DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
キット達が掃除を始めていると、ソフィーが材料がまだ残っていることに気付きます。
「ねぇ、キット。そっちのは使わなかったの?」
「ん? ああ、これね」
キットは、ソフィーに言われた2種の材料を手に取ります。
その材料をキットが説明します。
「これは、毒消し草の葉と毒草だよ」
「なるほど。……毒草?!」
キットの説明にソフィーが驚きます。
その様子を見て、キットの顔がニヤ付きます。
キットは、2つの葉を小さく千切りると。
「はい、ソフィー」
「いや、渡されても困るんだけど?!」
突然、キットから渡された2つにソフィーが困惑します。
キットが説明をします。
「まぁとりあえず、この2つを食べてみてよ」
「なんでよ?!」
「大丈夫。毒消し草は根っこに比べて効能は弱いけど、少なくとも毒にはならないから」
キットが笑顔で勧めてきます。
その様子にソフィーが困惑して言います。
「なら、キットが食べれば良いじゃないの?!」
「ああ、それならもう食べたことあるよ」
「あるんかい!」
キットの言葉に、思わずツッコミを入れるソフィー。
ソフィーはキットの行動の意味を聞きます。
「なんで食べなきゃいけないのよ?」
「まぁまぁ、食べてくれたら説明するから」
「……本当ね」
キットの押しに負けて、ソフィーは恐る恐る2つの材料を口に入れます。
「はむ! ……!」
ソフィーが口に入れて、咀嚼を始めた瞬間でした。
ソフィーの顔色にものすごい変化が有りました。
「みゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぴぃ?!」「キキ?!」
ソフィーは、叫び声を上げると物凄い早さで水が有る所に飛んで行きました。
ソフィーの叫び声に、スラリンとロジャーも驚きます。
そして、水瓶を見つけるとソフィーは頭を水の中に突っ込みました。
「ぶくぶくぶく……」
「おお~良いリアクションだ」
(復讐完了♪)
キットがその様子を、笑いながら見ていました。
突然のソフィーの行動に、スラリンとロジャーも心配そうに見ています。
そして、水から頭を上げたソフィーはキットの方を向くと、怒りの表情で睨み突撃してきます。
「なんてもの食べさせるのよ! めちゃくちゃ辛かったじゃない!」
「あはははは。ごめん、ごめん」
キットが謝りますが、気が収まらないのかソフィーがキットをポカポカ叩きます。
しばらく叩き、少し落ち着いたのかソフィーが聞いてきます。
「で? 何なのアレは」
「この毒草は、干すと毒の成分が弱くなって何故か辛くなるんだよ。消えるわけじゃないから毒消し草の葉っぱと一緒に食べれば問題無いんだ」
「これが、何の役に立つのよ……」
ソフィーはまだ怒りが収まらないのか説明を求めます。
「まずは、コレを粉末にして溶かした松脂と一緒混ぜて、固めた物に火を点けると煙が魔物避けになるんだ」
「へぇ~……」
キットの説明に、少し不満声で答えるソフィー。
「『せいすい』が無い間は、これであの森を探検してたんだ」
「今回、使わなかった理由は?」
「匂い系だから、皆の鼻のダメージがデカい」
「なるほどね……」
先ほどの辛みを思い出して、ソフィーがうんざりしている。
しかし、キットが更に続けます。
「まぁ、1番の目的はコレを食べる事なんだけどね」
「なんでよ……辛いだけじゃない。変態なの?」
ソフィーは、キットを変な目で見て言います。
その事をキットは否定します。
「違うよ。コレは薬味に使うんだよ」
「薬味?」
「そう。例えば、コレが終わった後、帰り道に屋台がいくつか有るんだけど、串焼きとかにコレをからし代わりに使うんだ」
「……ふむ」
キットの言葉に、ソフィーが興味を持ちます。
それを見て、キットが続けます。
「どう? お詫びに色々買う予定なんだけど……」
「……ちなみに辛みはもう少し抑えられるの?」
「調合次第だね。実際に俺が普段使っているのは、もう少し辛みの成分減らしているし」
その事を聞いて、ソフィーがため息をついた後、キットに言います。
「絶対、帰りに買ってよね!」
「了解」
(ちょろいぜ)
ソフィーの怒りを誤魔化しつつ、キット達は片づけを再開していくのでした。
片づけを終わらせて部屋を出ると、老婆がこちらを見て言います。
「査定は終わってるよ」
「ありがとうございます」
