黒の剣士の鬼殺譚   作:楓琳(pixiv名は"花")

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ストックがある間は毎日投稿しようと思います(その日の私が覚えていたら)




第二話 機能回復訓練と任務任命

そんなドタバタ柱合会議を終え、鬼連れ隊士の竈門炭治郎とその同期二人が蝶屋敷に入院してから数週間が経った。

 

今日はそんな炭治郎達の機能回復訓練の開始日である。

 

またもや蝶屋敷に汚い悲鳴が響き渡る事は誰も知らない。

 

「イィヤァァァ!ナンデ?! なんで訓練するの?! まだ治ってないのにィ!!!!! 」

 

「善逸!うるさいぞ!ここは病院なんだからな!!」

 

「うぉおお!!俺様が一番に部屋に着いてやる!!」

 

そうして、同期三人____炭治郎、善逸、伊之助は騒々しく、道場へと向かった。

 

 

その頃、道場では一組の親子が話していた。

 

「ねぇ、ぱぱ。これから来る人はぱぱのお仲間ですか?」

 

「あぁ、そうだぞ、結衣。パパの仲間だ。」

 

「あれ、和人君。ここに居たの?」

 

「あぁ、アスナ。 悪い、勝手に入っちゃって。」

 

そんなふうに全身真っ黒の青年____桐ヶ谷和人と栗色の髪と紅白の白衣がはためく女性_____明日奈とその2人のいいとこ取りをしたような少女_____結衣が楽しそうに話していた。

 

「何かあったかしら……。 あぁ、竈門くん達の機能回復訓練があったわね。」

 

明日奈は腕を組んで考えながらそう呟いた。

 

「そーそー。 あともう一人居るらしいんだけど、アスナ知ってる?」

 

「たぶん、嘴平君かしら。 同期だって言ってたし。」

 

「なんだっけ、猪被ってるんだっけ。」

 

「そうそう。我流の呼吸みたいなんだけど、彼ぐらいしか使えないと思うわ、アレ。 あとちょっと和人君に声が似てるかも。 」

 

「エッ、そうなのか? まぁ、来るのを楽しみにし……」

 

和人が返事をしようとしたその時、突然叫び声が入り口の外から聞こえてきた。

 

「うぉぉぉ!!! 猪突猛進! 猪突猛進!! 」

 

そんな叫びをしながら走っている本人は扉をものともせず、蹴り開けてきた。

 

 

 

和人は思った。扉って、蹴り開けられるもんなんだな……と_____。あとアスナ、俺に似てるか?え?俺の声そんなにしゃがれてる……?

 

 

「ちょっと伊之助さん!!ここは治療施設なの!あまり大きな声を出さないでください!」

 

その後ろから、パタパタと蝶の髪飾りで2つ括りにした少女____神崎アオイが伊之助を追いかけて走って来た。その後ろには炭治郎と善逸が見えている。

 

「ガッハッハッ!!!俺が一番に着いたからな!!俺様が一番だァ!!!」

 

ハッハッハと高らかに笑う伊之助に明日奈は口角を上げた。 和人は結衣を抱き締めながら一歩ずつ下がる。

 

「嘴平君、ここは病院なの。 もう少し静かに出来るかしら。 」

 

「……?!、な、なんだよ! 急に後ろにた…」

 

「出来ますか? 」

 

「アッ、ハイ、シズカニシマス。 」

 

さすがの伊之助も本能的に逆らってはならぬ、と分かったのか黙り込んだ。

 

「なぁ、伊之助。 そんなに元気なら機能回復訓練の前に俺と手合わせ……、勝負しないか? 」

 

抱き上げていた結衣を明日奈に預け、立ち上がった和人はそう言ってみる。

 

「ちょっ、和人君?! 何言って……」

 

「勝負?!していいのか?!」

 

黙りこくってしまった伊之助はその言葉に全身で歓喜を表現する。

 

