暴虐の魔王スペックの転生者と一番星の生まれ変わり。 作:混沌の青魚
早速ということで、アイはスカウトを受けたプロダクションの社長に電話をかけていた。
一言、二言と言葉を交わし、やがて電話は切れる。
「……すぐに来るってさ」
どうやらこの場へと呼び出したようだ。
「それまで今後のことを話し合おうか」
「そうだな。まずはどうして俺をアイドルに誘った?」
なによりも気になったのがそこ。
「うーん……私がずっと一緒に居たかったから。ほら、アノシュって、魔法で女の子にもなれたりするでしょ?」
「ああ。俺に不可能の文字はないからな」
やるやらないは別として。
「アイドルになったらさ、流石に自由に恋をしてってのは難しくなると思うんだけどさ……私はすでにアノシュを愛しちゃってるから、この気持ちを捨てろって言われたらそれは無理だよね。だから色々と考えて、考えて――そうだ、アノシュが女の子になれば!!って」
この女、なかなかにぶっ飛んだ思考回路してやんな。
「流石にさ、本当に女の子になるために手術とか受けたら、将来的に私と子ども作れなくなっちゃうからさ……」
……うん。そうネ。
「だから魔法で存在を偽って……例えば、双子の女の子!みたいな設定で、ひとまず社長さんが言ってたドーム?ってのに出るまでがんばって、それが終わったら電撃スピード引退宣言!結婚宣言!みたいな。でもそれまでアノシュと会うな、控えろってなったら、絶対にそこまで保たないから、それならアノシュが女の子で、しかも仲良しな双子になったら、ずっと一緒に居れるから……」
なんだか話を聞きながら、俺は思った。
どこで美少女幼馴染の育成方法を間違えたのだ、と。
「そんなわけで、やろ?アイドル!!」
……まあ、やるしかないのだが。
―――。
数分後。息を切らしてやってきた斎藤壱護と名乗るチャラ系の成人男性。
絵面だけ見ると、
「アイドルになってくれるって!?」
「うん。でも条件があるの」
「それは……」
斎藤壱護、めっちゃ嬉しそうな顔をアイに寄せたので、俺は無理矢理に引っ剥がす。
軽めの電撃系の魔法を添えて。(静電気程度)
「私の双子(設定)のお姉ちゃんも一緒にデビューすること!」
「双子のお姉ちゃん、っつーと……お前が?」
「そうだ。アイの姉、ラヴ(偽名)だ。よろしく」
「……双子だけあって、容姿はアイと瓜二つ。ちょっと愛嬌が足りん気もするが、そこはクール系で売り出していけば――」
しばしの無言の空間。手応えは悪くはなさそうだが、どうなることやら。
「……その条件を飲む。2人で、双子のアイドルとして採用する」
こうして晴れて、俺たちはアイドルとなることができたのだった。