DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
パーティーも終わり、片付けも終わらせて、キットとソフィーが帰ります。
今回も仲間を連れずに、帰る事にします。
「それじゃ、エレナさん、スラきち。また明日ね」
「またねぇ~」
「おう!」
「2人共、お気を付けて」
スラきちは、キットに向けて言います。
「明日は新しい石板の世界に出発だな!」
「そうだね。どんな世界か楽しみにしておこう」
「おう!」
「はいはい。いくわよ~」
ソフィーは『ルーラ』を唱えて、キットの世界に戻ります。
小屋に戻り、そのままキットの部屋に戻って来た。
キットは深呼吸して、大きく息を吐きだす。
「さてと……今日も、コッチでの1日がんばるか」
「そうね……」
あちらとは違い、こちらの世界は楽しい事が無いのでテンションが下がる2人。
その事に対して、ソフィーが聞いて来ます。
「ねぇ、キット」
「何?」
準備をしていたキットは、ソフィーに声を掛けられたので聞き返します。
「思ったんだけどさ。この家を出て、別の所で暮らすのはどうなの? モンスターマスターの力が手に入ったんだし」
「あ~……それはね……」
キットはソフィーに説明しようとしましたが。
「その事にについては、長いから夜に説明するよ。今は無能アピールの時間だ」
「わかったわ」
ソフィーは了承したのを確認して、キットはソフィーと一緒に部屋を出ました。
そして夜になり、キットはソフィーに説明します。
「さて、ソフィーのこの家を出て別の場所に暮らすって案なんだけどね」
「うん」
「それはとある理由で駄目なんだ」
「それは何?」
ソフィーは聞き返します。
キットはソフィーを見て言います。
「1つ目はまだ俺達が弱いからだ」
「うん?」
キットの答えに首を傾げるソフィー。
「それじゃ、ソフィーに質問。今ここにスラリンが居たらどう思う?」
「どうって……撫でる?」
キットの質問の意図が分からず、首を傾げて答えるソフィー。
キットは次の質問を言います。
「なら次の質問。ぷんぷん丸が居たら?」
「ごめん。質問の意図が分からないから答えられない……」
「いいよ。そのつもりで聞いてるから」
「はい?」
キットの言葉に、ますます分からなくなるソフィー。
そして、次の質問をします。
「なら、次の質問。俺達が薬の材料を採取した森にいたゴブリンが、目の前にいたら?」
「そんなの、逃げるか、戦うしかないじゃない!」
キットの質問に、ソフィーが大声で答えます。
その答えを聞いて、キットは顔をニヤリとして言います。
「じゃあ、最後の質問。あのゴブリンとぷんぷん丸の違いは?」
「そんなの! ……私たちの仲間だけど、そう言う事ね」
キットの質問の意図が、ようやく分かったソフィー。
キットは答え合わせのように言います。
「そう、俺達はゴブリンとぷんぷん丸の違いがわかる。だけど赤の他人からしたらどちらも危険な魔物にしか見えない」
「あっちの世界だと、モンスターマスターは認知されている職業だけど、こっちの世界の人がそうとは限らない……」
ソフィーの答えを聞いて、キットは補足説明をします。
「下手したら、俺は魔族が擬態している思われて、国から討伐の騎士が派遣される可能性もある」
「だから、小屋の作業の時にゴロウとピンキーにローブを着せたのね。モンスターと思われない様に」
「そゆこと。ギリギリだけど、獣人族か亜人族くらいに誤魔化せるからね」
キットは笑顔で言います。
「だから、相手に殺されず、なおかつ相手を傷つけ無いで無力化できるほど強くなるまでは、大人しくこの国で薬の材料集めで小銭集めをする」
「わかったわ」
1つ目の理由を理解したソフィー。
キットは次の理由を言います。
「それじゃ、次の理由ね」
「うん」
「2つ目は、俺が下級とはいえ貴族なのが問題なんだ」
「う、うん?」
次の理由もよく分からず、首を傾げるソフィー。
キットに説明を求めます。
「説明あるんでしょ?」
「うん。まず、前提として、この世界に魔術と法術があるんだ」
キットの説明を聞いて、ソフィーが首を傾げます。
