DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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ようやくドラクエに行けそうです


長く辛い日々に光が

 豪華な部屋の窓から朝日が差し込み、その朝日で目を覚ます。

 使用人が起こしに来て、モーニングティーと軽い軽食を用意してくれる。

 それらを食べて、今度は着替えの手伝いをして貰い、朝食を食べるために食堂に移動する。

 そんな夢を見ながら男──少年はベッドから起きる。

 

(朝か……さっさと着替えて洗濯しないとな。朝飯が無くなる)

 

 そう思い、少年は服を着替え、ベッドシーツを剝ぎ取ると、着替えと一緒に籠に入れて持ちドアを開ける。

 

(むぅ……まだ少し暗いな)

 

 少年は籠を抱えながら井戸のある場所に移動を始める。

 井戸が見えてきたところで籠を置き、盥を用意して洗濯物を入れた後、井戸から水を汲んで盥に入れて洗濯を始める。

 

(うう……冷たい)

 

 冷たさを感じながら少年は選択をしていると、視線を感じた。

 それは家の使用人達のだった。

 その視線は、少年をあざ笑うかのような目だったのである。

 

(いつものことながら、ただ見てるだけなんだよな……今更だけど)

 

 本来、少年のやることは使用人がやってくれることだ。

 少年は貴族の子供であり、雑務をするために使用人を雇っているはずだ。

 だが、使用人たちはわざとそれを放棄している。

 

(まぁ、下手に行って無駄な労力使うより、自分でやった方が良いから、別にいいんだけどね)

 

 少年は諦めの境地で、洗濯を終わらせて干すために場所を移動する。

 少年は洗濯物を干しながら今日の予定を考えている。

 

(今日は剣術の先生が来るんだったな。それじゃ、少し顔を出したらいつものように書庫で勉強でもするか)

 

 そう思いながら少年は黙々と作業を終わらせていく。

 なぜ少年がこんな状況になっているのかと言うと、転生した時に問題が起きたからだ。

 赤子に転生した時、男の記憶を一気に思い出した弊害で赤子の脳にはそれが大変な負荷になったのか、知恵熱を発症し病弱の子供と大人たちに認識された。

 さらに、本来はこの世界の言葉を覚えるために使う、記憶部分を前世の記憶で消費してしまったので、言葉および文字の習得も遅く、5歳くらいになってようやく喋れるようになれた。

 そして現在、8歳になった今でも一部の言葉と文字が理解できないので勉強するために自習で書庫に行っているのだ。

 

(洗濯終わり。さてと、朝食を食べに食堂に移動するか)

 

 洗濯を終えることには、日が昇りだしてきた。

 朝食を食べる為に少年は食堂に移動する。

 

 

 食堂に着いた少年は扉を開けて中を見ると、使用人が準備の途中でした。

 

(少し早かったか。それじゃ、親父達が来るまで少し待つか)

 

 少年は、待つために壁際で立っていると恰幅の良い男性と女性がやってきました。

 その2人を見た少年は、お辞儀を始めます。

 

「おはようございます。父上、母上」

「ああ」

「ふん」

 

 少年の挨拶に簡素な挨拶を返します。

 2人は少年を少し見た後、視線を戻して自分の席に移動します。

 その姿と見た後 少年は自分の席に移動します。

 2人とは離れた席です。

 

(わかっていたが、せめて挨拶くらいは返そうぜ。親父達よ……)

 

 そんな2人に呆れていると、扉の方から少年と同じくらいの背丈の人物が、メイドと共にやってきました。

 

「おはようございます。父上、母上。あ、それとキット兄上も」

「おお、我が自慢の息子よ。おはよう」

「良く眠れましたか? ラルフ」

「はい。とてもよく眠れました」

 

 ラルフと呼ばれた少年は、キットの挨拶を聞く前に、父親と母親の近くの席に座りました。

 そして、使用人達の我先にと世話をラルフの元に向かいます。

 

(いつもの事。いつもの事だ。気にするな……俺!)

 

 キットは自分に言い聞かせるように考えていると、一応他の3人がいるのでキットにも食事が運ばれてきました。

 ただ、なぜか食事の質が違うように見える。

 

「それでは、食事を始めるとしようか」

 

 父親の号令で朝食が始まった。

 食事中にも父親とラルフの会話が続きます。

 

「ラルフよ。昨日はどうだった?」

「はい、父上。マーカス先生から中級魔術を教えて貰いました」

 

 ラルフは昨日、魔術の先生の教えて貰ったことを喋ります。

 

「ほう! それで、どうだ。使えるのか?」

「残念ながら……ただ、先生曰く、才能は良いのですぐに使えるようになると」

 

 ラルフの答えに、2人は嬉しそうです。

 

