キャラ崩壊やセリフ間違いや設定の違い、
誤字脱字があると思いますが、
温かい目で読んで下さると助かります。
この話には一刀君も登場いたします。
どうぞよろしくお願いします。
天の御遣いが現れた日───つまり一刀が雪蓮たちと出会った日から早二週間が過ぎた。
この突然現れた青年は雪蓮たちの予想を超える速度で世界に順応していった。
「お勉強も良くしてくれますし~ちゃんと覚えてくれてるのが分かるので、教え甲斐があります~♪」
とは一刀の教育のために付けた穏の言である。
その他にも祭に剣の手解きを受けたり、冥琳の仕事の手伝いをかってでたり……
(この子なりに、自分の出来ることを探してるのね……)
見ず知らずの世界にいきなり来て
萎縮も引きこもりもしないというのは中々に肝の据わった青年であると雪蓮は思う。
「~~♪~~♪」
……こうして口笛を吹きながら笑って隣を歩いてる姿を見ると、実は何も考えてないんじゃないかと思ってもしまうが。
「ま、良いことなんだし気にしても仕方ない、か」
「え?」
「何でもないわよ。それより、一刀は街に来た事があるの?」
「ああ。冥琳にお願いされて…ダメだったか?」
「だ、ダメじゃないけど…一人で来たの?」
「おう。城下の乾物屋に行くぐらいなら、一人でも大丈夫だろうって」
一刀の一言に雪蓮は眩暈を覚えた。
「い、幾ら城下は治安が良いと言っても……こんな格好で武器も持たずに一人で街に出すなんて…何考えてるのよ、もう」
後で冥琳をとっちめてやる───そう雪蓮が心の中で決意した時、
「ごめん…。俺が冥琳に頼んだから…」
「あー……いいのよ。一刀は悪くないから」
「いい?謝る時はちゃんと自分に悪いところがあるかまず考えてからにしなさい。自分が悪いと思ったら
その時は素直に謝ること。でも、今日のは一刀が悪いんじゃなくて冥琳がいけないの」
「うーん…でも、俺が一人で街に出ちゃったから…」
「一刀はそう言われたから行動したんでしょ?冥琳の手伝いをする事は悪い事じゃない。だから一刀が謝る必要はないの」
「あぁ、わかったよ」
「ところで
「えっと、起きた時はちゃんと居たんだけど気づいたら居なくなってて・・・・」
「監視はどうしたのよ・・・っていうかまだ同じ寝台で寝てるわけ?」
「そう聞くなら、部屋を変えるか寝台か布団を増やしてくれ」
「まぁあの子なんてゆうか・・・単純だから一度言ったらよっぽどの事が無いと止めないと思うし諦めて頂戴、覚えてるでしょ?一刀が来た日に世話役頼んだら『・・・・・かんし』って言ってたの一緒に出来るから納得しただけで出来なくなったらしないわよ。でもあの懐きようを見ると違う理由が在るかもだけど・・・・」
「まじか~」
「なによ~一刀、王様公認で女の子と一緒に寝られてるのに嬉しく無いわけ~?」
「いやいやいや、嬉しい嬉しくないかで言ったら嬉しいけど若い男女が同じ寝台で過ごすなんて良くないだろ」
「毎晩一緒に寝て欲情でもしたのかしら~?
「確かにいい子だけど・・・・・ってあの子そんなに凄いの!?」
「そうよ~特に弓の腕ははっきり言って孫呉・・・いいえ大陸一だと言っても良い位だわ。まあ弓は凄いけど弓しか出来ないんだけどね」
「大陸一って・・・・祭さんよりも上手いって事なの?」
「祭も凄いけどその祭の技術を全部自分のものにしてるし、何よりあの子にはあの目があるしね」
「・・・あの目?」
「あの子には何処までも見通す目があってね、どんなに離れててもすぐ見つかるわ。そして狙われてしまった哀れな鳥達はことごとく地に落ちるわ、いつからか一緒に戦った兵士達から彼女は”孫呉の鷹の目”と言われるようになったわ」
「”孫呉の鷹の目”か・・・・まだ来て間もない俺でも聞いたことあったけど
「あの子が戦場で外したとこ見たことないし、味方に当てたことも無い。見た目が綺麗だしあののんびり性格だから兵たちからも街の人からも好かれてるわ。あの子大人気なのよ、一緒に街出たら気をつけn・・・・あぁわかった。だから冥琳は
「えっ?どういう意味?」
「さっきも言ったけど
「そ、そこまで人気があるのか・・・」
「あなたも不用意に一緒に寝てる~なんて言わない方が良いわね」
「き、気をつけるよ」
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」
そしてそんな日常は、数日後に館に駆け込んできた一人の使者によって終わりを告げる。
世に言う黄布の乱───その動乱が大陸を舐め、世は阿鼻叫喚の時となったと使者は告げた。
それを収めるため荊州の主……袁術より孫策に討伐命令が下される。
それは、もはや漢王朝の統治能力の消失を意味していた…。
