テンプルナイトは頑張んナイト!   作:ハチミツりんご

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 活動報告にてキャラクター募集を行っております。興味の湧いた方は、お気軽にご参加ください。


エピソード0:昔々のお話

 

 

 

 

 _______昔々の、そのまた昔。

 

 

 とある海の果てを超えた先、他の国とは隔絶した場所。

 そこに浮かぶとある大陸には、二つの国がありました。

 

 

 人間達が手を取り合って暮らす、昼の国。

 それ以外の知的な種族が過ごす、夜の国。

 

 

 この二つの国は、とても仲が悪いのです。

 

 喧嘩の発端は、もう忘れてしまいました。

 しかし彼ら彼女らは、互いを不倶戴天の仇敵として憎み、争いました。

 

 

 

 個の種族として優れているのは、夜の国でした。

 魔族と呼ばれる魔導術式の申し子達を筆頭に、多種多様な種族の連合である夜の国。

 

 優れた森の斥候役である森妖精(エルフ)

 力自慢の鉱山人(ドワーフ)

 獣の力を宿す獣人(ビースティアン)

 人の血を啜り眷属を増やす吸血鬼(ヴァンピール)

 祖龍の加護をその身に得た竜人(ドラゴニュート)

 麗しき見目で人を惑わす淫魔(サキュバス)

 

 その他、数多の種族が互いに喧嘩したり、時には険悪になりながらも昼の国を脅かしました。

 彼らはなまじ優れた力を持っていた故に、力を持たぬ人間種を下に見ていたのです。

 

 

 

 逆に人間種たる昼の国は、群に優れていました。

 

 互いにいがみ合う夜の国とは違い、人々は力は無くとも手を取り合い、数の多さを武器に夜の国と戦いました。

 1で攻められたら10で囲む。

 100で攻められたら10,000で潰す。

 

 昼の国の王様は言いました。

 『結局数なんだよね』と。

 

 

 

 長い、永い、本当に長きに渡る争乱の歴史。

 

 その歴史に終止符が打たれるのは、本当に突然の事だったのです。

 

 

 

 それは突然変異とでも呼ぶべき存在。

 人の身でありながら、其の才は止まることを知らず。

 

 魔族よりも魔導術式に優れ。

 森妖精よりも遠くを見渡し。

 鉱山人よりも金剛の剛力を持ち。

 獣人よりも迅く大地を蹴り。

 吸血鬼よりも友多く。

 竜人よりも誇り高き。

 淫魔よりも万人に好かれ。

 

 

 其れは四人の【英雄】と、たった一人の【勇者】。

 

 総勢五名の手によって、夜の国はその殆どが壊滅したのでした。

 

 

 昼の国の王様は言いました。

 『なにあれこわい』と。

 

 

 

 それもそうでしょう。万の規模の軍を整え、万全の状態で挑んだとしても勝率は五分五分。勝てても多大な犠牲を払う事になるのが夜の国との戦争です。

 それをあっという間に蹴散らしてしまった勇者と英雄達は、当然夜の国の亜種族達より強い訳で。

 

 凱旋の日、歓喜の声で迎える民衆達とは違い王様は静かに一人警戒していましたが_______

 

 

 

 

『王様!魔王倒したよ!!褒めて!!!

 

 

 勇者は王様のことが大好きなワンコ女子でした。

 

 昼の国の王様は言いました。

 『虎とじゃれるってこんな気分なのかな』と。

 

 

 さて、昼の国へ帰ってきた勇者と4人の英雄、そして王様は、とある大きな問題を抱えていました。

 

 魔族を失って統率を欠く魔物達?

 いいえ、魔物達は自由になったことによりそれぞれの生活圏(ナワバリ)を作ることに忙しく、昼の国にわざわざ攻めに来るなんて知性はありません。問題ないでしょう。

 

 勇者達の扱いに困った?

 いいえ、勇者は王様が大好きで権力欲も無いので特に問題無く、英雄達もその力に比例せず謙虚で知的な人々でした。

 唯一聖女のみが無垢なフリをして王宮の侍女(メイド)達に抱き着いては『うへへへへへ』と言っていましたが、それくらいなものです。本当に聖女を名乗っていいのでしょうか。

 

 人々が勇者達を怖がって排除しようとした?

 寧ろ勇者達は巷で大人気。魔王との最終決戦は演劇の目玉として親しまれています。彼らを賞賛する声はあれど、排斥しようとする人なんて何処にもいません。

 

 

 

 王様達を悩ませた存在。

 

 それは【騎士】と呼ばれる階級の人々でした。

 

 

 騎士は、夜の国との戦いに赴き、その剣を振るって人を守る………つまるところは戦士なのです。

 勇者と英雄達が現れるまでの間、騎士達は人々を守り、夜の国との戦いに身を投じました。

 例え死ぬとなっても生命消えるその瞬間まで牙を突き立てる誇り高い者達なのです。

 

 

 しかし、そんな彼らの存在が王様にとっての目下最大の悩みの種でした。

 

 

 何故なら彼らは『専業騎士』なのです。

 

 戦うこと、それ自体が仕事。

 農業に勤しんで食べ物を生み出すでも無く、鍛冶屋として武器防具を作り出すでもなく、織物を編んで衣服を作るでも無く、王のように人を纏めるでも無い。

 

 夜の国との戦争に身を投じ、命尽きるまで戦うこと。

 

 それが騎士の仕事なのです。

 

 

 それがどうでしょう。

 勇者と英雄達が夜の国を打ち倒してしまったが故、騎士達の最も大切な仕事は無くなってしまいました。

 

