DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

25 / 52
森での実験

 街を出て街道を歩いていると、ソフィーが話しかけてきます。

 

「……さっきのやりとりは何なの?」

「まぁ、何時もの事だね」

 

 キットは、目的地に着く間説明をします。

 

「俺が街の外に出るのは、近くの森で薬草を採取する為なんだ」

「なんで、そんなことを?」

「1番は、お金にする為だね。家を追い出された後、何かしらで生計立てて行かないと生きて行けないと思ったからね」

 

 その言葉を聞いて、ソフィーは今までのキットの暮らしを思い出して頷きました。

 

「なるほど。ちなみに昨日行かなかったのは?」

「あの門番の人が非番だったから」

「ああ、そう……」

 

 キットの言葉に、ソフィーが少し呆れて言います。

 そして、ある程度歩くと、森が見えてきました。

 

「あの森なの?」

「そうだよ」

 

 キット達は、森の方へ歩いて行きました。

 

 

 

 森に着くと、リュックの中からスラリンとロジャーを出します。

 

「ぴぃ」「キキ」

「ごめんね。苦しくなかった?」

「ぴ!」「キキ!」

 

 問題ない、と言うように2匹は鳴きます。

 しかし、やっぱり少し窮屈だったのか少し体を伸ばしています。

 ソフィーが此処に来た目的を訪ねます。

 

「此処には、薬草採取だっけ?」

「それもだけど、1番は実験だね」

「実験?」

 

 キットの実験の言葉に、ソフィーは首を傾げて言います。

 その様子に目もくれず、キットはリングから採取用のハンドスコップと鎌を取り出します。

 

「それじゃ、先に進もうか」

「実験内容を説明してくれないの?」

「ああ、それはね」

 

 キットが、ソフィーの質問に答えます。

 

「この世界の魔物を倒した時に、仲間達に変化が有るかどうかの実験だよ」

 

 そう答えました。

 

 

 

 森を進んでいると、1匹の魔物と出会いました。

 人間の子供くらいの大きさの、緑色の肌をした、ゴブリンと呼ばれる魔物だ。

 キットが最初に見て、オコボルトに似ているなと思った魔物だ。

 

「グギャギャ!」

 

 ゴブリンはキットを見かけると襲ってきました。

 キットは落ち着いて、スラリンとロジャーに指示を出します。

 

「スラリン、ロジャー、戦闘準備!」

「ぴぃ!」「キキ!」

 

 スラリンとロジャーがキットの前に出てきました。

 ゴブリンは、その見たことない生物を見て、最初こそ警戒しましたが、そこまで強くなさそうなので、にやついています。

 

「げひ、げひ」

「ぴぃぃ!」「キー!」

「2人共落ち着いて、まずは、様子見の物理攻撃!」

 

 キットの指示を聞いて、スラリンがゴブリンに攻撃します。

 

「ぴぃ!」

「げぶ!」

 

 スラリンの攻撃がゴブリンの体に当たり、ゴブリンが後ろに転がります。

 思ったよりも早いので、避けることができず、中々のダメージだったのか、ゴブリンが怒っています。

 

「ガァァ!」

「ぴぴぃ♪」

 

 ゴブリンが自慢の爪でスラリンを攻撃しますが、軽く避けられます。

 その隙を狙って、ロジャーが攻撃します。

 

「キキー!」

「ぶげ!」

 

 ロジャーの上からの強襲を受けて、ゴブリンが痛みで転がります。

 大きな隙が出来たので、キットは更に指示を出します。

 

「よし、2人共、呪文攻撃だ!」

「ぴぃ! 『メラ』」「キキ! 『ドルマ』」

「げひ?!」

 

 火球と黒い雷球がゴブリンを襲います。

 火球がゴブリンに当たって弾け、黒い雷球が襲います。

 

「げぶ! がびびび!」

 

 二つの攻撃呪文を受けて、ゴブリンが動かなくなりました。

 その様子をキットが見て言います。

 

「死んだ……のかな?」

「ぴぃ?」「キキ?」

「見てこようか?」

 

 キットの疑問に、ソフィーが提案をします。

 キットは、少し考えて言います。

 

「一応念のために、ロジャー、もう1回攻撃呪文をお願い」

「キ『ドルマ』」

 

 ロジャーの呪文が、動かなくなったゴブリンに当たります。

 ゴブリンに当たるとビクンビクンと反応しますが、特に鳴き声などは言いません。

 

