本格的に登場アスカさん。
原作様の本妻VSこの作品の現夫ファイッ!(なおまだCPは決まってない)
──2022/11【アインクラッド第1層:始まりの街】
「トールバーナ。やっぱりでっかいね」
「だね」
このデスゲームが始まって約1ヶ月。ついに、この時がやってきた。約2000人のプレイヤーが死亡。自殺者も発生している現時点。正直、今のこの状況をあまりよく思わないプレイヤーだって多い。実際、私もそうだ。だからアルゴにこの情報を聞いてこの攻略会議に参加した。
目的はひとつ。このゲームをクリアするために。
「思ったより少ない」
「え。そう?」
初めて見た感想は【思ったより少ない】だった。でも、それは普通の人の感覚であって私は人見知り。それが45人であったとしても、私からしたら少し多いと感じでしまう。
「うん。こんな感じなの?」
「まぁでも。レイドボスに挑むって考えたらまぁ、少ないのかな……。クラス1つと半分って考えたら……大丈夫」
「ほんとに人混み苦手だよね」
前よりはマシになったけど……まぁ。苦手なものは苦手。知り合いを少しでも探すため周りをキョロキョロしていると、大鎌を持った少女が視界に入った。
「あ、ミト!」
私は思わず大きな声を出してしまった。……あっ。やっちゃった……。
「キリト! どうしたの急に抱きついて」
「ご、ごめん。急に抱きついて」
「全然大丈夫よ。ユウキもこんにちは」
「こんにちはー。ミトも今から会議参加?」
「そうよ。キリトたちも?」
「私達も。ていうかあの時一緒にいたじゃん」
「まぁそれはそうなんだけどね」
「多分こっからパーティ組むことになると思うんだけどさ。ミトはどうするの?」
「ごめんね。私もう組む人決まってて」
そういえば一緒に攻略する人達が見つかったんだっけか。
「ううん大丈夫。私にはユウキがいるから」
そう言いながら私はユウキの腕を掴む。するとユウキが凄く顔を赤くしてそっぽを向いた。
「ユウキ?」
「なんでそういうことをナチュラルに言うかなぁ……」
「?」
「……大変ね。あんた」
「ホントだよ」
え。何? あれ。これ私しかわかってないタイプ??
「とりあえず座ろ? そろそろ会議始まるから」
ユウキの腕を引いて椅子に座る。周りからすごい視線向けられてるけど……。あれ。私なんかしたっけな。そんなことを思いながら待っていると、青髪の男性が現れた。彼がこの会議を提案した人物なんだろうと確信した。
「それじゃあ今から攻略会議の方を始めさせてもらいます!」
陽キャだ。
「まずは俺の呼びかけに集まってくれてありがとう! 俺の名前はディアベル。職業は……気持ち的に騎士やってます!」
陽キャだ!! この人絶対陽キャだ。高校カースト上位だ! 周りからも『職業なんてないぞー』とか『気持ち的になんだよ』みたいな茶化す声が聞こえてくる。でも、馬鹿にする様なものではなかった。どれも笑い声が聞こえてくる。彼はこの自己紹介でこの場の空気を掴んだんだ。
「凄いね……この人」
「学校だったら学級委員長だね」
「先日、俺達のパーティが迷宮区の奥でボスの部屋を発見した」
周りから『おぉ』と感嘆の声が漏れる。このゲームは1度死ねばもう二度と蘇らない、所謂デスゲーム。パーティメンバーが誰一人欠けずにボス部屋を見つけたのは素直に尊敬する。
「今。俺たちは第1層にまだいる。このままじゃ始まりの街にいるみんなは本当にクリア出来るのかと不安に思っていると思うんだ。でも、この場にいる俺たちならクリア出来るって信じてる。まずは第1層をクリアして、始まりの街にいる皆に。このデスゲームはクリア出来るって伝えたいんだ!」
ディアベルさんがそう言うと、周りから『そうだ!!』『早くこのゲームをおわらせるぞ!』と言った声がまるで輪唱のように響き渡る。拍手喝采とはまさにこの事を言うんだろう。
「ありがとう、皆! それじゃあ今から6人でパーティを組んでくれ!」
6人……。6人……か。
「ん──。とりあえずユウキは確定でしょ?」
「当たり前じゃん。……周りはもう決まってるっぽいね」
……どうしよ。このままだったら2人パーティじゃん。3分の1じゃん。
「ユウキ、ちょっと待っててもらっていい?」
「分かったよ」
私は自分の座っていた席を立って後ろの方に向かった。目的は私たちの後に居たフードを被った人。
「あ、あの」
「……あんたは前の」
「は、はい。そうです」
フードを被った【細剣】使いの男性プレイヤー。名前は知らない。顔も分からないけど、多分美形と呼ばれる部類だろうというのは分かる。別に面食いって訳じゃないけど。
「組む人は決まってるのかなぁ……って」