 無論、野盗や野良の魔物が人を襲うことはあるので全員が不必要な訳ではありません。

 しかしそれにしたって今の人数は多過ぎる。

 

 専業騎士はとてもお金が掛かります。

 日々の食事や訓練に実戦で扱う武器防具代。怪我をすればその治療費に、危険な仕事に見合うだけの賃金。

 高い功績を挙げた者には土地も用意しなければならないのです。

 

 

 平時の専業騎士なんて、ただの金食い虫。

 王様としては、必要なだけの人数を残して残りは騎士階級を辞めて貰いたいのが本音です。

 

 

 

 しかしそうは問屋が卸しません。

 

 一般市民たちにとって、騎士とは憧れの象徴。日々自分たちを守ってくれる、カッコイイ人達なのです。

 

 無論勇者と英雄達も大人気ですが、彼らは成し遂げた功績が余りにも大きすぎて半ば神格化されています。

 しかし騎士達は街を歩いていて出会う事もあり、親しみやすさがありました。そのせいで余計に騎士達にのめり込む人々も多数いたのです。

 

 

 例えるならば勇者と英雄達は世界的に人気な本格派ボーカルグループ。

 騎士達は会いに行けるアキバ48人的な存在なのです。

 

 

 そんな騎士達を

 『金食い虫で役に立たないから辞めさせまーすwwwwww君達は明日から無職でーすwwwww』

 なんて扱った日には国民の手によって寧ろ王様が無職にさせられてしまいます。

 

 

 それに昼の国の王様も、国を守る為に戦ってくれた騎士を蔑ろにしたくありませんでした。これもまた本音です。

 

 

 

 さて、どうしたものか…………そう悩んでいた彼らの元に、とあるメッセージが届きました。

 

 差出人は、なんと魔王です。

 

 

 

『フハハハハハ!!愚かなる昼の国の人間共よ!!我が死そうとも、貴様らに平穏なぞくれてやるものか!!我が魔導術式に震え上がるがいい!!』

 

 

 

 という、取り敢えず具体的に何をしたいのかはよく分からないけれど昼の国にとって不味いことをしたのは伝わってきました。

 

 昼の国の王様は言いました。

 『前々からこういうとこあるんだよね魔王って』と。

 

 

 メッセージを読み終えた瞬間、英雄達の一人、聖女が強大な魔力の反応を察知しました。

 

 これは本当に魔王が不味いものを遺したのかもしれない。

 すぐさま王様は勇者と四人の英雄達に、魔力反応の調査を命じました。

 

 

 

 

 そして調査を終えて帰ってきた勇者達は、こんな報告をしてきました。

 

 

『えっとね!!なんか穴ぼこがあってね!!!魔物いっぱいでね!!宝箱もあったの!!!楽しかった!!!』

『奈落の底_______惑いの檻_______悪しき牙を磨ぐ悪魔達(モォンスタァ)………我が瞳を焼く黄金と魔具………まさしく(トゥレジャァ)危険(デェンジャラス)迷宮(ダァンジョォン)………ッ!!』

『………………………………………………………』

『王様。今回の報酬として姫様と百合百合キャッキャウフフを所望します』

 

『すみません、後で報告書を纏めるので先にコイツらシバいていいですか?』

 

 

 昼の国の王様は言いました。

 『存分にシバキ回せ』と。

 

 

 

 後々拳闘士からの報告を受けた王様は、その内容に目を丸くします。

 

 

 件の魔力反応地帯に空間そのものが裂けたような謎の場所を発見。

 それに触れた者は異空に飛ばされ、たどり着いた先は地下らしき見知らぬ岩肌の空間。

 我々はこれを仮に【迷宮(ダンジョン)】と呼称。内部の調査を進めた結果、魔物が湧き出ている事、核となっているのは魔王が溜め込んでいた魔道具らしき事を発見することに成功した。

 引き続き調査をすべきだが、現状では魔物が外に出てくる危険性はあれども昼の国では生産出来ないような魔道具、及びその素材の採取が可能であり非常に有用性の高い事が推察出来る。

 

 

 P.S

 騎士達の活躍の場所此処では?

 

 

 

 昼の国の王様は天高く叫びました。

 

 『魔王アリガトォォォォーーーッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 そして、時は流れ。

 

 

 騎士達の仕事は夜の国との戦争から迷宮の探索へと移り変わり、人々は彼らの持ち帰る宝物や魔道具、そして彼らの冒険譚を今か今かと待ち侘びるように。

 

 彼等は迷宮探索の専門家_______【迷宮騎士】と呼ばれるようになり、昼の国に無くてはならない存在へと躍進したのです。

 

 

 物語は、それから500年も先の話。

 

 

 

『少年。これは『提案』では無い。強制的な『命令』だと認識してくれて構わない』

 

 

 迷宮騎士の育成機関。

 

 その中でも指折りの名門として名を馳せる、王立の迷宮騎士官学校【賛歌(さんか)三剣(さんけん)】。

 

 

 

『我が名_______賛歌の三剣における迷宮学実技教官、兼特別推薦保持者ケランドラゴの名の元に_______』

 

 

 

 これは勇者の物語では無い。

 それは聖女の物語でも無い。

 無論拳闘士の物語でも無い。

 誇り高き侍の物語でも無い。

 崇高な賢者の物語でも無い。

 

 

 

『マクレガー村在住教会(テンプル)騎士(ナイト)、【ゴーケン=ラビ=フェネクス】』

 

 

 

 これは、ただ_______

 

 

 

 

 

 

『キミを、賛歌の三剣の特別枠(プレシャス・ワン)に推薦する』

 

 

 

 _______神に祈らぬ少年の、青春のお話。

 

 

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