北海ハンデキャップを快勝しようやく本来の力を発揮することが出来たフォルモーントは予定通りセントライト記念に進んだ。
前年に地方の雄コスモバルクがレコード勝ちしたことや無敗で三冠制覇を狙うディープインパクトのライバルとなる馬を探そうとディープインパクトが出走する神戸新聞杯と比べれば地味なメンバーにも関わらず盛り上がっていた。
フォルモーントはといえば前走の勝ち方が評価されたのか夏の上がり馬フサイチアウステルと朝日杯勝ち馬マイネルレコルトを抑えた1番人気に押されており前走の勝ち方で余程自信が付いたのか悠々とパドックを歩いている。
普段は大人しく返し馬をするのだが今回は自らも走った青葉賞を3番人気で13着に沈んだマンハッタンカフェの全弟ニューヨークカフェを始終気にする素振りを見せ輪乗りでもすぐそばを歩いていた。
ゲート入りしてもニューヨークカフェのことを気にしているようだったスタートするとどの馬よりも勢いよく飛び出して早速2、3馬身後続に付けた。
序盤のポジション争いでこそ迫られたが道中ではフォルモーントの首に鈴を付ける馬もおらず、また鞍上の宮原も馬を邪魔することもないのでフォルモーントは気持ちよさそうに秋風の吹く中山を駆けていく。
宮原が手を出さず他の馬も競りかけてこないので後続との差は既に10馬身くらいあるがまだ余裕はある。
そのリードを保ったまま4コーナーに入る時には観客からは歓声とどよめきが起きていた。
直線に入る頃には後続も脚を伸ばして迫って来るが楽に逃げられたので体力はまだ残っており突き離す程ではないが垂れる程ではない脚でゴール板を先頭で駆け抜けた。
2着に突っ込んだ伏兵キングストレイルに付けた差は約5馬身。
久しぶりに現れた大逃げ馬の劇的な勝利と菊花賞直前にディープインパクトのライバルになりうる馬が登場したことに競馬場は盛り上がっている。
佐山も久しぶりの管理馬の重賞制覇に頬を緩ませたが掲示板に表示されたタイムを見て愕然とした。
2:27:7
前々年のヴィータローザが出したタイムよりも3秒以上遅かった。
これ程のタイムは1979年のビンゴガルー、同じ中山競馬場に限定するなら1965年のキクノスズランまで遡らなければ出てこない。
歴代最遅というわけではないが平成最遅である。
菊花賞最有力のディープインパクトは神戸新聞杯でトウショウボーイのレコードを更新している上ダービーでは前年にキングカメハメハが叩き出した脅威のレコードと同じタイムで優勝している。
状況的に言えばディープインパクトは発表されたばかりの新車でフォルモーントは昭和の型落ちである。
なんとも言えないに焦燥感に襲われながら佐山は口取り式に向かった。