DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
ロルドがオコボルトを倒して、先に進もうとした時。
オコボルトが消えず、動き出そうとしています。
「うわ! 倒し切れてなかったか!」
「ロルドさん、待ってください」
身構えるロルドを、キットは止めます。
「な、なぜだい?」
「この子は、戦う気はないと思います」
オコボルトは、起き上がり、仲間になりたそうに、こちらを見ている。
仲間にしてあげますか?
「これから、よろしくね」
「あ、握手?! な、なにをしているんだね?!」
「ああ、それはだな」
キットの行動に、ロルドは驚いているので、スラきちがモンスターマスターについて説明しました。
「先ほどの指示だけじゃなくて、モンスターを仲間にしちゃうなんて、本当にすごいんだね」
「ありがとうございます」
「少し羨ましいな……俺も君みたいに立派な勇者に成れるかな……」
ロルドは、落ち込んだ表情で呟きました。
キットはそれを励ますように言います。
「勇者って成れるものじゃなくて、いつの間にか成っているものじゃないんですか?」
「成っているもの……?」
キットの言葉に、ロルドは顔を上げます。
「誰だって、最初は普通の人なんです。でも何かの切っ掛けで、勇気を出して戦いに向かい、いつの間にか人々に勇者って呼ばれるんだと思いますよ」
「そう……だな」
その言葉に、ロルドは少し元気を取り戻します。
「ありがとう、キット君。俺も頑張ってみるよ!」
「その調子です。さて、この子に名前を付けてあげないとね」
ロルドを元気付けた後、キットはオコボルトに向き直ります。
そして、少し悩んで、決めました。
「よし、怒りやすいので「ぷんぷん丸」にしよう」
「うわ~安直な名前ね……」
「さすがに、それは……」
キットのセンスに、ソフィーとロルドが呆れています。
「うきゃきゃ♪」
「喜んでいる?!」
「なんでかしらね……」
名前を付けて貰えたぷんぷん丸は、喜んでいる。
そのことに、ロルドが驚いて、ソフィーが不思議がります。
「ぷんぷん丸はとりあえず、後ろについて来てよ」
「うきゃ!」
ぷんぷん丸は頷き、他の仲間に挨拶をしています。
「うきゃ! うきゃきゃ! うきゃ!」「ぴぃ」「キキ」「チュウ」
「おう! そうだぜ!」
ぷんぷん丸の話に、モンスターの仲間達が同意の様な頷きをしています。
その様子を、ロルドがキットに聞きます。
「あれは、何を言っているのかな?」
「あ~僕もまだ未熟なので、分からないんです。スラきち。こっちに来て」
キットはスラきちを呼びます。
スラきちは呼ばれたので来ました。
「なんだ~?」
「ぷんぷん丸は、何て言っていたのかな?」
「ん? ああ……」
スラきちはロルドの方を少し見て、少し言いにくそうに答えます。
「俺が仲間になったのは、さっきまでへっぽこだった人間が、キットの指示で急に強くなったから、俺も仲間に成れば強くなれる! だってさ」
「ふぐぅ!」
「ああ、うん。ごめん」
スラきちの翻訳で、ロルドが精神ダメージを受けた。
その様子に、思わずキットが謝ります。
ソフィーが慌てて話題をそらします。
「そ、そろそろ出発しましょう」
「そ、そうだね!」
キットもそれに乗り、先を進みます。
進んでいると、回復の石碑を見つけましたが、少し変です。
それは、ダンジョンで見つけた物と同じなのですが、何故か半透明なのです。
「回復の石碑だよな?」
「なんで、半透明なのかしら?」
その、変な石碑を眺めていると、その様子をロルドが聞いてきます。
「キット君。どうしたんだい?」
「ロルドさん。この石碑が変なんですけど……」
キットは、石碑に指してロルドに聞いてみます。
ところが……
「石碑……? 何処にそんなものが?」
「はい?」
ロルドは、キットが差してる所を見ますが、まるでそこには何もない素振りをします。
その事にソフィーが怒ります。
