DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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リカント達のアジト

 あの後、ガラクタの山を漁り終えたキット達。

 そして、カーラとの別れの時、1つの問題が発生していた。

 

「ところでカーラさん」

「はい?」

「そのお宝の山はどうするんですか?」

「どうするとは?」

「どうやって持って行くのかな? って思いまして」

「そういえばそうよね?」

 

 そう、カーラが鑑定した沢山のお宝の山は、カーラが持って行ける量ではありません。

 カーラはその事に対して笑顔でキットの方を向いてきて。

 

「キットさん。実は」

「無理です」

「まだ、何も言ってないじゃないですか?!」

 

 カーラがキットに何かお願いしようとしましたが、先にキットが断ります。

 

「先ほども言ったんですけど、僕達は次の街まで行けません。なので、このお宝の山を持って行く事が出来ません」

「そこを何とかお願いします!」

「無理です」

 

 カーラはキットに頭を下げて頼みますが、キットの事情により無理だと断ります。

 その事に、カーラは泣き出して言います。

 

「では、このままココに置いて行けと! そんなことしたら別の誰かに持って行かれるじゃないですか?!」

「まぁ、それも仕方ないですよ。高価な奴だけ持って、残りは諦めるしかないですよ」

「それしかないわね」

「嫌です!」

 

 カーラはお宝の山に縋り付いて離れません。

 それを見て、キット達はどうやって説得しようか悩んでいると。

 

「あの~……」

「ん? って、そいつはワンダーフール。生きてたんだ」

 

 リカントが、恐る恐る声を掛けて来たのでそちらを振り向くと、リカントの仲間のワンダーフールが居ます。

 その事に、キットが聞くとリカントが答える。

 

「へい。潰されたけど気絶してただけでして、先ほど見つけてゴロウのアニキに回復呪文で治療して貰いました」

「ばう」

「そうなんだ。ゴロウ。お疲れ様」

「いいえ。思ったより軽症でした」

 

 ワンダーフールの無事に安堵した所で、リカントが喋る。

 

「それで、先ほどからその人間の女の事なんですが……」

「カーラさんが、どうしたの?」

 

 リカントのカーラのに対する呼び名に対して後で注意する事にして、キットはリカントの話を先に聞く。

 

「へい。要はそのアイテムを此処に置いとくのが心配なんですよね?」

「まぁ、そうだね」

「でしたら、俺達が使っていたアジトに隠すのはどうですか?」

「君達のアジト? この辺りにあるの?」

「へい!」

 

 キットは、リカントのアジトの話を詳しく聞くことにします。

 

「少し戻った先に、隠していますが道が有りまして、その先に洞穴があるんです」

「そこで生活してたの?」

「基本的に洞穴の外に寝てましたけど、雨が降った時はそこで寝てましたね」

「なるほど」

「野性的ね」

 

 リカントの話に、キットとカーラが感想を述べます。

 

「そこならそのアイテムの山も隠せると思いますよ?」

「う~ん……」

「キット?」

 

 リカントの話を聞いて、1つの疑問を言います。

 

「そのまま隠して、お宝を横取りとかする、そんな考えは無いよね?」

「俺が? まさか! 俺達はそんな物より食料の方が欲しいですよ。そもそも、そんな物を手に入れても売る相手が居ませんよ」

 

 リカントの弁明に、キットは納得して謝罪をします。

 

「それもそうか。疑って悪かった」

「あ。いえいえ! 俺達は盗賊団なので仕方ないですよ!」

 

 自分が盗賊団をやっていたので、キットの発言に対して、仕方ないと言います。

 しかし、キットは首を振って言います。

 

「それでもだ。少し考えれば分かる事なのに、偏見な目でその考えを放棄して相手を不快な思いをさせたんだ。謝罪はしないと」

「そ、そうですか」

 

 キットの圧に、押されてリカントはそれ以上何も言えなくなりました。

 キットは笑顔でリカントに言います。

 

「それじゃ、ありがたく利用させて貰うよ」

「あ、へい!」

「カーラさん」

「はい! 聞いていました!」

 

 キットはカーラの方を向くと、カーラは笑顔で答えます。

 

「その洞穴に行くまではこのお宝の山は持って行ってくれますよね? ね?!」

「……そのつもりですよ」

「よし!」

 

 カーラはガッツポーズをして喜び、キットはリングにお宝を収納して、リカント達のアジトに向かう事にした。

 

 

 

 リカントの案内で、街道を戻っていくと崖の岩山の中に1つだけ草が巻き付いた岩がある。

 リカントがそれに近づいて、岩を横に移動させるとトンネルが現れた。

 

「すごい! 結構力持ちなのね」

「実はコレ、張りぼてなんですよ」

「そうなの? 本当だ」

 

