黒の剣士(♀︎)の苦難   作:らびっとありす

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おまたせしました。今更ながらちょっと1ヶ月時期をずらしました。今後、あの話をするために。

最近就活の休憩にダンまち見てまして。ベルリューてぇてぇbotになってました。レモンサワー飲みながら『可愛いねぇ』って後方保護者面一般通過貴腐人してます。こういうの見てるからダンまち書きてぇとか思うんよ。

今回は泣き虫、臆病要素0です。ただかっこいいキリトさんです


4.ビーター

ファーストキスはレモンの味とはよく聞く。でも、そんな甘いものじゃなかった。

 

【私の初めては血の味がしたから。】

 

 

 

ーー2022/11【アインクラッド第1層:始まりの街】

 

「で。なんで君がいるのさ」

 

「キリトに誘われたから」

 

今、私はアスカとユウキに挟まれてます。というより私の少し上の頭上で口喧嘩をしてます。なんでこうなったんだ。

 

「ボス攻略の時だけとはいえ、パーティを組んでるわけでしょ?なら一緒にいてもいいかなぁって」

 

「そ。それはそうだけど」

 

「別に私がいるからいいじゃない。ていうか(おとこ)が2人いるところに妹みたいなキリトを放置するわけないでしょ?」

 

「獣と書いて男って呼んだろお前」

 

「当たり前じゃない。何言ってるの」

 

「……あのぉ。私の上で口喧嘩するのやめてくれません?」

 

「はいはい。男たちはどいたどいた。キリト、こっちでお茶飲みましょ」

 

どうしてこうなったという感情よりも、賑やかだなぁという感情が先に出てくる。まぁアスカを誘ったのは私だしそれを伝えたら『私も行くから少し待ってなさい!』ってミトから連絡来たのも事実だし。さすがに部屋が足りなかったから私とミトは一緒の部屋だけど。別にユウキと一緒でも良かったけど。

 

「ていうか、あんたが誰かと一緒の宿に泊まるなんてどういう風の吹き回しよ」

 

「別に大した理由はない。風呂があるのと顔を見られた。それだけ」

 

「ふーん。ま、良いわ。あんたほんとに顔見せないわよね。学校でもそうだし」

 

「声かけられるのが面倒臭い」

 

……わーお。すごいモテ男の発言だ。

 

「モテ男の嫌味ね」

 

思ったこと言うなぁ…ミト。

 

「別にモテてねぇ」

 

「でもアスカが声かけられる理由わかるかも。イケメンだし」

 

「顔は良いわね。そこは認める……ってなんで顔赤くしてるのよ」

 

「うるせぇ……。赤くなってねぇし」

 

「……ずるい。アスカ、ずるい」

 

「どうしたの?ユウキ」

 

「イケメンなんて。キリトから言われたことない……」

 

「?ユウキはかっこいいよ?」

 

「……ん。えへ…」

 

「キリト。無自覚でそれやってるのかなり罪よ」

 

「え?」

 

無自覚??罪??どういう事??

 

「相変わらずポケぇってしてるわね。頭撫でてあげる」

 

「わ。わ。辞めてよ、言うて1歳しか変わらないじゃん」

「1歳の時点であんたは私の妹みたいなものよ」

 

ミトが私の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。別に嫌じゃないし好きなんだけど……。子供扱いされてるみたいでなんか。……嫌だ。嫌じゃないんだけど。

 

「私も。あんたみたいに可愛かったら良かったのかもね」

 

「え。ミトも可愛いじゃん。私ミトのこと好きだよ?」

 

「………そういうとこよ」

 

えっ。どういう事!?褒めただけじゃん。

 

 

 

 

 

 

「……ついに始まるんだね」

 

攻略がついに始まる。この1層攻略がついに。

 

「キリト?」

 

「ん?なんでもない」

 

なんでもないという訳では無い。……ひとつ懸念点があるとするなら。

 

「犠牲者。出ないといいね」

さっきからずっと胸騒ぎが止まらない。何かとても嫌な予感がする。

 

「皆。昨日の会議と言い。今日は集まってくれて本当にありがとう!今日、この日で俺たちはこの第1層をクリアして、ゲームクリアの第1歩を踏み出すんだ!目標……いや。絶対に犠牲者無しでこの層をクリアする!皆、準備はいいな!!」

 

……すごい熱気。これがゲームの世界で本当に良かった。私、人混み苦手だし。

 

「皆。俺から言うことはたったひとつ。………勝とうぜ!!」

 

周りのプレイヤーが雄叫びを上げながらボス部屋へと入っていく。私は少しその熱気に押されそうになった。それくらい、みんな気合いが入っていた。

 

「置いていかれるぞ 」

 

「そうだよ。キリト!行こ!」

 

「……そうだね。行こう!」

 

周りのプレイヤーを見て少し動揺しながらもアスカとユウキに声をかけられ私もボス部屋へと入っていく。奥には王が座るような椅子。ひと目でわかる宮殿のような部屋。ここだけやけに他の部屋と違う造り。

 

「……ボス部屋って感じするね」

 

「ビビってる?」

 

