DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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一時帰還して……

 エレナ達との食事会が終わった後、キットとソフィーは帰ることにしました。

 

「あの、本当に泊まらなくて、宜しいんですか? 確かにうちは狭いですが、頑張れば寝れる場所くらい作れますよ」

「いえ、大丈夫です。スープ本当にありがとうございます」

「美味しかったわよ~」

 

 最初の説明で、キット達が遠いところから来たと聞いていたエレナは、心配そうに言います。

 それを大丈夫とソフィーが胸を張って言います。

 

「それじゃ、そろそろ行くわね」

「おう、また明日な! 2人共」

「またね、スラきち」

「じゃあね。それじゃ……」

「あ、待ったソフィー」

 

 ソフィーが呪文を唱えようとしたところで、キットは何か突然思い出したのか止めました。

 そして、指輪をタッチして作業をしていると、小さな子袋を取り出した。

 

「エレナさん。これをどうぞ」

「はい?」

 

 キットに渡された子袋の中身を見てみると、そこには少量のゴールドが入っていました。

 

「ここ、こんなの受け取れませんよ!」

「別にコレはお礼とかそんなんじゃありませんよ」

「へ?」

 

 キットの言葉に混乱するエレナ。

 そして、キットは説明します。

 

「これから、俺は沢山のモンスター達を仲間にします。そのモンスター達のお世話をお願いするため報酬です」

「お、お世話をするのは牧場主としての当然の義務ですよ。だから受け取れません」

 

 エレナは自分の仕事の事を、キットに強く言います。

 そして、キットは罰が悪そうに言います。

 

「まぁ、オブラートを外した言い方するなら、これからもっと迷惑をかける予定なので」

「迷惑ですか?」

「今はまだ、あの程度の数なんですが、近いうちにすごいことになるので、それらのお世話を全部丸投げしちゃうので」

「なんか、怖いんですけど……」

 

 キットの言葉に少し、不安がるエレナ。

 それをスラきちが助け舟だします。

 

「いいじゃねぇか、貰っとけよ、エレナ」

「スラきち。でも……」

「今日の飯だって、だいぶ無理したんだろ? 明日の朝が貧相じゃ、俺は嫌だぜ?」

「スラきち!」

 

 スラきちの言葉を強くしかるエレナ。

 それを見て、キットは良いことを思いつきます。

 

「それじゃ、エレナさん。明日の朝ご飯の代金として受け取ってください」

「へ?」

「エレナさんのご飯。美味しかったので、また食べたいですし」

 

 笑顔で言うキットについにエレナが折れます。

 

「わかりました。腕によりをかけて作って待ってますね」

「お♪ 私もお願いね」

「はい。わかりました」

 

 どさくさにソフィーもお願いしました。

 そして、終わったのを確認して、ソフィーが呪文を唱えます。

 

「それじゃ、行くわよ。『ルーラ』」

「きゃっ!」

 

 突然の光に驚いたエレナは、光が収まった後を見てみると、2人がいません。

 その事で慌てるエレナをスラきちが落ち着かせます。

 

「スス、スラきち! 2人が消えたよ?!」

「落ち着けよ、エレナ。ソフィーやつ、ルーラを使えたのか」

 

 スラきちはエレナに、ルーラの説明を始めました。

 

 

 

 光が収まると、キットは自分が元居た場所に居ました。

 自分が旅立った時と、状況が同じだったので混乱しています。

 

「もしかして、夢だった……?」

「んなわけないじゃん」

 

 ソフィーの声で振り返り、夢じゃないと判断しました。

 そして、ソフィーに聞きます。

 

「向うでは夜だったのに、こっちだとまだ日が高いんだけど」

「ふふん♪ すごいでしょ」

 

 キットの驚きの、ソフィーは楽しそうに説明します。

 

「アンタの指摘通りに、あっちに行っている間は、こっちでは私たちは消えているわけよ」

「ふむ」

「当然、人が消えたら問題なわけで、そこで神様が特別に作ったのが『神・ルーラ』ってわけ」

「へ、へぇー」

 

 ドヤ顔で語るソフィーに、思わず顔が引きつるキット。

 それに気づかないで、ソフィーは続けます。

 

「この『神・ルーラ』は普通のルーラと違い、別世界に旅立てるだけじゃないの。旅立ったの世界の時間を記憶することができるのよ」

「なるほど。ということは、ずっと向うに入れるって事?」

「残念ながら、そこらへん含めて色々注意事項があるのよ」

 

 そういって、ソフィーは紙の束を取り出して説明します。

 

「まず一つ目。この世界から別世界に飛べるけど、別世界から別世界には飛べないの」

「そうなんだ」

「説明書によると、そんなことすると、いろいろおかしくなるみたい」

「まぁ、世界を飛び越えるからね」

 

 ソフィーの説明を聞いて納得するキット。

 

