ノーカオス・ノーブレイク   作:零崎哀識

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ゲームシーンは書いてて楽しい。
チートスペック少し入ってるけど余り気にしない方向で
感想待ってます。


チェス

用意されたゲームの間

 

まだクラミー、俺、ステフしかいないようだ。

 

「チェスか?」

 

そこにあるのは大きなチェス盤と等身大のチェスの駒。

 

イカサマ上等で乗り込んだ俺としては想定外だった。

 

チェスでどうやってイカサマする?

 

「そう、チェスよ。でもこれはただのチェスじゃない」

 

まあ、こんだけデカいもんねそりゃあなんかあるよ。

 

「このチェスは駒が意思を持っているわ。命じれば自動的に駒は動く」

 

「……そういうことな。なあ、そっちだけが内部の隅々まで理解してるゲームだ。賭けるものこっちで決めさせてくれよ」

 

スマホを弄くりながら言う

 

「何か賭けるの?」

 

「さっきも言ったが玉座に興味が無いんでね。ご褒美が欲しいのよ」

 

「はあ、一体何が欲しいの?」

 

頭を押さえ、溜息を吐きながらクラミーは聞いてくる。

 

「俺が勝ったら、お前、俺の奴隷な」

 

「は、はああああああああああ!?」

 

無茶苦茶な要求にクラミーは驚く。

 

盤上のこちらのキングをチェス盤から降ろし、キングが立っていたマスに立つ。

 

「代わりに俺が負けたら俺の命やるよ。これで平等だろ?」

 

こっちの王が取られる時。それは俺に剣が届く時。

 

「で、どうだ?」

 

再度問うがクラミーは無言のまま答えない。

 

「はぁ、ビビったか?それとも自分はもう自分を賭ける権利が無いとか?」

 

他国が間者を使う場合、二つの可能性がある。

 

一つ目は雇う場合。

 

そして、二つ目は以前手に入れた奴隷を使う場合。

 

前者ならまだ馬車での言い分聞いても良かったんだが、後者じゃもう何を信じろというんだ。

 

「仕方ねえな。そっちは一月俺と行動しろ。その間、勝手に連絡とか無しね。この程度だったらお前のご主人様に許可取ってるよ」

 

実は城内からエルフが逃げる時に止めはしなかったが手紙をポケットに突っ込んどいた。

 

『ゲーム始まる前にこっち来ないとあの黒髪を一月程借りるよと』

 

今頃気付いてるだろう。

 

そのこともクラミーに教えてやると、

 

「……そう。ならいいわ。どちらに勝つのは私だし」

 

了承が取れたところで観客がついたようだ。

 

「それじゃあ、はじめるとしようか」

 

「「アッシェンテ!!」」

 

「先手はそちらに譲るわ」

 

そんじゃあ、お言葉に甘えて、

 

「b2ポーン、b4」

 

言った通りにポーンが動いてくれる。

 

「ポーン7番前へ」

 

そうあちらさんが言うと氏名されたポーンは3マス進んだ。

 

「「「はぁ!?」」」

 

俺と観客は声を上げて驚く。

 

「言ったでしょう。これは意思を持った駒。駒はプレイヤーのカリスマ、指揮力、指導力、そして王との資質に反映して動くわ。王を決めるのに丁度いいゲームだと思わない?」

 

このアマァ。イカサマすると分かってはいたが言い方が糞ムカつく。

 

「d2ポーン、d3」

 

まあいい。

 

ゲームをどんどん進めて行く。

 

「す、凄い。ルール無用に近い動きをする相手を圧倒しちますわよ」

 

「当たり前だ。この程度なら飛車角金銀桂馬香車落ちの将棋の方がまだマシだ」

 

だが問題はここから。

 

「ポーン3前に」

 

俺はそう指示したが駒は動かない。

 

「ポーン3前に行け」

 

もう一度言うが動かない。

 

「ちっ!やっぱりそうか。サクリファイスは使えない」

 

リアルの戦争で勝つ為に死に行かせることが出来たのは日本では第二次世界大戦の特攻か有名じゃないのがあるとすれば宗教戦争くらいだ。

 

「はあ、そっちが出きるからやろうと思ったが、何?自軍に洗脳魔法でも使ってんの?」

 

「……ただのカリスマよ」

 

「だよなーそう簡単に認めねえよなー。理解したよこれはチェスじゃねえ。チェスの皮被った戦争だ。エルフに身を売ったビッチ、絶対に泣かす」

 

そう宣言すると自分の駒に大きな声で言う。

 

「おい我が軍のモブ共!邪魔だから全員引け!戦場に腰抜けは必要無い!」

 

そう言うと俺は一番近い戦車(ルーク)に対し、駆け出す。

 

「なっ!?私の手番を飛ばして何マス動いてるのよ!?」

 

「知るか!戦争で相手が待ってくれると思ってるんじゃねえよ!てめえもやる気ねえなら退け!」

 

クラミーに返答し、続けて戦車に乗ってる兵を引きずり降ろして戦車を走らせる。

 

「はあ!?キングが戦車を操作してる!?」

 

「ルールで名言してるか?王は戦車に乗っちゃいけないって?」

 

そんなルールあるはずない。そもそもチェスでそんなことしようと思うはずが無い。

 

クラミーがそう考えている間に盤面は変わる。

 

「オラア!!」

 

前にいた敵のポーンを引き殺し、そのままポーンの後ろにいたを戦車から思いっきり跳んでぶった切る。

 

「軍事ゲームやる時、俺って戦闘は有名キャラだけ使ってモブとかは政治に全部振るんだよね。謀反とかしてもすぐに鎮圧出きるし」

 

「くっ、ナイト、ビショップ、ポーン、その男の進軍を止めなさい!周辺のポーンはキングを守りなさい!」

 

