DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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対おおなめくじ作戦開始

 キットは、回復したスラリンに指示を出します。

 

「それじゃ、スラリンは前線に行って、皆に作戦を伝えた後、疲弊してる誰かと交代して、合図と共に全員で俺の所まで撤退してね」

「ぴ!」

「合図が何かは分かっているよね?」

「ぴぃ!」

「それじゃよろしく!」

「ぴぃ!」

 

 スラリンは、返事をして前線の所に向かいました。

 キットはそれを見届けて、後ろを振り向くと控えのメンバーに言います。

 

「それじゃ、皆用意は良い?」

「おう!」

「は!」

「クゥ!」

「お~……」

 

 ソフィーを除く全員がやる気の声を出す。

 その様子に、キットがソフィーに声を掛ける。

 

「ソフィー。大丈夫? 確かに、危険かも知れないけど他に適任が居なくて……」

「別に危険とかで、ここまでテンション下がらないわよ。ただ……臭い」

 

 ソフィーが臭いと言っている理由は、現在のソフィーの状況が関係している。

 ソフィーは、メッキーが咥えている松明の先に、何か物を入れている袋の中から上半身を出してる。

 そしてソフィーが臭いと言ったのは、その袋の中に入っている物の所為だ。

 その事に対して、キットが申し訳なさそうに言う。

 

「ごめんね。でもそれがこの作戦に重要なんだ。我慢してね?」

「わかっているわよ。うう……なんか、ねちょってしてる」

 

 キットは、ソフィーにお願いして、作戦開始を告げる。

 

「それじゃ、メッキー、ソフィー、始めるよ!」

「クゥ!」

「了解!」

 

 その言葉と共に、ソフィーは落ちないように袋の中に入り、メッキーは袋の付いた松明を咥えたまま飛んだ。

 出来るだけ、おおなめくじにバレない様に飛んで、おおなめくじの上空に着いた。

 そして、中にいるソフィーに知らせるように鳴く。

 

「くぅ」

「着いたのね。それじゃ、行くわよ!」

 

 ソフィーは袋から出る時、ついでに紐を掴んでその紐を引っ張りながら出て行き、キットの所に戻っていく。

 紐は『においぶくろ』の口を塞いでいるのに使用されているので、その紐を引くことで口が広がり中からとても良い香りが広がる。

 メッキーはその香りに惑わされない様に頑張りながら、香りを下のおおなめくじに気付かせるように松明を動かす。

 そして、『においぶくろ』の香りが下まで届き、おおなめくじが反応をする。

 

「なんだ~? 良い匂いがするよ~?」

「ぴ。ぴきぃぃぃ!」

「キキ!」「チュウ!」「ぐぎ」

 

 そのおおなめくじの反応と、上から匂う香りに合図だと分かったスラリンが仲間に撤退を知らせる。

 それを聞いた前線のメンバーは、急いでキットの所に戻る。

 その事におおなめくじは気づかないで、匂いの元の上空を見つめる。

 

「なんか、美味しい物かな~?」

「クゥ!」

「あれ~? 落ちて来たぞ? いただきま~す」

 

 おおなめくじが気づいたので、メッキーは作戦通りに袋付き松明をおおなめくじの口の中に落とす。

 それを確認したキットが、次にスラきちとゴロウに指示を出す。

 

「スラきち、ゴロウ。お願い!」

「よし! ゴロウ、行くぜ!」

「わかりました」

 

 ゴロウとスラきちが、撤退する前線メンバーと入れ替わりでおおなめくじに近づく。

 そして、ある程度近づいたら、ゴロウはスラきちを掴んで構える。

 

「行きますよ! スラきち先輩殿!」

「やってくれ!」

「どりゃぁぁぁ!」

 

 ゴロウはその掛け声と共に、スラきちを上空へと投げた。

 高く打ち上げられたスラきちはおおなめくじより高く、そしておおなめくじの口に入ろうとしている松明に狙いを定める。

 

「そんなに食いたいならコレも食らいやがれ! 『ベギラマ』」

 

 スラきちは、松明と一緒にベギラマを唱えて、おおなめくじの口の中に入っていく。

 

「あ~む」

「精々、じっくり味わえよ……」

 

 おおなめくじは、先ほどと同じように、ダメージを感じるのが遅いのでその事に気付くことはもう少しになる。

 それを確認した後、下で待っているゴロウがスラきちをキャッチする。

 

「ありがとよ!」

「はい! それでは急いで戻りますよ!」

 

 ベギラマのダメージによりスラきちに敵意が向く前に、急いでキットの所に戻る事にしたゴロウとスラきち。

 そして、おおなめくじがベギラマのダメージを感じて声を上げる、が。

 

「あつ! ぶほぉぉ!」

「よし! 成功だ!」

 

 熱いと叫び声を上げようとしたその時、突然口の中から大量の煙が出て来た。

 それを見たキットは、自分の作成が成功した事に大喜びです。

 おおなめくじの口の中に入った袋付き松明の中に、キットが作った煙幕玉が入っており、スラきちのベギラマにより引火して一気に煙が充満したのだ。

 これにより、おおなめくじは苦しみ煙を出しながら咳き込んで暴れ出した。

 