「もう少し時間があったら炭治郎達も見てやれたんだけどな。この後、御館様に呼ばれてるんだ。悪いな、炭治郎、善逸。」

 

「だ、大丈夫です!!また今度で!!」

 

「いやいやいや誰があんたみたいな化物並に強そうなヤツと戦いたいと思うんですか思うのは炭治郎と伊之助ぐらいです俺はそんな戦闘狂じゃありませんんんんん!!!!!」

 

正反対の表情をしながら伊之助より後ろに下がる二人。善逸は今にも道場から出そうな程下がっていた。

 

「伊之助、かかってこい。」

 

和人はそう言いながら、背中に背負った洋刀を抜き放った。

 

「夜空……?星が見える……。」

 

「何だァ!その剣!!おっもしれぇな!!!」

 

和人の剣は夜空のように染まっていた。

 

「これは、夜空の剣、っていってな。 俺の親友が付けてくれた銘なんだ。って、そんな話はいいんだ。

 

さぁ、どこからでもかかってこい。遠慮は要らないからな。」

 

和人はしみじみとそう語ると、剣を持った右手を後ろに引き絞り、左手はだらりと脱力させた独特な構えをとる。 それを見た伊之助も刃がギザギザとした独特な刀を構える。

 

「はっ!!この伊之助様に適うやつなんか早々いねえよ!!行くぜェ……獣の呼吸!弐ノ牙ァ!切り裂きィ!!」

 

「なかなか良い太刀筋をしてるな……!だが、まだまだだ。 空の呼吸、弐ノ型、切返(バーチカル・アーク)。 」

 

冷静に返されるその剣は、超高速で二連撃を放ち、伊之助の攻撃の軌道を逸らす。

 

「速ぇ、速え……!!なんだそれ、紋逸かよ?!おもしれェ……おもしれェ……!!」

 

「そんなに面白いか。良かった……!?」

 

にやり、と口角を上げる伊之助はもう一つ技を放つ。

 

「ひひっ、獣の呼吸……、玖ノ牙ァ……、伸・うねり裂きィ!!!」

 

するすると関節が外された伊之助の腕が伸び、反射的に下がっていた和人の元へ刃が迫ってくる。

 

「やるな、伊之助……。そんな簡単に関節って外せたんだな……。なら俺も、とっておきを見せてやろう。空の呼吸、参ノ型、乱三爪(シャープ・ネイル)。 」

 

迫ってくる刃を、爪のように連続で出される三連撃で受け止めてから、刀を納めて飛び出す。

 

「っ、なんだァ?!」

 

 

 

「刀だけが、俺の武器だと思うなよ。

空の呼吸、拳ノ型、閃撃(エンブレイサー)。」

 

光くらいの速さで突き出された和人の拳は伊之助の鳩尾……の直前で止まったものの、その風圧で伊之助は倒れ込み、和人が上乗りになっていた。

 

「やっと回復したのにまた倒れさせる訳にはいかないからな……、ここまでにしよう。サチも呼んでるし。後は任せた、明日奈、アオイ。じゃあな、お前ら。訓練、頑張れよ。」

 

和人はそう言って立ち上がると、引き戸を開けて立ち去って行った。そうして残されたのは、呆然と寝転がる伊之助と驚愕と恐怖に見舞われた炭治郎とアオイと善逸、呆れ果てた顔をした明日奈と結衣であった。

 

「はぁ……和人君ったら、相変わらずなんだから……。さっ、訓練始めちゃいましょ、アオイちゃん。説明をお願いします。」

 

「やっぱり、パパは凄いです!」

 

「いや、凄いで収まるのアレ!!?」

 

「あんな動きが出来るなんて……。あっ、はい、了解しました!まずは柔軟から始めます!柔軟の後は、私、神崎アオイと道場内限定で鬼ごっこをしてもらいます。なほ、きよ、すみ!柔軟お願い!」

 

「「「はーーい!」」」

 

なほ、きよ、すみ、と呼ばれた三人の少女は寝転がっていた伊之助から順に柔軟をかけて行く。

 