「死んだふりじゃないな。本当に死んでいるな」

「あっちの世界だと、煙と共に消えるんだけどね」

 

 ソフィーの言う通りに、こっちの魔物は、向うのモンスターと違い死んでも死体が消えません。

 その事にキットが言います。

 

「世界の法則が違うってことか」

「そうみたいね。ちなみに、スラリン達がこっちの世界でも力が使えるのは、そのスカウトリングを通してあっちの世界の力を受けてるからよ」

「なるほどね」

 

 ソフィーの説明を受けて、キットが納得した。

 キットは、メニュー画面を見て、実験の成果を確認します。

 

「お、スラリンとロジャーの経験値が増えてる。こっちの世界の魔物を倒しても入るんだな」

「さっき言ってた仲間達の変化って、それの事だったのね」

 

 ソフィーはキットが言っていた、実験内容を理解しました。

 その事に、キットが説明します。

 

「こっちに仲間達を連れて来て、レベルが上がるなら、そのうち魔物の討伐も視野にいれるかな」

「なるほどね。……また、デスマーチでも始めるの」

 

 ソフィーがうんざりした顔で、キットに言います。

 しかし、キットの答えは少し違いました。

 

「どうだろうな。経験値が入るのは有難いけど、死体が消えないからその処理が大変だからやらないかも」

「ああ、確かに」

 

 今死んだ、ゴブリンをどうするか、その問題を片づけるのを悩んでいます。

 

「このゴブリンの死体、どうするの?」

「そうだな……とりあえず穴掘って埋めるか」

「了解」

「スラリンとロジャーも手伝ってね」

「ぴぃ!」「キキ!」

 

 全員でゴブリンの死体を片づける作業を始めます。

 穴を掘り、その中に死体を入れて、また土をかけなおしました。

 

「この世界での魔物の処理って、これでいいの?」

「さぁ? 大抵は冒険者ギルドや狩猟ギルドの人達が相手にするんだけど、俺は建物に入ったことが無いから分からない」

 

 狩猟ギルドは、猛獣や魔物を狩猟する人たちが集まる、異世界では定番の互助会みたいなものだ。

 冒険者ギルドの方は、依頼を受けて狩猟以外の仕事もする人たちの事。

 キットはどちらにも入ったことが無いので、名前しか分からないのだ。

 

「なんで、入ったことないの?」

「年齢制限」

「あ、はい」

 

 大体、そういう系のに入るには、成人しないと入れないので、キットはまだ入れなかった。

 

「まぁ、成人して、家を追い出されてからだね。そっちの道に行くのは」

「なるほどね」

 

 キットの未来の話は、一旦置いとくことにして、ソフィーが次の事を聞きます。

 

「次はどうするの?」

「実験その2を始める」

「どんなの?」

 

 そう言うと、キットはスカウトリングから道具を取り出します。

 液体の入った瓶を取り出しました。

 

「それは、『せいすい』かしら?」

「正解。皆、集まって、振りかけるよ」

「ぴぃ」「キキ」

 

 キットに言われて、そばに集まったのを確認したら、瓶を開けて、中身を振りかけます。

 薄い光の膜が、皆を包み込みます。

 

「実験その2。あっちの世界の道具が、こっちの世界でも使えるかどうかだ」

「なるほどね」

「それじゃ、薬草探し開始」

「ぴぃ」「キキ」

 

 キット達は、森の中を進んで行きました。

 

 

 

 結果的に言えば、せいすいの効果は抜群でした。

 

「全然魔物が来ないわね」

「さすがドラクエアイテムだ。チート過ぎる」

 

 一応、先ほどと同じようにゴブリンが現れますが、キット達を見ると一目散に逃げて行きました。

 おかげで、森の中を安全に進めています。

 

「お、在ったコレだコレ」

「それが、求めていた薬草なの?」

 

 キットの目的の物を見たソフィーが感想を言います。

 

「……ただの草にしか見えない」

「まぁ、薬草って言ってもあっちの『やくそう』と違って、これで治療が出来るのは精々擦り傷くらいだけどね」

「あれと比べちゃだめよ」

 

 ソフィーが、ドラクエ産のやくそうの力を思い出して呟きます。

 キットは、慎重に採取します。

 

「根を傷つけないように、これでよし」

「それを後どのぐらい集めるの?」

「とりあえず、昼ぐらいまで集めようかな」

 

