DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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勇者を名乗る少年

 光が収まると、目の前に沢山の木が見えました。

 キットは周りを見回すと、其処は森の中でした。

 

「ここが、異世界?」

「そうみたいね」

「い、意外と余裕だな!」

 

 皆の声を聴いて無事来れたようだ。

 キットが後ろを振り返ると、光る陣のようなものがあります。

 

「この陣に入れば帰れるのか」

「おいおい。さすがに、来て早々いきなり帰らないよな?」

「さすがにそんなことしないよ。ただの確認だけだよ」

 

 スラきちの言葉を、キットは否定して安心させます。

 そして、前を向いて出発します。

 

「それじゃ、行くよ皆」

「おう!」「ぴぃ!」「キキ!」「チュ!」

「気を付けなさいよ」

 

 キット達は陣から離れて進みます。

 少し進んだところでモンスターと遭遇します。

 スライムとぶちスライムが現れた。

 

「皆、戦闘準備!」

「了解! スラリン、行こうぜ!」

「ぴぃ!」

 

 先手必勝とばかりに、こちらのスライム2匹が、ぶちスライムに向かいます。

 ぶちスライムはそれに耐えられず、やられます。

 

「さすが。ロジャーとピンキーもお願い」

「キキ!」「チュウ!」

 

 そのまま、スライムを倒しました。

 

「よっしゃ! 余裕だったぜ」

「まぁ、最初でレベル上げていたから当然ね」

「でも、油断しないで行こうか」

「おう!」

 

 皆が気合を入れて先に行こうとすると、森の中から叫び声が聞こえました。

 

「今何か聞こえなかったかしら?」

「人の声みたいだったぞ!」

「とりあえず、行ってみよう!」

 

 キット達は、叫び声の聞こえた方に向かうと、そこには革の鎧を着て、木の剣を持った男性が倒れていて、モンスター達に囲まれていました。

 モンスターはスライム2匹とベビーパンサーとオコボルトです。

 

「大変だ! 皆、あの人を助けるよ!」

「了解!」

 

 モンスター達を見つけた! 

 モンスター達はおどろき、とまどっている。

 

「よし、チャンスだ! スラきちは攻撃呪文、他の皆はオコボルトとベビーパンサーを攻撃」

「よし! 『ギラ』」

「『メラ』」「キキ!」「チュ!」

 

 キット達が突然現れ、先制攻撃を食らったモンスター達。

 その攻撃で、残りはスライム達だけになりました。

 

「よし! スラリン行くぜ!」

「ぴぃ!」

 

 残りをスラきち達が倒して、戦闘は楽勝に終わりました。

 

「皆、お疲れ様」

「おう。その人間は大丈夫か?」

「確認してみるわ。……大丈夫、気絶してるだけみたいよ」

 

 ソフィーが男性の様子を見ると、呼吸はしていました。

 男性をじっくり観察してみると、キットより少し年上の、13歳くらいです。

 

「外傷は無さそう?」

「恐らくね。一応ホイミくらいしておく?」

「そうだね。スラリンお願い」

「ぴぃ。『ホイミ』」

 

 スラリンの回復呪文が男の体を包みます。

 痛みが和らいだのか、男の表情が少し楽になっています。

 キットは男が持っていた木の剣を見ます。

 

「へぇ。これ手作りだ」

「こいつが作ったのか?」

「それよりも、この人どうするの?」

 

 ソフィーが男の対応を聞きます。

 キットは特に迷うことなく言います。

 

「とりあえず、起こしてみようか」

「どうやって?」

「声を掛けて、体を揺らしてみるよ」

 

 キットは声を掛けて、男を起こしてみます。

 

「もしも~し。お兄さん、起きてください」

「ううん……メリー、もうちょい寝かせてくれよ……」

「誰だよ。ここで寝ていたら、モンスターに襲われて、死んじゃいますよ?」

 

 男は知らない名前を呟いて、起きるのを嫌がります。

 キットが状況を説明すると男の反応が変わりました。

 

「モンスター……? は、そうだ!」

「あ、起きた」

「おのれ! モンスターめ。しかし、俺は負けないぞ!」

 

 突然起きて、目の前にスラリンが見えたのか、男が襲い掛かりました。

 

「食らえ! モンスター!」

「そのスライムは味方でって、えぇ……」

「ぴ」

 

 男は持っていた木の剣を、スラリンに向かって振り下ろしますが、簡単に避けられました。

 スラリンが強いのではなく、男の剣の腕が下手すぎるからです。

 才能の無いキットでも、その下手さがわかります。

 

「やるな! モンスターめ!」

「ぴぃ!」

「ぐは!」

 

 攻撃されたので、スラリンが反撃をします。

 男は、その反撃を受けて地面に倒れこみます。

 その様子を皆が呆れています。

 

「よっわ」

「ソフィー言っちゃだめ。あの、お兄さん大丈夫ですか?」

 

 キットが声を掛けて、男はようやくキットの存在を確認します。

 

「君は?! いや、それよりも、早く離れるんだ! あのスライムはとても危険な存在だ。俺が囮になっている間に早く!」

「煎じて丸めた、やくそう攻撃~」

「苦!」

 

 男を落ち着かせるのと、回復もかねて、キットは事前に用意した、やくそうの丸薬を、男の口に入れます。

 あまりの苦さに男は苦しみます。

 

