DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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勇者見習いの実力は……

 森の中を進んで何回かモンスター戦闘をした。

 ロルドは、リーダーシップを発揮しようとしていたが。

 

「よし! 僕に続け! ヤー! ギャー!」

「2コマでやられた」

 

 こんな感じで、突っ込んではやられるのを繰り返していくうちに。

 

「スラきちとスラリンが呪文攻撃! ロジャーは攪乱! ピンキーとロルドさんは、油断してる所をトドメだ!」

「わかった!」「ぴぃ!」「キキ!」「チュ!」

「任せてくれ!」

 

 キットの指示に答えるロルドを、ソフィーが眺めて言います。

 

「すっかり馴染んじゃったわね」

 

 戦闘が終わって、キットが皆に声を掛けます。

 

「皆、大丈夫?」

「余裕だぜ」「ぴぃ」「キキ」「チュウ」

「ふぅふぅ、こ、コレくらい、なん、てこと、ないさ。ふぅふぅ」

 

 ロルド以外は、皆余裕そうです。

 その様子を見たソフィーが、キットに休憩を提案します。

 

「一度休憩しない?」

「そうだね。ロルドさん、この辺りで休憩しませんか?」

「い、いや。き、気遣い、は、無用だよ。ははは……」

 

 無理してるのが、バレバレのロルド。

 そんなロルドに、キットが別の理由で言います。

 

「いえ。スラきちとスラリンのMPが少し心許ないのと、僕が少しお腹が空いたので、それの兼ねての休憩です」

「あ、す、すまない。よし、それじゃ休もうか!」

「顔が凄い笑顔ね」

 

 ロルドはようやく休めると、その場に座り込みました。

 キットは指輪から、瓶を取り出して蓋を開けると、その場に中身をまき散らしました。

 その様子を、ロルドが聞いてきます。

 

「キット君。何をしているんだい?」

「聖水を撒いているんですよ。休憩の間、モンスターに襲われたくありませんし」

「せ、聖水だって! 高級品じゃないか!」

「そうなんですか?」

 

 ロルドの驚きに、キットは戸惑いを感じて言います。

 そのキットの反応に対して、ロルドが続けて言います。

 

「そうだよ! それ1本手に入れるのに、俺の4ヶ月分のお小遣いが必要なんだよ! それをこんな使い方するなんて、もったいない!」

「ロルドさんの小遣いが少ないってのはわかった。コレって、そんなに高級品なの?」

「さぁ?」

 

 ロルドの魂の叫びに、あまりピンと来てないキットとソフィー。

 しかし、スラきちは分かるのか、キットに言います。

 

「俺はよく分かるな。エレナにこの話したら、卒倒するから黙っていような」

「りょ、了解」

 

 スラきちの圧に、キットは頷きます。

 この話を終わらせるために、キットはエレナから貰った、サンドイッチを取り出します。

 

「あの、良ければ一緒に食べませんか?」

「ん? 良いのかい! ありがとう」

「皆と分けるので、量は少ないですけど」

 

 キットはサンドイッチを、分けて皆に渡していきます。

 

「エレナのサンドイッチうめぇ~」

「本当ね♪」

「ぴぃ♪」「キキ♪」「チュウ♪」

 

 皆が、サンドイッチに喜んでいるのを見て、キットも食べます。

 美味しくて、元気が湧いてくる味です。

 ふと、ロルドが静かなのが気になって、声を掛けます。

 

「ロルドさん。大丈夫ですか?」

「う……」

「う?」

「美味すぎる!!!」

 

 ロルドが突然叫びだして、キットは驚きます。

 

「こんなに美味いパンを食べたのは、初めてだよ!」

「それは、良かったですね」

 

 エレナのサンドイッチの味に感動したのか、キットに聞いてきます

 

「キット君! これは何処で手に入れたものなんだい?」

「知り合いのお姉さんが、お弁当で持たせてくれたものです」

「なんて、羨ましいんだ……」

 

 キットの言葉に、ロルドが落ち込んでいます。

 そこで、ふとキットが気になったので聞きます。

 

「ロルドさんは、何か食べる物を貰わなかったんですか?」

「あ~いや……」

「ちょっと、キット」

 

 キットを、ソフィーが止めて言います。

 

「あんまりそういう事を聞いちゃだめよ。人にはいろいろな事情があるんだから」

「あ。す、すいません。ロルドさん」

「え、あ、いや~……」

 