 ソフィーの質問に、キットが答えるとソフィーの顔がやる気に満ちてきます。

 

「なるほどね。それじゃ、私も探してくるわ」

「大丈夫? この森には、ゴブリン以外の魔物もいるし、迷わない?」

「それなら大丈夫よ。私はキットが付けているスカウトリングの位置が分かるし、そのリングにテレパシーを送って会話できるのよ」

「何それ超便利」

 

 ソフィーの能力に、キットが驚いていると、ソフィーは得意げになります。

 

「それにせいすいの効果があるし、一応安全のためにロジャーを借りていいかしら?」

「了解。なら、こっちはスラリンと行くよ」

 

 キット達は、二手に分かれて行動することにしました。

 キットは予備のハンドスコップと採取した薬草を入れる袋を出します。

 

「出来るだけ、根も一緒に採取してよ」

「了解。ロジャーこのスコップを持ってて」

「キキ」

 

 ロジャーがスコップを口に咥えて、ソフィーが袋を持ちます。

 キットが2人に言います。

 

「その袋にも『せいすい』がいくつか入っているけど、ヤバくなったらすぐに逃げてね」

「了解」「キキ!」

「それじゃ、また後で」

 

 ソフィーとロジャーが飛んで行きました。

 

「それじゃ、俺達も行こうか」

「ぴぴ♪」

 

 キット達も薬草を採取するために、移動を開始します。

 

 

 

 移動中、スラリンが薬草を見つてキットに教えます。

 

「ぴぃぴぃ」

「お、どれどれ……まだ成長途中だね。コレは残しておこう」

「ぴぃ……」

 

 キットの指摘にスラリンが残念そうにしていると、キットが言います。

 

「スラリンが見つけてくれるお陰で、いつもより多く集まるよ。だから、これからもお願いね」

「ぴぃ♪」

 

 スラリンを撫でて、元気付けます。

 スラリンは、次の薬草を探します。

 

「ぴぃ! ぴ?」

「お、次のを見つけたんだね。っとこれは……」

 

 スラリンが見つけた薬草を、キットはじっと見ています。

 そして、鎌を取り出して、葉の部分を刈り取ります。

 

「ぴぃ?」

「これは、薬草じゃなくて、毒草だね。似てるから注意が必要だ」

「ぴぃ!」

 

 そういって、キットは薬草と別の袋を取り出して、その毒草を入れます。

 その行動に、スラリンが驚いて鳴きます。

 

「ぴぴ?!」

「たぶん、何でコレも採取するのか? って意味だろうな。一応これにも使い道があるんだよ」

「ぴ?」

「それは、また後でね」

 

 他にも、花、キノコ、木の実を採取して別々の袋に入れて行きます。

 

「ぴぃ~?」

「今集めたのは、どれも薬の材料になるやつばかりなんだよ」

「ぴぃ」

「まぁ、見た目が分かりにくいから、スラリンは薬草の方に集中してよ」

「ぴ!」

 

 スラリンは、キットの指示に従って薬草を探します。

 

「ぴぃ! ぴぴ!」

「その反応は毒草を見つけたのかな?」

「ぴぃ!」

 

 スラリンの反応に、キットが言うと、正解とばかりに鳴きます。

 キットが、スラリンが見つけた草をよく見ます。

 

「あ、これは毒消し草の方だね」

「ぴぃ?!」

「この3種類は似てるから採取する時は、注意が必要なんだよ」

「ぴぶぅ……」

 

 スラリンが少し不安そうにしています。

 その様子を、キットが何となくで聞きます

 

「ソフィー達の方が心配?」

「ぴぃ」

「まぁ、食べなきゃ大丈夫だと思うよ。それに……」

 

 その時、スカウトリングが震えて、音が鳴ります。

 キットがスカウトリングに触れると、頭の中にソフィーの声が聞こえます。

 

『ねぇ、キット。薬草と似た植物見つけたんだけど、コレも取っていいの? あ、返信はそのまま喋るだけでいいわ』

「見ないと分からないけど、毒草もあるから、できるだけ取らないでね」

『了解。ロジャー、それは駄目だって』

 

 そう言い残し、ソフィーの声が消えました。

 その様子を見て、スラリンが聞いてきます。

 

「ぴぃ?」

「今、ソフィー達から通信が来た。毒草の事も教えといたよ」

「ぴ!」

 

 スラリンは、安心したと鳴きました。

 キットとスラリンは、時間になるまで薬の材料の採取を続けました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。