「全然。むしろワクワクしてるよ」

 

「来るぞ!!戦闘準備!!」

 

上から咆哮と共に巨体が落ちてくる。HPバーが現れ、目の前のモンスターの名前が表示された。

 

【イルファング・ザ・コボルトロード】

 

周りには【ルイン・コボルト・センチネル】。名前のとおり【コボルト王】に相応しい風格をしていた。

 

「ウガァぁあぁぁぁあ!!」

 

ボスが咆哮をあげる。その声を皮切りに周りのコボルトも一斉にこちらに攻撃を始める。

 

「戦闘……開始!!」

 

号令とともにプレイヤーも一斉に攻撃を始める。

 

「行くよー!着いてきてよね二人とも!!」

 

「当たり前だ。置いていかれるわけにはいかないからな 」

 

「元気だなぁ……全く」

 

私たちも彼らの後ろに付いていくように走り出した。目指すはたったひとつ。……このボスを攻略するために。

 

 

 

 

 

 

「ボスHPゲージ残り2割!ここから行動パターンが変わる可能性あるから前衛は交代!すぐさま第二班は援護に向かって!」

 

ボス攻略は順調だった。気づけばボスゲージは残り2本になっており、そのゲージも2割になっていた。今の所、犠牲者も0で済んでいる。

 

「ユウキ!」

 

「よっと!ナイススイッチ。おっと」

 

「危ない。よそ見するな」

 

「よそ見してない!」

 

「ちびだから分かんなかったか」

 

「また、言った!!」

 

「あーーここで喧嘩しないの!ナイスアシストだったよアスカ」

 

「当然」

 

なんでこういう状況でこのふたりは喧嘩するかなぁ……まった……く?

 

あれ。なんだ。何だこの胸騒ぎ。なにか違う。何か決定的に違う。

 

「キリト?」

 

ボスの体力ゲージもついに1本に到達。……本当はあと少しのはずのに。

 

「……呆気なさすぎる」

 

「どういう事?」

 

ゲーマーの私なら分かる。……これはあまりにも呆気ない。

 

「良し。皆下がれ!」

 

ディアベルさんが周りに指示を出す。するとボスが腰から何かを取り出すモーションを取り始める。

 

「……ディアベル!!ダメだ!!」

 

あんなモーション、ベータテストの時になかった。それに本来はタルワールのはずだった。

 

「……あぁぁ!!もうー!!」

 

「「キリト!!」」

 

「2人は周りに回避準備の指示を出して!!あれはベータテストの時と違う武器!!」

 

無駄なことは考えるな。考えるより先に脳を動かせ。伝達速度を上げろ。ノイズは消せ。……今ここで、全力を出せ!!

 

「後ろにとべ!!ディアベル!!」

 

「…ッ!?キリト……さん!?」

 

「キリト!!」

 

ミトが異変に気づいたのか野太刀の攻撃を受けようと鎌を前に出す。たとえ独りだったら無理でも。……2人ならこの攻撃くらい耐えれる。

 

「うぐっ!!」

 

「ミト!大丈夫!? 」

 

「大丈夫よ。それより、キリトは?」

 

「私も大丈夫。周りのみんなも……大丈夫みたい」

 

どうやら、回避が間に合ったようだ。……良かった。

 

「ディアベルさん。……LA狙いですか?さっきの」

 

「……あはは。そう……だね」

 

「生き残るって言いましたよね……さっき。死にかけないでくださいよ。……自分で言ったこと、破らないでくださいよ 」

 

「……。すまない」

 

「謝って欲しい訳じゃない。ただ、目の前で誰も死んで欲しくない。それだけです」

 

思ってはいた。ディアベルさんがベータテスターだって。分かってた。わかってたからあの時飛び出したんだ。……人間っていうのは本当に欲深い。

 

「これは私の偽善です。私の目の前では誰も殺させない。それだけの話です。ミトはディアベルさんを守ってて。今のこの状況。戦況が良くないから」

 

「キリト?」

 

多分私は珍しく怒ってたんだと思う。

 

「ユウキ」

 

「ん。分かってるよ。周りで動けそうなの僕とキリトとアスカぐらいだもんね」

 

「アスカはコボルトセンチネルを。……やれる?」

 

「……おう」

 

「うわぁ……。相変わらずゾーンに入ったキリトは容赦ないなぁ。女帝じゃん」

 

「黙って着いてきて。置いてくよ」

 

Yes. My lady. (了解。お嬢様)

 

あの範囲攻撃は囲むと発動する。だから

 

「全員、出口付近に移動!死にたくなかったら早く!!」

 

「グウォォォォォォ!!!」

 

野太刀は大型武器。だからその分速度が遅い。

 

「上。下。今度は左!」

 

「なんでキリト分かるの。相手の攻撃する場所」

 

「目線。それだけで判断材料は十分」

 

でも、そうは分かっていてもボス相手じゃちょっと。

 

「うぉぁぁあ!!」

 

ゴ ンッと鈍い音ともに野太刀が弾き飛ばされる。横を見ると両手に斧を持ったプレイヤーがいた。

 

