DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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ボスを倒して仲間になる、あるあるだな

 キット達が倒した、オークが起き上がってきました。

 まだ回復していないのか、頭を押さえて顔を左右に振っています。

 チャンスだと思い、スラきちが攻撃しようとキットに言います。

 

「キット! 先手必勝だ! 攻撃していいか?」

「うん……いや、待って」

「何?!」

 

 キットの言葉に、スラきちが戸惑っていました。

 先ほどまでトドメを推奨していたのに、何故か止めるからです。

 その事にロルドが聞いてきます。

 

「キット君。何故なんだい?」

「勘なんですけど、先ほどまでの嫌な気配をオークから感じないんです」

「そういや……そうだ」

「本当ね」

 

 キットの発言に、スラきちとソフィーが同意します。

 その様子を見て、ロルドは納得しました。

 そして、オークが喋りだします。

 

「何だ……体は痛いのに、頭がスッキリしている……?」

「こんにちは。体が痛いのは、僕たちと戦闘したからですよ」

「誰だ?!」

 

 キットの声に反応して、オークが振り向きます。

 人間の子供が自分の近くに居て驚きます。

 

「人の子供が何故こんな所に……というか、ここは何処だ?」

「ここは、森の中の祭壇がある場所ですが、覚えてないのですか?」

「森だと……? なぜ私が、そんな場所に居るのだ?」

 

 オークは先ほどと違って、明らかに様子が違います。

 その事について、ロルドが聞いてきます。

 

「キット君。あのオーク、何か変じゃないかい?」

「先ほどの事を覚えてない様子ですね」

「さっきの石の影響なのかしら?」

 

 思い当たる事は、先ほどの黒い石だと思いました。

 そして、その石を回収して、自分に影響が無いか不安になるキット。

 

(大丈夫だよな……? このスカウトリングは神様の特注だって言っていたから、それのおかげなのかな?)

「このオークに、詳しく聞いてみようか」

「気を付けてね」

 

 オークは、自分に何が遭ったのか思い出そうと悩んでいます。

 そこで、オークに自分達が遭遇した時の状況を説明するために話しかけます。

 

「すいません」

「いつも通り、狩りに行って……む、どうした?」

「貴方と遭遇した時から、先ほどまでの事を説明します。もしかしたら、何か思い出すかもしれませんよ?」

「ふむ、頼む」

 

 オークにいろいろ説明をします。

 説明を聞き終わったオークが驚愕しています。

 

「まさか、私がそんな事をしようとしていたとは……」

「はい。それで倒して戻って来たら、変な黒い石が落ちていたので回収しました」

「黒い石? それは今もあるのか?」

「あるんですけど、取り出せなくて。この指輪の中なんですが……」

「なるほど」

 

 キットから話を聞いて、黒い石の所にすごく反応しました。

 そして、オークの事情も聴きました。

 オークの住処は、草原で洞窟を家にして、主に採取と狩りを主として生活をしていた。

 争いは好まず、人間と会っても、武人でなければ見逃していました。

 

「そうだ、思い出した。あの日は野草を採ろうと歩いていたら、突然周りが暗くなったんだ」

「なるほど」

「とても嫌な気配だったので、すぐに移動しようと周りを見渡していたら、何か居たのだ」

「何かですか?」

 

 オークが見た者について説明しようと必死ですが、記憶が曖昧なのか、うまく言葉にできません。

 

「人かモンスターか、よくわからなかった。それでそいつが、腕か何かを伸ばして、私の体に黒い何かを埋め込んだのだ」

「黒い石はその時なのか……それで?」

「頭が痛くなり、意識も失って、気が付いたらこの状況だった」

「なるほど」

 

 オークの話を聞いて、キット達は先ほどの石の事を心配します。

 

「キット君。さっきの石大丈夫なのかい?」

「ねぇ、キット。本当に大丈夫なの?」

「だと思いたい……とりあえず、この特注スカウトリングを信じてる」

「……確かに、それを作ったのは、あの女神様じゃないから大丈夫ね」

「???」

 

 ソフィーの言葉に、キットを転生してくれた、うっかり女神が作ったわけじゃないので、少し安心します。

 ロルドはその事を知らないので、なぜ2人が安心しているのかわかりません。

 

「えっとロルドさん。この指輪って、とても神聖な物なので大丈夫なんです!」

「ほ、本当かい?」

「大丈夫よ。キットが変わったら私達がちゃんと止めるわ。そうでしょ? 皆」

「おう!」「ぴぃ!」「キキ!」「チュウ!」「ぎひ!」

 

