DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
謎の白い空間
男は気がつくと謎の白い空間にいた。
目の前には机と、その上に大量の書類らしきものが積まれている。
(これって、よくある転生とかそういうのか?)
男は現状を把握するために周りを見回している。
(たぶんどこかに神っぽいなにかがいるはずだけど……書類の山からなんか聞こえる)
男は聞こえてくる音を確認するために、机の裏に回るとスーツを着た金色の髪が長い女性が机にうつ伏せで寝ている。
(この人が神様……? なんか普通の人みたいだけど、てか書類がひどいことになってる)
男はとりあえず、目の前の女性を起こすことにした。
「もしもし? お姉さん、起きてください」
声を掛けて見たが女性は無反応だ。
男は起こすために肩も揺らしてみる。
「すいません、起きてください」
「んん……」
肩を揺らされたのか女性は少し反応した。
「う~……あ、後5年」
「いや、長いよ」
女性の謎の寝言にツッコミしながら、男は起こすために続ける。
「起きないと大変ですよー。書類もやばいことになってますよー」
「う~……。書類……? し、仕事!」
女性は飛び起きた。
「わ、私どのぐらい寝ちゃっていましたか?!」
「さぁ? 自分が来た時にはすでに爆睡でした」
「やばい、早く終わらせないと! って、書類に涎が!」
女性は男に聞いた後、机の書類を処理しだした。
仕事の邪魔になることに悪いと思いながら、男は女性に声を掛ける。
「あの~お姉さん?」
「少し! 少しだけ待っててください! すぐに終わらせますから!」
女性はそう言い残すと、書類の処理に集中しだした。
男は待つために何か椅子のようなものを探そうとしたが……
(やっぱ何もないな……地面って言っていいのか判らないけど座って待つか)
結局諦めてその場に座り込んだ。
しばらく時間が経って、男が眠気に負けそうになっていると、女性に変化が現れた。
「ふぃ~……とりあえず、緊急の書類が終わりました~……すみませーん!」
その呼び声は男に向けられたものと思ったので、男は女性に近づいた。
「それじゃ、こちらを書類を届けてくださいね」
女性は男に渡そうとするが、男は受け取りません。
「どうしましたか? もしかして何かミスありましたか?!」
「あ~そうじゃなくてですね……」
そこで女性が気づきました。
「……っていうか、貴方は誰なんですか?!」
「今更かよ」
ようやく、男の存在に気付いた女性に説明をします。
「部屋で寝ていて気が付いたらここにいたのですか?」
「少なくとも自分の最後の記憶がそれだった」
男は自分がここに来る前の状況を説明します。
特に死ぬ体験もしてないので、もしかしたらこの女性が呼び出したのかと思っていましたが、それも違うようです。
「む~……あ、そうだ!」
女性が少し悩むと徐に何もない空間を指で突いています。
男はその行動を不思議に思い聞いてみます。
「あの、何をしているんですか?」
「はい! 今この部屋に入ってきた人のログを調べています」
「ログですか?」
「この仕事部屋に出入りする時は、必ずその痕跡が残るのです! おかげでサボることができません!」
女性は調べつつ不満を零します。
(おそらく、女性の目の前にSFでよくある画面がでているんだろうな……)
男は女性の作業を静かに見守っていると、動きが止まりました。
「あれ?」
「どうしました?」
「変ですね……ログに貴方のことがありません。えっと人間さんなんですよね?」
「少なくとも自分はそうだと生きてきました」
女性は首をかしげて悩んでいます。
そして、男の方をジッと見続けているので、男が聞きます。
「あの……なんですか?」
「む~……確かに普通の人間なんですよね。もう一度、貴方の事をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。それはいいんですが……何を話せば?」
「いろいろ質問しますので、答えれる範囲でお願いします」
女性は男にいろいろ質問を投げかけていきました。
「チキュウ? ってところのニホンジン? って人種ですか……それだけでの情報じゃ少し探すのが難しいですね」
「そうなんですか?」
「はい、貴方に質問して答えてもらった情報で検索をしたら、結果が564穣出ました」
「数字がデカすぎて、難しいってのは分かった……」
男は、女性から聞いた情報に思わず頭を抱えました。
それを見た女性が謝罪します。
「私が探せれば良いのですが、残念ながら得意じゃないですし、なによりまだまだ仕事が……」
「いや、これたぶん災害みたいな感じですし、貴方が悪いわけじゃありませんよ」
「本当にすみません」
「いやいや」
お互いに謝り返すので切りがありません。
「あ、そうだ! 確かこういう事が得意な方が居ますので、その方に頼んでみますね」
「本当ですか。有り難う御座います」
「ただ、その方も忙しいので、連絡着くのに時間がかかると思います」
「こちらが頼んでいる身なので多少時間が掛かるのは問題ありません。ちなみにどの位掛かりますか?」
「そんなには掛からないと思いますよ。ざっと90年くらいかと思います」
「いや、長いよ」
「へう?!」
聞いた時間に思わずツッコミを入れてしまった男。
少し取り乱した女性が提案します。
「あ、そうだ! よろしければその間こちらで過ごすのは如何でしょうか?」
「90年をですか……?」
「はい。こちらに居れば90年なんて、あっという間ですよ!」
(時間の感覚の違いが分かってないんだけど……かと言ってそれを指摘するのも野暮か)
「ではよろしくお願いします」
「はい。それでは、そちらのソファーでお待ちください」
すると女性は何もない白い空間に手を向けました。
男はそれを指摘します。
「ソファーって、どこにあるんですか?」
「はい? もう、何言っているんですか。すぐそこにあるやつですよ?」
「すぐそこって……真っ白で何もないのですが……?」
「え?」
男の答えを聞いて、ポカーンとした顔をした女性。
しかし、理解したのかすぐに青ざめていきました。
「もしかしてなんですけれど……この部屋を認識してないのですか?」
「今見えているのは、貴方と机と文字化け起こしている書類の山だけですね。後は全部真っ白です」
「た、たた、大変です!」
男の答えを聞いて女性が驚きの声をあげます。
男には何が大変なのか分かりませんでしたが、女性の次の言葉で理解します。
「このままじゃ、貴方は消えて消滅してしまいます!」
それは、ある意味での死刑宣告だったのです。