そしてサブタイのセンスの無さに泣ける(´;ω;`)
現実世界 無限列車車内
「っ!!!
今の、は………? って、えぇ?! 」
目を覚ました少女の目の前にあった景色は眠りにつく前と様変わりしていた。
ごく普通の壁はぬらぬらと光る触手状の壁へ。
床もぶにぶにと蠢いていた。
咄嗟に後ずさりした少女をめがけて触手はその手を伸ばす。
「ひっ、いや……!!!! 」
声を上げて目を瞑る少女に触手が襲いかからん、その時だった。
「ふっ……!! 」
息を吐く音と共に現れたのは打刀と脇差を携えた長身の男。
「やっちゃえ、えー君~~~!! 」
「、悠那、あんまり前に来るなっ!! 」
幼馴染に口止めをしながらも触手を切り刻む手は止めない。しかし、彼の持つ刀はごくごく普通の一般的なものである。鬼が変化している触手に決定打は与えられない。
「クソがッ!!!! (切り刻めば切り刻むほど回復速度は遅くなる、けど………!! )」
「えー君! 危ないっ!!」
「ッ、しまっ………、 」
「空の呼吸、伍ノ型、
考えながら切っていた弊害か、鋭二の刀は触手をはずれ空を切る。 その隙を逃さず、触手は鋭二に襲いかかる。
その時だった、黒い彼が現れたのは。
「大丈夫かよ、エイジ。 」
「キリト……?! 」
「もうすぐ、炭治郎と伊之助が鬼の首を斬る。 そしたらたぶん横転しそうになるから一緒に衝撃を和らげてくれないか? 」
「………、わかった。 」
説明の後一言返事を返すと、鋭二は和人と背中合わせで待機をする。
「鬼の気配が、消えた……? 」
「来るぞ!!!」
気配が消えた、と同時に鬼による制御を失った汽車はそのままのスピードで走り始める。だが、この先は急なカーブでこのままのスピードだと曲がり切れるはずがない。
和人の危惧した通り、汽車は横転を始める。
それから何分が経っただろうか。
いつの間にか、鋭二や和人たちなどの乗客は外へ放り出されていた。
「っててて……、 怪我は無いか、鋭二。 」
「無い。 悠那は……? 」
「だいじょぶだよ、えー君。 」
和人や鋭二のように、電車内に残っていた彼等も技を出して衝撃を和らげていたのだろう。横転箇所は大惨事になっているが、怪我の程度差はあれど、乗っていた人々は皆無事なようだった。
ぞわり、和人は突然感じた殺気に身体を震わせる。
ふと、原作でのこの話を思い出す。
「ッ!!? まずい、な………。
鋭二、悠那。 一般人の避難を頼んでもいいか? 俺は炭治郎達に加勢してくる。 サチは御館様にこの事を報告して来てくれ。 頼む。 」
「おい、何がまずいんだ、よ………、 はぁ。 」
鋭二が呼び止める暇もなく和人は立ち去ってしまった。
「どーするの、えー君。」
こてん、と首を傾げた悠那は鋭二に向き直ってそう尋ねる。
「どーするも何も避難誘導するしかないだろう。
僕の傍から離れないでくれよ、悠那。」
「分かってるよ、えー君! 」
刀たちを鞘に収めた鋭二は悠那を引き連れ、一般人の避難誘導へと向かった。
その胸に、ある決意を秘めて。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一方その頃、和人。
和人の感じた気配。それは、上弦の鬼のもの。
和人は知っていた。 魘夢を倒した後、上弦の参である"猗窩座"が来る事を。 その鬼と戦うことで、炭治郎達に深い傷と強い意志を与えた後に炎柱煉獄杏寿郎は死してしまうことを。
「杏寿郎、死ぬなよ………!! 」
ここで和人の隊服について言及しよう。
前世から、黒い格好を好む和人にとって鬼殺隊の隊服は完璧なものだった。 まぁ、和人に言わせれば背中に刺繍された"滅"の字は要らない、との事だが。 それは割愛する。
そんな不便な"滅"の字も和人は上から真っ黒な羽織を羽織っているので関係はない。 大事な事だからもう一度言おう、真っ黒な羽織である。
これが意味することが何か読者諸君は分かるだろうか?
