DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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3章~特訓とFランク大会
石板交換


 窓から差し込む光を浴びて、ベッドの住人のキットが目を覚ました。

 

「ん……朝か……なんか胸の辺りが重い」

 

 キットは頭を起こして確認すると、水色の物体が見えました。

 その物体には目と口が付いていて、規則正しく呼吸をして寝ています。

 キットはその物体を掴んで横に退けます。

 

「スラリン。重いからこっちで寝てくれ」

「ぴぷぅ」

 

 スラリンと呼ばれたスライムは、移動の際起きましたが、ベッドに置きなおされた瞬間、二度寝を開始します。

 その様子を見て、キットは小さく笑います。

 

「幸せそうだな。さてと、洗濯するか」

 

 そして、いつも通りの作業を始める為に盥に洗濯物を入れて、部屋を出ようとしました。

 そこに、1人の妖精が起きだしました。

 

「ふぁ……キット、おはよう」

「ソフィー、おはよう」

 

 ソフィーと呼ばれた妖精は、起きてキットの近くに飛んできます。

 

「洗濯するの? 手伝おうか?」

「干す時にお願いしようかな。それまで、スラリンとロジャーが起きてきたら、此処を動かない様に言っといてくれる?」

「オッケー。わかったわ。……ロジャーどこよ?」

 

 ソフィーが、ベッドのスラリンを確認して、その近くにロジャーが居ると思い探しますが見つかりません。

 キットが、ソフィーに言います。

 

「ソフィー。上見て上」

「上? ……あんなところで寝てるのね」

 

 ソフィーが上を見ると、尻尾を器用に使いぶら下がって寝ているロジャーを見つけました。

 ソフィーが2匹の場所を確認できたので、キットは安心して洗濯に向かいました。

 

 

 

 洗濯物を洗い、キットが干す作業を始めているとソフィーが飛んできました。

 

「おまたせ~」

「こっちも始めたばかりだから大丈夫だよ」

 

 キットは、ソフィーに手伝ってもらい、洗濯を早く終わらせることが出来ました。

 部屋に戻ると、スラリンとロジャーが待っていました。

 

「ぴぴ」「キー」

「2人共、おはよう」

 

 キットは2匹に挨拶をして、旅立つ準備をします。

 服を着替えたら、皆を集めます。

 

「それじゃ、昨日の小屋の所に飛んでから、ジュモクの国に向かうよ」

「了解」

「ぴ!」「キ!」

 

 キットはスカウトリングを触り、メニュー画面を出して、ルーラを選択します。

 光が皆を包み込んで、キット達は消えました。

 

 

 

 小屋についてすぐに、ソフィーのルーラでジュモクの国のエレナが経営している牧場に到着しました。

 キット達はエレナ達が居ると思う家に向かい、扉をノックします。

 

「エレナさん。おはようございます」

「キットさん達ですね、少しお待ちを」

 

 エレナは扉の方に向かい、開けて声を掛けます。

 

「おはようございます。キットさん、ソフィーさん」

「おはようございます」

「エレナさん。おはよー」

「ぴぴ!」「キキ!」

「スラリンとロジャーもおはよう」

 

 スラリンとロジャーも挨拶して、エレナがそれを返します。

 そのやり取りをしていたら、キット達の後ろから声を掛けられました。

 

「キット。エレナ。後お前らも、おはようだぜ」

「おはよう、スラきち」

「やっほー」

「ぴぃ!」「キキ!」

 

 エレナと一緒に住んでいるスラきちが、キット達に挨拶をします。

 その様子を見ていたエレナがスラきちに近づき、そしてお仕置きをします。

 

「コラ! スラきち! スラリンとロジャーの名前もちゃんと呼びなさい!」

「いででで! すまん! すまん!」

「まぁまぁ」

 

 ある程度お仕置きをして、スラきちが解放されます。

 そして、エレナがスラきちに聞きます。

 

「随分と早く終わったみたいだけど、ちゃんとやったの?」

「おう! ……まぁ、ぷんぷん丸とゴロウに手伝ってもらったんだけどね」

「まったくもう」

 

 エレナが呆れたようにため息を吐きます。

 切り替えて、キット達の方を向きます。

 

「もうすぐ、食事が出来上がりますので中へどうぞ」

「「おじゃまします」」

 

 エレナはキットとソフィーを家に招き入れます。

 

「スラリンとロジャーを牧場の方に連れて行っとくぜ」

「お願いね。スラきち」

 

 スラきちはスラリンとロジャーを牧場に連れて行きました。

 それを見送り、キットとソフィーは家に入り、食事を待つために机で待機します。

 

「今、料理をお持ちしますので、少々お待ちください」

「ありがとうございます」

「楽しみ~♪」

 

 キット達がエレナの料理を楽しみにしていると、スラきちが怒った様子で家に飛び込んで来ました。

 そして、キットの方を睨んで言います。

 

「おい! キット! 2人から聞いたぞ!」

「ど、どうしたの? スラきち」

 

 キットはスラきちの言葉を聞いて焦ります。

 スラリンとロジャーが家の事をうっかり漏らしてしまったのかと。

 しかし、次のスラきちの言葉でそれは勘違いと分かります。

 

「なんか、肉とかにつけると美味くなる物があるんじゃねぇか! ズルいぞ!」

(そっちかい!)

