2002年某月某日
北海道の中小牧場でその馬は誕生した。
父は史上初の天皇賞春秋連覇を果たしオグリキャップのライバルとして名を馳せたタマモクロス、母ディアーナガールは体質の弱さから未出走のまま繁殖入りしその父は三冠馬シンザンの子で自身も二冠馬のミホシンザンであり牝系はオークス馬テツバンザイを祖に持つ英月(テツバンザイ)系である。
よく言えば古き良き日本の血統だが悪く言えばサンデーサイレンスなどの外国産種牡馬が圧倒的に有利な状況での時代遅れな血統だった。
母ディアーナガールは牧場長がその血統に惚れ込んでセレクトセールで競り落とした馬だったということもあり繁殖入りしたが馬格が良く血統に目を瞑れば繁殖牝馬としての評価はすこぶる良かった。
初めはダービー馬にしてサンデーサイレンスの子であるタヤスツヨシと配合する予定であったがディアーナガールの血統が血統だけに1年目はどんな馬が出るか分からないので内国産種牡馬として良い成績のタマモクロスと配合しようということになった。
牧場にいるどの馬よりも美しい馬体のディアーナガールだったが血統面では劣っていた。
初仔ということもありディアーナガールが産気づいたのは深夜だったが産まれたのは空が白み始めた頃になる程の難産になった。
「な、なんだこの仔馬は……」
疲れてぐったりと横たわる母の隣で懸命に立ち上がろうとするその仔馬は芦毛でも鹿毛でもなくクリーム色の毛色だったのだ。
明らかに栗毛にしては薄く白毛にしては色がつき過ぎている仔馬に30年以上馬の誕生に関わったベテランスタッフも初めて見る毛色だと驚いた。
「栗毛にしては白過ぎるしこれは……月毛か?」
「こんな珍しい馬ならすぐに買い手が付くだろうしコイツは安泰だな」
牧場スタッフの1人がそう呟いた。
「もし競走馬として駄目でもこの綺麗な毛色ならゴールドシチーみたいに乗馬としても需要があるだろうな」
珍しい毛色の馬は走らない、ましてやこんな古臭い血統の馬がサンデーサイレンスやブライアンズタイム、トニービンの種牡馬御三家が牛耳る中央競馬で活躍することは無理だ。
もし走ったとしても地方競馬だと誰も競走馬としてこの仔馬を期待していなかった。
まだ誰もこの馬が後に歴史に名を残す名馬になるとは思ってもいなかった。
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馬名:???????
性別:牡馬
父:タマモクロス
母ディアーナガール(母父ミホシンザン)