「げほぉ! げほぉ! 苦し、げほぉ!」

「上手くいったみたいだけど、次は?! 逃げるの?!」

「まぁ、慌てないで。とりあえず、このまま岩陰に隠れて様子を見るんだ」

 

 ソフィーの言葉に対して、キットは落ち着かせるように言います。

 そして、様子を窺っているとおおなめくじに変化が現れてきます。

 

「げほぉ! げほぉ! げふ! うげほぉ……」

 

 咳き込んだおおなめくじが今度は顔色を悪くして、苦しそうな表情をする。

 その様子を見て、キットがニヤリと笑う。

 

「お、来たね。さすが公式チートアイテムだ」

「あの様子って……まさか!」

「袋の中に入れてたアイテムは、探索中に拾った『くさったにく』だ!」

 

 おおなめくじは『くさったにく』を食べた所為で腹が痛くなり、さらに煙玉で咳が止まらずさらに暴走が激しくなった。

 暴れた影響で周りの岩や枯れ木を吹き飛ばしているので、その事にソフィーが怒ってキットに言います。

 

「きゃぁぁ! これ大丈夫なの?! 本当に成功なの?!」

「ああ、問題無……あぶねぇ!」

 

 近くに飛んで来た岩のガレキを岩陰に隠れてやり過ごし、キットは自信満々に答えます。

 そして、大暴れていたおおなめくじが、突然動きを止めて口を閉じて我慢しようとしますが。

 

「うぐ……げほぉ! げほぉ! うごげ!」

 

 煙幕の影響で口を閉じられないので、あっさりと我慢していた物が出て来ます。

 

「げぼぉぉぉぉぉ!!」

「嫌ぁぁぁぁぁ!!」

 

 おおなめくじは盛大に胃の中にある物を吐き出したのだ。

 それを理解したソフィーが大きな叫び声を上げた。

 

「臭い! 汚い!」

「よし!」

「何処が「よし」よ?!」

 

 喜びの声を上げるキットに対して、ソフィーが思わずツッコミを入れる。

 おおなめくじの吐瀉物が近くに落ちて来た。

 それは粘液と金属の2つの音がしたのだ。

 金属の音の正体に気付いたのは、一緒に避難していたカーラだった。

 

「今のは、武具?!」

「他にも来るわよ!」

 

 他に飛んで来たのは、木材で出来た物体に陶器の物、そして動物の骨だ。

 それを見て、カーラが1つ1つ説明する。

 

「馬車の一部に、商品を入れる木箱や中身の壺でしょうか? あの骨は、馬?」

「どんだけ、食べてたのよ! アイツは!」

「げぶぼぉぉぉ!」

 

 色んな物を丸呑みしていただろうおおなめくじに対して、ソフィーの文句が響き渡る。

 こうして、おおなめくじは胃の中を全て吐き出す勢いで吐瀉が続くのだった。

 

 

 

 しばらくして、ようやくおおなめくじは全てを吐き出したのか、疲れてぐったりしている。

 辺り一面には、おおなめくじが吐いたガレキが散乱している。

 それを、げんなりした様子のソフィーが呟く。

 

「ようやく収まったわね……」

「アレだけ吐いたから、さすがのおおなめくじが気絶してる」

 

 キット達は岩陰からおおなめくじの様子を窺って話し合う。

 ソフィーがキットに尋ねる。

 

「それで? この後はどうするの? このまま逃亡するの? それとも今のうちにトドメを刺す?」

「そうだね……ん?」

 

 キットがどうするか悩んでいると、おおなめくじが気絶から回復して動き出した。

 キット達は、見つからない様にまた岩陰に隠れる。

 

「あ~……気持ち悪かった~……でも、モヤモヤとムカムカが無くなってスッキリした!」

 

 おおなめくじは先ほどの盛大に吐いたので気分が回復したのだ。

 その事にソフィーが恐怖をして、キットに言います。

 

(おおなめくじが回復しただけじゃない! どうするのよ?!)

(まぁまぁ。落ち着いて)

 

 興奮するソフィーを宥めつつ、キットは様子を窺う。

 おおなめくじは辺りを見回して言う。

 

「あれ~? なんか、汚いな? なんで~?」

(アンタの吐瀉物よ……)

 

 おおなめくじの言葉に、ソフィーは聞こえない様にツッコミを入れる。

 おおなめくじが更に喋り出す。

 

「ていうか、何で僕は此処にいるんだ~? 住処でのんびりしてたのに~?」

 

 おおなめくじは、先ほどまでの行動を忘れているのか悩みだした。

 5秒くらい悩んだ後。

 

「まぁ、いいや。それにしても此処汚いし、なんか乾燥してるな~? 住処に帰る~。あっちかな~?」

 

 おおなめくじは悩みを無視して、そのまま移動を開始した。

 キット達は見つからない様に隠れて、おおなめくじを見送った。

 おおなめくじの撃退に成功した。

 その事を理解して、キットが安堵の息を出して言う。

 