そう、闇に紛れ奇襲できる確率が格段に上がるのだ。
さて、戦況に戻ろう。
和人は猗窩座の背後へと忍び寄り、技を放つ。
(空の呼吸、陸ノ型、
目にも止まらぬ速さで猗窩座の首を狙うその技。
背後から、音も無く放たれるソレに猗窩座は反応が遅れる。ソレは連撃技。 腕が飛び、足が飛び、剣は首へと迫る。
「貴様!!!! 誰だ!!? ぐっ……。
(夜明けが近い!! ココは日が差す! 早く離れなければ……。 早く早く早く)
ああああああああぁぁぁ!!!!!! 」
ガキャッ、斬れる直前で和人の剣は止まる。
それに一瞬目を見開いた和人の剣を握りしめる力は増す。
明日奈が見たら思ったであろう。 かの城で青い悪魔に対して二対の剣を振るったあの時のようだ、と。
(もっと早く、もっと、もっともっと……!!!)
「っクソ、斬れ、ろぉぉぉぉ!!!! 」
叫ぶ和人の右頬に、ミニバラの花を象った痣が浮かび上がる。
その花言葉は『特別の功績』『果てしなき愛』。
あと数センチ。そんな所で猗窩座の両足が再生し、和人を蹴り飛ばす。
「ッ、がは、、、待て!! 」
蹴られた箇所を押さえ、睨む和人。
そんな視線を気にせず、陽射しから逃げる事に尽力する猗窩座。
蹴られた腹を抑え、蹲る和人を横目に悔しそうな炭治郎は森へと駆け込む猗窩座へと刀を投げて叫ぶ。
投げられた刀は見事猗窩座へと当たる。
「逃げるなアッ!!! 逃げるな、卑怯者!!!!
いつだって人間は、お前ら鬼の有利な戦場で戦っているんだ!!!! 誰も死なせなかった!! 守り切った煉獄さん達の勝ちだ!!!!
お前の負けだ!!!!
逃げるなッ、卑怯者ッ!!!! 」
その顔から涙がポロポロと零れ落ちて、留まることを知らないようだった。
「たん、じろう。 」
呟いた和人の頬から痣は消えていた。
しゃがみこんで、すすり泣く炭治郎へと煉獄は声をかける。
「君も軽傷じゃないんだ。 君が死んでしまったら、オレたちの負けになってしまうぞ。 竈門少年。 こっちへおいで。 少し、話そうか。 」
「れん、ごくさん………!! 」
左目の潰れた顔でふわりと笑いかける。
和人は思う。 生きている。
煉獄杏寿郎。 かの世界では左目と脇腹を失い、死してしまった男。 左目は潰れてしまい無くなっているし、柱は引退するかもしれない。 それでも生きている。 自分の隣で、息をしている。
たったそれだけの事だがとても嬉しく、愛おしく感じた。
「炭治郎、ありがとうな。 」
ボソリと呟き、寝転がった。
かつてSAOで最高の気象設定だった時に明日奈と寝転がり、昼寝した時と同じくらい清々しい気持ちであった。
本日のキャラ紹介!
《後沢 鋭二》
・血盟騎士団団員ノーチラス。 かつての戦い方は奇しくもキリトと同じ盾なし片手剣。
・今世では打刀と脇差を場所によって使い分けて戦う。
・幼馴染の悠那を守ることに全てを賭けている。
《重村 悠那》
・アインクラッド、オーディナル・スケールの歌姫。 かつては短剣使い。
・今世ではあまり戦うことは無いが、一応短刀で戦える。
《魘夢の手下の少女》
・和人の夢の中へ侵入した新入りの少女。
・鬼に殺された家族がおり、家族に間に合わず自分しか助けることの出来なかった鬼狩りを逆恨みしている。
・顔つきはどことなくシリカに似ている。(と和人が現実で会っていたら思った。)