「次に二つ目。別世界に居れる時間は、1週間が好ましいみたい」

「なんで?」

「世界の防衛反応が働くみたい。ただ、追い出せる力は世界自体に無いから、衰弱死みたいな感じになるんだって」

「怖!」

「計算だと、1ヶ月くらいで風邪みたいな症状がでて、だんだん弱っていくみたい。その影響が出ないのが1週間だって」

「ちなみに、1週間以上いて戻ってきた場合は?」

「その場合は、ちょっと体が怠いかなって感じだって」

 

 資料を見ながら答えるソフィー。

 思っていた以上に異世界渡航は大変のようだ。

 

「そして3つ目。別世界から戻ってきたら、その世界に居た時間と同程度、同じ時間元の世界に居ないと、この呪文は使えないって」

「そうなの?」

「理由は、さっきの体調不良の回復と、時間の帳尻を合わせるみたいよ。あちらの時間とこちらの時間をリンクさせるみたい。だから、今はあちらの世界はまだ朝方なんだと思うわよ」

「な、なるほど」

 

 ソフィーの説明になんとかついていこうと頑張るキット。

 そのキットを見て、ソフィーは纏めます。

 

「つまり、別世界に行けるのはあの世界だけで、別に時間をそこまで気にしないで良いってことよ」

「了解」

「よろしい」

 

 そうして、キットは納得して、自分周りを見回します。

 書庫の摘まれた本を見て中身を見ます。

 

「おお、めっちゃくちゃ読みやすい」

「それはよかったわね」

「とりあえず、明日の朝までこっちで過ごすのは確定だけど、その間ソフィーはどうするの?」

「キットの様子を眺めて様かしら」

「やめた方が良いと思うぞ」

 

 ソフィーの提案に、キットは難色を示します。

 それを勘違いしたのかソフィーが胸を張って言います。

 

「大丈夫よ。アンタ以外に見えなくなることができるんだから」

「そっちの心配はしてないんだけど……まぁ、いいか」

(説明するより、見た方が早いな)

 

 キットはそう判断すると、今日の予定を思い出して黙ります。

 

 

 

 その日の夜。

 キットの部屋で、ソフィーがとても怒っています。

 

「なんなのよ! あれは!」

「だから言ったのに」

 

 キットに対して、この屋敷の住人の態度を思い出して叫びます。

 

「使用人は、キットに対して目も合わせないし、通り過ぎたら笑いながら陰口を言う! 午後の剣を教える奴なんか、キットを邪魔扱い! 両親なんか、弟の方を可愛がるし! その弟もムカつくわ!」

「いつもどおりだな」

 

 ソフィーの言葉に対して、キットは特に気にしていません。

 その態度キットの態度に、ソフィーは落ち込みました。

 

「ソフィー。どしたの?」

「……ごめんなさい」

 

 突然のソフィーの謝罪に、キットは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしました。

 そして、その謝罪の意味を聞きます。

 

「なんで、ソフィーが謝るの?」

「だって、私がもっと早くアンタを見つけてあげればこんな目に合わなかったかもしれないじゃない」

「ああ、そゆこと」

 

 謝罪の意味を聞いて、キットはソフィーを慰めます。

 

「でも、見つけてくれたじゃん」

「違うの……」

「何が違う?」

「わ、私ね……」

 

 ソフィーは、言いにくそうに答えます。

 

「私、アンタを探さずに、久々の人間界に来たから遊び惚けたの……」

「マジで?」

「裕福な家庭だから大丈夫だって。ここまでひどい扱いだと知らなかったの……」

 

 ソフィーは、言いながら自己嫌悪に陥り泣いてしまいました。

 それにたいして、キットが言います。

 

「でも、見つけてくれた」

「だからそれは!」

「まぁ、最後まで聞いて」

 

 ソフィーを止めて、キットは語ります。

 

「知らなかったから、遊び惚けた。じゃあ、逆に知っていたら、凄く探してたって事だよね?」

「当然よ!」

「なら、それで良いじゃん」

「へう?」

 

 キットの言葉に、今度はソフィーが、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をします。

 

「「知らなかったんだから仕方ないじゃないか」そんな言い訳をされたらさすがに許さないけど、ソフィーは知ったことで、逆に自分の罪を意識して、俺に告白した。黙っていれば気づかれなかったのに」

「だってそれは」

「それは、俺に申し訳ないからだろ?」

「うん……」

「その罪の意識でちゃんと反省したんだ。それだけで、俺は許すよ」

 

 そう、キットは笑顔でソフィーに言います。

 その姿を見てソフィーは落ち込みます。

 

「許すって……でも、私は!」

「ああ、分かった。じゃあ、やっぱり許さない」

「えっ、ちょっ、へあ?!」

 

 キットの手の平返しで混乱するソフィー。

 その姿を笑いながら、キットは言います。

 

「許さないから、これからのサポートをより一層頑張る様に」

「ふえ?」

「今のソフィーは、許されたい。楽になりたい。でも、それは駄目だ。そんな感じでループになってる」

 

 そして、ソフィーに指を突き付けて言います。

 