 ソフィーの言葉に、モンスター達がテンションを溜めて答えます。

 

「それなら、安心だね」

「逆に怖いんだけど」

 

 自分が変わったら、ボコボコにされる未来に、恐怖するキットでした。

 その様子を見て、オークは思わず笑っています。

 

「人間とモンスターが、仲良くしているとは驚きだ」

「当然だぜ! キットはモンスターマスターだからな!」

「なるほどな……」

 

 スラきちの言葉に、オークが納得して頷きます。

 そして、深く考えて後、オークが言います。

 

「あの石に操られていたとはいえ、迷惑をかけてしまったようだ」

「あ、いえ」

「その恩を返したく思い、貴殿の仲間にしてくれないか?」

「はい?」

 

 オークの言葉に、キットは驚いて返事をしました。

 その事を勘違いしてオークが言います。

 

「確かに、殺そうとしてきたやつを仲間にする不安も分かります」

「あ~そこは別に……」

「それに、恩を返すなんて言っても、本当の所は自分の為でもあります」

「貴方の為ですか?」

 

 オークは、自分の武器を握りしめて、悔しそうに言います。

 

「あの訳の分からないやつに出会った時、私は為す術はなく操られてしまいました」

「はい」

「もう一度対峙した時、今のままでは、また操られてしまいます。そこで貴方の元で修行して、抵抗できるようになりたいのです!」

「な、なるほど」

「どうか、お願いします!」

 

 オークはキットに深く頭を下げています。

 自分の不甲斐なさを克服して、強くなりたい思いで、キットにお願いをします。

 それをみて、キットは頷きます。

 

「わかりました」

「それでは!」

「まだまだ、新米マスターですがよろしくお願いします」

「おお! 有り難う御座います!」

 

 オークが、仲間になった。

 その様子を見ていた皆が言います。

 

「オークさんの気持ち俺もわかるな……」

「大丈夫なのかしら?」

「キットなら大丈夫だぜ」

 

 オークが仲間になったので、キットは名前を考えます。

 そして、決まりました。

 

「それじゃ、今日から貴方の名前は「ゴロウ」にします」

「おお! 仲間にしてくれるだけではなく名前までも! 感謝します、マスター殿!」

 

 ゴロウは名前を付けて貰って、とても喜んでいます。

 その様子を見て、ソフィーが近づいて来ます。

 

「……変な名前ね」

「まぁ、武人ぽいので、それっぽい名前がでてきた」

「まぁ、本人は喜んでいるんだしいいんじゃない?」

 

 ゴロウは他の仲間の元に挨拶に向かいます。

 

「改めて、本日より仲間になる、ゴロウを言う。よろしくお願いする」

「おう! 俺はスラきちだ! 先輩だから分からないことは何でも聞けよ!」

「ありがたい」

 

 スラきち達を挨拶をした後、ゴロウはロルドの方を向いて頭を下げます。

 

「貴殿の村を襲うとしていたようで、済まなかった」

「いえ。ゴロウさんも操られていたんだし、それにキット君が止めてくれたから、もう脅威はないみたい」

「それでも、一度は謝罪をさせてもらいます」

「わかりました」

 

 ロルドは、ゴロウの謝罪を受け入れます。

 こうしてゴロウは、皆に受け入れられていきました。

 

 

 

 一通り済んで、ここに来た目的を果たします。

 

「ロルドさん。今度こそ、水を汲みましょう」

「おっと、そうだね」

 

 キットの言葉で、思い出したロルドは、水を入れる容器を取り出して、祭壇に近づきます。

 少し苦労しながらも、祭壇の水を汲むことに成功しました。

 ロルドはキットの方を向いて頭を下げる。

 

「キット君。本当にありがとう」

「どういたしまして」

「正直、俺1人だったら死んでいたか、諦めていたところだよ」

「だよな」

「でしょうね」

 

 その言葉に、ソフィーとスラきちが同意します。

 その事に、キットが注意します。

 

「2人共、本当の事だけど言っちゃだめだよ」

「ひぐぅ……」

「キット。それフォローじゃなくて追い打ちよ」

 

 注意に見せかけた追い打ちで、ロルドが崩れ落ちます。

 

「ははは……良いんだよ、事実なんだし」

「まぁ、次からはもう少し強くなってから、挑戦してみると良いかもしれませんね」

「次?」

 

 キットの言葉に、理解できなかったロルドが聞き返します。

 

「今回は僕達の手助けでここまで来れました」

「うん」

「そして、ここまでの道と、モンスターの強さと恐ろしさを理解できましたね」

「それはよくわかった」

 

