DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
看板を元に戻してから、キット達はカルカの街に続く道を進んでいます。
後ろで警戒しているゴロウは、地面を気にしながら進んでいます。
「むぅ……」
「チュウ?」
同じように控えに居るピンキーが気にして聞いて来ます。
それに対して、ゴロウが言います。
「少し、気になる事が有ってな。マスターに報告するべきかどうか……」
「チュウ!」
「そうだな。マスター殿なら聞いてくれるか」
ピンキーに言われて、ゴロウはキットに報告しようとした時。
「この辺で、お昼にしようか」
「賛成よ」
「よっしゃ!」
「わかりました」
キットの、休憩の提案で皆が喜んでいる様子を見て、ゴロウは少し考えた後。
「……食事が終わってからにするか」
「チュウ」
ピンキーが同意して、ゴロウも休憩準備の手伝いをしに行きます。
キットは、エレナから貰った弁当を取り出して、皆と分け合った。
「「いただきまーす」」
「私まで、ありがとうございます」
「いえいえ」
カーラは、キットから弁当を分けて貰いそれを頂く。
一口食べて、それに驚く。
「な、コレは?!」
「美味いだろう!」
カーラが驚いたのを見て、エレナの料理が美味しくて驚いたと思った。
しかし、カーラが驚いた事は別だった。
「キットさん、この料理は、何時手に入れましたか?」
「今朝、牧場を管理してる人にお弁当として貰いましたけど?」
「なるほど……」
キットの話を聞いて、カーラは考えてから言います。
「キットさん。もしかして、貴方の言うアイテム欄の中に入ったアイテムって、時間が経過しないのでは無いですか?」
「あ、やっぱりそうなのか?」
キットはそう言いながら、ソフィーの方を向いて確認します。
ソフィーは、キットの視線を受けて頷いて言います。
「そうよ。だから、食べ物が腐る事は無いから、安心しなさい」
「やっぱりか」
キットは、市場で購入した食料が買った時を同じで特に変化していなかったので、ソフィーの言葉を聞いて納得しました。
その情報を聞いた、カーラは少し考えてから言います。
「貰っておいてアレなのですが……あんまり、他人にこの様な弁当などを渡すとバレやすいので、保存食とかで誤魔化した方がいいですよ。そのリングの価値に気付いて、盗難目的で襲われるかも知れませんし」
「そうですね……今の所は、そうした方が良いかもしれません」
「はい。……今は?」
キットの発言に、カーラが疑問を口にする。
キットは笑顔になって答えます。
「強くなれば、襲われても返り討ちに出来ますから、そのうち気にしなくて済みますよ」
「それはそれで、別の面倒事になりそうなのですが……」
キットの発言を聞いて、カーラは少し引いています。
そんな会話を終わった時に、スラきちが発言します。
「なぁ、キット。少し良いか?」
「どうしたの?」
「少し、気になる事があるんだけどさ」
「何?」
スラきちの気になる話と言うのを聞きます。
「さっき、看板のあった所から道が変なんだ」
「変って?」
「うまく説明できない……」
「何よそれ……」
「むぅ……?」
スラきちの要領を得ない話に、ソフィーとキットも同じように悩みます。
その話を聞いていた、ゴロウが近づいて言います。
「恐らく、スラきち先輩は地面を跳ねて移動しているので、異変に気付きやすいのでしょう」
「ゴロウ。何か気付いたの?」
「その説明をする前に、カーラ殿」
「は、はい!」
突然、ゴロウに名前を呼ばれたカーラは返事をしてゴロウを見ます。
「情報が欲しいので、幾つか質問をしてもよろしいですか?」
「えっと、なんでしょうか?」
「貴方は、なぜこの道を通る事にしたのですか?」
「は、はい?」
「ゴロウ。それはどういう意味?」
ゴロウの質問の意味が分からず、キットが聞いて来ます。
ゴロウは、キットの質問に答えます。
「マスター殿。この道を進んで、かなりの時間が経っているのですが、おかしな事に気付きませんか?」
「おかしな事?」
「何かしら?」