「???!!!なんだ?!痛ぇ!!」

 

「……っ!!……っ?!(次男だったら我慢出来なかった……!!)」

 

「ふへへっ……うぇへへ……」

 

身体が硬いのか、受けたことの無い痛みだからなのか、悶絶する伊之助と炭治郎であったが、善逸はにこやかに、爽やかに笑っていた。

 

明日奈は思わず結衣の目を塞いだが、判断は間違っていないと思った。そして、明日奈とアオイはしばらく思考を辞めた。

 

「紋逸……やるな……、俺様でさえ痛いってのに……」

 

「善逸……(ちょっと気持ち悪いぞ……)」

 

「ぜ、善逸君……(ちょっと…かなり結衣ちゃんの教育に悪いわね……)」

 

「ママ?!なんですか!!?一体何が……!」

 

「善逸さん……、」

 

この後、善逸には思考が戻った明日奈とアオイにより長い長い説教があるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

一方その頃、伊之助との試合(立ち合い?)を終えた和人は、自身の鎹鴉である「サチ」に連れられ御館様____産屋敷耀哉の元へ来ていた。その胸中にチリチリとした嫌な予感を携えながら。

 

「御館様、空柱、桐ヶ谷和人、ただいま参りました。」

 

和人は屋敷へ着くと庭にまわって膝を付き、そう声をかけた。

 

「あぁ、和人。わざわざありがとう。 すまないけれど、もう少しだけ待ってくれるかい? 今回は杏寿郎も呼んでいるんだ。」

 

「御意。」

 

冷静に返事をしながらも、ぐるぐると和人の中で巡る思考。炎柱煉獄杏寿郎が……柱レベルが呼ばれる任務。そして、炭治郎達の機能回復訓練というタイミング。和人の中に残る記憶が警報を鳴らしていた。

 

言い渡されるであろう任務は、きっと無限列車なのだと。

 

「御館様!!炎柱、煉獄杏寿郎ただいま参りました!!!時間丁度になってしまい申し訳ありません!!!」

 

「構わないよ、杏寿郎。では、揃ったね。さて、和人、杏寿郎。二人には炭治郎達を連れて任務へ向かって欲しい。本当は炭治郎達だけの予定だったのだけどね、大勢の隊士(子ども)達の行方が分からなくなってしまっているから……。柱である、二人にも頼みたい。

やって、くれるかい?」

 

 

 

「無辜の人々や弱者を守るのも強者の務め!!この煉獄杏寿郎、かならずや任務を遂行します!!!」

 

「御館様の、命とあらば。それで、場所はどこなのでしょうか。」

 

「無限列車、という列車だそうだよ。今、行方不明者が多数出ている。その中には隊士(子ども)達も混ざっている……、すまない、二人とも。」

 

ガツン、と殴られたような衝撃。

あぁ、やっぱり。

 

俺が知っている通りであれば、この任務で。

正確にはこの任務の後で、

 

杏寿郎は、

 

死ぬ。

 

「炭治郎達の機能回復訓練が終わるまでは二人には休暇をあげるよ。きっと、大変な任務になるだろうから、ゆっくりと休んでくれ。炭治郎達には鴉を通じて伝える。よろしくね、杏寿郎、和人。」

 

「「御意。」!!!」

 

二人がそう返事をすると産屋敷耀哉は嫡子達に手を引かれ、奥の部屋へと戻って行った。

 




和人「今日は俺の家族……、明日奈と結衣について説明するって? 恥ずかしいなぁ……。 」

《結城 明日奈》
・かつての閃光、バーサクヒーラー、創世神。
・今世でも和人の嫁。
・蝶屋敷の守護神であり炊事係。

《結城 結衣》
・かつてのMentalCounsellingHealingProgram(MHCP)。
・今世でも和人と明日奈の大事な娘。
・なほ、きよ、すみの三人とは同い年で友だち。
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