「だから、許さない。そして、俺と一緒に旅をして、笑い、遊び、そのうち、こんな辛い人生を「ああ、そんなことあったな……」って笑い話になるまでに、簡単に処理できるようになるまで許さない」

「何それ……変なの」

 

 キットの言葉に、ソフィーは泣き顔から少し笑顔になりました。

 

「そうそう。正直、隣でうじうじされるより、笑ってくれた方が俺は嬉しいよ」

「うっさい」

「くくく」

 

 二人の笑い声が、寂しい部屋を少し明るくします。

 そして、ソフィーは気合を入れると宣言します。

 

「よし! アンタのサポートの件、このソフィー様に任せなさいよ!」

「ああ、頼りにしてるよ」

 

 ソフィーが回復したのか、キットは安心しました。

 そして、寝る準備をしていると、ソフィーが聞いてきます。

 

「でもさ、悔しくないの?」

「ん?」

「あいつらのアンタに対するひどいことよ」

「ん~……悔しかった」

 

 ソフィーに対して、下手に誤魔化すよりは正直に言った方が良いとおもったキットは語ります。

 

「でも、ソフィーが来てくれたからさ」

「それって」

 

 キットは笑顔でソフィーに言います。

 

「正直俺は慣れちゃったけど、ソフィーが怒ってくれて嬉しかった。信頼できる人が出来た感じでね」

「うん」

「それにさ、あいつ等の気持ちも分からんこともないさ」

「どういう意味?」

 

 キットの言葉にソフィーが疑問を投げかけます。

 キットは自分の考えを語ります。

 

「だってさ。長男が才能無しで、その弟が超優秀。どっちを優先するのか、俺でも優秀の方を大事にするよ」

「それは……」

「貴族の家なんだし、この家を継がせるなら優秀な方にするね」

「……」

 

 キットの言葉を黙って聞くソフィー。

 

「俺を反面教師にして、弟を優秀にする教育も効果があるみたいだしな」

「でも、それじゃキットが……」

「そして、使用人は全員平民なんだ。貴族の当主が決めた事に反発して人生潰すリスクを、彼らに求めるのは酷だよ」

「うん……」

「まぁ、最近のはちょっと調子に乗ってると思うけどな」

 

 少し愚痴をこぼすキットの言葉に、悲しそうになるソフィー。

 

「そんな顔しないでよ。ソフィー」

「でも……」

「今言ったでしょ? 悔しかった。もう過去形なんだよ」

「なんで?」

「ソフィーが来たからさ」

「私が?」

 

 キットは楽しそうに語ります。

 

「正直さ、今めちゃくちゃわくわくして楽しいんだ」

「そうなの?」

「可愛い妖精が来て、有名なドラクエの世界に行って、沢山の友達や仲間が出来て、一緒に冒険ができるんだぜ? こんなに楽しい事ってないんだよ」

「か、可愛いって!」

 

 突然の誉め言葉にソフィーは動揺します。

 そんなソフィーを気にしないでキットは続けます。

 

「だから、奴らの事なんて、気にならないんだよ」

「そ、そう」

「ソフィーが奴らの事に対して、自分が悪いと思わないでくれ。ソフィーの罪は知らずに遊び惚けた事だけだ。わかった?」

「うん……」

 

 キットの言葉に「本当にそうなのか?」「自分が早く来れば、もう少し違ったんじゃないのか?」悩むソフィー。

 だが、キットの次の言葉でその考えは吹き飛びます。

 

「あいつらにはちゃんと復讐するし」

「へ?」

「俺が大人になって、この家を出たら、必ず、何らかの制裁を加えてやる」

(な、なんか、怖い事言い出した!)

 

 真顔で語るキットに、ソフィーは思わずたじろぎます。

 キットはソフィーに聞きたいことを思い出したので、彼女に尋ねます。

 

「そういえば、モンスター達はこっちの世界に連れてこれるんだよね?」

「ええ、そうよ。今日は問題になりそうだから連れてくるのやめたけど」

 

 ソフィーの気づかいに、感謝したキットはさらに聞きます。

 

「うん、ありがとう。ちなみにやり方は?」

「方法は、私のルーラで一緒に連れてくることができるわ」

「なるほど」

「ちなみに、体調不良のルールも適用されるけど、キットより長くこちらに居れるわよ」

「なんでだ?」

 

 キットの疑問にソフィーが答えます。

 

「人間とモンスターじゃ、体の作りも違うからね。後、指輪の加護でさらに伸びるみたいよ」

「なるほど」

 

 キットはやり方を聞いて、少し考えます。

 

「なんなら、明日、連れて来てみる?」

「そうだね。明日の帰りに連れてこよう」

 

 そう話して、キットは寝るために部屋の明かりを消します。

 

「それじゃ、ソフィー。おやすみ」

「ええ、おやすみ。キット」

 

 キットは自分の寝床に、ソフィーはキットが用意した寝床にそれぞれ分かれて寝ることにしました。

 こうして、キットの人生が大きく変わった1日が終わった。

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