ゴロウの言葉に、キットとソフィーが悩みます。
2人が答えを出せそうに無いので、ゴロウが言います。
「ここは街道のはずなのに、反対の道から人間が誰もやって来ません」
「そういえば、そうね!」
「確かに……」
ゴロウの答えを聞いて、2人は納得しました。
そして、さっきの質問を思い出します。
「どうして、この道を通る事にした、だっけ?」
「はい。カーラ殿。この道とは別に、安全な道があるのでは在りませんか?」
「その通りです」
カーラはゴロウの質問に、肯定の返事をした。
そして、詳しく説明をする。
「この道とは別に、領主様が作った道があります。そちらは、此方と違って、道が石材で整備されているので、馬車なんかはそちらを使っています」
「それは良いわね」
「さらに警備として、領主様の私兵が巡回しているので、モンスターは少なく盗賊も居ないようです」
「そんなに良い道があるのに、何で使わないのですか?」
カーラの話を聞いて、キットが疑問を口にします。
それを聞いたカーラは言います。
「ただ、そちらの道はそれらの維持する為に、通行料が掛かります」
「まぁ、当然よね」
「後、安全なルートにする為に、平坦な道で作ったので、この道に比べて時間が掛かります」
「なるほど。つまり、この道は危険だけど、通行料が掛からず、さらに早く目的地に着くわけですか」
「その通りです。ですから、私みたいな駆け出しの旅商人や、農村の作物を売りに行く村人なんかは此方の道を使うのです」
カーラの話を聞いて、この道を選んだ理由にキット達は納得しました。
そして、ゴロウは続けて質問をします。
「貴方が、この道を利用した理由は分かりました。それでは、この道の危険な噂は聞いていませんか?」
「噂ですか……。一応、先ほどの看板の所でも話しましたが、分かれ道の所で、洞窟に続く道には行くな、と聞きました」
「理由は?」
「洞窟にはとても危険なモンスターが居るから、としか。でも、洞窟からは出て来ないから安心しろ、と」
「なるほど……」
「ねぇ、ゴロウ。もしかしてだけど……」
話を聞いていた、キットがゴロウに確認するように話しかける。
ゴロウは、それを聞いて、頷きます。
「恐らく、この道の先にそのモンスターが居る可能性があるかもしれません。地面の違和感はそれでしょう」
「マジか! 地面の違和感の正体はわかる?」
「何かが通った跡がある、としか言えません」
「う~む……」
ゴロウの話を聞いて、キットが悩みます。
少し、考えて言います。
「この先に、洞窟から出て来たモンスターが居るから、警戒しながら進んで行こう」
「分かったわ」
「何か気付いたら言うぜ!」
「お願いね。カーラさんも、何か気付いたらお願いします」
「分かりました」
「それじゃ、出発だ!」
キット達は、休憩を終わらせて先を進み始めました。
道を進んで行くと、キットやソフィーでも分かる様に違和感が出て来ます。
ソフィーが言います。
「戦闘が少なくなったわね」
「モンスターが減っているからだね」
「楽で良いじゃねぇか」
スラきちが、短絡的な発言をしています。
その事に対して、キットが言います。
「モンスターが少ないってことは、それだけ危険を察知して逃げ出したってことだよ」
「それって、この先にそれだけ、やばいやつが居るって事か?」
「そうなるね」
「お、おう」
スラきちが、少し怖がって警戒を強めます。
そうして、先に進んで行くと、行き止まりに着きました。
「あれ? 道に迷った?」
「いいえ。此処まで一本道のはずですよ?」
キットの発言に、カーラが否定します。
そして、行き止まりをよく観察すると、道の真ん中に巨大な岩の様なものが、両脇の崖にすっぽりと挟まって、通せんぼしています。
それを見て、ソフィーが言います。
「これの所為で、反対の道から人が来れなかったのね」
「そうだね。どうしようか?」
「皆で押す……にはデカすぎるか」
「どうしましょう……」
キット達が、どうするか悩んでいると、来た道から大声で何者かが近づいて来ます。
「見つけたぞ!」
「ばう」