「何言ってるの? ここにあるじゃない!」
「……ごめん。俺には何も見えないんだ」
「ソフィー待って。触って確かめてみる」
キットは、回復の石碑に触れます。
石碑に触れると、光がでて、仲間達を包みます。
「回復はできてるみたいだね」
「そうね」
皆のHPとMPが、回復したのを確認し、今度はロルドに聞いてみます。
「ロルドさんはどうですか?」
「えっと……特に変わりないかな」
ロルドは何が起こっているのか、気付いていない様子です。
そのことを、ソフィーと話し合います。
「この世界の住人には、見えないみたいね」
「なんでなんだろう?」
「たぶんだけど、石板で来た人限定なんじゃないかしら?」
「かな?」
疑問は尽きませんが、今は回復の石碑があると言うことは、目的地だと判断しました。
その証拠に、ロルドが言います。
「皆! 見てくれ」
「はい」
「何かしら?」
ロルドの呼び声に、言われた場所を見ると、祭壇があり、水が噴き出していました。
「おお~」
「遂に目的地に着いたのね」
その場所の雰囲気に、キットは思わず声を出してしまいました。
森の中にある祭壇は、とても奇麗で、水も透き通っていて、神秘的な雰囲気だったのです。
ロルドも、感動して言います。
「始めてきたけど、こんな素敵な場所だったとは」
「それで、あそこの水をくんでくればいいんだよな?」
「おっと、そうだった。えーっと、入れ物、入れ物」
スラきちが、ここに来た目的を確認すると、ロルドが水を汲んで入れる容器を探し出します。
しかし、キットがそれを止めます。
「ロルドさん。待ってください」
「なんでだい? キット君」
なぜ止められたのか分からないロルドは、キットに聞きます。
それについて説明するより、キットは指示を出します。
「皆、周りを警戒してくれ」
「おう」「ぴぃ」「キキ」「チュウ」
「わかったわ」
「いったい何が?」「うきゃ?」
突然の事に動揺をしている、ロルド。
しかし、その意味がすぐに分かりました。
祭壇の裏手の藪から、何かが起き上がってきました。
「ウルサイナ……ダレダ……」
「も、モンスター?!」
毛むくじゃらで、人間の様な体系をして、頭が猪のモンスター、オークが不機嫌そうな顔をしてこちらを睨んでいます。
こちらを認識したオークが言いました。
「ニンゲンダト……ナゼココニ?」
「ど、どうしよう?! キット君」
「とりあえず、挨拶してみましょう。こんにちは」
「いや、なんでよ」
動揺するロルドに、キットは落ち着いた様子で挨拶をします。
その様子にオークが笑い出します。
「ブハハハハ! オモシロイニンゲンダ、ヨクミレバ、モンスターヲ、ヒキツレテイルナ」
「僕はキットと言います。実はここの水を汲みにやってきました」
「ミズ? アア、コレカ、ホシケレバ、カッテニ、クンデイケ」
オークは祭壇の方を見て、つまらそうな表情でいいます。
キットが友好的に話している様子を見て、ロルドは安堵しました。
「よ、よかった。話の分かるモンスターもいるんだな」
「おい、兄ちゃん。力を抜くのはまだ早いぜ……」
「スラきち君?」
油断しているロルドに、スラきちが注意して言います。
オークとキットの会話が続きます。
「では、頂いていきますね」
「アア」
「……」
しかし、キットは祭壇に近づこうとしません。
「ドウシタ? ミズヲ、クムンジャナイノカ?」
「そうですね。貴方がその武器を持って、何処かに行ったら汲みます」
「ホウ……」
キットの言葉に、オークがにやりと笑います。
「ナゼ、ソウオモウ?」
「初対面の相手を、行き成り信用しないだけですよ」
「ナルホドナ」
「それと……」
「ム?」
キットの言葉に納得しかけたオークでしたが、キットが続きを喋ります。
「貴方が起きて、僕たちを見つけてから、嫌なオーラを出していますね」
「……」
「そして、それが段々と強くなっていってます。警戒するのは当然です」
「……チ、ウルサイガキメ……」