「やくそうって患部に当てて、包帯で固定する使い方じゃないの?」

「一応、これでも効果あるみたい。ただ、苦いのと、そこまで効果が変わらないから、使われなくなったみたい」

「スラリンを襲ったんだ。これくらいやっても良いんじゃね」

 

 男はやくそうの苦さで正気に戻ったのか、スラきちと楽しそうに話すキットを見て、男が気づきます。

 

「モンスターと仲良く話しているだと……? そうか君は!」

「ようやく、落ち着きましたか」

 

 キットは男に近づいて、事情を説明しようとしますが。

 

「おのれ! 人間の姿をした魔族か! ここで会ったが100年目だ! 覚悟!」

「追撃の、生のやくそう攻撃~」

「苦い!」

 

 男の口に、無理やりやくそうをねじ込んで、黙らせます。

 そしてキットは、苦しんでいる男に自分の自己紹介を事情を説明します。

 

「初めまして、僕はキット。れっきとした人間で、モンスターマスターを目指しています。ここには皆の修行の為に来ました」

「うう……も、モンスターマスター? 聞いたことないな」

「少なくとも、お兄さんの敵なら、やくそうを与えないと思いますよ」

「た、確かに」

 

 キットの言葉で、ようやく理解した男は、謝罪をします。

 

「すまない。気が動転していたようだ」

「謝罪なら、スラリンにお願いします」

「ぴぃ」

 

 キットがスラリンを、男の前に持っていきます。

 その姿に驚きつつも改めて謝罪します。

 

「スラリン君、だね? 先ほどはすまなかった」

「ぴぃ」

「許すってさ」

「スライムが喋った?!」

「今更かよ」

 

 スラきちが通訳すると、喋ることに男は驚きました。

 このままじゃ、話が進まないと判断したキットは、男の素性を聞きます。

 

「それで、お兄さんは何処のどなたで、なんでこの森にいるんですか?」

「え、ああ、俺か。俺はだね」

 

 男は立ち上がり、剣を掲げて言う。

 

「俺の名前は「ロルド」。勇者を目指すものだ!」

 

 勇者と名乗りだして、場が静かになった。

 

 

 

「つまり、ロルドさんは、村の作物を荒らす、モンスター達を倒すために、この森に来たのですか」

「そうだよ。勇者だからね!」

 

 やたらと、勇者を連呼するロルドの説明を、分かりやすくするためにキットが要約した。

 それに続けて、スラきちが言います。

 

「んで、森に入って、草むらを抜けたら、突然モンスターが目の前に居て、驚いて転んで気絶したと」

「そう……違う! あれはモンスターの罠だったんだ!」

「そんなわけないでしょ」

 

 ロルドは、一瞬肯定しかけて否定します。

 その様子をソフィーが呆れています。

 

「大体の事情はわかりました。ロルドさん、貴方は……」

「そこまでだよ、キット君。君の言いたいことは分かっている!」

「はい?」

 

 キットは、ロルドの安全のため、村に戻るように言おうとしましたが、それを止められました。

 そして、驚きの発言をしました。

 

「この勇者ロルドのお供に、なりたいんだね!」

「いえ、違います」

 

 その頓珍漢な事を、キットは否定します。

 しかし、ロルドはそれを勘違いしてさらに言います。

 

「大丈夫! 恥ずかしがらなくていいんだよ!」

「あの、だから……」

「確かに君はモンスターを連れている。しかし、君のモンスター達は良い心を持っている! だから恥じる必要はないんだよ!」

「この人間、話を聞かねぇな……」

 

 一気に捲し立てるロルドに、キット達は呆れています。

 そして、ソフィーがキットに聞きます。

 

「キット、どうするのよ?」

「う~ん……」

 

 キットは悩んで、ロルドの方を向いて言います。

 

「ロルドさん」

「何だい? おっと、リーダーは俺だぜ!」

「少し、皆と相談します」

 

 そう言って、皆と少し離れたところで、円陣を組み内緒話をします。

 スラきちが最初に発言します。

 

「それで、本当にどうするんだ?」

「無視していいんじゃない?」

 

 ソフィーがうんざりした表情でいいます。

 それに対してキットが言います。

 

「けど、下手に置いていくと死んじゃうよ? あの人」

「あの、剣の腕だもんなー」

 

 先ほどの流れを、スラきちが思い出して言います。

 いくらスラリンのレベルが高いとは言え、あそこまで酷いのはありえません。

 

「じゃあ、連れて行くの?」

「そうだね。村に近い森って言っていたし、この森の地理も詳しいでしょ」

「大丈夫かよ……」

 

 不安がるスラきちに、キットが指輪を見せます。

 

「このスカウトリングの、マップ機能で道は記録してるから、誘導してみるよ。あの人単純そうだし」

「う~ん……キットが決めたんなら従うよ」

「ぴぃ」「キキ」「チュウ」

 

 少し、不満そうな皆を見て、キットが言います。

 

「皆ごめんね。大変だと思うけど、俺もフォローするよ」

「本当に頼むぜ」

 

 話し合いが終わり、キットはロルドに向き合います。

 

「それじゃ、ロルドさん。よろしくお願いします」

「本当かい! 良かった……じゃない。ああ、大船に乗った気持ちでいたまえ!」

 

 ロルドが胸を叩いて言います。

 その様子を、ソフィーがキットにだけ聞こえるように呟きます。

 

「泥船じゃないといいわね……」

「ソフィー……言わないで」

 

 こうして、勇者一行(?)の森の探索が始まりました。

 勇者見習いロルドの仲間になった!

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