暴虐の魔王スペックの転生者と一番星の生まれ変わり。   作:混沌の青魚

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心当たりはありません。

 俺たちがアイドルデビューしてから4年。

 この間、色々なことがあった。

 

 末期の病に苦しむ患者(アイ推し)のためと、その患者の少女が入院する宮崎の病院近辺にてライブツアーを組み、コソッと病室にお邪魔して治療の魔法をかけてきた。

 翌日には不眠不休でフルマラソンが可能なほどに回復したようだった。

 

 そして劇団ララライというところにしばしの間お邪魔して、様々なことを学んだ。

 そこで出会った少年には、アイ共々興味を持たれてしまったのだが、まあ今のアイは、例え頭上に核ミサイルの雨が一晩降り注ごうと無傷で生還できるほどの女傑になっている。

 

 そして分かったことがひとつ、少年の両瞳にも暗い星があり、どうやら瞳の星が俺の力の鍵となっていたらしく、感覚的にはようやく半分ほどの枷が外れたような感じだ。

 

 それでも全力を出せば、世界、宇宙ですらも破壊ができるようになったのだから、この身体のスペックが末恐ろしい。

 

 

 

 なによりもB小町、そして苺プロダクションは、世界に誇るアイドルグループ、会社となり、社長の夢であったドーム公演も叶えることができた。(デビューから半年後)

 

 既に2人は子々孫々、遊んで暮らしていけるだけの金を稼いでおり、いつでもアイドルを引退することができたのだが、社長に恩を返すため、しばらくはアイドルを続けていくことを相談して決めた。

 

 それはそれとして、週に一度ほど、社長が余計なことを口に出して俺が殺すなんてことを繰り返していたら、肉体強度が上がり、ダンプと正面衝突しても傷がつかない身体になってしまったらしい。(実証済み)

 

 しかも最近では治療と蘇生の魔法を極め、俺に殺されても自分で生き返ってくるようになった。

 ……慣れというのは怖いものだ。

 

 

 

 そして俺はアイドルを続ける傍ら、最近は芸名アノス♂、苺プロダクションの新人役者として、アイドル引退後の軌跡を描き始めた。

 それはアイも同じで、様々なドラマ、映画などの主演女優として出演するようになり、日本で最も有名な女優は?と問われれば、誰もがアイと答えるほどになっていた。

 

 

 ああ、確かに順風満帆。これ以上にない、前世合わせても経験したことのない幸せな日々を過ごしていた。

 

「妊娠しちゃった☆」

 

「……は?」

 

 俺、社長、そして社長夫人のミヤコが、石像のように固まった。

 

「……誰の子だ?」

 

 社長が、なんとか絞り出したような声でアイに問うた。

 その視線は、アイと、そして俺との間を行き来していた。完全に疑われていた。

 

 しかし俺には心当たりが……。

 

「アノシュだよ」

 

 ない、はずなのだが。

 

「……アノシュ、てめぇっ!」

 

「待て。俺に心当たりはない!」

 

「……どういうことだ?」

 

 社長がまるでヤーさんのような雰囲気を晒しだして、アイに問うた。

 しかし全然堪えた様子もなく、アイは軽い調子のまま答える。

 

「処女受胎ってやつだよ。アノシュの遺伝子を魔法で私の体に取り込んでみたら、なんだか凄く上手いこといって妊娠しちゃった☆」

 

 ……馬鹿だ、馬鹿だとは思ってはいたが、ここまで馬鹿だったとは。

 

「アイドルは、どうするつもりだ……?」

 

「ん?もちろん続けるよ」

 

「なら、子どものことは……」

 

「そ、公表しない。とは言っても、流石にアイドルを引退するときにはみんなにも知っててもらいたいから、引退ライブで宣言しようかな。私とアノシュに、実は子どもが居ました!って」

 

「……やめておけ。ファンが発狂するだけだ」

 

 俺はもう、そう返すのだけで気力も失くし、ふて寝に入るのだった。

 ……あとのことは、勝手に話しておいてくれ。

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