キットが老婆に近づくと、老婆は硬貨の入った袋をカウンターに置きます。
「今回は量は良いけど、質がバラバラだよ。次はもう少し気を付けな」
「わかりました」
そう言って、キットは袋を受け取り、店から出ようとした。
「待ちな」
「はい?」
しかし、老婆に止められました。
老婆はキットとジッと睨んでいます。
「あの……何か?」
「……」
キットの質問に答えず、老婆は見ています。
スラリンとロジャーがバレたのかと、キットが思っていると、老婆が突然ため息を吐きます。
そして、キットに告げます。
「次、あの子に会ったら伝えてくれないかい? 酒の飲み過ぎは止めろって」
「あ~……分かりました」
「頼むよ」
そう言って、老婆はキットから目を放しました。
それを確認したキットは、扉を開けて店を出ます。
店を出てすぐにソフィーが聞いてきます。
「今のやり取りは何?」
「ああ。お婆さんの孫が、この薬の渡す門番やってた兵士さんなんだよ」
「そうなんだ。だからキットがあの時、自分で作れって言ったのね」
「そゆこと」
キットの説明を聞いて、ソフィーは納得しました。
次にソフィーが聞いたのは、今回の採取で貰えた報酬です。
「それで、あの採取で幾ら位になったの?」
「少し待ってね」
キットは老婆から貰った小袋を確認します。
中身を見て言います。
「これなら俺の知ってる、安いくてそこそこ美味い屋台で皆の分の食べ物と、さらに夕食用の食べ物も買って、少し貯金が出来そうだな」
「それって……多いの? 少ないの?」
キットの言葉に、ソフィーが疑問を投げかけます。
「前までは1回分の食べ物を買ったら貯金が出来ないから、居心地の悪さを我慢して実家でご飯を食べてたけど、コレから上手くすればそれも無くなるな」
「一部分についてはもうスルーするけど、それってつまり少ないってことなのね……」
キットの説明を聞いて、ソフィーは頭を抱えながら言います。
「あの薬草ってそんなに高くないんだ」
「まぁ、あの店の買取価格は、普通の所の3割くらいだからね」
「何それ?!」
キットの言葉を聞いて、ソフィーが怒りを覚えます。
その様子を見て、キットが落ち着かせます。
「まぁまぁ、ソフィーさん落ち着いて」
「落ち着いてって逆にアンタは何で知っているのに落ち着いているのよ! ぼったくられているのよ?!」
「別にぼったくられてないからね」
「はい?!」
キットの言葉に、疑問の声を出します。
ソフィーに説明するために、キットはアイテム欄から2つのアイテムを出します。
「ソフィー。コレは何だと思う?」
「何って……さっきの辛しになる、毒消し草の葉っぱと毒草でしょ?」
「正解。次の質問は、ソフィーは、なんでコレがそうと分かったの?」
「はぁ?」
キットの質問の意味が分からず、思わず変な声が出てしまいます。
しかし、キットは真面目な顔で聞いてる感じなので、ソフィーはとりあえず答えます。
「……何でも何も、アンタから教えて貰ったからじゃない」
「そうだね。それじゃ、次の質問。俺は、何処からコレの見分け方を知ったのでしょう」
「そんなの、あのお婆さんからでしょ?」
「そう。本とかで自力で調べたんじゃなくて、お婆さんから教えて貰ったんだよ」
ソフィーの答えに、キットは満足そうに言います。
その様子に、ますます分からなくなるソフィー。
キットは話を続けます。
「例えば、ソフィーが何か調べ物をする時はどうする?」
「どうするって、本で調べたりする、とか?」
「ならそれが、本に載って無かったら?」
「それなら誰かに聞く」
キットの言葉を、ソフィーが別の答えで返します。
その事に対して、キットが更に聞きます。
「簡単な事なら教えてくれるかもしれないけど、薬の知識って、簡単に教えて良い物だと思う?」
「それは……」
キットの質問に、ソフィーが答えられなくなります。
「そう、教えるなら知識を継ぐ家族か弟子だけなんだよ」
「確かに、そうなるわね」
「んで、その手の知識を教わるとなると相手に授業料を払わなくちゃならない」
「それってつまり!」
ソフィーは、キットの言いたい事をようやく理解しました。
その事について、キットは笑顔で答えます。
「そう。薬草の買取価格が低い分、あのお婆さんから色々知識を教えて貰っている訳」
「なるほどね。だからアンタが怒らないわけか」
「まぁね。むしろ適正価格だとも思っているよ。この世界で知識を得るってかなり高額のはずだからね」
