ノレアはストライクダッシュを駆り、崩壊したヘリオポリスの瓦礫に紛れてしまったキラの乗る一号機を捜索していた。
「キラ、大丈夫だと良いけど……」
『X105、X105'、聞こえるか!無事なら応答しろ!』
「こちらX105'、こちらは無事です。現在、一号機を捜索中!」
アークエンジェルからの呼びかけに応じつつ、一号機を探すノレア。すると、視界の先に宇宙を漂う一号機の姿を発見した。
「キラ、聞こえますか?大丈夫なら返事を!」
『ノ、ノレア?』
通信回線が開き、半ば呆然とした状態のキラがモニターに映る。ノレアはほっと息を吐いた後、無事を確認してアークエンジェルとの通信に応じるよう伝えた。
「良かった……怪我はないんですね?」
『う、うん……』
「アークエンジェルからの通信に応答して下さい。さっきから呼びかけ続けられていますよ」
『あ……こちらX105、ストライク。キラです』
『……無事か?』
『はい』
『こちらの位置は分かるか?』
『はい』
『ならば帰投しろ。戻れるな?』
『はい』
キラは息を吐いてアークエンジェルからの通信を切ると、対艦刀をマウントし、ストライクダッシュに追随して一号機を飛翔させた。
「……大丈夫ですか?」
『うん……だけど、父さんと母さんが心配で……』
「救命ポッドに乗られていることを祈りましょう。……あれは……」
『あれは、ヘリオポリスの救命艇!?』
二人が同時に存在に気づいたのは、ヘリオポリスの救命ポッドの一機だった。どうやらエンジンが故障して漂っているらしい。
「エンジンがいかれたんですかね?」
『だとしたら保護しないと……!』
二機は同時にスラスターを吹かせ、漂う救命ポッドの下に辿り着いた。両手が空いている一号機が救命ポッドを両手で抱え、ストライクダッシュが後方に着いて敵機を警戒しつつアークエンジェルに向かって飛翔した。
帰投した二機は、アークエンジェルに避難民の受け入れ許可を求めた。だが……
『X105、避難民の受け入れは認められない』
『認められない!?推進部が壊れて、漂流してたんですよ!?それをまた、放り出せというんですか!避難した人たちが、乗ってるんですよ!』
「キラの言う通りです。敵がまだ近くに居る以上、ここで見捨てれば彼らは確実に巻き込まれます!」
『すぐに救援艦が来る。アークエンジェルは、まだ戦闘中なんだぞ……避難民の受け入れなど出来るわけが……『……いいわ、許可します』艦長!』
『今こんなことで揉めて、時間を取りたくないの。収容、急いで』
『……分かりました、艦長』
左カタパルトハッチが解放され、一号機に続いてストライクダッシュを着艦させたノレアの下に、ブリッジから再び通信が入った。
『二号機の嬢ちゃんはすまんが、直ぐにブリッジに来てくれ。荒事には慣れてるんだろ?悪いが知恵を借りたい』
「……あまり期待しないで下さいよ。私、作戦立案とか専門外ですし」
『それでも構わん。頼むぞ』
「……了解」
フラガ大尉にため息交じりに返事をすると、ストライクダッシュを専用のハンガーに固定し、システムを落としてコクピットから外に出た。すると、救命ポッドから出てきた少女がキラに抱き着いていた。
(あの人は確か……サイの婚約者?)
どうやら彼女―フレイは半ばパニック状態になっているらしく、その辺りの対処は彼女に惚れているらしいキラに任せることにしてブリッジに急いで向かった。ブリッジに入ると、フラガ大尉が手招きしていた。どうやら、宙域図をラミアス艦長とバジル―ル少尉と一緒に見ているらしい。ノレアはフラガ大尉の隣に立つと、説明を求めた。
「お、来たか」
「……状況は?」
「バジル―ル少尉の提案で、ユーラシアのアルテミス要塞に向かうって仮決定した所だ」
「決定ではないのですか!?」
「俺も悪くはないとは思うんだが……どうも嫌な予感がぬぐえなくてね。嬢ちゃんはどう思う?」
ノレアはしばし考え込んだ後、顔を上げてフラガ大尉に問う。
「この
「ああ。まだ認識コードがない」
「しかも、ヘリオポリスの避難民やコーディネイターであるキラが居る……ユーラシアと大西洋連邦って仲良いんですか?」
「あまり……良くはないでしょうね」
「艦長!」
バジル―ル少尉がラミアス艦長に咎めるように言ったが、ラミアス艦長の顔は冴えない。
「私も同意したけど……でもG二機やキラ君たちのことは、絶対に争いの種になると思う。アルテミスに寄っても、良いことはないでしょうね」
「……ラミアス艦長、他に大きな基地って近くには……」
「月本部以外にはないでしょうね。向かうなら地球へのスイングバイ経由になるわ」
ノレアは再び考え込み……一案を思いついた。
「ヘリオポリスが崩壊したことは、すぐ友軍にも伝わるはずです。なら地球方面に向かって友軍の艦隊と合流すべきだと思いますが」
「だが、補給はどうする!?補給が無ければ友軍と合流するまで持たないぞ」
「……それなら、敵に追撃させなければいいんですよね?」
「……おい嬢ちゃん、それってまさか……」
ノレアの言わんとする所を察したのか、フラガ大尉がはっとした表情になる。ノレアは頷くと、続けて発言した。
「敵は奪った機体を投入してくるはずです。追撃できないまで痛めつければ、補給までの時間を稼げると思いますが」
「ザフトが奪ったGを投入してくると言うのか!?」
「……ありえない話ではないわね。ノレアさん、フラガ大尉と一緒に奪われた四機のデータと敵艦隊戦力のデータを閲覧して、作戦立案をお願い」
ノレアはラミアス艦長と目線を合わせて見つめあった後、頷いて敬礼した。
「……了解しました。可能な限り、ベストを尽くします」
「頼むわ。……本艦はこれより、地球方面に進路を取る。総員、回頭準備!」
ラミアス艦長が指示を出して艦長席に戻る前に、必要な情報が入った端末をフラガ大尉に渡した。
「よし嬢ちゃん、まずは制服に着替えよう。その後で作戦立案だ。気張って行こう」
「……了解」
二人は艦長に敬礼すると、ブリッジを後にしてまずはロッカーに向かっていった。
To Be Continued......
アルテミスの展開をカットすることに決定しました。というのも、次話の展開でG数機を損傷させて追撃を遅らせる展開になるのと、原作通りアルテミスに入るとノレアがぶちぎれてアルテミスを崩壊させかねないからです。
では次回は正念場となります。お楽しみに。