 気まずい雰囲気になってしまった。

 その空気を換えるべく、ロルドが言います。

 

「実を言うとだね……村には、黙って来たんだ」

「はい?」

 

 ロルドが懺悔をするかのように喋ります。

 

「村の作物を荒らされるって言ったけど、大人達が大声出して脅かせば、モンスター達はすぐに逃げて、森に引っ込んでいくから被害がそこまで無いんだ」

「なら、なんで此処に来ちゃったのよ?」

 

 ソフィーがロルドの言葉に疑問をいいます。

 ロルドは恥ずかしそうに言います。

 

「俺は、勇者を目指しているんだ」

「それは聞きました」

「けど、村の皆には「お前には無理だからやめとけ」って馬鹿にされているんだ」

「それは……」

 

 ロルドの言葉に、キットはどう返事をすればいいかわかりません。

 ロルドは話を続けます。

 

「それで、村長の家の古い書物に、この森の中心に祭壇があって、水が湧き出ているんだ」

「祭壇ですか?」

「今はやってないんだけど、昔の男達は、そこの祭壇の水を汲んで持って帰ることで、成人として認められていたんだ」

 

 ロルドの目的を聞いて、皆が呆れています。

 

「それをやって、鼻を明かしてやろうと思ったのね」

「はい……」

「けど、モンスターを甘く見過ぎよ。下手したら死んじゃっていたかもしれないじゃない」

「そうだな。俺達が通りかからなかったら、そうなっていたな」

「それについては、君達に感謝しきれないよ」

 

 ロルドは深く頭を下げた。

 ロルドは沈んだ顔で言います。

 

「俺は村に戻ることにするよ」

「いいの?」

「そもそも、成人の儀式って独りでやらなきゃ、意味がなかったんだ。でも、モンスターを相手にできないんじゃ、話にならないし」

 

 そう言ってロルドは、元来た道を戻ろうとします

 そんなロルドを見て、キットは立ち上がり言います

 

「ロルドさん。そろそろ出発しましょう」

「キット君?」

「僕も、その祭壇を見たくなりました」

 

 キットは、ロルドに手を差し伸べます。

 ロルドはその手を握ろうか迷っています。

 

「確かに、ロルドさんのやってることは無謀だと思います」

「うぐ……」

「でも、ここで諦めたら、本当に駄目だと思いますよ」

「でも、成人の儀式が……」

 

 渋るロルドに、キットが追い打ちを掛けます。

 

「ロルドさんの目指していたのは、成人なのですか?」

「え?」

「勇者を目指していたんじゃないんですか?」

「それは……」

 

 キットの言葉に、ロルドが自分の言った言葉を思い出します。

 そして、キットは笑顔で言います。

 

「僕の知ってる勇者の物語では、共に歩んでくれる仲間達がいました」

「そういえば、そうだ」

「確かに、独りでモンスターを相手にするのも勇気と言うのかもしれません。でも、自分の足りない部分を、恥として隠さず、仲間に助けを求めることが出来るのことも、1つの勇気だと僕は思います」

「キット君……」

 

 その言葉を聞いて、ロルドは励まされていることに気付きます。

 そして、改めてキット達に言います。

 

「ありがとう。改めて言うね。俺を森の奥の祭壇に連れて行ってくれないか?」

「わかりました。よろしくお願いします」

 

 2人が握手を交わしました。

 その様子をスラきちと、ソフィーが見て、笑顔で言います。

 

「お人よしね」

「足を引っ張るんじゃねぇぞ」

「分かった。皆もよろしくお願いするよ」

 

 改めて、勇者志望のロルドが仲間になった。

 先に進もうとして、キットが言います。

 

「あ、ただ。弱さを理由に、甘えてばっかりじゃだめなんで、コレが終わったら、村でしっかりと修行をして、強くなってくださいね」

「こ、この雰囲気で言うのかい?!」

 

 キットの発言で、ロルドが転けます。

 その様子を見て、他の皆が笑って、先に進むことにしました。

 

 

 

 しばらく進んで、戦闘を何回かしていると、ロルドも慣れてきたのか、少しは戦えるようになった。

 はなカワセミ、おおきづち2体、オコボルトの編成の魔物が現れた。

 キットが指示を出す。

 

「ピンキーはすなけむり。他の皆は、はなカワセミを撃破優先でお願い」

「キット君!」

「はい?」

 

