戦況は、未だに変わっていない。
既にこの状況では、分かりきっている事だった。
「おい、ハヤト、なんとかできるのかっ」
「あぁ」
こちらに問いかけるベンケイの声に対して、俺は淡泊に答える。
そんな事よりも、俺の中には、奴のリョウマのアシムレイトの異常性についてを考えていた。
機体と一体化する事ができるアシムレイト。
それは一種の自己催眠である為に、本当の意味でガンプラと一体化する訳じゃない。
だが、奴は、ゲッターを通じて、俺の心を感じ取った。
合体する機体だからこその特性なのか。それとも、奴の異常までのアシムレイトによって引き起こされたのか。
自分の中の好奇心が抑えられない。
「ははぁ、余裕ですなぁ、ハヤトさんはぁ、だが、私の姿を見つけられるのかなぁ」
そう、俺が思考にふけっていると、奴の声が聞こえた。
まったく、本当に忌々しい。
「五月蠅い、こっちは今は忙しいんだよ」
「それは、私を見つける事ができないからかな!」
「お前を見つける事なんて、容易いんだよ」
それと共に、俺はゲッター2を操作する。
以前から、ゲッターの操作。
これは俺が1人で行った時と、リョウマを含めた3人で行った時とは大きく違う。
まるで、俺の思い通りに動くようにゲッター2は簡単に動く。
リョウマの異常なアシムレイト。
それは、奴がゲッターを通じて得た俺の動きを反映させた結果だろう。
だからこそ、ゲッターに乗るパイロットが質が高ければ、高い程、その力は強くなる。
「ドリルストーム!」
その好奇心と共に、ゲッター2のドリルを回転させる。
それによって、俺を中心に風を舞い起こす。
それは、まさしく、台風と言えるだろう。
「この程度の風で、私の動きは止められませんぞ!」
「お前の動きなど、見る必要はない」
これは動きを止める為の行動ではないからだ。
ドリルハリケーンで引き起こした風を通して、ゲッター2の周囲に粒子が集まる。
それは常人では決して見る事ができないが、俺には、それが見る事ができる。
かつてのネメシスの最高傑作と言われたアイラ・ユルキアイネンと比べたら、俺が見える範囲はあまりにも少ない。
それが、おそらくは才能だろう。
だが、このゲッターは、俺の才能を最大限に発揮させる事ができる。
「・・・」
風によって、舞い上がる粒子。
それは、俺に、全てを教えてくれる。
「これで、終わりだぁ」
「あぁ、そうだな」
奴がこちらに襲い掛かってきた瞬間、俺は僅かな動きで避ける。
同時にアームで奴を握り絞める。
「なにっ」
「この台風の中は、俺の空間だ!」
こちらが掴んだ事に対して、驚きを隠せない奴に対して、そのまま俺は空へと吹き飛ばす。
奴は未だに姿が見えないが、関係ない。
俺はそのまま、ゲッタードリルを、真っ直ぐと宙に向ける。
「ドリルミサイル!」
それと共に、奴へと真っ直ぐとドリルミサイルで貫く。
そのまま、爆散する。
「俺に、見えない物はない!」
それによって、対戦は終わりを迎えた。
「ハヤト、お前、一体どうやって、敵を」
「ふっ、さぁな」
俺はそれだけベンケイに言う。
どちらにしても、この事を話しても、信じないだろうな。
「お前なぁ」
「別に良いじゃないか、ベンケイ。卑怯な事はしていないんだったら、それで良い」
「リョウマ」
そんな俺を前にして、リョウマが言う。
こいつは、まるで分からない。
これまで、俺の前では見た事のない奴だ。
奇妙な奴であるという事は変わりない。
だが。
「まぁ、悪くはない」
それは、ガンプラマフィアの時にも、あの研究所で過ごした日々よりも、今の日々が満足しているからだろう。
そんな思いに、俺は笑みを浮かべる。