キットの言葉に、にやついていた顔が変わり、殺意の顔に変わりました。
「ヤハリ、タイワナド、メンドクサイ。サッサト、コロシテヤルカ」
「! キット君!」
「はい! 皆、戦闘準備!」
オークの言葉に、殺意が溢れてきます。
その雰囲気を感じ取って、全員が構えます。
「オロカニモ、ニンゲンニ、シタガウ、ウラギリモノドモメ。キサマラモ、ミナゴロシダ!」
オークが武器の槍を構えて、襲ってきた。
最初にオークが狙ったのは、スラきちでした。
「ヌウン!」
「あぶね!」
身構えていたのでスラきちは、避けることに成功しました。
その様子に、オークが感心してます。
「ホウ……タダノ、スライム、デハナイナ」
「当然だぜ! 次はこっちの番だ! 『ギラ』」
「ヌウ!」
スラきちの反撃のギラが炸裂します。
それに合わせて、キットも指示します。
「皆も続いて!」
「ぴぃ! 『メラ』」「『ドルマ』」「チュウ!」
「お、俺も行くぞ!」
スラリンとロジャーが呪文攻撃をして、ロルドとピンキーが自前の武器で攻撃をします。
その猛攻に、オークが怯みます。
「チィ……ナカナカ、ヤルナ」
「へ! スライムだからって舐めんなよ」
「皆、油断しないでね。ロルドさんも」
「わ、わかった」
キットの指示で、全員が次の行動を待ちます。
その様子を見て、オークの顔が変わりました。
「ナルホドナ。ウシロノ、ガキノ、チカラカ……」
「おっと。キットを狙うなら、俺達を倒してからにしてくれよ!」
オークが、キットを狙うと思ったのか、全員が警戒します。
しかし、オークはニヤリと笑います。
「ナルホドナ。オレ、ヒトリダト、コノママデワ、マケルナ……」
「降参しますか?」
「マサカ!」
キットの降伏勧告に対して、オークが否定します。
そして、そのまま突っ込んでくると思ったら。
「ククク……」
「後ろに下がった?」
「何をするつもりかしら?」
オークが後ろに下がり、息を大きく吸い込みました。
「ブレス攻撃? オークが? とにかく、皆防御だ!」
「おう!」「ぴぃ!」「キキ!」「ジュ!」
「わ、わかった!」
オークの息を吸い込む行動を、ブレス攻撃と判断したキットは、全員に防御を指示しました。
しかし、オークの行動は違いました。
「グルアアアアアアアアア!!!!」
「何?!」
「うるさ?!」
オークが突然叫びだしたので、全員思わず、耳を押さえてしまいました。
そして、オークがイラついた表情で喋ります。
「マサカ、コンナトコロデ、ツカウハメニ、ナルトハナ」
「使う? いったい何が?」
「スグニ、ワカルゾ」
オークの不可解な行動に、皆が混乱していると、森が騒がしくなってきました。
その様子に、全員が警戒しています。
「いったい何が?」
「キット! あっちから、何か来るわ!」
ソフィーの示す方向に目を向けると、茂みからモンスターが飛び出してきました。
そして、モンスターはオークの前に出て、まるで盾になる形になりました。
「森のモンスターを呼んだか?!」
「ククク……ソレダケジャナイゾ! 『ホイミ』」
「オークのやつが回復するぞ!」
オークは、自分に回復呪文を唱えて、傷を癒しています。
それを止めるために、キットが指示を出します。
「スラきち、スラリン、ロジャーは、呪文攻撃でオークを狙って。ピンキーはすなけむりだ」
「キット君! 俺は?」
「ロルドさんは警戒を!」
オークに集中砲火の指示を出すキットですが、その様子をオークがニヤリ顔で喋ります。
「コッチニ、シュウチュウデ、イイノカナ?」
「キット! 後ろからも来てるわ!」
「なんだって?!」
後ろから、モンスターの群れがやってきました。
どうやら、先ほどの叫びでこの祭壇に、次々とモンスター達が集まってくるようです。
「セイゼイ、ガンバッテ、ウシロノガキヲ、マモルンダナ! グハハハ!」
「ちくしょう!」
「これってやばくない?!」
「かなりピンチだね……」
キット達は、モンスターの群れに、囲まれてしまいました。