 指示を出そうとすると、ロルドが止めてきた。

 

「すまないが、オコボルトを俺に任せてくれないか?」

「なぜですか?」

「剣を持った相手と戦う時の練習もしたいんだ。だめかい?」

 

 少し悩んだ後、キットは念を押すように言います。

 

「……危険と判断したら止めますからね」

「ありがとう」

 

 ロルドがオコボルトに向かって行きます。

 ロルドが軽く挑発すると、オコボルトはロルドしか見なくなりました。

 

「皆、ロルドさんがオコボルトを相手にしてる間に、他を倒すよ!」

「おう!」「ぴぃ!」「キキ!」「チュウ!」

「私は一応、ロルドの方を見ておくわ」

 

 キットの指示で、モンスター達を早々と倒していく。

 はなカワセミをすぐに倒して、すなけむりを食らったおおきづちは、攻撃を当てることができずに、そのままやられた。

 

「余裕だったぜ」

「おつかれさま。ロルドさんの方は……まだ、戦っている」

 

 キットは戦闘が終わり、ロルドの方を見てみると、まだ、戦闘している。

 ソフィーにどうだったか聞いてみます。

 

「戦況はどう?」

「お互い、攻撃が当たらないから、膠着状態ね」

「おいおい……」

 

 その話を聞いて、スラきちが呆れています。

 キットは、その様子をよく観察してみます。

 

「うわ! この、当たれ!」

「うぎ! うぎゃぎゃ!」

 

 ロルドは大げさな動きで攻撃を避けて、反撃も大振りなので避けられます。

 

「どうするの? 止める?」

「いや……」

 

 キットは少し悩んだと、ロルドに声を掛けます。

 

「ロルドさん! オコボルトをしっかり見つつ、少し離れて」

「キット君? わかった」

 

 キットの指示を聞いて、ロルドは離れます。

 ロルドの行動の変化に、オコボルトも戸惑い様子を窺っています。

 

「まずは、深呼吸して、落ち着いてください」

「あ、ああ」

 

 キットの指示で深呼吸して、興奮した気持ちを落ち着かせます。

 

「次に剣を両手でしっかりと構えて、相手の目をよく見るんです」

「目を? わ、わかった」

 

 ロルドはオコボルトの目をしっかりと見ます。

 それが挑発と思ったのか、オコボルトが剣を振り上げて、襲ってきます。

 

「く、来る!」

「そのまま慌てないで、相手をよく見て、横に避けてください」

「よし!」

 

 オコボルトの攻撃を、ロルドが避けたので、オコボルトの剣が地面に刺さり、大きな隙が出来ました。

 

「今です! 攻撃を!」

「やああ!」

 

 ロルドの攻撃が当たり、オコボルトがダメージを受けました。

 

「や、やった!」

「まだ、終わってませんよ。油断しないで、相手をよく見てください」

「わ、わかった」

 

 オコボルトが更に怒り、攻撃を仕掛けてきます。

 ロルドは、キットに言われたことを守って、相手の攻撃を見て、避けます。

 

「相手をよく見て……避ける! よし! このまま」

「駄目です!」

「って、うお!」

 

 このまま攻撃しようとしたら、オコボルトが剣を横に振りました。

 

「焦っちゃだめです。今のは、敵の攻撃の振りが弱かったので、反撃出来たのです」

「な、なるほど! よく見る……よく見る!」

 

 先ほどとは違い、キットの指示ありでの戦闘は、ロルドの有利になって行きました。

 そしてついに。

 

「やあぁぁ!」

「ぐぎゃ!」

 

 ロルドの一撃が入り、オコボルトを倒すことができました。

 

「や、やった!」

「おつかれさまでした」

 

 ロルドは、キットの指示ありでしたが、独りでモンスターを倒せた事に喜びました。

 

「キット君。ありがとう」

「どういたしまして」

「君の指示を聞くと、不思議と体が上手く動けるようになるんだ」

「それが、モンスターマスターの力だぜ」

 

 ロルドの言葉に、スラきちが説明します。

 それに、ロルドが驚き納得します。

 

「なるほど……モンスターマスターとは、凄いものだね」

「まだまだ、見習いですけどね」

「俺も、君の指示無しで戦えるように頑張らないとな!」

「その調子よ」

 

 キット達は、決意を新たに先を目指すのでした。

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