それは、先ほど撃退した、リカントとワンダーフールでした。
その2匹が、またもややって来たのでした。
「あれ? また、1匹減ってる」
「逃げられたのね」
「うるせぇ!」
キット達の話を聞いて、リカントが怒鳴ります。
リカントにキットが言います。
「いい加減、諦めませんか? もう、2匹だけになって勝ち目はありませんよ」
「うるせぇ! うるせぇ! 此処まで舐められて、黙ってられるか! 行くぞ!」
「やれやれ……ゴロウ?」
キットが戦闘準備の合図をしようとしたら、ゴロウが前に出ます。
そして、リカントがゴロウを襲おうと向かいますが。
「食らえぇぇ!」
「いい加減にしろ!」
「ぬわぁぁぁぁ?!」
「ばう?!」
襲ってきたリカントの腕を掴み、そのまま通せんぼしている岩に投げ飛ばしました。
突然の事に、ワンダーフールも動けません。
投げ飛ばされたリカントは、激突して地面に落ちました。
もぞもぞ。
「ぐべ!」
「勝ち目の無い戦いに無駄に挑み、さらに消えた仲間も探さず、それでも貴様はリーダーなのか!」
「う、うるせぇ!」
ゴロウの説教を受けて、リカントは睨み返します。
もぞもぞ。
「手前みたいな、軟弱な人間に媚びを売る奴に説教されたくないぜ!」
「貴様が言う、軟弱な人間に媚びを売っている者達に負けている事に関しては?」
「ぐ……うるせぇ!」
「あの……ゴロウさん」
説教に夢中なゴロウに、キットが声を掛けます。
キットの顔色が悪くなっています。
もごもご。
「どうかしましたか?」
「リカントの後ろを見てください」
「後ろですか? なぁ?!」
キットに言われたとおりにゴロウが見ると、通せんぼをしている岩が蠢いています。
その正体に気付いて、ゴロウが焦ります。
無視されていると判断したリカントが、怒ります。
「さっきから何無視してんだ!」
「不味い! おい、貴様! 後ろを見ろ!」
「はぁ?! 突然なんだよ? その手には引っかからないぞ!」
「そうじゃない! 馬鹿者!」
リカントは、ゴロウの警告を無視して、怒鳴ります。
そして、リカントの後ろに居た正体が、リカントに気付きます。
それを察知したワンダーフールが吠えます。
「ばう! ばう!」
「あん? 逃げろ? いったい何なんだ……んな?!」
仲間のワンダーフールを声を聴いて、ついに後ろを向くと、そこには岩に擬態していた巨大なモンスターがリカントを見ていて、リカントが驚きます。
茶色の体色に所々にぶち模様があり、顔の周りに触角と飛び出た目玉、緑色の舌をだらんとさせて涎が垂れている。
そのモンスターを見て、キットが叫びます。
「おおなめくじ?! 何でこんな場所に?!」
「嫌ぁぁぁ!」
その正体にキットは驚き、ソフィーが叫び声を上げます。
リカントは驚いて、腰を抜かしたのか地面に座り込んで動けません。
「あわ、あわわわ」
「なんかぁうるさいなぁ。お腹がぁ空いてぇイライラしてるのにぃ」
おおなめくじはリカントを見て、その大きな舌で捕らえます。
捕まったリカントが叫び声を上げます。
「た、助けてくれ~!!」
「ちょうどいいやぁいただきまぁす」
「ひいぃ、やめっ……」
「食べられた」
おおなめくじはリカントを口の中に入れると、飲み込んでしまいました。
その様子を見ていた、ワンダーフールは逃げ出します。
「ば、ばうぅ!!」
「ん? にがさなぁい!」
その巨体からは想像できないジャンプをして、ワンダーフールの所に着地します。
ワンダーフールは踏みつぶされてしまいました。
「ぷぎ!」
「あれぇ? 見失ったぁ?」
ワンダーフールを踏みつぶした事に気付かないおおなめくじ。
そして、今度はキット達を見つけます。
「ならぁ、次はぁこっちだぁ」
「ですよね……」
「言ってる場合?! どうすんのよ!」
ソフィーの質問に対して、キットが言います。
「今の見てわかると思うけど、逃げれないと思う」
「ってまさか?!」
「戦うしかないってことだよ! 皆、戦闘準備! カーラさんは巻き込まれない様に離れてください!」
「わ、わかりました!」
おおなめくじとの戦闘が始まる。