「和人!!俺は、実家に戻るがどうするのだ?
よもや、蝶屋敷にずっと居る訳にも行くまい?」
産屋敷耀哉が戻って、産屋敷邸から出た二人は、そんなふうに雑談しながら歩いていた。
「んー……空屋敷に戻るさ、一応は。まぁ今は蝶屋敷に戻るが。任務の事を明日奈にも伝えておかないとならないからな。もしあれだったら杏寿郎も行くか?炭治郎達の機能回復訓練観に。」
「和人、なぜそんなに無条件に彼を信じられる?鬼を、連れているのだぞ。」
おずおずと吐き出される疑問。鬼殺隊である彼らにとって至極当然で、当たり前を覆した竈門炭治郎についての疑問。和人は、少し考えてから、しみじみと口を開く。
「そうだよなぁ、普通に考えておかしい……変だよなぁ。そうだ、こうしよう。俺と杏寿郎で手合わせして、お前が勝ったら聞きたいこと何でも聞いていいぜ。
とりあえず、蝶屋敷へ行こうか。」
和人はそう言い締めて、蝶屋敷へ歩き出した。
杏寿郎が勝たなくとも話そう、と思いながら。
そうして、意気込んだ俺と杏寿郎の手合わせの勝敗は呆気ないものだった。手を抜いたつもりは無い。だが、杏寿郎が勝った。それが分かれば、もうこの勝負の意味は無い。俺は、話すだけだ。
長いから覚悟してくれよ?
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______昔々、ある国に100層から成る空飛ぶお城がありました。そこを攻略するために沢山の人々がそのお城へ送られました。最初の一月で2000人もの人が亡くなり、もうダメだ、俺たちはこの城から出られないんだ、誰もがそう思いました。ある騎士は城制作の関係者でした。けれど、名も知らぬ人を救うためにその命を犠牲にしました。その騎士を救おうとした一人の剣士は勘違いした見知らぬ人達から罵声を受けました。心優しい剣士は、罵声通りの振る舞いをして、関係者達への罵倒を一身に背負って城の階段を昇りました。
ある時、罵詈雑言に慣れてきた剣士はその事を知らず、剣士にも仲睦まじく振る舞う団体に出会いました。
彼らの名前は『月夜の黒猫団』。
剣士は本当の事を隠して、隠す事に心を痛めながらも、彼らへの教鞭、彼らとの交流を続けました。しかし、その果てに彼らは全滅。
団長をしていた彼も、真実を知ったのでしょう。剣士に恨み言を吐いて、剣士の目の前で飛び降り、死んでしまいました。
剣士は、自分の真実を伝えていなかった事で彼らを死なせてしまった事を悔い、金輪際誰とも交流はしないと決め、とある部屋で引きこもってしまいました。
それから、半年が経ちました。
半年の間に、剣士の心は元にまでは行かなくとも癒されていました。
……、え、気になるの?また今度な。
一番最初に仲間になり戦った少女と再会したのです。事件を解決したり、昼寝をしたりして、少女と仲を深める剣士。その果てに、2人は結婚まで行きました。
静かながらも慎ましく、楽しく暮らしていた2人に、ある1報が入りました。それは、四つ目の区切りの強敵戦で最初の強敵戦くらい人が死んでしまった事でした。
2人はすぐさま向かい、部隊に加わりました。
2人の加わった部隊はすぐ戦いに向かいました。
戦いは拮抗していました。一人の盾剣士と夫婦の2人が攻撃を受け、その他の人が攻撃を入れる。難しい戦いで、何人か亡くなってしまうほどでした。戦いは……、物語は、終わりを告げようとしていました。しかし。まだ本命が残っていたのです。一人の盾剣士。彼が製作者だったのです。一番にそれを見抜いた剣士は、戦いを挑みます。もし自分が死んでしまった時は、大事な女性に追いかけないよう約束させてから。
そうして、二人の剣士は戦いました。しかし焦りを見せた剣士は、盾剣士の攻撃を避けられない状況に陥いり、剣も折れた。
これは、死ぬ。そう思った。
けれど違った。
動けないはずの彼女が、自分を庇ったから。残ったのは、彼女が大事にしていた剣だけ。自暴自棄になってしまった剣士は、自分の剣と彼女の剣を闇雲に振り回した。
盾剣士はそんな様子を鼻で笑い、剣士の体を貫いた。
「……こんな所かな。」
和人は、悲しげな顔でそう呟いた。
機能回復訓練後で、ぐったりとしていた炭治郎達、勝負に勝った杏寿郎、アオイは涙目になっていた。