 

 スラきちの食い意地に呆れつつ、スラリンとロジャーが上手く誤魔化してくれたことを感謝するキット。

 スラきちに、後でからしを食べさせる事を約束して、エレナが作ってくれた朝食を楽しむのでした。

 

 

 

 朝食を終えて、キット達は今日の予定を話し合います。

 

「大会まで後2日だけど、どうするんだ?」

「皆を鍛えたり、新たな仲間をスカウトしたいけど、その前に……」

 

 キットはメニューから、1つの紙を取り出します。

 

「それって、石板の引換券だっけ?」

「そうだよ」

 

 ソフィーがキットの取り出した券に気付きます。

 それを見て、スラきちが言います。

 

「新たな世界に行くのか!」

「そうだね。ついでに交換所ってのも気になるから行ってみたいし」

 

 その事を聞いて、スラきちは楽しみになったのか入り口に行きその場で跳ねています。

 

「早く行こうぜ!」

「待ちなさい! スラきち」

 

 急かすスラきちをエレナが止めます。

 エレナがスラきちに言います。

 

「そんな急いでも、まだ他の皆が準備できてないでしょ? まずは皆に出発の準備の手伝いと集合場所を知らせて来なさい」

「わかったぜ! エレナ」

 

 そう言って、スラきちはドアを開けて出て行き、牧場の方に向かいました。

 エレナはキットの方を向いて、包み紙を渡します。

 

「キットさん、どうぞ。今回のお弁当です」

「エレナさん、ありがとうございます。前のも美味しかったので楽しみにします」

「うんうん。キット、無くさないでね!」

 

 ソフィーが同意して、その様子をエレナが楽しそうに笑います。

 

「それでは、行ってきます」

「はい。気を付けてくださいね」

 

 キットはエレナに別れを告げて、スラきちの元に向かいます。

 

 

 

 スラきちと合流して、準備を手伝い、キット達は石板の交換所を目指して歩いています。

 途中で屋台の串焼きを購入して、からしをつけて食べながら歩いています。

 

「辛! でもうめぇ!」

「そいつは良かったよ」

 

 スラきちはからしを気に入ったみたいです。

 そうして、進んでいると目的の場所に着きました。

 

「お、此処なのか?」

「地図だとそう見たいよ」

 

 ソフィーがガイドブックを見て答えます。

 大きさは道具屋とほぼ同じくらいで、看板に石板のマークが付いています。

 

「それじゃ、中に入ろうか」

「おう」

「さんせーい」

 

 キットは中に入ると、すぐにカウンターが目の前にあって、そこにローブを着て、顔に仮面を着けた人物が居ました。

 キットはその人を店員だと思い近付きます。

 

「いらっしゃ~い」

「こんにちは」

 

 キットは店員に挨拶をして、懐から石板引換券を取り出しカウンターに置きます。

 

「コレを出せば石板を貰えると聞いたんですけど」

「そうだよ~。ただ~その前に~マスター証を見せてくれるかな~?」

 

 店員の指示を従って、キットはマスター証を出して渡します。

 店員はマスター証を手に取って、じっくりと見ます。

 

「ふむふむ~。なるほど~Fランクか~わかったよ~ああ~コレは返すね~」

「はい」

 

 キットは店員にマスター証を返して貰って仕舞います。

 店員は、キットに言います。

 

「それじゃ~少~し待っててね~」

「分かりました」

 

 そう言って、店員は奥の部屋に消えました。

 待っている間、皆と話し合います。

 

「変な喋り方する人だね」

「大丈夫なのか? あれで」

「問題ないと思うわ」

 

 キットとスラきちの疑問を、ソフィーが説明します。

 

「今の人、魔法力が物凄い強かったわよ。恐らく凄腕の魔法使いね」

「マジで?!」

「ソフィー、分かるの?」

「当然よ」

 

 キットとスラきちの驚いた反応を見て、ソフィーは胸を反らします。

 そうして、奥から店員が戻って来ました。

 

「今の君に~渡せるのは~これだね~」

 