「軍議?」
「そうだ。悪いが今の孫家にはお前を客扱い出来る余裕がなくてな。来て間もないおまえに頼るのは些か情けないが…
お前にも知恵を貸して貰いたい」
昼を過ぎた穏やかな午後。一刀たちは庭園の一角にある休憩所に居た。
議題は先日駆け込んで来た使者の案件───つまりは黄布党の討伐についてだ。
「でも、そんな大事な話なら部屋とかでした方が…」
「壁に耳あり、ですよ。私たちの周囲には常に袁術さんの目が光ってますから」
穏が普段と変わらない調子で物騒な事を言った。
「えと…周りに隠れられるとこがあるとまずいってことか」
「そういう事じゃ。ま、暗い部屋の中でごちゃごちゃやるよりは目立たんで済むからの」
祭はそう言うと、
「
「ありがとう。ははさま♪」
そんな二人の光景を見て、冥琳が苦笑する。
誰もこれを見て軍儀をしてるなどとは思わないだろう。
「…甘やかすのは良いが、程ほどにな。さて、雪蓮は袁術に呼ばれて荊州の本城に向かっている。
恐らくは黄巾党討伐の事だろう」
「今、この時期の出頭命令ですからね。十中八九それでしょう」
「それを見越して儂らは準備が出来しだいここを発ち、策殿と合流する」
「雪蓮と…」
最近は忙しいらしく、遠目に見るくらいしかできなかったので
久しぶりにちゃんと話が出来ると思うと少し嬉しくなった。
「そうだ。さて、状況の説明も終わったところで問題点についての意見を聞かせて欲しい」
冥琳はそう前置きして本題に入る。
一つは軍資金と兵糧。
そしてもう一つは兵数の問題。
「黄巾党の部隊は大きく分けて北と南の二部隊。このうち北が本隊。南が分隊。
…袁術さんなら確実私たちを北の本隊に当てるでしょうね」
「集められる兵数は?」
「大体5千というところでしょうか。無理をすれば一万…それでもかなり少ないですが」
「その程度の数で黄布党の本隊と当たるのは勘弁して欲しいのう」
「兵数差は策で埋めるとして…あとは軍資金と兵糧の問題ですねぇ」
「こればかりはな…。街の有力者に借りるという手もあるが、大した資金は集まらんだろう」
議論は早くも暗礁に乗り上げてしまう。
無い袖は振れない───悲しいが、それが現実である。
「金が無ければ兵糧の調達も出来ん。どうしたものか…」
冥琳が顎に手を当てて考え込む。
「…ちょっといいか、袁術さんに出してもらうのはダメなのか?袁術さんはたしかお金持ちなんだよな?」
と、それまで黙っていた一刀が冥琳に言った。
「ふむ?どういう事だ?」
「袁術さんって俺たちに黄巾党たちをやつけてほしいんでしょ?
人にお願いするときはちゃんと自分も出来る限りの事をしろって良く俺のじーさんも言ってたし?」
「しかし、断られた場合はどうするのだ?」
そう返されて、一刀はしばらく考え込む。
「んーっと…じゃあ、先に数の少ない方をやつけちゃうとか?」
「ふむ…確実ではないが、このまま手を拱いてるよりはマシか」
冥琳の意見に穏が捕捉を加える。
「そうですねぇ。お願いはするだけなら只ですから。それに、断られたらそのまま孫策様と合流すれば時間も兵糧の消費も少なくて済みますし」
「…我等の現状では、それが精一杯かもしれんな。一刀の案を採用しましょう」
「了解した。ならばすぐに伝令を発し、策殿に交渉をお願いするかの」
「それが良いでしょ。あとこちらの案も伝えておくように」
「うむ。……誰かある!」
祭は
「策殿に伝令を放て。内容は───」
祭が忙しく指示するのを一刀は横で見ていると、冥琳がこちらを見ている事に気付いた。
「どうかした?」
「いや……何故あんな策を思いついた?天の知識という奴か?」
「えっと…前に読んだ漫画に描いてあったんだ」
「漫画?描いてあるという事は書物か何かか?」
「ああ。絵がたくさん載ってて、娯楽向きのだれでも読める絵本みたいなものだよ」
冥琳は今一ピンとこないのか、少し首を捻って、
「…まあいい。だが、流石は天の御遣いを名乗るだけの事はある。中々いい洞察力だ」
そう言って、一刀の頭を撫でた。
「//////…」
一刀は照れくさそうに頬をかいた。
「ふむ…。どうしようかと思ったが…一刀、おまえも今回行かないか?」
「え?俺も行くのか?」
「ああ。戦場へだ」
「戦場って…俺を戦わせたりするのか?」
「ばかもの。武の心得も知らぬものそんなことさせるか。ただこの世界の今を見せるためだ」
「そっか。冥琳や雪蓮も俺ぐらいには戦場に出てたのか」
「ああ。もっとも雪蓮も私も十の時はもう戦場に居た」
「
「あ奴はもっと早いだからそんな時に出来た事がお前に出来ない道理はあるまい?」
言われて、一刀は少し考える。
