DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
リカントは、気絶から回復して起き上がりました。
そして、睨みながら立ち上がりました。
「く、くそ……」
「貴方たちの負けですけど、まだ戦いますか?」
「ちぃ……こうなったら」
リカントは起き上がり、サーベルきつねとワンダーフール掴んで。
「覚えてやがれ~!!」
「あ、逃げた」
リカントは2匹を連れて、踵を返して逃げて行きます。
その様子を、キット達はただ見てるだけです。
「いいの? 逃がしちゃって」
「そうだね。何もなかったら追いかけてたんだけどね」
「それって……」
どう意味か聞こうとしたソフィーですが、後ろから拍手が聞こえて来ました。
先ほど盗賊団に襲われていた人物が、笑顔で近付いて来ます。
「いや~お見事! 坊ちゃん達のお蔭で助かりました」
「怪我はございませんか?」
「ええ! 問題ございません。ああ、自己紹介が遅れました。私はカーラと言います。旅商人をしています」
カーラと名乗った旅商人は、深くお辞儀をします。
キットは、カーラをよく観察します。
頭に茶色いベレー帽子をかぶり、白い長袖のシャツに上から緑の薄手のベストを着て、背中に商人特有の大きなカバンを背負い、白いだぼっとしたズボンを履いて、靴は手入れのされている革の靴を履いています。
キットは少し警戒しつつ挨拶をします。
「改めてこんにちは。僕の名前はキットと言います」
「私の名前はソフィーよ」
「俺はスラきちだぜ!」
「ゴロウと申します」
「後は……」
キットは、他の仲間の名前を呼んでそれに合わせて鳴くことで挨拶をします。
カーラはそれを聞いて、笑顔で言います。
「紹介ありがとうございます。いや~、隣街に行くためにこの街道を進んでいたら、突然モンスター達に襲われて大変困っていたのです」
「それは、大変でしたね。護衛とか雇わなかったのですか?」
「お恥かしい話ですが、護衛を雇えるほどの資金も無く、この街道に盗賊は居ないと聞いていたので、比較的安全だと油断していました……」
「そうなんですか」
カーラの話にキットは納得しました。
カーラは、キットに質問をします。
「ところで、キットさん達も隣町に向かうつもりなんですか? あちらの道から来られましたし」
「あ~……まぁ、そんな感じです」
「なるほど。もし、よろしければ私も一緒に付いて行ってよろしいでしょうか? また、襲われてしまうかも知れません」
「ふむ……。少し、相談します。ぷんぷん丸、一応あの人の近くで護衛しててくれる?」「うぎ」
キットの指示を受けて、ぷんぷん丸はカーラの近くで警戒します。
カーラから少し離れて、キットは皆と話し合います。
「さて、どうしようか?」
「どうしようって、女性を1人でここに置いていくつもり?」
「一緒に連れていけば良いじゃないか」
キットの発言に、スラきちとソフィーが疑問を言います。
それに対して、ゴロウが言います。
「マスター殿。1つ良いですか?」
「何?」
「一緒に行くのは前提で、我々に相談した。そういう事でいいんですね」
「さすがだよ、ゴロウ」
「ん?」
「どういうこと?」
ゴロウの発言に、キットは笑顔で答えて、ソフィーとスラきちは首を傾げます。
ゴロウが自分の考えを言います。
「マスター殿が気になっている事は、あの女性が護衛も無し1人で此処にいる事ですね」
「ん? それは護衛を雇うお金が無いって言ってたじゃん」
「おう」
「それが、少し不自然なんだ」
「??」
キットとゴロウの言葉に、ますます訳が分からない2人。
キットは2人にどういう風に説明するか考えて、言います。
「ゴロウ。あの人の実力はどう感じた?」
「戦ってないので分からないですが、少なくともこの辺りのモンスター相手から逃げるのは出来るかと思います」
「なるほど。スラきちとソフィーは俺とゴロウの話を聞いててくれる?」
「おう」
「わかったわ」
キットの言葉を聞いて、2人は少し静かにします。
「『せいすい』を使ってる感じはどう?」
「無さそうですね。むしろ、少しあの女性から匂います」
「匂う? どんな香り?」
「薄いですが、アレはモンスターを寄せる物かと思います」
「なるほどね」
キットはゴロウの話を受けて、少し考えます。
そんなキットに、ゴロウが提案します。
「私とピンキーで後ろを警戒しますので控えにしてください。代わりにぷんぷん丸をメインの方でお願いします」
「分かった。気を付けてね」
「はい」