「魔術ってのは分かるけど、法術なんてあったかしら?」
「法術は教会の神父様が使える、神から与えられた力ってやつで……」
「ああ! それも魔術よ」
「……はい?」
ソフィーの言葉に、キットは思わず聞き返してしまいます。
ソフィーが続けます。
「だってそうでしょ? 神様の力を不特定多数の人間に与えるはずないじゃん」
「……なんか、聞いちゃいけないことを、聞いてしまったんだけど、どうしよ……」
「まぁ、キットの中で秘密にしとけばいいじゃん」
「むしろ忘れたいよ……」
思わぬ爆弾を抱えてしまい、頭を悩ませるキット。
切り替えて、説明を続けます。
「とりあえず、今は法術で通すね。この国では、貴族は生まれた子供を王国に登録する必要があるんだよ」
「ふむふむ」
「んで、その時に教会の司祭様が来て法術を使って登録するんだ。この子供は誰々の家の子供だって」
「なんでそんなことを?」
ソフィーが質問します。
「この国が出来るより随分と前に、どこか別の国で後継者問題があったんだけどね」
「まぁ、何処でもある話ね」
「ある日、別の国から来た男が「俺様はこの国の王の息子だ!」って言ったんだ」
「うわ、面倒くさいやつだ」
その話を聞いた瞬間、ソフィーが顔を顰めます。
「質が悪い事に、その王様も女遊びが激しくてね。本当かどうかも確かめるすべが無いから、まぁ大変な騒ぎになったわけ」
「でしょうね」
ソフィーが、深く頷きます。
「それで、その話を聞いた大司教様が「神より賜った力で問題を解決しよう」って事で生まれた子供を、その親の子供だって証明するための法術が出たんだ」
「ふ~ん」
「ちなみに有料ね」
「おい」
有料と聞いて、思わずツッコミをしてしまったソフィー。
キットは続けます。
「やり方は、その家系に登録する人の手を家系図が載っている本に当てて、司祭様が祝詞を唱える。これで登録は完了する」
「確認は?」
「登録された人が本に触れると、手の甲に家紋が出てくる」
「なるほどね」
キットの説明を聞いて、ソフィーが納得します。
「んで、その本を王城で一括に保管しておくんだ」
「なんでそんなことを?」
「貴族だと、1年に1回、王城に出向いて確認するの。で、確認できたらまた来年まで保管するの」
「なるほど」
キットの説明を聞いて、少し理解したソフィー。
そして、疑問がたいたので聞いて来ます。
「で、この登録が問題なの?」
「そうなんだよ! コレのせいで俺が家を出れないんだ!」
「お、おう」
突然のキットの叫びに、ソフィーが驚きます。
キットが説明を続けます。
「俺が何処で生活しても、俺はただの人間のキットじゃなくて、このクソ家の親父殿の息子、キット・ルノアールって肩書が、何処に行っても付いて回るんだよ!」
「そ、そうなの」
キットの言葉に、ソフィーは同意しかできない。
それを見て、キットは例題を言います。
「例えばだ、ソフィー君」
「はい」
(あ……また変に回りくどい話されるやつだ)
ソフィーは、大人しく聞くことにする。
「仲間の実力が上がった。問題なく生きて行ける。でも、登録を解除せずこの家を出て、他国で生活をするとしよう」
「うん」
「でも、生活するにはお金が必要だ。そこで何かしらの仕事をする」
「はい」
キットの当たり前の話に、唯々頷くだけのソフィー。
「まぁ、俺は欲深い人間だ。その日暮らしの細々した生活なんて我慢できない。しかも、モンスターマスターの力もある」
「そうね」
「戦える仲間の力を1番に使うなら、当然魔物討伐系の仕事だ」
「まぁ、そうなるわね」
キットの話を、相槌を打つ形でソフィーが言います。
「当然目立つわけだ。すると、必ずやってくるのが貴族関係のゴタゴタだ」
「あ~……」
「そこで、俺の出身が分かり連絡が行く。するとどうだ? 他国で有名になった俺を、この家の人達がそれを無視すると思うか?」
「ないわね……」
この家の人間達を見て来たソフィーはその状況を想像して、顔を顰めます。
キットはため息を吐いて、言います。
「金の無心くらいならまだ良いけど、あの親父殿は「おお! 私の息子よ! 我が家の為に、お前が立派になって誇らしいぞ!」って言うに決まってるよ!」
「うわ~……絶対言いそう」
