私立聖鳳学園ガンプラバトル専門部。
模型部から独立したガンプラバトル専門の部活動。単に「バトル部」とも呼ばれる。
かつては、多くの栄光があったこの部活も、近年ではあまり活躍をしておらず、栄光は既に無くなりかけている。
その為、ほとんどが幽霊部員であり、実質、その部室はリョウマの昼寝部屋となっていた。
そんな部室にココは訪れていた。
「ふむ、未だに眠っているか」
そう言いながら、ココは目の前にいる少年、リョウマに対して呆れたように言う。
彼女、ココは、自身が作成した最高傑作と言えるガンプラゲッター。
そのゲッターを、完璧以上に使いこなしたリョウマ。
そんな彼の学校に転校してきたココだが。
「ふむ、少し悪戯してみるか」
未だに数日、ほとんど寝て過ごしているリョウマに対して、ココは笑みを浮かべながら、マジックで、その顔を描く。
その最中でも、リョウマは、まるで起きる様子はなかった。
「それにしても、この子、なかなかに厄介だねぇ」
同時にここ最近の出来事を思い返す。
ゲッターを初めて乗った際の、リョウマの戦闘スキル。
そのスキルは、はっきり言って、世界レベルと言っても過言ではない程に高い。
ココが、イオリ・セイの再来であるとすれば、彼、リョウマは、レイジの再来と言えるだろう。
だが、それには条件がある事も理解していた。
「敵のレベルが弱すぎると、まるで話にならない」
数日、ゲッターのデータ収集の為に様々な相手と戦った。
だが、その戦闘は重ねる程にキレは悪くなっていた。
特に昨日は、ほとんど寝てバトルをしていた。
それは明らかに問題であったが、ココはある結論に達した。
それが、強敵である。
「ゲッターが強いパイロットを求めるように、彼は常に強敵との戦いに飢えている。ゲッターで強敵を戦う。その時になって、彼はようやく本来の力を発揮される。まさしく眠れる獣いや眠れる龍と言った方が正しいだろう」
数日、共に過ごしたココの結論に達した。
ある意味、何時でも戦闘データを収集できないのは、ココにとっては痛手だった。
だが、それ以上に笑みを浮かべていた。
「だが、それぐらいなければ、面白くない。
ゲッターに選ばれたパイロットは、それぐらいでなければ」
「そいつが噂のゲッターか」
「あぁ?」
そうしていると共に、ココは思わず睨み付ける。
入り口前にいる男。
黒いコートを身に纏っている男を中心に、1人の少年がいた。
ココは、そのまま観察するように見つめた先には。
「ガンプラマフィア」
それは、ココにも聞いた事のある話だ。
だが。
「お前達は既に壊滅状態じゃなかったのか?」
「その通りだ。もうほとんどが壊滅状態だ。けど、世間を認めさせるには、まだまだ方法が幾らでもあるからね」
「ほぅ、それは」
「ココ・ヘクマティアル。お前が作ったというゲッターを貰おうか」
「私のゲッターを?」
そう、少年が笑みを浮かべる。
「あのガンプラ学園でも扱うのに困っている代物。それを使えば、世界大会など簡単に勝つ事ができる」
「お前達程度に扱える代物ではないぞ。第一、お前達のような奴らに私の作品を汚されるのは我慢ならない」
「断るのか、ならば、純粋に、俺の実力を見て貰おうか」
そう言って、少年が取り出したのは。
「ヅダか」
「こいつで、証明してやると言ったら」
「・・・面白いじゃないか」
その話を聞いて、リョウマは起き上がる。
「リョウマ、起きていたのか」
「面白い話が聞こえてな、お前、ゲッターと戦いたいようだな」
「そう言ったら」
「ヤロウぜ、ガンプラバトル」
それに対して、リョウマは凶悪な笑みを浮かべる。
「・・・リョウマがここまで反応している。
もしかして、こいつは」
リョウマと、謎の少年とのバトルが開始する。
バトルフィールドに飛び出すと共にゲッターは、そのまま飛ぶ。
操縦桿を握りながら、リョウマは周りを睨む。
周囲にはデブリ。
だが、その最中、リョウマが睨み付けた先。
それは蒼い流星が、真っ直ぐとリョウマに襲い掛かる。
「へぇ、面白い!」
それに対して、リョウマはすぐにゲッタービームを放つ。
放たれたゲッタービームに対して、蒼い流星は、すぐに軌道を変える。
それと共に、真っ直ぐとゲッターに向かって、マシンガンが襲い掛かる。
同時にゲッターは、その身体にマントで覆って、その攻撃を防ぐ。
それと共に、真っ直ぐとゲッターに向かって、ヒート・ホークが襲い掛かる。
「斧で、ゲッターに敵うと思っているのか!」
そう言い、ゲッターは瞬時にゲッタートマホークで、その攻撃を受け止め、すぐに蹴る。
だが、その蹴りは、ヅダの姿が消えていた。
同時に、そのままゲッターに向けて、牽制するようにマシンガンの弾丸が襲い掛かる。
しかし、ゲッターもまた、その攻撃を避ける。
ゲッターとヅダ。
宇宙の中で赤と青の流星がぶつかり合う。
「ほぅ、俺のスピードについて来れるのか!」
「お前こそ、面白い奴じゃないか!」
凶悪な笑み。
互いに睨み合いながら、戦っていく。
ゲッタートマホークとヒートホーク。ゲッタービームとマシンガン。
互いの攻撃が激突していく最中、ヅダの装甲が剥がれる。
同時に、空中で、ヅダが分離する。
「なに?」「ちっ」
それを、リョウマは驚き、少年は舌打ちをする。
「まさか、この俺が計算できなかったとはな。