「いや。決まってない」
ぼっちなんだ……。
「じゃ、じゃあもし良かったら組みます……か? こっち、2人だけで実は」
「別に。1人だったら参加出来なかったから俺も丁度良かった」
「じゃあ、こっち来て下さい」
「分かった」
何となく、悪い人では無いような気がする。まぁほんとに何となくなんだけど。話すのが苦手な人……なのかな。私と同じように。
「連れてきた」
「あ、あの時の細剣使いの人!」
「……やっぱりあんたら同じだったのか」
「ていうかキリトまた男の人連れてきた」
「え。なんかその言い方、私がビッチみたいじゃん」
「そこまでは言ってない。まぁキリトがいいなら僕はいいけど」
「えっと。パーティに誘うんで……えっと」
「無理に敬語使わなくていい」
「え。あ、うん。わかりま……分かった」
フード越しで表情がよく分からない……。怒ってるのかな。HPバーの上に私とユウキ以外の名前が追加された。
Asuka……。
「アスカさん」
「そういえばミトが言ってたね」
確かにそう言えば。
「私はキリト。よろしくお願いします」
「ユウキだよ。相変わらずクールだねぇ」
「アスカ。……あの時は突き返して悪かったな」
「大丈夫、大丈夫! 全然気にしてないから」
謝れる人だから悪い人では……なさそうなんだよなぁ。
「よし。みんな決まったようだな。これで攻略会議を終わ「ちょっと待や!」」
ディアベルさんが会議を終わろうとしたその時だった。ツンツ……とくちょ……個性的な頭のした関西弁の男性プレイヤーが待ったをかけてきた。
「えっ……と、君は」
「ワイはキバオウって言うんや。ボス戦前に言うことがある。……この中に今まで死んで行った2000人に謝罪せんとアカンやつがいる!」
謝罪しないといけない人?
「それは一体?」
「決まっとる。……【ベータテスター】のプレイヤーもおるやろ」
ベータテスター……。
「このクソみたいなゲームが始まって。ベータ上がりの元テスターはビギナーほったらかして消えよった!!」
「……ち」
何かを言いかけようとしたけど口に出せなかった。
「上手い狩場でレベリングして、美味いクエストやってお金稼いで。自分たちだけ強くなって!!」
心臓の鼓動が早くなる。ドクッドクッと今まで感じてこなかった程に心臓が動く。
「こん中にもおる筈や! ベータテスト上がりの卑怯者が!!」
ちが……う。そんなんじゃ……。
「この場で今まで死んで行った2000人に土下座しろ!」
私じゃない。私は……ころしてなんか。違う。
「お金とアイテムも全部吐き出してもらわないと、パーティとして信じられへん!」
殺してない。私は誰も殺してなんか…………。誰も。
──『あの子、人を』
やめ……て。
「……発言、いいか? 俺はエギルと言う。つまりあんたは元ベータテスターが面倒を見なかったから2000人が死んだと。そう言いたいのか?」
「せや!」
「じゃあこの本を作ったのは誰だ? もちろんあんたも持ってるだろ?」
「そ、それは」
……。
──『大丈夫だよ。ひとりじゃない。ステイクールだよ』
そうだ……。ステイクール。……まずは一旦落ち着かないと。
「ねぇねぇ。自分たちの身は自分で守るって言葉あるじゃん。そこまでベータテスターのプレイヤーが見ないといけないわけ? それって凄く我儘だって自覚したらどうかな。それにさ。……僕の大事な人にベータテスターが居るんだ。その子を侮辱するなら……さ」
「はいはい。目のハイライト消さないの。まぁあなたの言い分も分からないことは無いけど、こんな過ちを犯さないために今集まってるんじゃない? もう犠牲を出さないための会議じゃないの、違う?」
2人とも……。
「彼女の言う通りだ。この過ちを犯さないためにこうやって会議を始めた。みんなで力を合わせればきっとクリア出来る。それじゃあ会議を再開しようか」
泣いてる暇なんてない。泣き虫なままじゃ駄目なんだ。変わらないと、私も。
「これで会議を終了する。明日、10時から攻略を開始する。それじゃあ解散!!」
ディアベルさんが解散の音頭を取った。それを合図に周りの人達が広場を後にしていく。
「大丈夫だったか? お嬢さん」
「あ、えっと。あの時の」
あの人の意見に初めに異を唱えたスキンヘッドの……。
「エギルって言う。よろしくな」
「よ、よろしくお願いします。あの時はありがとうございました!」
「大したことはしてねぇよ」
「キリト! 大丈夫だった? またあんなこと言ったら次は」
「血気盛んなんだから。気持ちはわかるけど。あんなやつの言ってること、気にしなくていいわよ」
「う、うん。でも」
「「でもじゃない」」