キットのモノマネに対して、ソフィーは同意します。
「手前の為じゃねぇ! 俺自身の為だ! って言っても、登録解除しないと、この問題と一生付き合うことになるんだ……」
「なるほどね」
ソフィーは、キットの話を聞いて、1つ疑問を口にします。
「それなら、さっさと解除できないの?」
「解除するには成人しないと手続きできないの……」
「ああ……」
「しかも、解除の手続きがまたやっかいで……」
「うへ……」
キットの話を聞いて、嫌な顔をしたソフィー。
これ以上面倒くさいのかと思った。
キットは説明します。
「解除をするには、登録した人物の親が「この者は我が家の恥だ!」って感じで勘当みたいな解除手続きをする」
「ふむ」
「もう1つは、登録した人物が「俺はこの家が嫌だ!」って感じで自ら縁切りする形で解除手続きをする」
「あれ? ならそっちを使えば……」
「なお、その場合は親と話し合いの末、親の了承を得られなければ駄目だ」
「OH……」
キットの追加の条件を聞いて、思わず頭を抱えるソフィー。
しかし、キットの説明がまだ続きます。
「話し合いって言うけど、要は親が「この家系から出たいのであればこの条件を達成しろ」ってどんな要求でもして良いからな。金で済めば良いが、一生その家に忠誠を誓えとかになったらマジ最悪だよ」
「それ、変わってないじゃん」
キットの話を聞いて、ソフィーはキットが家を出ない理由が分かりました。
「だから、無能者を演じて「お前は我が家の恥だ! 出て行け!」からの解除ルートを維持して行かないとね」
「なるほどね」
キットがなぜコソコソやっているのか、ソフィーはようやく理解した。
そして、またもや疑問が生まれた。
「それが有ると、暗殺して登録抹消の危険があるんじゃないの?」
「ああ、それは少なくともこの家じゃ無いから安心しても良い」
「なんで?」
ソフィーの質問に、キットは答えます。
「家は貴族って言っても、下級だし、親父殿の仕事も王城の下っ端文官なんだよ」
「ふむふむ」
「平民よりは貰っているけど、それでも、武官に比べたら給料は低いんだ」
「そうなんだ……」
キットの話を聞いて、この家がそうなのかよく分からないソフィー。
キットは説明を続けます。
「文官に成れるのは、この国に住んでる貴族の教育を受けた者だけだ。じゃないと、他国のスパイが来るからね。となると、文字を理解できる人材って貴重なわけで、その子供なら同じく文官の道を歩むことになる」
「それは決定事項なんだ」
「貴族だからね。自由何て無いよ。んで、その家が貧乏で消えたら変わりの人材が居なくなる。それは困るので、子供が成人になるまで国から特別手当を支給されるんだよ」
「ああ……なんとなく理解できて来た」
キットの話を聞いて、ソフィーは嫌な顔をして言います。
「親父殿も金の生る木を、暗殺者に金を払って切り倒すほど阿呆じゃないってことだよ。この制度の御蔭で俺は生きて行けるんだ。この制度の所為で家を出ることができないとも言うけどね……」
「うわ……」
キットの言葉に、何と行ったらいいか分からないソフィー。
話をそらすために、ソフィーは質問をします。
「はい。先生。なんでこんなに面倒くさい事をするんですか?」
「まぁ、血筋を大事にする貴族社会だからじゃない? 俺も詳しくないから何とも言えないな」
「そうなんだ」
「他国だと違うかも知れないし、調べるのも面白いかも知れないね。この家から解放されたら」
「あ、はい」
ソフィーはキットの家庭の事情が分かったので、これ以上聞くのを止めました。
それを見て、キットは言います。
「他の理由は小さい物ばかりだけど、例えば何処に行くのに地図が欲しいとか、どんな風習があるとか、そんなのは調べてからだけど、大きな理由は今あげた2つだね」
「わかったわ。とりあえず、仲間を強くするのと、成人を待つのね」
「ま、そうゆうことだね。成人して、勘当されてからが俺の復讐の野望が始まるのさ」
「あ、はい」
長く話して来たので、そろそろ眠くなって来たので、2人は寝る事にします。
「それじゃ、おやすみなさい。キット」
「おやすみ。ソフィー」
2人は眠りのつきました。