 ロルドは、ここまでの道中を思い出して頷きます。

 

「では、次に挑戦する時の目安が出来たのでそれに向けての特訓をがんばってください」

「次って……」

「村の儀式なら1回だろうけど、別に1回しか入れないってわけじゃないんですよね?」

「あ、そうか」

 

 キットの言葉の意味を、ロルドはようやく理解しました。

 そして、顔つきが変わって言います。

 

「そうだよ。別に何回でも、挑戦しても良いんだね」

「そうです。ただ、引き際を理解して安全で着実に攻略してくださいね」

「わかった」

 

 キットの言葉に、力強く頷くロルド。

 その様子を見ていた、ソフィーとスラきちも言います。

 

「後、剣の腕も磨きなさいよ」

「体力も足りてないな」

「うう……がんばります」

 

 こうして、目的を達成して、キット達は森の入り口に戻ることにした。

 

 

 

 キット達はルーラで帰れるのだが、ロルドにはそれが無いので送ることにした。

 その事に、ロルドはキット達に感謝します。

 

「本当に送ってもらってありがとう」

「いえいえ、ゴロウの実力も確認したかったので丁度良かったです」

「なるほど」

 

 その言葉に納得したロルド。

 キットは、メニュー画面を開いています。

 

「よし、ピンキーを控えに廻して、ゴロウをメインにチェンジしよう」

「チュ!」

「了解しました。マスター殿」

 

 ピンキーは、ぷんぷん丸と同じ場所に移動して、ゴロウがメインメンバーと並びました。

 

「新参者ですが、精いっぱい頑張ります」

「おう! よろしくな!」「ぴぃ!」「キキ!」

 

 ゴロウの挨拶を、他の3人が受け入れています。

 その事に対して、ソフィーが聞いてきます。

 

「なんで、ピンキーを控えにして、ゴロウを入れたの?」

「スラリンをメインヒーラーにして、ゴロウをサブにしたいから」

「なるほどね」

 

 キットの説明に、納得したソフィー。

 こうして、森を進んでいくと、途中でモンスターと遭遇しました。

 構成は、おおきづち、オコボルト2匹、プリズニャンのグループです。

 

「皆! よろしく!」

「おう!」「ぴぃ!」「キキ!」

「了解しました!」

「わかったよ!」

 

 戦闘が始まり、キットが指示を出します。

 

「まずスラきちは呪文、他の皆は、プリズニャンを狙って、その後オコボルト、おおきづちの順番だ!」

「わかった! 『ギラ』」

「ぴぃ!」「キキ!」

「承知!」

「いくぞ!」

 

 スラきちのギラと、スラリンの攻撃でプリズニャンを撃破。

 ロジャーの攻撃とゴロウの攻撃でオコボルト2匹を撃破します。

 そして、ロルドは……

 

「たあ!」

「ム!」

 

 倒しに行かずとも攻撃が着実に当てることが出来ています。

 

「ロルド殿、援護する! せい!」

「わ!」

 

 オコボルトを倒して、すぐにゴロウがおおきづちを攻撃します。

 その攻撃におおきづちは耐えられず、倒しました。

 その様子を見ていたソフィーが、呟きます。

 

「……ゴロウって強くない?」

「……なんか、操られていた時より強い気がする」

 

 さっき敵として戦ったよりも、攻撃の強さが違うゴロウの強さに、2人は驚きます。

 そんなことは知らず、ゴロウがロルドに手を差し伸べます。

 

「大丈夫か?」

「ありがとう、ゴロウさん。強いんだね」

「荒野でも、戦いはあったのでコレくらいはできます」

 

 その武人の行動にロルドが少し憧れの感情を覚えます。

 そして、キットは先ほどの疑問をゴロウに投げかけます。

 

「なんか、敵として操られて戦った時より、強い気がするんですが」

「俺もそう思う」

「そうなのですか?」

 

 キットとスラきちの言葉に、首をかしげるゴロウ。

 少し悩んで、ゴロウが1つの仮説を唱えます。

 

「そういえば、頭がスッキリしていたので、もしかしたら操られていた時は、モンスターの本能で戦っていたのかもしれません」

「なるほどな~」

「なるほどなのか?」

「まぁ、良い事ではありませんか」

「そうだね。強いことはいいじゃないか!」

 

 スラきちが納得して、キットが少し疑問に持ち、ゴロウとロルドが笑っています。

 そんな感じで、道中の敵を危なげも無く勝利して、キット達は進んでいくことにしました。

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