はい……。
「キリトは昔から抱え込む癖あるから、ちゃんと相談すること。良い?」
「分かりました……」
「さっきはキリトを助けてくれてありがとうございます。僕、ユウキって言います」
ユウキがエギルさんの方を見る。
「おう。別に普通だろ? それに、娘がいたらこんな気持ちなのかって思ったらついな」
「「娘?」」
「まぁな。既婚者だこう見えて。こうなっちまったがな」
そっか。こういう事情の人もいるんだ。
「あの、いつかお礼させて下さい。助けられたので」
「そうだな。……このゲームが終わったら飯でも食いに来てくれ。嫁さんもきっと歓迎してくれるからよ」
「はい!」
何となくこの人を好きになった奥さんの気持ちが分かる気がする。気前のいい人だなぁ……。
「ていうか。あんたがキリト達と組むとはね。アスカ」
「誰と組もうが関係ないだろ。クリア出来たら」
「あんたって本当にストイックね。だからモテないのよ」
「モテたいとか思ってない」
「あんたのそういうとこ嫌いだわ」
「「仲良いんだね」」
「「良くねぇ(ない)!」」
息ぴったりじゃん……。
「とりあえず、私は宿に帰るわ。キリト、ユウキ。また明日ね。……一応アスカも」
仲悪いのか良いのかよく分からない……。
「こんなところで何してるの? 1人で」
「……あんたか」
夜。あの攻略会議の後、ディアベルさんを中心にパーティの仲を深めようということで軽い宴会? みたいなのが行われている。でも、私はこういうのがあんまり得意じゃないから人影のあまり無い路地裏へと足を運んでいた。すると、もう先客が居たらしくフードの少年元いアスカさんがいた。
「もう1人は?」
「ユウキ? 今ご飯買いに行ってるよ。もうすぐ来ると思う」
「そうか」
そういうと彼は手に持っていた黒パンをちぎって口の中に入れる。
「フード、取らないの?」
「とる必要が無い」
「ふーん。それ、黒パン? 美味しいよね」
「……ギリ食べれるくらいだろ。硬いし味薄いし」
「そうかなぁ。まぁそう言う思ってこれ。使う?」
私はそう言ってアイテム欄からひとつの小瓶を取り出して、アスカさんの前に置く。
「いつも食べてたら飽きるよねぇ。でも、これをつけたら……んぅぅ〜〜〜っ! 美味しい!」
口の中に広がるバターの匂いとほのかに甘いミルク。やっぱりパンにはクリームが1番だよね。
「大袈裟だろ」
「ホントなんだってば。ほら付けてみなよ。1回だけでいいからさ」
「……1回だけな」
アスカさんがそういうとこ小瓶からクリームをとってパンにつけ1口口に頬張る。すると、
「めちゃくちゃ食いついた」
まるで私がその場にいることを忘れて食べ始めた。よっぽど気にいったのか少し笑っている感じがした。
「料理スキルも取るのありだなぁ。ユウキにも美味しいの作ってあげれるし」
「……あっ。全部使った」
え。うそ。割とアレ量あったよね。
「大丈夫だよ。それに言い食べっぷりだったから気に入って貰えて何より。そんなにこれ気に入ったのアスカさん」
「……久しぶりにまともなもの食べた気がした。ありがと」
「お粗末さまでした」
「後、別にさんはいらない。呼び捨てでいい」
「じゃあ私もキリトでいいよ」
意外と話したら怖くない。ていうか怒ってるって思ったけど、声色的にはそういうことでもなさそう。
「あ、アスカ。ほっぺについてる」
「付いてる?」
「ちょっと待ってね」
不意に手がフードに当たった。
「「……あっ」」
フードがはらりと落ちる。
「キリトー。ご飯取ってき…………」
つい、目が合ってしまった。ユウキのアメジストのような瞳とはまた違う。琥珀のような綺麗な瞳と。
「あ、わ、ち、違うよ!? 違うの木綿季! そういうことじゃないから!」
「だよね。そうだよね違うよね……よかっ……じゃなくて!」
「……。ッッ〜」
「おい! そこのアスカ! 何赤くなってるのさ!」
「赤くなってねぇよ! なんであんたが怒ってんだよ」
「怒ってない! 自意識過剰って言うんだよそういうの」
「はぁ?? その言葉そっくりそのまま返そ「ストップストップ! 2人とも落ち着いて?」」
あれ。この2人、相性もしかして悪い??
「……ちび」
「ちびって言った!? 今ちびって言ったよね!?」
「あぁぁぁ! もうそうやって火に油を注がない!」
も──!! ダメだこの2人。早くどうにかしないと。
「ユウキ! とりあえず戻るよ宿! ほらほら。じゃ、じゃあねーアスカ」
「あ、キリト! まだ話は終わって……」
私は中半強制的にこの2人を引き離す事にした。多分こうでもしないと、もっと酷ことになってた。
仲のいい??ん??なんの事やら