新馬戦優勝後、毛色の珍しさと猛烈にかかりながら勝ったということでフォルモーントは多少注目されるようになったがやはり話題は朝日杯勝ち馬マイネルレコルトや2歳重賞路線を賑わせた良血馬のアドマイヤジャパンやローゼンクロイツに集まっていた。
その中でも特に注目を集めていたのは重賞への出走経験がないものの若駒ステークスを強烈な末脚で制したディープインパクトであり毛色こそ派手だが新馬戦での勝ちタイムも平凡で地味な血統のフォルモーントがそれらに割って入る余地はなかった。
次走は自己条件の500万円以下と決めていたが距離を延長するか短縮するかでまた調教師は悩んでいた。
前走は首差で差し切ったとはいえ血統や馬体的にもう少し距離が伸びた方がよく見えるがあのかかりようだと距離延長はせずにマイル辺りを走らせたいと調教師は悩んだ。
悩みに悩んだ調教師だったがどうやら馬主は新馬戦を見て日本ダービーではなく経験を積ませてから秋の菊花賞にフォルモーントを出したいと思いだしたらしく鶴の一声で距離を延長が決まり新馬戦と同じ京都開催のムーニーバレーレーシングクラブ賞に決まった。
鞍上は新馬戦に続き宮原でということだった。
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次走に向けての調整が始まったがフォルモーントがレースを経てから随分て精神面での成長が感じられた。
以前は単走でも引っかかってしまっていたが今では乗り役の指示に従って走れるようになり調教が終わっても走ろうとする悪癖もなくなっていた。
厩舎を困らせていたわがままっぷりも鳴りを潜めやっとまともな馬になったと調教師たちは喜んだがその代わりに併せ馬では以前よりも前進気勢が以前とは比べ物にならないほど強くなり抑えることがさらに困難になってしまっていた。
後ろから行かせると前を走る馬を追い抜かそうと、前から行かせると背後から迫る馬を引き離そうと物凄い力で引っ張り抑えようとする乗り手の体力を消耗させた。
なんとかフォルモーントが併走しても気持ちが落ち着くようにとさまざまな工夫がなされたがどれも効果がなく始終かかり続けこのままだと本番の2300mどころか2000mさえ宮原の体力がもつのか不安視されるようになったので調教師は新馬戦と同じくスタートの出によって逃げか追い込みのどちらかを選べと宮原に指示を出した。
単走を終えたフォルモーントに跨りそれを聞いていた宮原は快諾しむしろロケットスタートじゃなきゃ直線まで抑えてみせると意気込んだ。
その言葉に調教師はこれまでの調教や新馬戦を通しスタートが特別に上手だった訳でもないフォルモーントのことだろうしロケットスタートはないだろう、今回は宮原とフォルモーントの勝負だろうなと心のどこかで思った。
しかし京都9R、ムーニーバレーレーシングクラブ賞でフォルモーントはこれまでに見せたことがないほどの好スタートを切った。