キットは笑顔で答えます。
その事にソフィーは納得しました。
「ちなみに今回は採取しなかったけど、魔術師ギルドが秘匿している、回復ポーションの材料と作り方も知っているんだけど、それもあのお婆さんから教えて貰った」
「逆に何なの?! あのお婆さん!」
キットの補足説明に、ソフィーが驚きます。
帰りに約束通り、串焼きを買ってキットが調合した辛しと一緒に食べて味わい、夕食用にパンとそれに挟む材料を購入した。
そして、人通りが少ない所でルーラを使い、キットの部屋に戻って来た。
「ほいっと。皆、今日はお疲れ様」
「ぴぃ」「キキ」
「ふぅ、疲れたわね」
キットは荷物を置いて、皆に方を向いた。
「それじゃ、俺は倉庫に行って盥を取ってから洗濯物を回収してから、皆は此処で寛いでてよ」
「私も手伝おうか?」
ソフィーが手伝いを進言しましたが、キットが断ります。
「大丈夫だよ。それに、ソフィーにはスラリンとロジャーの相手をお願いして欲しいから、此処に居てよ」
「そう。わかったわ」
ソフィーに相手を任せて、キットは回収に向かいました。
倉庫で盥を回収して洗濯物も回収して、キットは部屋に戻りました。
部屋に入ると、何故かスラリンとロジャーが不機嫌なのでした。
キットは、ソフィーに聞いてみます。
「えっと……なんで、スラリンとロジャーが不機嫌なの?」
「ああ、この家の事を色々説明したからよ」
「……なるほどね」
ソフィーの説明で理解しました。
キットがこの家で受けている仕打ちを聞いて、2匹は不機嫌になったのです。
「ちなみにどんな説明したの?」
「私が見た事をそのまま説明したわ」
「……そっかー」
ソフィーの言葉を聞いて、キットはどうするか悩みます。
少し考えた後、2匹に話しかけます。
「2人が怒ってくれるのはありがたいんだけど、今はこの家に対しては何かする予定は無い」
「ぴぃ?」「キー?」
スラリンとロジャーが疑問の声を出します。
キットが説明します。
「今は雌伏の時なんだ。まだまだ俺達は弱いから、下手に目立つと潰されてしまうんだ」
「ぴ?!」「キキ?!」
「ジュモクの国での生活と違って、この国では権力争いで親、兄弟で潰し合いとかよくある事なんだよ」
キットの説明で、スラリンとロジャーが驚いています。
そして、キットが自分の目標を話します。
「だから今は来るべき時に対して、能力を隠して過ごすんだ。わかってくれるかな?」
「ぴぃ……」「きー……」
少し不満そうですが、2匹は頷きました。
キットは更に追加のお願いを2匹に言います。
「それと、この事はエレナさんとスラきちには内緒でお願いね」
「ぴぃ?」「き?」
「理由は?」
キットの言葉に、今度はソフィーも加わって聞いてきます。
キットは説明します。
「スラきちに話すと絶対エレナさんに教えるし、エレナさんが知ったら、もの凄く親身になってくれるのは予想できる。それが嫌なんだ」
「なんでよ?」
ソフィーの言葉に、答えるように言います。
「俺達が来る前のエレナさん達って物凄く苦労してたんだと思う。でも、今は凄く楽しそうなんだよ」
「あ~確かに……」
「それなのに、俺の事情を話して暗い気持ちにさせたく無いんだよ。エレナさんとは、マスターと牧場管理者って言う対等の立場で付き合いたいんだ」
「キット……」
キットの思いを聞いて、ソフィーは理解はできました。
そして、キットに言います。
「でも、それなら話さないってのも信用されてないと思われるかもよ?」
「あ~……」
ソフィーの言葉に、キットは考えます。
そして、恥かしそうに言います。
「まぁ、本音をいうとね。エレナさんの苦労に比べて、俺のは空気が悪いけど衣食住は充実してるから、なんか甘えてる気がして恥かしい気持ちがある」
「ぷ。何よそれ」
キットの言葉を聞いて、ソフィーが思わず笑ってしまいました。
今度こそ、ソフィーが納得をしました。
「まぁ、キットがそう言うならエレナさん達には内緒にしとくわ。スラリンとロジャーもいいわね?」
「ぴ!」「キキ!」
「どうも……」
スラリンとロジャーも分かったという感じで鳴きました。
キットは恥かしい気持ちを誤魔化すために声を出します。
「俺が自慢するのは、くだらない不幸話じゃなくて、モンスターマスターとして歩む冒険譚だ!」
「あはは。いいわねそれ♪」
「ぴぃ♪」「キキ♪」
キットの宣言に賛同する形で、皆で笑い合い楽しく話をして夜を過ごしましたいきました。