ちなみに今回原作ブレイク開始
ノーサイド
「す、凄い……」
圧倒的不利な勝負での勝利劇。
着ろ間に響く歓声の中でステフはそう呟く。
(他の人は理解していないと思いますけど、彼の言っていた発言。それは彼の元居た世界の状態を指しているのですもの。そして、この魔法のイカサマありのゲームを正面から破って見せた。それは、間接的にも世界最大国をただの人間が勝利したということですわ……)
「……本当に、人間ですの?」
ステフが感じているのは畏怖だ。人は自分の理解出来ぬものに畏怖する。そしてその対象を化物と認識する。
ステフの方へ歩いてくる零は笑顔だがそれは勝利を喜んだものではなく、子供が買ってもらったおもちゃで一通り遊んで満足した顔だった。
「これで前国王の最後の最後にやっちまった愚作はこれで帳消しだ」
「あ……」
「これでお前の守りたかった国は滅びないよ」
ステフの畏怖などこの瞬間ふっしされた。
そして、素直に口にする。
「ありがとうございました……本当に感謝しますわぁ」
途中から若干嗚咽が混じってしまい、聞き苦しくなかったかと不安に思ったステフの頭を零はポンポンと撫でた。
「……ねえ」
そこに水を差すようにぽつりとクラミーは呟いた。
広間にいる観衆は興奮してクラミーの発言を聞いていない。
「一体どんなペテンを使ったか教えなさいよ」
零を睨んでそのまま続ける。
「せっかく人類が生き残る唯一の策を台無しにして、一体どこの間者?天翼種(フリューゲル)あたり?まさかただの人間がエルフの魔法に打ち勝ったというつもりじゃないわよねっ?」
「そのつもりだし、その通りだけど」
零は頬を掻いて困ったように言う。
「別にお前がさっきの話が真実だって証拠見せてくれれば悪くねえ策だとは確かに思ったし、要求通りに勝負降りても良かったんだぜ」
「だったら!」
零とクラミーの会話に広間は静まっていく。
「だって気に食わなかったんだもん」
零はつまらなそうに言う。
「エルフを足がかりにするって言うならまだ面白い。なんなら強力してやろうとも思った。でも、エルフ様庇護が無きゃ生きられない?ここにいる弱っちい人間ども見てみろ。みんな地に足つけて生きてる。自分の足をだ」
「それがこのままだと出来なくなるって言ってるのよ!その道を歴史が!この現状がイマニティの限界を証明しているわ!」
「そんなの歴史を作った奴の限界だ。俺の限界じゃねえよ」
そして、種明かしするように言う。
「そうそう、最後までイカサマしてると勘違いしてくれてありがとね」
いい笑顔をクラミーに向ける。
(私はイカサマを暴くことばかりに気をとられていた。もし、本当に最初から無かったとしたら?)
「そ、そんなはず……ない…ただの人間が魔法に対抗出来る訳……無い」
「それがお前の限界なんだろう?」
クラミーのベールを剥がして言う。
「てめえの限界っていうモノサシで他人を計ってるんじゃねえよ」
「う」
クラミーの口から声があふれ出した。
「うああああああああああああああああああああああああんっ!!」
突然クラミーは床に座り込み大号泣する。
「え?」
「びええええええん!ばああああかあああああほおおおお!エルフの力取り付けて……反故にするのにぃ、どんだけめんどーなけーやくをおおお……それおお、ほんきだったのにいいいいいいい!!」
130といえ万能ではない。
出来ないことだってある。
泣きじゃくる子供をどうにも出来ない。
(え?なにこの雰囲気?俺まるで悪役じゃん。なんとかしないといけないわけ?)