戦争というのは怖いもの、危ないものだとは知っている。でも母には早く会いたいし、
何よりここで情けない姿を自分の尊敬する人たちに見せたくは無かった。
他人が聞けばちっぽけなプライドと笑うかもしれない。だが、一刀にはそれが大切な事に思えた。
「…行きます。ちょっと、怖いけど…」
「そうか。なら部屋に戻って準備をしておけ。忙しくなるからな」
「はい!」
一刀はそう返すと自分の部屋へと走っていく。
冥琳はその後姿を見送り───安堵の混じったため息を付いた。
「随分と悪辣な手を使うものじゃ。儂なら連れてなぞ行かんものを」
いつの間にか後ろに立っていた祭が、批難する様な調子で声を掛けてくる。
「この世界に住んでいればいつかは経験しなければならぬこと。なら早いほうが良いでしょう」
「早すぎる…とは思わんのか?」
「状況がそれを許してくれません。それに…一刀には戦場に立つ義務がある」
「策を出し、それが採用された結果を見届ける義務、か。此処に来て一月の者に背負わせるのは些か重いのではないか?」
「それでも背負わなければなりません。…それが人の上に立つものの責務ですから」
「やれやれ…お主、それは教育のつもりか?」
冥琳はその問いに笑顔で答える。
「我等が王があまり教育熱心ではありませんからね。周りがしっかりと教えてやらないと」
黄巾の乱討伐───。
これが北郷一刀、18歳にして初の初陣であった。
数刻後───荊州の平原地帯に孫家の軍は布陣をしいた。
数は約1万。ほぼ全力の出撃である。
「いよいよ戦乱の幕開けね…ふふっ、ゾクゾクしちゃう」
雪蓮が興奮を抑えるように笑う。今この時より自分達の野望は始まるのだと思うと、身体が疼き今すぐ戦場に駆け出したくなる。
待ちに待った独立の一歩が始まるのだ。
「まあ気持ちは分かるが…初陣の相手が黄巾党というのは物足りないにもホドがあるな」
「まぁ勘を取り戻すには丁度良いとも言えるがの」
祭がからからと笑う。
「兵の錬度を維持するために調練だけは欠かさずやってましたけど、実戦を経験しない事には仕上げも出来ませんし~」
「この戦いで私たちの強さを喧伝出来れば、これからの戦いも楽になるでしょ。最高の勝ち方をしないとね~♪」
雪蓮はそう言って後ろに来ている一刀を見る。
一刀は緊張しているのか、あった時から着ていた白い服のまま固まっていた。
「かずと・・・・・へいき?」
「う、えっ!?」
そんな二人のやり取りをいつの間にかみんなで見ていた。
「…ねえ冥琳、やっぱり一刀にはまだ早かったんじゃないかしら?」
「一刀自身が決めた事だ。それに雪蓮も私もこの位の歳で世代が変わってからの初戦だったろう?」
「そりゃそうだけど…」
雪蓮はそう言いながら一刀の方に向き直ると、そこにはぎゅっと一刀を抱きしめている
「ちょ、ちょちょちょっと/////…」
「どきどきがはやい?・・・・どうして?」
「そ、そんな事…な、いよ?」
「うそ、ダメ。はじめて?こわいのはふつう」
「うっ…ごめんな」
「いい一刀?絶対に前に出ちゃ駄目よ?ちゃんと冥琳や穏の後ろに居る事。約束しなさい」
「ああ…分かった」
「良い子ね…それじゃ、わたしは悪い人たちをさっさと殺っちゃおうかな♪」
雪蓮は
「
「・・・ん、わかった。まかせて」
「策殿してどう当たる」
初陣であるからこそ、強さを喧伝するためにも圧倒的勝利でこれを収めなければならない。
「そうだな…火を使うのはどうかしら?」
「良いわねー♪それじゃ、先鋒は私が行くわ」
「では先鋒は雪蓮と祭殿で。私と伯言は左右両翼を率い、時機を見て火を放ちます。
「・・・・ん」
「了解♪…祭。くれぐれも暴走しないでよね?」
「んー…分かんな。と言うより策殿には言われとうないわい」
「後ろで娘が見ているのよ。母として無様な姿は見せられないでしょ?」
そう言われて祭は
「かずと・・・まもる・・・・・くび、とる・・」
───初の護衛で大変であろうに、あの子ときたら…。
震える一刀と敵陣を交互に見やるその姿に、祭は苦笑い。
「ふふっ…さあ、遊んでないで。雪蓮、号令を」
「了解♪」
雪蓮は部隊の先頭に立ち、腰から刀を引き抜く。
「勇敢なる孫家の兵たちよ!いよいよ我らの戦いを始める時が来た!」
「新しい呉のためにっ!先王、孫文台の悲願を叶えるためにっ!」
「天に向かって高らかに詠い上げようではないか!誇り高き我らの勇と武を!」
「敵は無法無体の黄巾党!獣じみた盗賊共に容赦は不要!孫呉の力を見せつけよ!」
「剣を振るえ!矢を放て!正義は我ら孫呉にあり!」
その号令とともに、兵たちが雄叫びをあげる。
「全軍、抜刀せい!」
「全軍突撃せよ!」
ここに、孫呉復興のための第一歩が始まった。