稿してしまいました。次回のローレルさんはきっとフランス語を話してくれるでしょう。作者が忘れなければですけど。