「……………、違う、違うの。その話にはまだ続きがあるの。」
明日奈は、俯いて話す。
盾剣士に体を貫かれた剣士は、死にかけたの。けれど、女性の剣に励まされた。動かなくなり始めた腕を必死に動かして、盾剣士を貫き返した。
それでみんな……、お城に閉じ込められて、それでも生きていた人々は出る事が出来たのよ。
「剣士さんと、女の人は、どうなったんですか……?」
炭治郎は、おずおずと疑問を口に出す。
「和人、良い話だな。だが、和人が竈門禰豆子を信用出来るのとその話にはどんな関係があるんだ。」
和人がその質問に答えようと口を開きかけたその時、杏寿郎は口を挟む。
炎を模したような髪が射し込む光にきらきら…否、ぎらぎらと反射する。
常に見開かれたその大きな瞳はすっ、と細められていた。
「悪い悪い、昔話になってたな。はは、ネタばらしするかぁ。その剣士ってのは俺の事で、女性剣士は明日奈の事。さっきのは、俺達が体験したことだ。と言っても今世では無いけどな。結衣と出会ったのもこの城でだ。
____俺が、俺が炭治郎と禰豆子を庇うのはお前達が月夜の黒猫団の奴らに似てるからだよ。優しくて、お人好しな所とか。
んじゃまぁ、この話は終わり!炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助!お前らの療養が終わったら俺と杏寿郎と一緒に任務に行くからな!覚悟しておけよ!
じゃあ、明日奈。結衣と一緒に屋敷に戻ってるよ。ほどほどにして帰っておいで。待ってる。結衣、行こうか。」
「はい、パパ!」
すっ、と和人は立ち上がると走りよってきた結衣を抱きとめ、道場から立ち去って行った。
「分かったわ、和人くん。ほら、炭治郎くん達は病室に戻りましょうか。回復訓練の時以外は絶対安静よ?」
「いぃぃやぁぁあ!!!!任務いやぁぁぁぁ!!!俺治らない治したくないぃぃぃ!!!」
「善逸!どうしてそう簡単にすぐ恥を晒すんだ?!」
「炭治郎が辛辣!!!!」
ずるずる、いやいやと這いずる善逸を引きずり、和人の長話で眠ってしまった伊之助を背負いながら、炭治郎は自分たちの病室へと戻って行った。
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あの後、何とか全集中の呼吸・常中を取得できた炭治郎達3人は和人の思い出話の最後に告げられた任務地、無限列車に乗るため浅草まで来ていた。
「うぉおぉぉ!!!でっっっけぇな!!!!この大きさ……、今は眠ってるようだが、絶ッ対にこの土地のヌシだぜ!!」
「いや汽車だから。」
「待て伊之助!
この土地の神様かもしれないだろう!」
「いや汽車。乗り物。人を運ぶ乗り物だから。
この田舎者がっ。」
初めて見た汽車に大興奮の伊之助ととんでもない事を言い出す炭治郎を諌める?善逸だった。
「よっ!遅かったな、三人衆?」
そんな三人に声をかけたのは、空柱であり炭治郎の兄弟子でもある桐ヶ谷和人その人であった。
「うぉあ、柱?!なんで?!?!」
「和人さん!すみません、道に迷ってしまって……、遅くなりました!」
「まっくろくろすけ!!お前もなのか!!?」
「まっくろくろすけって……、俺は妖怪じゃないぞ?まぁいいか、杏寿郎も待ってるから早く中に入るぞ。」
伊之助の自分へのあだ名に呆れながら、ぺんぺんと三人の背中を押して乗車しようとする和人に声が掛かる。
「桐ヶ谷和人。 SAO事件、ALO事件、死銃事件、OS事件をクリアへと導いた英雄、キリト。 俺はお前を知っている。 」
和人に声を掛けた青年の口から出るのはかつての世界についての事だった。
「っ、は?なぜ、それを、。」
まさか今世で聞くとは思っていなかったその言葉に和人は驚き、足を止める。
「………。血盟騎士団のノーチラスに出会ったと閃光……、あの人に伝えてくれ。」
「血盟、騎士団……、ノーチラス……!?
お前、まさか…………、待て、どういう事だ、おいっ!!」
和人「えっ今回は無し? そっかあ、ちょっと寂しいかも。 ……、え?俺の親友について? しょうがないなぁ……(照)」
《桐ヶ谷 青薔》
・かつての青薔薇の剣士。 和人の親友で相棒。
・花柱を務める洋剣(片手直剣)使い。
・基本柔和なツッコミ役