黒の剣士の鬼殺譚   作:楓琳(pixiv名は"花")

7 / 7
ストックがなくなりそうだと言ったな、あれは嘘だ(嘘じゃないです、この話入れなかったらあと一話分しかないです)。

やっと再会させられました。 待たせたね、キリトくんやい。


第七話 夜空と月影、青薔薇と紅色の再会

それからしばらくして。

和人たちは蝶屋敷で療養をしていた。

 

そんなある日。

一人の青年が和人を尋ねてきた。

尋ねて、というか和人が呼んだのである。

 

「和人さん! 和人さんにお客様です~! 」

 

なほはひょこりと和人の病室に顔を出し、そう伝える。

その背後から短髪の背が高い青年が入ってくる。

ものすごい顰め面で。

 

「おい、桐ヶ谷。 来た。 」

 

「エイジ。 あの時はありがとうな。 」

 

蹴られて折れた肋以外に重い怪我は無かった和人は骨を固定している為に姿勢が良くなっていた。

普段ならば大抵猫背の和人が。

その他には絆創膏があちこちに貼られている。

 

その姿に少し笑いそうになるも、青年____後沢鋭二は本題に入る。

 

「あの場所にいた一般人は全員無事だ。

僕も、悠那も含めてな。 」

 

「悠那ねぇ……、 その悠那さんは? 」

 

出会い頭に言われたアインクラッドについて問いただしたい和人であったが、まだその時じゃないよな、と思い返しやめる。

あの時ちらりと見えた女性の顔。 アレは確かにかつてのARアイドル"ユナ"と同じだった。

 

「今日は来ていない。宿屋にいる。 それより聞きたいことがある。……お前、 覚えているだろう。 」

 

「、 何の、事だ。 」

 

「しらばっくれるな。 覚えていなければどうしてあの言葉……、アインクラッドという言葉に反応した。 」

 

ぎらりと鋭二の鋭い瞳が和人を睨む。

ぐ、と唾を飲み込んで和人は口を閉ざす。

別に話したくない訳ではない、むしろ話したい。 ただ、ここは蝶屋敷である。

 

前世の、時代的にはファンシーな話をするにはすこし場違いだと思っているから、黙るしか選択肢が無いのである。

 

「、あ~~……、 俺の屋敷があるんだけどさ、そこなら話してもいいぜ。 ここじゃちょっと無理。 」

 

鋭二の眼光が鋭くなり続ける。

それを見た和人は渋々といった感じで口を開き、言う。

 

「ソレは何処にある。 どうせ閃光のあの人も居るんだろう。 あの人に聞く。 」

 

「閃光……。 あぁ、明日奈なら別に屋敷に行かなくても会えるぜ? 」

 

怪我の具合や治療進捗を察した鋭二はそう尋ねるが、和人はきょとんとした顔でそう言う。

 

会える??? ここで???? なぜ?????

 

そんな疑問が鋭二の脳内を埋め尽くす。

その時だった。

 

「キリ、和人くーん、開けるよ~~? 」

 

「は??、?、 」

 

「お~~、明日奈~~~。 」

 

「んもう、和人くん! ちゃんと寝てた?

……、 !? うそ……、なんであなたが…… 」

 

聞こえた声に鋭二が驚き、固まってしまったのを横目に見ながら、呼び掛けに答える和人。

和人の返事が聞こえたため、がらがらと引き戸を開けて入ってきた白衣の女性____明日奈。

彼女は、起き上がってベッドに座る和人へそう声をかけた後、傍らに立つ鋭二へと視線を向ける。

 

「エイジくんも来ていたのね。 」

 

「ッ、 おひ、さしぶりです。 アスナさん。 」

 

なんとか持ち直した鋭二は、ぺこりと頭を下げてそう言う。

ガチガチに緊張している鋭二を見た和人は、先程の自分への態度との違いに違和感を感じ、虚無感を得そうになる。 が、つい先程、鋭二が来る前にしのぶから渡された御館様の伝言を思い出し、それを鋭二へと伝えようと背筋を伸ばす。

 

「鋭二、"御館様"から伝言だ。 」

 

「なんだよ。 鬼殺隊に入れ、とでも言われるのか? 先に言うが、それだったら断るぞ。 」

 

フン、と鼻を鳴らす鋭二に和人は眉を下げて言う。

まさに鋭二の予想通りである、と答えを返す。

 

「まさにその通りなんだよな……、ハハハ。 」

 

「帰る。 悠那も待っているしな。 」

 

くるりと踵を返して歩く鋭二に、和人はため息をついて呟く。

鋭二が今最も欲しているだろうものの名前を。

 

「日輪刀、貰えるのにな〜〜、 もったいないな〜〜〜、 」

 

ぴくり、鋭二は"日輪刀"という言葉に反応する。

今まで鬼殺隊では無かった鋭二と悠那は、通常の刀で鬼と渡り合ってきた。 鋭二ほどの技量があれば、通常の刀でも十分戦えるし、逃げる時間を稼ぐほどに傷を作ることが出来る。 しかし、鬼を殺すことは出来ない。 だが、日輪刀があれば殺せるのだ。 これまで以上に安全に逃げることが出来る。 なんなら、定住も視野に入れられるだろう。

 

「っ、お前が、"御館様"の所に連れていけ。 そしてそのまま話を聞かせろ、そうすれば、その、なってやらないことも無い。 」

 

日輪刀があればこれまで以上に安全に悠那を守れる、そう判断した鋭二は和人へそう返す。

 

それを聞いてにんまりと微笑んだ和人は、寝台へと横たわりなおして言う。

 

「エイジ、お前ならそう言うと思ったよ。 でも、俺に案内して欲しいならもーちょっと待ってくれな。 」

 