「えーっと、そうか、うん。クラミーは本気だったのか。良く分かったよ」
言いながらクラミーを撫でる。
「……グスッ……そう私がんばったもん」
「うんうん。クラミーは頑張った。クラミーは強い子だ」
「うん、クラミーつよいこ」
そのままクラミーが落ち着くまでなだめ続けた。
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130サイド
なんとかクラミーを落ち着かせることは出来た。
落ち着いたクラミーは羞恥で顔を真っ赤に染めている。
「ぜ、絶対にあなたのことなんて認めないんだから!帰ってあの子と一緒に暴いてやる!」
そう言ってクラミーは逃げるように広間を出て行こうとする。
「えっと、非常に言いにくいんだけど、それ無理」
その言葉を言ったところでクラミーの歩みが止まった。
クラミーはまるで後ろに糸で引っ張られるかのように前に進めない。
「ど、どういうことよ!?コレ?」
「お前、負けたら一ヶ月間俺と一緒にいるって約束だっただろ?」
「あ」
質問に答えてやると思い出したかのようにクラミーはポカンと口を開けた。
「この状況を見るに少なくとも10メートルは離れられないみたいだな」
他にも条件あるかもしれねえけど。と補足する。
「……いっそ殺してええええええええええええええ!!」
うん。あんだけ醜態さらして一番顔合わせたくないあろう俺と一緒って同情はする。
というわけで130こと哀川零の第3目標王になる達成
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翌日
今日やるのは新国王の顔見せだそうだ。
城前の大広場に数十万の国民が集まっている。
「本当にそのこれでいいんですの?」
「いい。楽な格好が一番いい。てか、この世界の服ってコスプレみたいだから恥ずかしい」
「はぁ、まあ分かりマシたわ。好きにしてください」
城のベランダから大広場に姿を現す。
俺の格好は長袖Yシャツにジーパン、紐無しの運動靴をはだしで履いている。
そして王のものではなく女王の王冠を腕章のように無理矢理つけている。
王の王冠はというと片手で持っており、手摺りに腰掛けた。
そのまま手に持った王冠を後ろについてきた女性に被せた。
「「「え?」」」
大広場に同様が流れる。
その女性はという前国王の孫のステフ・ドーラ
ではなく、エルフの力を使ってイカサマをしていたクラミー・ツェル。
そんな謎の格好謎の状況に唖然とする国民に対し、発言する。
「えーーー有象無象の無能の諸君」
罵倒から始まる演説。
「何故、てめえ等は戦争の無いこの世界で負け続けてんの?」
口調は悪いがその問いの答えを各々に考えている。
「前国王が失敗したからか?魔法が使えねえからか?第十六位の種族だからか?そんな風に思ってるから負けるんだ」
おそらく大半の者が考えていた答えを否定する。
「何故、神話の時代の大戦で魔法、超能力、超直感を持つ相手に、牙、巨体、羽根を持つ相手に人類は生き残ったんだ?」
この世界の歴史について問う。
「まさか人間が暴力に優れていたなんてほざくバカはいねえよな?
「人類が生き残ったのは考えたからだ!強者を相手にどう立ち回るか考えたからだ!生きるのに必要な物を得る手段を考えたからだ!俺達の武器は思考することだ!
「しかし、十の盟約で他種族は俺たちの武器の知恵に力を入れ始めちまった。これがこの敗北し続ける現状に陥った理由だ」
その絶望的な事実に大広場は落胆、不安などの暗い感情に包まれていく。
「はあ、てめえらは何故に絶望している?この程度の状況は大戦に比べれば逆境でもなんでもねえだろうが。なんたってあっちがこっちの土俵に来てくれるんだぜ。考えることにかけては俺たちに一日の長がある。
「最初にいったがてめえらは全員無能だ。俺も無能だ。だが、無脳では決してない!
「長い間他種族の脅威を学んだだろ?だが他種族の強みを学んだ筈だ!長い間他種族による敗北を経験しただろ?だが他種族の戦術を経験した筈だ!ならばそこからゲームの最後まで予想しろ!この国が生き残る未来への手段を予想しろ!
「もう散々苦しんだな?もう飽きるほど辛酸も舐めたな?もう必要以上に卑屈になったな?ならばゲームの時間だ!
「俺たちは第十六位(最下位)!下には誰も居ない!一番上まで成り上がるぞ!俺たちの領土、国境線を返してもらおう。俺たちエルキアは全世界の全国に宣戦布告する!」
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国民の大歓声を背に場内へ戻って行く。
「ふん。傀儡の王が随分と大きく出たわね」
後ろからついて来るクラミーが皮肉気に言う。
「だから傀儡じゃねえつってんだろ。ま、それはこの一月でゆっくり理解してくれればいい」
ちなみにクラミーを連れて行った理由だが、10メートル以内の他に同じ空間にいないといけないという新しいルールが発覚したからである。
「あ、あなたっ!なんてこと宣言してくれてますのっ!?」
なんかステフが食って掛かってきた。
「何?相手しないとダメ?」
「当たり前ですわ!戴冠式済ませたばかりで内政も何もやっていない状況で他国と渡り合える状況のわけないでしょう!この国滅びますわよ!」
「はあ、他人の言葉を疑えって言ったよな?マジで説明しないとダメ?面倒だからクラミーやってくれる?俺が間者じゃないと過程して」
「……いいわ。本当にビビたる可能性だけど過程してあげるわ。いい?レイがエルフのサポートがついた私に勝った。魔法も使えない人間が正面から破られたと思う?私はこれっぽっちも思ってないわ」
「いいから進めろ」
脱線しそうなのでこちらを半眼で睨んでいるクラミーに先を促がす。
「分かったわよ。私同様レイはどこかの国の間者だと全ての国が思っているわ。でも、どこの国か分からない。どの国もエルキアを傀儡にした国が構成に出たと勘違いするわ」
「あ」
「エルフの魔法を打ち破る国が現れて攻めてくるかもしれない。そんな状況なら何処も警戒するでしょう?……これであってる?」
「うん。だいたいあってる。全世界の全ての国が警戒して疑心暗鬼なんてカオスな状況。まさに俺好みな状況。そんな素敵状態で放置して俺たちはゆっくり内政に攻める準備しましょうや」