「ふぅ。何とか生き残ったね」

「……そうね」

 

 ソフィーも同意して、同じ様に大きく息を吐いた。

 

 

 

 おおなめくじが去った後、キット達は治療と休憩を済ませる。

 そして改めて、おおなめくじとの戦闘の跡地を見る。

 

「色々な物が散乱してわね」

「そうだね」

 

 ソフィーの言葉にキットは返事をしつつ、皮手袋を取り出してそれを腕に装着した。

 その様子にソフィーが聞いてくる。

 

「一応聞くけど、何するつもり?」

「片付け」

「片付けって、まさか、このガレキとあいつの吐瀉物を?!」

 

 キットの言葉に、ソフィーは驚きの言葉を出す。

 キットは、ソフィーの言葉に自分の行動を説明をする。

 

「旧道とは言え、誰かが使用するんだから、このままじゃダメでしょ?」

「そうだけど、でも私達が別にしなくてもいいじゃない?! 領地の兵士にお願いするとかあるじゃん?!」

「新道なら分かるけど、旧道だから料金が発生すると思う。そのお金を誰が払うの?」

「それはそうだけど……カーラさんも何か言って……居ない?!」

 

 キットの行動を止める為に、カーラに同意を求めたソフィーですが、先ほどまでいたカーラが居ません。

 キットはソフィーに言います。

 

「カーラさんなら、休憩が終わってすぐにガレキの所に向かったよ?」

「嘘でしょ?! 何で?!」

「商人だからね。何か金目の物を探しに行ったんじゃない?」

「えぇ……」

 

 ソフィーはその事実に、少し引いた感じです。

 さらにキットは続けて言います。

 

「それに、領地の兵士が来る前に調べておきたい事もあるしね」

「調べておきたい事?」

「俺の直感が正しければ、アレが居るはずだ」

「ちょっと、待ってよ!」

 

 キットは、言い終わると早速ガレキに向かった。

 ソフィーはそれに付いて行く事にした。

 

 

 

 キットのガレキ片付けと捜し者を、仲間達も手伝って一緒にする。

 しばらくすると、スラリンが何かを見つけたのか、キットを呼ぶ為に鳴き声を上げる。

 

「ぴぃ! ぴぃ!」

「何か見つけたみたいだ」

「行ってみましょう」

 

 スラリンの声のする方にキット達は向かう。

 スラリンの声に他の仲間達も集まる。

 そして、見つけた者を見て驚く。

 

「何……これ?」

「ふむ。やはりな」

 

 ソフィーが絶句して、キットは予想通りと頷く。

 それは、おおなめくじの腹の中に長時間いた所為で、所々が溶けて元の姿を判別できないモンスターだ。

 そして、何かうわごとのように呟いている。

 

「ハカイ……コンラン……ゼツボウ……」

「キット。コレってまさか」

「恐らくね」

 

 そのモンスターを見て、ソフィーも思い浮かぶ物があった。

 前の冒険の石板で、ゴロウの様に黒い石で変化したモンスターだと。

 その証拠に弱弱しいが、禍々しいオーラを出している。

 それを感じ取ったのか、ゴロウが聞いて来ます。

 

「マスター殿。早くトドメを刺して楽にしてやりましょう。この黒い石の所為で死ぬ事ができないようです」

「そうだね。ゴロウ、お願い」

「は! せい!」

 

 キットの許可が出たので、ゴロウが自前の武器で弱ったモンスターにトドメを刺します。

 

「ゼツ……ボウ……」

「安らかに眠れ」

 

 モンスターは煙と共に消えて行った。

 そして、残った場所に黒い石が残された。

 キットはそれを回収するために、スカウトリングを近づける。

 リングが一瞬光った後、黒い石はリングに吸い込まれていく。

 その様子を見ていたゴロウが、キットに聞いてくる。

 

「先ほどの石が、私が変になったやつなのですね?」

「そうだね。今回は今のモンスターに付けられたみたい」

「でも、何でおおなめくじが可笑しくなったのかしら?」

「仮説なんだけどね」

 

 ソフィーの疑問にキットが仮説を話します。

 

「破壊って言ってたし、恐らく新しく出来た街道を襲うためにモンスターを集めていたんだと思うよ。でも、洞窟に入っておおなめくじに食べられた。おおなめくじも黒い石の影響を受けたけど、石が小さいからなのかそれとも抵抗したのか分からないけど、食欲の部分が強くなって、洞窟から出て悪食を繰り返してたんだと思う」

「なんて迷惑な石なのよ……」

 

 キットの仮説を聞いて、ソフィーが黒い石に対して文句を言います。

 ゴロウがキットに聞いて来ます。

 

「マスター殿は本当に黒い石の影響を受けてないのですね?」

「今の所はね。仮に受けたとしても、あの禍々しいオーラを出すんだ、すぐに分かるよ。分かったら適当に殴って正気に戻してね」

「その時は任せなさい!」

「……頼もしいよ」

 

 胸を張るソフィーに対して、キットは苦笑いで答えます。

 キット達はガレキの片づけに戻って行きました。




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