「それはとても素晴らしい!」

「ええ本当に。それに引き換え……全く嘆かわしい」

 

 2人はキットの事を見ると軽蔑の視線を送ります。

 キットはその視線に気づかないふりをします。

 

(実の両親が子供にして良い目じゃねぇぞ)

 

 黙々とキットは食事を済ませます。

 早々と食事を済ませたキット少年は、食器をもって退出します。

 その姿を3人は見もしないでお喋りに興じています。

 

(とっととコレ片づけて、書庫に移動しよう)

 

 キットは食器の片づけをする為に調理場に移動します。

 

 

 調理場で食器を自分で片づけて後、書庫に移動したキットは本を読んで勉強します。

 本には色々な便利な事が書かれていますが、キットには難しいのか悩みながら読んでいます。

 本来、貴族の子供には専用の家庭教師が教えるはずですが、キットにはいません。

 それは、ラルフの方に全力を注いでいるからです。

 剣術と魔法の才能、さらに頭脳も優秀な弟。

 対して、そのどちらも無く、文字の習得にすら苦労している兄。

 この家を継ぐのはどう見ても弟の方です。

 使用人達もそれを理解しているのか、未来の自分の仕える主に対して必死に世話をします。

 弟は理解しているのか不明ですが、使用人にも優しく接しているので正に理想の主になるのです。

 そして、兄の方に日頃の鬱憤を晴らすかの如く、使用人達は冷たく接しています。

 そのことに対して、両親は黙認しているので猶更です。

 

(そのうち、俺は追い出される。それまでに最低でも生きていけるスキルを身につけておかないとな)

 

 そうキットは思い、勉強を始めます。

 普通だったらこの境遇は教育に良くないのに、キットがそれを甘んじて受けれるのは転生者だからです。

 

(でも、せめて、何かしら才能が欲しかったぜ)

 

 そう、考えながら本を読んでいると不意に視線を感じました。

 いつもの使用人だと思い無視しようと思いましたが、何故か少し違和感を覚えました。

 それは窓の外からなのです。

 少年がいる書庫は2階に在るので本来人がいる場所ではありません。

 思わず視線の正体を知るために窓をよく見てみると。

 

(鳥かなにかだろう……うえい?!)

 

 それを見た瞬間、キットは固まってしまいました。

 窓の外に人がいました。

 ただし、体はとても小さくて半透明の羽が背中から生えています。

 

(よよよ、妖精?! 実在していたのか! そっかここ異世界だ!)

 

 長年、孤独に生きてきた弊害なのか、驚きの声は上げないで、固まってしまった。

 そして、それを見た妖精は自分の事が見えているのかと判断したのか部屋の中に入ってきました。

 

(窓を貫通して入ってくるとか、セキュリティ意味ないのかよ……ん? 何か探している?)

 

 妖精はキットの前に来ると周りを見回したのち、何か動きをしています。

 そして、見えてないと判断されたのか落ち込んでいます。

 

(何か探し物……この家で目に着くものって言えば……ああ、弟かな)

 

 また弟に何か特別な何かを与えられる。

 それを理解したキットはテンションが一気に下がりました。

 だが、それとこれは別なので親切に妖精に弟の場所を告げます。

 

「弟なら、たぶん庭で剣の素振りしているよ」

「ふえ?!」

 

 キットに声を掛けられて妖精は動揺しています。

 そして、恐る恐る話しかけます。

 

「あ、アンタ、私の事見えるの?!」

「ああ、ばっちりね。その服似合っていると思うよ」

 

 キットは妖精の質問に答えると、妖精は震えたのち喜びで舞い踊ります。

 

「や、やったぁぁぁぁ。やっと見つけたぁぁぁぁ」

「どしたの? あんまり大声出すと誰かに見つかるよ」

「大声出すわよ! 8年も探し回ったんだから!」

「ん?」

 

 8年はキットの年齢と一緒です。

 1年違いの弟では無い事に気がつきます。

 つまり、この妖精が探していたのはキットなのです。

 

「その口ぶりから察するに、探してたのは俺ってこと?」

「そうよ! 女神様に言われて探していたのよ!」

「女神様……って事は君は?」

「アンタをサポートするように言われた妖精のソフィーよ。よろしくね」

 

 女神様。それは男がこの世界に来ることになった人物の事だと理解しました。

 しかし、8年もの間なんも音沙汰も無かったのでキットは諦めの境地になっていたのです。

 ゆえに、その言葉を聞いて疑問が浮かびます。

 

「なんで、8年間も音沙汰なかったんだ?」

「あ~……それね……怒らない?」

「内容による」

「ですよねー」

 

 ソフィーは言いにくそうに説明します。

 男が転生したすぐ後、ソフィーが呼ばれてサポートの為に向かってくれと説明を受けました。

 ところが……

 

