DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
「なるほど、魔物を仲間にし、戦わせて強くして別の魔物と交配させ、新たに強い魔物を作る育成ゲームですか」
「まぁ、そんな感じです」
女性は男の説明を聞きながら、自分でも検索して情報を集めていました。
一通り説明を聞いた女神は渋い顔をしています。
「それで、この能力がいいんですよね?」
「そうですけど……無理ですか?」
「うう……」
男は女性が何故その表情をするのかわかりません。
しかし、それはすぐに分かりました。
「なんで、別種族と別種族を交配したら別種族になるんですか! 意味が分かりません! しかも同種族なら分かりますけど、同じ魔物を交配したら別の魔物に変わるって何なんですか! 種の法則ガン無視じゃないですかこれ!」
「あ~、言われてみれば確かに……」
「そもそも異種族交配で子供が出来ること自体がおかしいんですよこれ!」
女性は男に疑問を投げかけます。
その様子に男は狼狽し、罪悪感を覚えます。
(ここでさらにジョーカーのシステム説明したらこの人壊れそうだし黙っておこう)
「あの~……無理そうなら別のでもいいんですが?」
「うう……そうしたいのですが……」
男は別の提案しようとしましたが、何故か女性はそれをしません。
女性は少し頭を抱え込んだ後、気合を入れるために頬を軽く叩き、机に向きなおしました。
「泣き言言っても始まりません。とりあえず、やってみます!」
「いや、えっとですね……」
「少々お待ちを! 必ず私は成し遂げて見せますので!」
そう言い残し、男の願いを叶える為に女性は黙々と作業を始めました。
そして、待ってくれと言われた男は途方にくれます。
(成し遂げるって、自分の管理する世界の法則を変えるってことなのかな? でも、それって3年以内で出来ることなのか?)
男は女性に聞きたいですが、さすがに邪魔はできません。
(とりあえず、少し様子見て難しいそうなら止めてみよう)
男は座って待つことにしました。
しばらくたって、男が今度は空腹感を覚えた頃、女性に変化がありました。
「やっぱり無理だぁぁぁぁ……」
そう言って女性は机に突っ伏しました。
「今ある世界の法則変えるなんてどう頑張っても1億年掛かります……これならいっその事新しい世界作った方が早いのですが、私にその権限がありません……うあぁぁぁ、どうしましょう!」
女性の悲痛の叫びに、男は声を掛けようとしたその時でした。
白い空間に違和感を覚えます。
何もないはずなのに、そこに何か巨大な存在を覚える気配です。
男はその重圧を感じて言葉を喋れなくなり、女性は恐怖に顔をゆがめています。
「あわわわ、────様! 申し訳ありません!」
女性はその巨大な存在に対して土下座をしています。
巨大な存在が何か喋っているのか、波動らしきものが飛んできて、男はよろめきます。
「ああ、あの、そ、それに関しては早急に終わらせます。た、ただ今現在少し別の問題が……ひぃぃぃすいません」
どうやら女性がその巨大な存在に怒られている様子です。
女性のその姿を見て、男は恐らくさらに上の存在の神か、それに通ずる存在と判断しました。
「は、はい。問題というのはこちらの男性なんですけど、実はかくかくしかじかで……」
女性は上司神(仮)に現在の状況を説明しました。
その説明を聞いて不機嫌になっているのが分かります。
「で、私が対応を悩んでいましたら、────様が来られて……あ、別にこの人が我儘を言ったわけじゃありません! ちゃんと無理そうなら別のでも良いと言ってくれています! だからこの人にそれ以上は駄目ですよ!」
女性の説明を聞いて、上司神が男が我儘を言って困らせていると判断したのか、男にかかる重圧がどんどん強くなりました。
女性はそれは誤解だと説明します。
「じ、実はどんな能力でも授けると約束をしてしまいまして……はう! はい、すみません! 私のミスなんです! すいません! すいません」
女性が言いにくそうに説明をすると、矛先が女性に向いたのか男にかかる重圧が軽くなりました。
そして、なぜ女性が男の提案を断るのかが少し分かりました。
しかし、約束とはいえ口約束なので大丈夫じゃないのかと男は思いましたが、それを女性が説明します。
「えっと、口約束とはいえ約束とは本来契約みたいなものです。私たち神々が契約を無視したら、それこそいろいろ破滅に向かってしまうのです」
(なるほど……んで、それをあなたはうっかりしてしまったと)
「うう……すみません……」
(あれ? 俺喋ってないんだがもしかして、心の声って聞こえていたり?)