「遅い!」

 

指示が出され動こうとするナイト、ビショップを斬る。

 

「指示待ち人間に俺が止められると思ってんじゃねえ!軍事ゲーかと思ったら無双ゲーか?」

 

速度が違う。

 

当たり前だ。あっちは思考し、指示をしなければ動けない。こっちは頭で考えてノータイムで動ける。

 

「ルークはキングとキャスリング!続けてポーンはキングへの防壁を!」

 

大急ぎで出した指示に駄目だしする。

 

「うわ!見ろよ!ルークを身代わりにして挙句の果てに兵を壁にして後ろに隠れてんぜ!臆病者!」

 

敵の攻撃を避けながら続ける。

 

「前線で兵を戦わせて支持をする奴が王?ふざけてんじゃねえよ!王は民を導け、自分の屍を越えられることはあっても民の屍を越えちゃいけねえだろうが!」

 

「ふん!そう言うあなたはもう袋のねずみじゃない!」

 

善戦はしたが敵の駒に囲まれてしまった。

 

「……カリスマだっけか?どうやら俺にもあったみたいだな」

 

俺を囲んでいた駒の一体が倒れる。

 

その駒を斬ったのは俺のナイト。

 

「礼を言うぜ。この戦いが終わったら褒美をくれてやる」

 

敵軍に一人で挑み、一騎当千していくその姿は一人の英雄だ。

 

兵は英雄に憧れる。自分もそうありたいと努力する。

 

その英雄が窮地に陥った時助けたいと思うのは当たり前だ。

 

「この戦い我々が正義だ!各々が正しいと思ったように剣を触れ!!」

 

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 

駒が雄叫びをあげる。

 

こちらの駒の士気は最高潮。指示はいらない。一気に制圧する。

 

しかし、囲んでいた最後の駒を自軍の駒が取ろうとした時に状況は一変する。

 

攻撃を仕掛けた俺の白のポーンが敵の黒のポーンに触れると黒く染まった。

 

「「「なっ!?」」」

 

またもや観客は驚く。そこに俺も加わった。

 

「洗脳魔法ね。洗脳ならあなたの駒も出きるわよね?」

 

ちっ!一番危惧していた事態がここで起こるとは。

 

一番危惧していたこと。それは負けそうになった敵さんが不正がバレること覚悟でイカサマしてくること。

 

「全軍撤退しろ!敵の駒に触れたら人形にされちまうぞ!」

 

自軍の駒は慌てて後退するがもう駒のいくつかは黒く染められてしまった。

 

「ふふっ、余裕無いようね。クイーン、殿を務めている王のクビを刎ねなさい」

 

チェス最強の駒がこちらに向かってくる。

 

避けてもいいがそうしたら後ろの駒が洗脳されて囲まれて後がなくなる。

 

「チェックメイトよ!」

 

「女王。あんたはそれでいいのか?」

 

俺は迫りくるクイーンに問いかけた。

 

「「「は?」」」

 

クラミー含め、俺以外の人間が唖然とする。

 

「あんたは自分の意思で王に仕えているのか?それとも何か理由があるのか?」

 

クイーンが俺の目の前で立ち止まる。

 

「あんたの王はあんたが仕えるべきほどの相手なのか?悪いが俺はそう思わない。民を洗脳し、道具のように扱い、女であるあんたを戦場のド真ん中に放り込む。そのくせ最奥で怯えている王の為にあんたは剣を振るうのか?あんたの剣が守るべきはず民を見ろ!目を背けるな!」

 

クイーンは振り返り、黒の駒を見る。

 

「導くのは王ではない!あんたが導け!王以外に導くことができるのは女『王』のあんただけだ!」

 

今度は黒いクイーンが白く染まる。

 

「なっ!?ナイト!裏切り者であるクイーンを取りなさい!」

 

それは悪手だ。この戦争一気に終わらせる。

 

黒のナイトは白く染まったクイーンに剣を振るうが、当たる直前で剣は止まる。

 

「愚かだな。王よ。臣下に女王を殺せだと?酷なことをする」

 

ナイトも白く染まった。

 

「この裏切り者!!」

 

クラミーは俺が他国の技術でイカサマしていると思っている。

 

そんな俺に向けての言葉なのだろうが、クイーンとナイトに向けて言っているように見える。

 

俺はそんな白へと変わったクイーンとナイトに言う。

 

「その色は違う。さっきも言っただろう導くのは女王だと。ならば俺の色ではなく自分の色を見つけるべきだ。安心しろ。あの黒き愚王を討つのに強力は惜しまない」

 

するとクイーンとナイトは赤く染まる。

 

赤色は他の黒い駒に伝染していく。

 

「はあ!?」

 

叫んだのはクラミー一人。

 

そして、赤と白が入り乱れる盤面に残った唯一の黒は王のみ。

 

「ふざけないで!!あなた一体どんな細工を!!」

 

「降伏しろよ。お前の負けだ」

 

「ふふっ……ふふふ…この国は渡さないわ!王よ!あちらが行ったように全ての兵をなぎ倒しなさい!!出来なければこの国は終わりよ!!」

 

ただの駒である王に俺と同じように、いや、俺以上の動きをしろと彼女は言う。

 

黒の王はクラミーを見て、こちらに走り出す。その道が絶望の道と知りながら。

 

「俺のいた世界ではここ程優しくなくてよ。殺し合いに限って言えばお前等より玄人なのよ」

 

黒き王は赤と白の駒によって無残な姿へ変えられている。

 

「盤上で済んで良かったな」

 

遠い昔の本当に自分が経験したのかも分からない戦場だとしたらその王の末路はクラミー・ツェルだったのだから。

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