「そろそろ説明してくれる?」
キットとゴロウの話し合いが終わったので、ソフィーが聞いて来ます。
キットは困り顔で言います。
「確証が持てないんだけどね。もしかしたら、さっきの盗賊団とあの女性が仲間の可能性があるんだ」
「何?!」
「それ本当なの?!」
「あ、それは無いかと思います。マスター殿」
「え? マジ?」
「はい」
キットの発言にゴロウが否定して、スラきちとソフィーが転けます。
ゴロウが続けて説明します。
「盗賊団と仲間で有るなら、犬笛みたいな物を使うと思います。『においぶくろ』系のアイテムを合図に使うことはないですね」
「それもそうだね。それじゃもう1つの方か」
「合図って、なんでそんなことを?」
ソフィーが訳が分からないので聞いて来ます。
キットが説明をします。
「どんな方法か分からないけど、あの女性は俺達の事に気付いて、わざとモンスターに襲われたんだ」
「なんで、そんな危ないことしてるんだ?」
「そうよ。下手したら命を無くすかもしれないじゃない」
キットの説明に、ソフィーとスラきちが聞いて来ます。
キットは説明を続けます。
「たぶん、俺達に助けてもらう為なんだと思うよ。助けてくれるってことは、心優しい人間だ。同情を誘えばそのまま護衛してくれる。しかも無料で」
「なんだそれ?!」
「セコ!」
キットの説明を聞いて、ソフィーとスラきちは思わずツッコんでしまった。
「商人だからね。どれだけお金を使うのを減らすか考えたら、こうなると思うよ」
「なんか、腹立つな……」
「でも、キットは連れて行くのよね?」
「ゴロウの話を聞いて、盗賊団と仲間じゃない可能性が高くなったしね」
「ですが、警戒はした方が良いでしょう。私とピンキー、後フラワーを少し高く飛ばして周りを見渡せば、不意を突かれることは少ないと思います」
「うん。ありがとう」
ゴロウの提案に、キットはお礼を言って任せます。
スラきちとソフィーが少し納得してない感じです。
「なんか、嫌だな……」
「そうね……」
「まぁまぁ」
キットは2人を説得します。
「ゴロウが警戒してくれるし、もし何かやって来たら、逆に返り討ちにして、慰謝料を沢山貰えばいいさ」
「お、おう」
「さすがね……」
キットの発言に、2人は少し引きつつ納得しました。
キットは相談を終わらせて、カーラに近づきます。
「お待たせしました。皆と相談して、一緒に行くことが決まりました」
「おお! それは、ありがたい。よろしくお願いします」
キット達は、旅商人のカーラと一緒に先に進むことにします。
道中戦闘をしながら先に進んでいると、カーラがいろいろ聞いて来ます。
キットも、話せる所を話しながら相手にします。
「なるほど。キットさんは、最強のモンスターマスターを目指すために、修行の旅をしているんですね」
「はい。だから、目的地は自分の仲間より強いモンスターが居る所って感じで色んな場所を移動しているんです」
「そんなに若いのに、旅をしてるなんて偉いですね!」
「いえいえ」
カーラに煽てられて、照れながら答えるキット。
そんなキットの様子を、ソフィーとスラきちが見て言います。
「随分とまぁ、楽しそうに話して」
「本当だぜ」
少し、キットに対して不審な目をする2人。
その時、モンスターの群れが現れます。
キットは気を引き締めて、カーラに言います。
「カーラさん。後ろに下がっててください!」
「了解です!」
「皆! 戦闘準備!」
「おう!」「ぴぃ!」「キキ!」「うぎ!」
キットの号令に従って、全員が目の前の相手に集中します。
相手はスライムべス、スキッパー、ピクシー、キメラである。
キットは、相手のキメラを視界に入れた瞬間、『まもののエサ』を取り出して、ばら蒔いた。
その行動に、カーラが驚く。
「な、なにしてるん?!」
「まぁ、見ててください」
キットは、エサに食らいついたモンスター達を見て、集中してキメラに指を合わせる。
キットの行動と共に皆が構える。
「今だ! 『スカウトアタック』」
「うおおお!」「ぴぃ!」「キー!」「がぁぁ!」
「な、なんや?! なんや?!」
突然、青いオーラを出して、キメラに突撃する様子にカーラは驚く。
キットは、それを一先ず置いといて、キメラの様子を見る。
青いオーラがキメラを包み、少しすると。
「クケー♪」
「よし!」
キメラのスカウトに成功した。
それと同時に、他のモンスター達は逃げて行った。
キメラがキットに近づき、周りを飛び回る光景に、思わずカーラが驚いて聞きます。