「はい? あ、いえ。────様が伝えてくれています。私にはまだ人の心を読む権限はございません」
男が喋れないので、上司神が女性に男の心の声を伝えているようだった。
そして、上司神と女性がこの状況をどうするのか悩んでいます。
「さて、本当にどうしましょうか……いっそ私を昇格して権限を増やしてくだ……ひひぃぃぃごめんなさい!」
女性の強かな提案は却下され、上司神が呆れている気配を感じました。
そして、上司神から何か提案があったのか女性が反応します。
「はい? え、そんな方法があるのですか! 確かにこれなら条件をクリアできそうです!」
上司神の提案に女性は嬉しそうに男に話します。
「喜んでください! これで問題が解決できそうです!」
(それはよかった。んで、どんな方法?)
「あ、聞こえていませんでしたね。それでは、まず私の世界に転生します」
(ほうほう、それで?)
「その後、別の神様が管理しているもんすたあず? の世界と行き来できるように手続きをするのです!」
(そんなこと可能なんですか?)
「本来は駄目ですけど、────様が特別に話を付けてくれるようです!」
上司神の案は、男の要望を叶えてくれる案なのでした。
男はそのことを理解すると上司神に感謝の念を送ります。
「────様も気にしなくてよいと言ってくれてます。これで問題は解決……あれ? 待ってください」
そこで女性が何かに気づきました。
「あの、その行き来する色々な管理って、誰が……ま、ましゃか……」
女性の顔がみるみる悪くなっていきます。
男は分かりませんが、女性の反応を見るにかなり大変な仕事の様子です。
「あの! ────様、もしかしなくても……む、無理です! ただでさえいろいろな仕事があってこれ以上は! あう、確かにそれは私のミスなのですが……それでも……あ、はい。わかりました……」
女性が上司神に怒られて承諾しました。
(あの、大丈夫ですか? さすがに、パワハラってやつじゃないんでしょうか?)
「いえ……大丈夫です。悪いのはサボり過ぎた私なので……えっとそれでは、そろそろ転生の手続きを始めますね」
(大丈夫なのかな……)
男は少しの不安を覚えて成り行きを見守ります。
そして、男の足元が光だして、それと同時に男の体も透けてきました。
「一応、転生先の性別を同じにして裕福な家庭にしました」
(何から何まで本当にありがとうございます)
「いえいえ。それは向うで頑張って長生きしてくださいね」
そして、女性と上司神に見守られ、光に包まれて男は旅立ちました。
男が目を開けると見慣れない天井と木製の枠に囲われたベッドでした。
「うわう」(知らない天井だ……)
よくあるネタを言おうとしたらうまく喋れません。
それどころか身動きが上手く取れませんでした。
「あばうあう?」(どうなって……おいおい、まさか!」
男は自分の手を見てみると太く短くなっていました。
完全に赤ん坊です。
(転生って赤ん坊スタートかよ! 普通はある程度年になってからじゃないんかい!)
男はとりあえず、現状を理解するために周りを見ようとしました。
しかし、突然の頭痛が襲ってきました。
「ふぎゃぁぁぁ」(いっでぇぇぇ! なんじゃこりゃ!)
男はその痛みに泣き叫びました。
それの声を聴いて近くにいたのか、別の人物が近づいてきます。
恰好を見るに乳母らしき人物です
「──、────―?」
「ふあああん、ふあああん」(いっでぇよ、いでぇよ)
「──―? ──、──―」
男は痛みのせいなのか分かりませんが、近づいてきた女性の言葉が分かりません。
そして、それを考える暇もなく気絶してしまいました。
「──? ──! ────! ────―!」
女性は男をベッドに戻すと一目散に部屋を飛び出して行きました。