 店員はカウンターに、石板を置きます。

 その石板を見て、キットは気づきます。

 

「あれ? あの、すいません」

「なんですか~?」

「コレって僕が持っている物と少し違うのですが」

 

 そう言って、キットは最初に手に入れた石板を出します。

 2つの違いは、並べるとよく分かります。

 キットが出したのは、絵の描かれている石板です。

 店員が持ってきたのは、石板の縁に銅で囲われて、中心にオレンジ色の宝石が埋め込まれています。

 店員は、キットが出した石板を見て頷きます。

 

「ふむ~……なるほど~」

「あの?」

 

 店員の反応が分からずキットが声を掛けると、店員がキットの方を向いて言います。

 

「ひとつ~質問しても~いいですか~?」

「は、はい」

「この石板を~どちらで~手に入れましたか~?」

 

 店員の質問の意図が分かりませんが、キットはとりあえず答えることにします。

 

「えっと、最初にマスター証を貰った時に、闘技場の受付の人から箱を出されて、その箱から出てきました」

「受付の人~? もしかして~ノーラちゃんですか~?」

「あ、はい。そうです」

(愛称で呼んでる?!)

 

 店員は、キットの答えを聞いて納得したのか、何度も頷きました。

 

「そうですか~いろいろ分かりました~」

「はぁ……」

「それでは~説明をしますね~」

「あ、はい。お願いします」

 

 店員のペースに困惑しつつ、キット達は説明を聞きます。

 店員はまず、キットが持ってる石板を指差します。

 

「君が出してくれた~この石板は~分かりやすく言うと~『不思議な冒険の石板』みたいな感じ~」

「冒険、ですか?」

「そうだよ~」

 

 店員は次に、縁が銅で囲われている石板を指差します。

 

「次にこれは~『不思議な試練の石板』みたいな感じ~」

「試練ですか」

「そう~」

 

 店員は、2つの石板の違いを説明します。

 

「まず~冒険の方は~言葉通りに~冒険が出来る感じ~。入った事あるなら~もう~理解してるよね~?」

「えっと、はい。何となくですけど」

「うんうん。それで~試練の方は~最初に入ると~目の前に看板があるの~」

「看板ですか?」

 

 キットの言葉に、店員は頷いて答えます。

 

「看板には~その石板の中でクリアする~試練が書いてあるの~」

「なるほど」

「試練は~さまざまあるの~。例えば~敵を何体倒せ~とか~ボスを倒せ~とか~指定のアイテムを集めろ~などなど」

 

 キットは店員の説明を聞いて、だんだん理解していきます。

 

(つまり、クエスト様なものか)

「その試練をクリアしたら、何か報酬みたいな物が貰えるとか?」

「せいか~い。すごいね~」

 

 キットの答えに、店員は拍手して言います。

 そして、次の説明をします。

 

「試練の内容はランダムだけど~難易度は~この縁の金属と~中心の宝石で決まるの~」

「つまり、より高価な金属と宝石で難易度が難しくなる代わりに、報酬も豪華になると」

「そのとお~~り」

 

 店員はキットの答えに満足して楽しそうに言います。

 説明が続きます。

 

「ここから~注意事項ね~」

「はい」

「一度入って~クリアか~もしくはリタイアした場合~再挑戦に時間を置かなきゃいけないの~」

「再挑戦?」

「そうだよ~連続で~試練を受けることが出来ないんだ~」

 

 店員は残念そうに項垂れます。

 そして、起き上がり言います。

 

「一度出たら~この中心の宝石が黒くなるんだよ~」

「なるほど。その黒が無くなって、元の色に為ったらまた使えると」

「そうだよ~。ちなみに~難易度が難しくなればなるほど~その再挑戦までの~時間が長くなるの~」

 

 店員の説明を聞いて、色々納得したキット。

 そして、自分が持ってきた石板を聞きます。

 

「それじゃ、コッチのは?」

「そっちは~何回でも出入りが出来るの~良いね~」

「なるほどね」

 

 キットは、今後の予定を色々考えています。

 そして、石板を受け取り、店員に挨拶をします。

 

「色々と説明をありがとうございます」

「いえいえ~。あ~石板の~再挑戦までの時間が長いと思ったら~此処に持ってきてくださいね~有料ですぐに再挑戦できるようにしますので~」

「わかりました」

「ちなみに~料金は~材質と~再挑戦までの時間で~変わりますので~」

「あ、はい」

「ではでは~がんばってくださいね~」

 

 店員と挨拶を済ませて、キット達は店を出ることにします。

 キット達が店を出たのを見て、店員が呟きます。

 

「なるほどね~これは~楽しみだ~」

 

 仮面越しに店員の笑い声が、小さく響きます。

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