「エギルさん!」

 

「お前ら!!あの3人に任せっぱなしで良いのかよ!!行くぞ!!!」

 

遊撃部隊のプレイヤーが続々とコボルト王に攻撃を始める。

 

「……アスカ!!スイッチ!」

 

私はすかさず近くにいたアスカとスイッチする。

 

「はぁ!!」

 

「ウォオァァァ!! 」

 

ボスの雄叫びが部屋全体に響く。HPもあと僅か。

 

「ミト!!スイッチ!!」

 

「任せて 」

 

残りHP1割。……このまま押し切れる。

 

「全体攻撃のモーションに入った!!」

 

コボルト王が旋車のモーションに入る。でも、その隙を私は絶対に見逃さない。

 

「ユウキ。いくよ」

 

「任せて!キリトに合わせれるのは僕しかいないもんね!」

 

「「スイッチ!!」」

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

ユウキと合わせて片手剣ソードスキル【ソニックリープ】を発動させる。

 

「「これで、終わりだぁぁ!!」 」

 

「グロゥア!」

 

ボスが絶命する雄叫び。その声が部屋中に響き渡る。

 

「…………」

 

一瞬の静寂。誰も息をしていないと錯覚してしまう程に静かな時間が過ぎゆく。そして。

 

【Congratulations】

 

文字が目の前に現れた。

 

「やった?のか」

 

「……周りにいないって言うことは……」

 

「「「いよっっしゃぁぁぁぁ!!!!!」」」

 

まるで子供のように周りのプレイヤーは喜び始めた。それも無理はない。何故なら、一層を今この瞬間。クリアしたのだから。

 

「キリト!!キリト!!」

 

「ん。お疲れ様」

 

「え。なんか反応薄くない? 勝ったんだよー!僕たち!」

 

「まぁなんて言うか……実感が湧かない」

 

「相変わらずね。キリト。でも、そこもあんたらしいわね」

 

「ミトもお疲れ様」

 

「お疲れ様。やったわね」

 

「アスカも。着いてきてくれてありがと」

 

「別に。……あんたに着いた方が合理的だと思っただけだ」

 

犠牲者0。当初抱えてた目標は達成出来た。LAボーナスは……私……とユウキ?

 

「LAって2人にも配られるんだね」

 

「いひひ。これでペアルックだ!」

 

「全く」

 

まぁ別に。嫌じゃないから良いんだけどさ。

 

「……キリトさん」

 

後ろから声がかけられる。後ろを振り向くとそこにはディアベルが立っていた。

 

「あー……ごめんなさい。緊急時とはいえあんなこと言って」

 

「いや。何も間違ってない。間違ってたのは俺の方だった。……すまない」

 

「別に、大丈夫ですよ。命は大切にしてくださいね。……ここでは死んだら終わりなので。……エギルさんもありがとうございます。助かりました」

 

「いや。俺たちは支援しただけだ。この勝利はあんたら3人のもんだ。コングラッチュレーション。素晴らしかった」

 

「俺は何もしてない。この2人だ。今回のMVPは。悔しいがな」

 

「ふふーん」

 

「ユウキ。調子乗らないの。……じゃあ、私は先に行きますね。二階層に。」

 

「早いわね」

 

「ここにいることも無いしね。人が多いところ苦手だし」

 

本当は勝利の余韻……とかに浸かるんだと思うけど。私は前に向いて進まないと。早くこのゲームをクリアしないといけないから。

 

「じゃあね。みんな」

 

階段を上る。さっきまで沢山人の気配がしたのに、まるで別世界のように静かだった。

 

「とりあえず着いたらやることと言えば転移門の解放とそれから「新しい拠点の確保」そうだね。……ってユウキ!?」

 

え。あれ。なんでユウキも付いてきてるの??

 

「もぉ。1人で行かないでよ。悲しいじゃん 」

 

「え。いやなんで着いてきてるのかなぁって」

 

「?キリトの相棒だから。それ以外の理由ある?」

 

「相棒……」

 

「そ。剣には鞘が居る。拳銃には弾がいる。……キリトには僕がいる。そうでしょ?」

 

……全く。ほんとに。ユウキってそういうところあるんだから。

 

「そうだね。行こっか」

 

「……っうん!」

 

 

 

 

 

この日。プレイヤー間でとある噂が流れ始めた。そのプレイヤーは『ベータテスター』で周りのプレイヤーはそのプレイヤーの動きについていけなかった。まるで【チーター】とよばれるほどにそのプレイヤーは強かった。プレイヤーはその人に対して尊敬の意味と恐怖の意味を込めてこう呼ばれるようになる。

 

【ビーター】と。なお、このことを知るのはまた後になることはキリトは知らない。そして。

 

 

 

 

 

ーー2022/12【アインクラッド第■層】

 

「………。けっきょく。なにも」

 

少女は1人、森の中で剣を奮っていた。




ディアベルを生存させた理由はまぁ。彼がいたら多少はキリトさんの評価が悪くならないかなぁという話。

次回からシリアスパートに入ります。私、シリアス好きなんですよね。
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