しかし、なるほど、これがゲッターか」
同時に少年は、笑みを浮かべる。
「ますます欲しくなった」
その言葉と同時だった。
ゲッターに向かって、無数の弾丸が襲い掛かる。
「なに?」「あぁ」
それは、宇宙空間にハンブラビがそのまま、ゲッターを拘束する。
「まだまだ、戦いは終わっていないですよ。つまり、ここで倒せば、ゲッターは俺達の物だ」
「・・・おい」
その様子に、少年はハンブラビを操作している男を睨む。
「どういうつもりだ、これは俺の勝負だ」
「はぁ、まったく、これだからガキは」
「あぁ」
それに対して少年は睨む。
「裏のガンプラバトルで暴れているお前をスカウトしたが、まるでこっちの指示を聞かない。何よりも、お前程度がまさかガンプラマフィアのボスにでもなれると思っているのか」
「俺はガンダムマフィアなど興味はない。ただ、表では見られないガンプラがあると聞いたから、入っただけだ。だが」
それに対して、ガンプラマフィアに対して、舌打ちをする。
「こんな奴らだとはな」
「あぁ、だが、このゲッターが手に入れば、お前は用済みだ」
その言葉と共にガンプラマフィアが、少年を突き飛ばす。
それに対して、少年は凶悪そうな瞳で、ガンプラマフィアを睨む。
「ふふん」
だが、それを見て、笑みを浮かべたのはココだった。
「おい、お前」
「なんだ、俺に何の用だ」
「ゲッターに乗る気はあるか」
「なんだと」
それは、ココ以外の全員が眼を向ける。
「どういうつもりだ」
「実はゲッターは1人では十全の力を発揮できない。これはリョウマが悪い訳ではない。むしろガンプラ学園の奴らでも出来なかった事だ」
それと共に、ココは既に準備をしていた。
「本来、ゲッターは3人で操る機体だ。
そういう意味では、本能でゲッターを操ったリョウマはかなりの才能だ。
しかし、ゲッターの、さらに先に行くには、3人のパイロットが必要だ」
「それに俺を誘う訳か」
「別に拒否しても良いんだよ、これは君の自由だ」
ココの不敵な笑み。
確実に悪人顔だった。
悪魔の誘いとも言えるその言葉に対して、少年は。
「良いだろう、こんな奴らよりは、マシそうだ」
「貴様、裏切るのか!」
「俺を捨てるんだろ、だったら、こっちについた方が良さそうだ」
「ならば、乗りたまえ、リョウマ、良いかい?」
「別に良いが、どうするんだ?」
そう言いながら、少年とココはそのままリョウマの両隣に来ると共に操縦桿を握る。
「ゲッター2を行う。オープンゲットだ」
「オープンゲット?よく分からないけど、これか!」
その言葉と共に、拘束されていたゲッターは3つの飛行機へと分離した。
「なに!?」
「ゲッター2であるジャガー号は君が操るんだ、任せても良いか、えっと」
「ハヤト。ジン・ハヤトだ」
「では、任せたぞ、ハヤト」
「あぁ」
それと共にジャガー号が前に出る。
気づいたハンブラビは、すぐにゲッターに向かって攻撃を仕掛けようとした。
だが、ゲッターから、放たれる弾幕によって、それが塞がれる。
「チェンジ!ゲッター2!」
同時に飛行機は完全に変わる、
先程までの赤い鬼を思わせるゲッターに比べれば、シンプルな白い機体。
だが、それ以上に、右腕に生えている巨大なドリルが特徴的な姿へと変わる。
ドリルは、そのまま真っ直ぐと目の前にいるハンブラビを貫き、倒す。
「これが、ゲッター2っ」
同時に、ハヤトは狂気的な笑みを浮かべる。
「この裏切り者がぁ!!」
それと共にゲッター2に向かって、ハンブラビ達がビームによる光線を放っていく。
だが、それは当たる事はなかった。
「なにっ」
ビームが当たった場所。
それは、ゲッター2の残像だった。
「本来、地上・地中戦用のゲッター2をここまでのスピードで操るとは」
それにはココも驚きを隠せなかった。
「貴様ぁ!!」
同時にハンブラビ達は、そのままハンブラビの間にクモの巣状にワイヤーを展開、ゲッター2を捕縛する。
「おい、何をやっているんだ」
それに対してリョウマは叫ぶ。
だが、ハヤトは。
「ふん、まぁ、見ていろ」
その言葉と共にワイヤーを、ドリルで巻く。
高速で回転するドリル。
それは、宇宙空間では本来はあり得ない台風。
「ドリルストーム!!」
その叫びと共に、ハンブラビ達がそのドリルストームによって、互いにぶつかり合う。
本来ならば、拘束するはずのワイヤーがハンブラビの動きを止め、そして、爆散する。
「なっ、一気に」
「ふんっ、このゲッター2、気に入ったぜ」
それと共に、ゲッター2の勝利に終わった。
「ちっ、だが、ここで「お前達、何をやっているんだ!」なっ」
それと同時に警備員が駆け込んできた。
それと共にガンプラマフィア達を拘束していく。
「何時の間に」
「私が何の策もしていないと思ったかい?」
「ぐっ、だが、貴様も終わりだ、ハヤト!」
そのままガンプラマフィアが、叫んだ。
だが
「悪いが、彼は私が引き取るよ」
「なに?」
そう言った、ココは言う。
「どういうつもりだ」
「そのままの意味だ。
ジン・ハヤト、君は、ゲッターの為のパーツになって貰うよ」
「パイロットをパーツ扱いとはな、とんだ女だ。
だが」
それと共にゲッターを見る。
「この、ゲッターを操れるならば、望んでやろうじゃないか」
それに、ハヤトは凶悪な笑みを浮かべる。