「まぁ、その怪我だもんな。 」

 

ハッ、と横たわり直した和人を鼻で笑い、今度こそ立ち去ろうとする鋭二は、ふと思って和人に訊ねる。

 

「いや、鼻で笑うなよ……、なんだ? 」

 

「なんか、聞こえないか? 」

 

「えぇ、そんな、聞こえない、ぞ……、 」

 

鋭二に聞こえたのは足音。 廊下を駆け抜け、この部屋まで走ってくる足音であった。

和人が首を傾げたちょうどその時、部屋の引き戸が開き、一人の少女が駆け込んでくる。

かつての和人のもうひとつの名前を叫びながら。

 

「キリト先輩っ!!!!! お怪我は大丈夫でしょうか!!!!!!? 」

 

焦げ茶の髪に、この時代背景では珍しい蒼眼を持った少女_____鈴鐘ロニエであった。

 

「え、ロニエ……?! 」

 

自分の相棒であり親友のユージオ、シンセサイズまでされたアリス、というフラクトライト出身が居るのだから、彼女らも"もしかしたら"、と考えたことがない訳では無い。 だが、現実的では無い為に、キリトは[[rb:彼女 > ロニエ]]との再会は諦めていたのだった。

 

ただ、それは別として"キリト先輩"という呼称をロニエがバカでかい声で叫んだので、蝶屋敷中に聞こえている。 後にこの事で、蟲柱の彼女などから大量の質問を浴びせられるのは確実なのであった。

 

「ロニエ、どうしてここに………。 それにその服、まさか……。 」

 

駆け込んできたロニエを見つめ、和人は尋ねる。

そう、ロニエは鬼殺隊の隊服を着ていたのだ。

今世では初めましてなはずなのに、前世同様"先輩"と慕ってくれるロニエに泣きそうになりながらも涙を堪え、尋ねたいことを尋ねていく。

 

「あ、そうだ。 改めて"初めまして"。 空柱、桐ヶ谷和人だ。 」

 

その前に、今世での自己紹介を済ませておく、と言わんばかりに名前を名乗る。

 

「あ、えと、階級(みずのと)の鈴鐘ロニエです!!! よろしくお願いします、先輩! 」

 

そんな和人の思惑を察したのだろう、ロニエも階級とともに名前を名乗り返す。

腰には、かつてアンダーワールドで振るっていたのだろう洋剣"月影の剣"が据えられていた。

 

ロニエの叫び声が響き渡る少し前の蝶屋敷玄関。 和人の羽織るモノとお揃いを羽織った少年_____桐ヶ谷青薔(ユージオ)が玄関先に来ていた。

 

「明日奈さーん、和人のお見舞いに来たんだけど〜〜……。 居る〜〜〜? 」

 

引き戸をそっとノックして、そんな声をかける。

返事は無い。 そんな時だった。

 

『キリト先輩っ!!!!! お怪我は大丈夫でしょうか!!!!!!? 』

 

かつての世界で沢山聞いた、あの後輩の声が響いた。

 

「え、ロニエの、声……。 そんな、嘘だろ……? 」

 

その声に我慢できず、お邪魔します、と声を上げながら、玄関の引き戸を開け、蝶屋敷内を走り抜ける。 明日奈やカナエには後で謝ろう、と思いながら和人の部屋まで走り抜ける。 そんなことを考えながら走っていたからだろう、廊下で一人の少女とぶつかる。

 

「きゃっ! ごめんなさいっ!! ……え……。 」

 

「ッ、こちらこそごめんね……、え? 」

 

その少女は、かつて自分の後輩をしてくれていた、赤毛の少女_____ティーゼだった。

 

「ティー、ゼ……? どう、して、 」

 

「ユージオ、先輩……。 ユージオ先輩っ……!! 」

 

呆然と目を見開く自分に、涙を浮かべたティーゼは抱きつく。 胸元に顔を埋め、自分の名前を呟く。

その姿に、自分も泣きそうになりながら、ユージオというかつての名前ではなく、今世での名前を呼んでもらおうと名乗る。

 

「ふふ、"初めまして"。 桐ヶ谷青薔だよ。 よろしくね、ティーゼ。 」

 

「、ぁ、えと、鈴鐘ティーゼ、です。 よろしくお願いします、ユ、青薔先輩……。 」

 

俯いたティーゼの顔を見つめ、微笑んで自己紹介をした[[rb:青薔 > ユージオ]]の思惑が伝わったのだろう、ティーゼは赤らめながら、自身も名乗り返す。

 

「ところで、今の声ってロニエだよね? 和人の部屋、行ってみようか。 」

 

「そうですね……、ロニエったらもう、ここは病院なのに……。 はい、青薔先輩! 」

 

パタパタと歩き出す青薔とティーゼは、自分たちのこれまでの事をお互いに話しながら、和人の病室まで向かうのだった。

 




本日のキャラ紹介〜〜!

《鈴鐘 ロニエ》
・かつてはキリトの後輩剣士だった少女。
・今世では炭治郎たちと同期の鬼殺隊士。 後述するティーゼとは双子に生まれた。
・かつての相棒の剣、月影の剣も刀鍛冶の人たちがロニエのイメージ通りに造ってくれた。

《鈴鐘 ティーゼ》
・かつてはユージオ(青薔)の後輩剣士だった少女。
・今世ではロニエと双子に生まれ、炭治郎たちと同期の鬼殺隊士。
・普通に刀を使って戦う。

→→ロニエとティーゼはキリト(和人)と出会うまで水の呼吸を使っていた。 和人と再会してからは空の呼吸(アインクラッド流)を使うようになった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:50文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。