DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
ある程度薬の採取していたら、リングから通知が来ました。
ソフィーからの通信です。
『キットから貰った袋が一杯になったし、そろそろ良い時間だから1度戻らない?』
「了解。それじゃ、森の入り口で集まろうか」
『オッケー』
通信が終わり、キットはスラリンに声を掛けます。
「スラリン。ソフィーの方も大分集まったみたいだし、そろそろ探索はこの辺にして、入り口に戻ろうか」
「ぴぃ!」
スラリンが賛成という感じで鳴きました。
キット達は頷き、入り口の方に移動を開始しました。
キット達が森の入り口に近づくと、そこにソフィーとロジャーが居ました。
キットを見つけると、ソフィーが話しかけてきます。
「遅いわよ」
「飛んでる君達に対して、こっちは歩きなんだよ。差が出ても仕方ないじゃん」
「言ってみただけよ」
キットの言い訳に対して、ソフィーが笑いながら言います。
ソフィーは薬草が貯まった袋を、キットに渡します。
「はい。結構集まったわ」
「おお、ありがとう」
「一応毒草と間違えないように注意したけど、念の為に判別してくれる?」
「了解」
そう言って、キットは袋から素材を取り出して、一つ一つ調べる作業を始めます。
その様子を見て、ソフィーが言います。
「ねぇ、キット」
「何?」
薬草と毒草を見分けるのを中断して、ソフィーの方を見ます。
「そんなことしなくても、リングに収納すれば勝手に判別してくれるはずよ?」
「なん……だと?!」
ソフィーから教えられた情報に、キットは動揺します。
そして、恐る恐る、薬草を収納すると。
「うわ! 本当だ! こんな便利な機能が有るなんて!」
「そのスカウトリングはキットと連動しているから、キットが理解している物なら自動で鑑定、判別してくれるのよ」
「マジか……」
ソフィーの話を聞いて、思わず崩れ落ちてしまった。
その事に対して、ソフィーが言います。
「ごめんね。私がもう少し早く言えば良かったのに」
「……いや。コレから楽になると思えばむしろ有り難いよ」
そう言って、キットは自分が背負っていたリュックに手を突っ込み、採取した薬の材料をどんどん収納します。
収納された材料たちは、次々と分けられています。
「やべぇ……これは、なんというかやべぇ……」
「あまりの驚きに語彙力失っているわよ」
「しょうがないじゃん。今までの苦労が減るんだから」
薬草と毒草の判別は時間が掛かるので、時間の有効活用が増えるからです。
ソフィーが次の行動をどうするか聞きます。
「時間が余ったなら、採取の続きする?」
「いや、これ等を調合する為の準備にも時間が掛かるし、街に戻ろうか」
「了解」
キットは、戻るためにルーラを選択します。
そして、選択肢の中にこの森の事が追加されていました。
「へぇ、この森もルーラで飛べるようになるんだ。便利だな」
「当然よ。キットを手助けする為に作られたスカウトリングなんだからね」
キットが、スカウトリングの機能に驚いているのをみて、ソフィーが胸を張ります。
しかし、次の一言でそれを止めます。
「ただ、説明書が欲しかった」
「それは……ごめん」
説明が遅いことに、ソフィーも分かっているので反省します。
ソフィーが言います。
「えっと、ルーラを使うと光で門番の兵士が怪しむから、ルーラで帰るのやめとかない?」
「そうだね」
キットは画面を閉じた後、道具欄を開いて、先ほど採取した素材を少し出します。
「何してるの?」
「一応採取したってアピールをね。スラリンとロジャーは悪いんだけど、また中に入っててよ」
「ぴ!」「キー!」
「なるほどね」
スラリンとロジャーは言われたとおりにリュックに入り、キットはその上から素材で隠します。
カモフラージュが完了したので、出発します。
「それじゃ、行こうか」
「了解」
キット達は、歩いて街に戻る事にしました。
特に問題なく、街の外壁が見えてきました。