「何処に転生させた分からないと」

「一応、人間の裕福な家庭の子供に設定したけど……うっかり場所がランダムだったみたいで」

「それを私に探せと?」

「お願いします」

 

 その後、ソフィーはいろんな家庭を探し回った。

 裕福な家庭を中心に認識疎外の魔法を使い、見えるのは女神から転生した男。

 

「そして、ついに貴方を見つけたってわけよ」

「なぁるほど」

「……やっぱり怒ってる?」

 

 キットはその話を聞いて目を閉じて深く深呼吸をしました。

 

「とりあえず、理解はした」

「お?」

「そもそも、女神の話だと、あのままじゃ俺はどっちにしろヤバかったんだし、転生は必須だった」

「おお」

「一応約束通り、裕福な家庭で寝る場所と食べる場所にも苦労はなかった」

「そ、それはよかったわね」

 

 ソフィーとは淡々と話すキットが少し怖かった。

 

「だけど、せめて言葉の習得スキル系が欲しかった」

「あ、えっと」

「なんせ、今でさえこの国の言葉に苦労してるんだからな」

「それなんだけどね」

「ん?」

 

 ソフィーは、ばつが悪そうにある物を取り出しました。

 それは緑色の宝石が付いた指輪です。

 

「これを付ければ、その苦労が一気に解消できる翻訳機能がついてます」

「……」

「これで勉強も一気に解消だー」

「3歳の頃に欲しかった」

「ですよねー」

 

 キットの言葉に、ソフィーは同意します。

 このままじゃ女神様に対する不満で大変なことになると思ったのか必死にフォローをしようとします。

 

「あのね、別に女神様はアンタのことを意地悪するためにやったんじゃないんだからね? ただ、そう、うっかりしただけでね!」

「なおさら悪いよ」

「だよねー」

 

 ソフィーはどう、フォローするか悩んでいました。

 その様子を見たキットは言います。

 

「安心してよ。別に女神様の事、怨んじゃないから」

「へ?」

「さっきも言ったけど、約束はちゃんと守ってもらったし」

「そ、そう」

「まぁただ」

「ただ?」

 

 ソフィーは恐る恐る聞きます。

 

「いつか泣かす」

(怨んじゃいないけど、怒ってはいるんだね……)

 

 キットの目標に思わずたじろぐソフィー。

 キットの気が晴れるか分からないけど、1つ伝えます。

 

「気休めになるか分からないけど」

「ん?」

「この事知った、────様が大変お怒りで、女神様すっごい怒られてました」

「そっか、ありがとう」

「あ、うん」

 

 この話はここで終わりにするために、別の話題に移ります。

 

「それで?」

「えっと?」

「君が来たってことは特典をくれるってことなんだよね?」

「あ、そうそう! そうだった!」

 

 ソフィーは自分の使命を思い出しました。

 そして、キットに指輪を渡します。

 

「まずは、この指輪をはめてくれるかな?」

「了解。……場所は?」

「どこでも良いはずだよ。指の大きさに合わせて伸縮するから」

「便利だな、それ」

 

 キットは言われたとおりにとりあえず、人差し指に嵌めます。

 キットの指の大きさに対して大きかったはずの指輪はなぜかキッチリとハマりました。

 そして、指輪の緑色の宝石が淡く光りました。

 

「よしよし。これで認証されたね」

「認証?」

「一応ね。万が一、別の人が嵌めたら、宝石が光らないから確認かねてね」

「なるほど」

 

 キットは指輪をじっくりと眺めています。

 

「使い方とかは?」

「それは向うで説明してあげる」

「向うっていうと……」

「これからアンタがモンスターマスターになる場所よ。さぁ、私の手に触れて」

 

 キットは言われたとおりにソフィーの小さな手を指先で触れます。

 

「それじゃ、行くわよ! 『ルーラ』」

「おお!」

 

 ソフィーが呪文を唱えると2人は光となって消え去りました。

 そして、そこには本だけが取り残されました。

 

 

 

 キットは突然の光に目を奪われ、気がつくと丘に立っていました。

 

「着いたのか?」

「そうよ」

 

 視力が戻って最初に飛び込んだのは、とても大きな樹でした。

 その樹を中心にたくさんの建物や施設も見えます。

 

「もしかして、あれが?」

「そう。精霊樹の元に沢山の人が集まってできた国。その名も「ジュモク」の国」

「ジュモクの国」

 

 ソフィーの言葉を繰り返すようにキットが確認します。

 樹の大きさにキットが感動しているとソフィーが言います。

 

「ようこそ! 新たなモンスターマスターさん」

 

 それは歓迎と始まりの挨拶でした。

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