「キ、キットさん? 一体何が起こっているんですか?」
「少し待ってくださいね。この子の名前を付けますので」
「あ、はい」
キットは少し考えて、キメラの名前を決めます。
「よし、君の名前は「メッキ―」だ」「クケー♪」
キメラのメッキ―は嬉しそうに飛び回ります。
そして、キットはカーラの方を向いて言います。
「驚かしてすみません。コレが、モンスターマスターの力なんです」
「はい?」
キットはカーラに説明をします。
説明を聞いたカーラは納得して、言います。
「ほえ~……そんな方法で仲間を増やせるんですか」
「はい。他にも色々な方法で仲間を増やせることができますが、1番使うのは今のスカウトですね」
「ほほう。ちなみに、その他の方法とは?」
「えっとですね」
キットは、カーラの質問に答えて行きます。
その様子を見ていたソフィーが、キットに言います。
「お喋りも良いけど、そろそろ疲れて来ない?」
「ん? そうだね。この辺りで少し休憩をしようか。カーラさんも良いですか?」
「はい。問題無いですよ」
ソフィーの提案にキットは同意して、休憩を始めます。
キットは『せいすい』を取り出して、周りに撒いて安全地帯を作ります。
そして、キットはお弁当……ではなく、パンと『まもののエサ』を取り出した。
「さすがにお昼にはまだ早いから、これで我慢してよ」
「ちぇ……」
「まぁ、しょうがないか」
「ふむ……」
その様子を見ていた、カーラがキットに提案します。
「キットさん。もし宜しければ、此方なんてどうでしょう?」
「はい?」
カーラが取り出した物は、紙に包まれた四角い棒状の物です。
思わず、聞いてみます。
「これは?」
「携帯食料です。パンよりも場所を取らないで、腹持ちも良いんですよ」
「へぇ、そんな物があるんですね」
「はい! 普通はそこそこのお値段がするんですが、今回はキットさんに特別にこのお値段で提供します」
「う~ん」
キットは少し悩んだ後、ゴールドを取り出して、カーラに渡します。
「分かりました。買います」
「毎度ありがとうございます♪」
携帯食料が売れて、ご満悦なカーラ。
キットは、購入した携帯食料を早速食べてみることにします、が。
「さて、どんな味……」
「ジー……」
「じー……」
「……はいはい」
ソフィーとスラきちの視線を受けて、それを3等分にします。
キットから受け取った2人と一緒に食べてみます。
「「「あむ」」」
少し、咀嚼した後、感想を言います。
「微妙……」
「そうね……」
「ギリギリ、エサの方がうめぇや」
スラきちはそう言うと、他の皆が『まもののエサ』を食べてる所に向かいます。
ソフィーが、キットに言います。
「まだ、パンの方が良いかも……」
「だろうね」
「だろうねって、もしかして、分かって買ったの?」
「うん」
キットはソフィーの質問に、頷きます。
その様子に、思わずソフィーがキットに詰め寄ります。
「なんで、そんなことをしたのよ?!」
「なんでって、そうだな……」
キットは、カーラを横目で観察します。
キットから手に入れたゴールドを嬉しそうに数えています。
それを見たキットは、ソフィーに小声で言います。
「どんな行動をしてくるか知りたかったから、かな?」
「どういう事?」
「カーラさんが、何か物を売る時に、幾らの値段で売るのか知りたかったからね」
「そんなの知って、どうするのよ?」
ソフィーの質問に、キットが答えます。
「世間知らずの子供に対して、騙して高く売るのか、それとも信頼を得る為に安くするのか、そのどっちかをね」
「……それで?」
「最初は少し高い値段を掲示して、その後適正価格通りに売って来た」
「それって、どっちなのよ……?」
キットの答えを聞いて、訳が分からないソフィー。
それに対して、キットが答えます。
「堅実に儲かる商売をしつつ、信頼を得ようとするタイプだね」
「でも、最初は高い値段を言ってきたじゃない?」
「それは、街の店で買う話。此処はモンスターが居る街の外だよ? その分を上乗せするのは当然だね」
「それもそっか。つまりどういう事?」
ソフィーはキットに質問します。
「とりあえず、警戒を少し緩めて良いと思うよ。道中俺を探る為に、煽てて来た時は警戒強めたけど、商売するに値する相手かどうか調べていたみたいだね」
「……そうだったんだ。てっきり、調子に乗っているのかと思ってたわ」
「あはは……まぁ、そんな風に見られても仕方ないかな」
「ごめんね」
ソフィーの発言に対して、キットは乾いた笑いをします。