キットは、最初に出てきた所に向かいます。
「戻りました」
「おう。おかえり」
先ほどと同じ、キットの相手をした兵士が挨拶してきます。
「材料は問題なさそうか?」
「ああ。これから調合するために、店に行くつもり」
「了解。明日を楽しみにしているよ」
兵士は、キットの事を信用しているのか、荷物検査を軽く済ませて解放します。
キットは、兵士と別れて目的の場所に移動を開始します。
ソフィーが話しかけてきます。
「店って?」
「薬を調合するために、薬師のお店で道具と場所を借りるんだ。ついでに、集めた薬草も売る」
「なるほどね」
キットの答えに納得して、ソフィーは静かにします。
脇道をある程度進んで行き、目的地に着きました。
「ここなの?」
「そうだよ」
「……普通の民家に見えるんだけど」
ソフィーの言葉通りに、そこにあったのはただの民家です。
それについて、キットが説明します。
「まぁ、仕方ないよ。ここを利用するのは、平民とギルドに入ったばかりのルーキーぐらいだからね」
「つまり、地元の人だけ知っているってことね」
キットの説明を聞いて、納得したソフィー。
キット達は建物の中に入っていきます。
建物の中は、独特な匂いがして、カウンターがあり、1人の老婆がいました。
キットはその老婆に話しかけます。
「おばあさん、こんにちは」
「あいよ。今日は何の用だい?」
キットはリュックを床に置いて、リュックの中から薬草の入った袋を取り出すように見せかけてカウンターに置きます。
「コレの買取と、奥の調合部屋を使わせてください」
「あいよ。アンタが調合してる間に、査定を終わらせておくよ」
「お願いします」
キット達は、カウンターの奥の扉に向かい中に入ります。
中はそこそこ広く、薬の材料が干してあり、それをを収納する棚や調合用の道具がいくつかあります。
キットはリュックを置いて、中に居る2匹に声を掛けます。
「出てきていいよ」
「ぴぃ」「キキ」
スラリンとロジャーが出て来て、辺りを見回します。
薬の材料の匂いが漂い、少し嫌な顔をしています。
ソフィーがキットに声を掛けます。
「それで、調合を始めるの?」
「その前にやる事があるよ」
キットは、踏み台を取り出すと、干してある薬の材料を回収して、棚に入れて行きます。
その様子を見て、ソフィーが言います。
「私も手伝おうか?」
「それじゃ、回収して、そこの机に並べて置いてくれる?」
「オッケー」
キットの指示に従い、ソフィーも材料を回収していきます。
「キー」
「ん? ロジャーも手伝ってくれるの?」
ロジャーがソフィーの近くに来て鳴きます。
「それじゃ、お願いね」
「キキ」
ソフィーとロジャーが、干した材料の回収を始めます。
その様子を見ていた、スラリンがキットに鳴きます。
「ぴぃ」
「スラリンも手伝いたいのか。そうだな……」
キットはスラリンが手伝える事が出来るのを考えます。
周りを見渡して、ある物が目に入ります。
「それじゃ、スラリンはこっちに」
「ぴぃ」
キットに付いて行くと、棚に入った材料を調合するための道具がありました。
「それじゃ、これ等を机の上に置いといてくれるかな?」
「ぴ!」
スラリンは、了解の鳴き声を出して道具を運び出そうとします。
そのことにキットが1つ注意をします。
「重いから壊さない様に、一つずつ運んで言ってね」
「ぴ!」
キットの言葉に頷いて、道具を一つ頭の上に載せます。
特に重くないのか、軽々と運んで行きます。
「ぴ~♪」
「マジか……」
その様子に、少しキットが驚きます。
とりあえず、問題なさそうなのでキットも作業を始めます。
スカウトリングの中に収納している材料を取り出して、小分けにし、干しやすい様に紐で結んでいます。
その作業をしていると、ソフィーとロジャーが回収を終わらせます。
「キット。終わったわよ~」「キキ」
「2人共ありがとう。次はこれ等を干してくれるかな?」
「了解。手伝ってね、ロジャー」「キー!」
キットの指示に従って、ソフィーとロジャーは先ほどの場所に、キットが用意した材料を干していきます。
材料を結び終えたら干すのを2人に任せて、回収した材料を、今回使う分を除いて棚に収納して行きます。
収納し終えると、スラリンが道具を運び終えていたので、キットは調合を始めます。
「ぴぃ」
「ありがとう、スラリン。とりあえず手伝うことは無いから、今は休憩してて良いよ」
「ぴ!」
乾燥させた材料を、使いやすい様にナイフで切り分けて行きます。
ある程度切り分けた材料を天秤に乗せて重さを量り、それらを並べて行きます。
量り終えて、次に薬研を取り出して細かくして行きます。
その途中で、ソフィーとロジャーは材料を干すのが終わったのから、キットに次が無いか聞きに来ます。
「こっちは終わったけど、他に手伝うことあるかしら?」
「ないよ~。スラリンと一緒に休憩してて頂戴」
「わかったわ」
ソフィーとロジャーもスラリンの所に向かいました。
キットは材料を細かくする作業を続けています。
少し暇なのか、ソフィーが聞いてきます。
「ちなみに、今は何をしているの?」
「門番をしていた兵士さんの依頼の品を作っているところだよ」
「ああ、あの人の二日酔いの薬ね」
ソフィーは納得していると、ふとした疑問を口にします。
「そういえば、さっき干していた材料の中に薬草がなかったんだけど、もしかして全部売ったの?」
「うん、そうだよ」
ソフィーの質問に、キットは当然と言うように答えます。
その事に、ソフィーが更に聞いてきます。
「なんでよ? キットの説明だと傷薬くらいになるって話じゃない」
「だからだよ」
「はい?」
キットの言葉の意味が分からず、ソフィーが首を傾げます。
その様子を見てキットが答えます。
「同じ傷薬なら、あっちの『やくそう』で十分じゃん」
「ああ、なるほど……」
「ぶっちゃけ、俺が採った薬草も使う工程がかなり面倒くさいんだよ。まず、長期保存用に干して乾燥させて、細かくする。使う時は、それを水に溶いて良い感じの塗り薬にして、傷口を洗浄してから、布に塗って傷口に当て、さらにそこに包帯をするんだ。そこまでやって精々治せるのが、軽い擦り傷や切り傷なんだよ」
「それは……確かに面倒くさいわね……」
キットの長い説明に、ソフィーが同意する形で答えます。
「対して『やくそう』は、傷口の洗浄しなくても、煎じて使ってもよし、そのまま当てて良し、食べて良し、それで即座に治療完了なんだぜ? しかも、かなり安いし、なんならそこら中に落ちているし」
「一応、一般人にはそこそこ高い値段だからね? あれも」
「でも、俺達にとっては安いし」
「ソウダネー」
ソフィーの言葉に、キットが反論して、何も言えなくなりました。
まだ新米のモンスターマスターですが、少なくとも『やくそう』の値段を気にしなくても問題ないくらいのゴールドが手に入るからです。
だから今回採取した薬草を全部売ってしまっても問題ないと判断したのです。
「ちなみに、こっちの世界で同じ効果のアイテムは、回復ポーションがあるんだけど……」
「その口ぶりからして高いの?」
「一般人が手を出す品物じゃないね。冒険者とかも、中堅クラスがギリギリで使う感じだし」
「なるほどね。ちなみにキットはそれを作れないの?」
ソフィーの質問に、キットが渋い顔で答えます。
「残念ながら俺には無理だね。あれを作るには錬金術の才能が必要なんだ。実際作っているのも魔術ギルドの専門部署が作っているみたいだし」
「なるほどね」
キットの説明を聞いて色々納得したソフィー。
そんな会話をしている内に、キットの調合が終わったのか、薬を小さな袋に小分けしていきます。
「よし。とりあえず、コレを明日持っていけば良いな」
「終わったのね」
「うん。皆のお陰でいつもより早く終わらせられたよ」
そう言って、キットは片付けを始めました。
それを見て、スラリンとロジャーが鳴きます。
「ぴぃ!」「キキ!」
「2人共、どうしたの?」
「手伝いたいんでしょ。私も同じ気持ちだし」
「ありがとう、助かるよ」
キット達は、後片付けを始めて行きました。