 岩を押した事にソフィーが驚いたが、リカントの言葉に従ってキットも押してみると、キットの力でも動いた。

 キットはトンネルを覗いてみると、すぐ先の方で光が見えているのでトンネルはそこまで長くないようだ。

 

「このトンネルを抜けたらすぐだぜ、です」

「わかった。行ってみよう」

 

 キット達はトンネルを進んで行き、出口を出ると焚火が見えた。

 その場所に何かいるようだ。

 

「誰かいるよ?」

「アレは、まさか!」

 

 リカントがその焚火に向かって走り出して、焚火に居る正体に声を掛けた。

 

「コン……」「ワウ……」

「サーベル! シードッグ!」

「コン?!」「ワン?!」

 

 それはリカントの仲間で、キット達との戦いで逃げて行方が分からなくなった、サーベルきつねとシードッグだった。

 リカントは行方不明の仲間が見つかった事を喜びます。

 

「お前等無事だったのか!」

「コン!」「ワン!」

「探したけど全然見つからないから、不安だったんだぞ!」

「コン」「ワウ」

 

 リカントが仲間達との会話をしていると、同じ仲間のワンダーフールも向かいます。

 

「ばう」

「ああ、そうだ。ワンダーも無事だぜ」

「コン! ……コーン?!」「ワウ?!」

 

 サーベルきつねとシードッグは、ワンダーフールに気付きましたが、同時に後ろにいるキット達を見て驚きます。

 興奮した2匹をリカントが落ち着かせます。

 

「落ち着けお前等! 大丈夫だ」

「コーン?!」「ワウ?! ワン!」

「あの後に何が遭ったか説明するから少し待て!」

「ばう」

 

 リカントは2匹に説明を始めようとします。

 キットはリカントに声を掛けます。

 

「リカント。この洞穴を使っても良いんだよね?」

「んで、って、そうだ、です」

「それじゃ、そっちの説明が終わるまで、コッチも作業進めさせてもらうね」

「わかっ……りました」

「だそうだ、皆」

 

 キットはリカントの許可を貰うと、自分の仲間を呼んで洞穴の前にお宝をどんどん出していく。

 それを手分けして傷つけない様に洞穴に置いていく。

 しばらくキット達が作業を進めていると、不意にリカントの大声が聞こえてくる。

 

「何で何だ?!」

「ん? どうしたんだろう?」

「トラブルか?」

 

 キットは気になったのでリカントの方を見ると、リカントが仲間3人に対して何か驚いた様子です。

 キットはその状況を見に行きます。

 

「どうしたの?」

「んあ? あ、キットの旦那! 聞いてくだせぇ! こいつ等が旦那の仲間に成りたくないって言うんですよ!」

「う、うん?」

 

 リカントの中では仲間に成る事が確定している件は後で話し合うとして、リカントは部下も一緒に仲間としようしていたが、その部下が何故か仲間に成るのを嫌がっているようだ。

 キットはリカントに言います。

 

「まぁ、嫌なら無理に仲間に成らなくても良いんじゃない?」

「それじゃ、駄目ですよ!」

「何で?」

 

 キットの提案に、リカントは力強く否定します。

 キットが理由を聞くと。

 

「こいつらは、俺が居ないと狩りも満足に出来ないんだ。だから一緒に旦那の仲間に成ろうとしたんだが……」

「断られたと」

「へい」

 

 リカントの部下達も仲間にする予定は無かったのだが、自ら仲間に成りたくないってのも気になるキット。

 理由を聞こうか悩んでいると、一部始終を見ていたゴロウが近づいて来て。

 

「マスター殿。私が聞いてみましょうか?」

「お願いしても良い?」

「勿論です」

 

 ゴロウにお願いして、理由を聞いて貰います。

 

「お前達は何故、コイツの提案を断ったんだ?」

「「「……」」」

「お前等、黙って無いで答え、いでぇ!」

 

 ゴロウが質問したら、少し怖がって口を噤んだ3匹。

 それに怒ったリカントが注意しようとしましたが、ゴロウが頭を殴って黙らせます。

 

「貴様は黙っていろ。別に何を言っても咎めたりはしないから安心しろ」

「コン?」「ワン?」「ばう?」

「うむ。我がマスターは嫌がる者を無理矢理仲間にする人では無い。ただ、何故嫌なのか理由を知りたいだけだ」

 

 ゴロウの説得に、3匹は口を開いて理由を説明した。

 

「コン……」「ワン」「ばう?」

「なっ! ぐぇ!」

「黙っていろ。なるほど、それで?」

 

 口を開いた3匹にリカントが怒りだして、ゴロウがソレを止める。

 そして、理由を聞いて深く頷いて。

 

「なるほど。少し待っていろ」

「ぐぇぇ……ゴロウのアニキ……苦しいです……」

「貴様を話したら奴らに危害を加えそうだから、コッチに来い」

 

 ゴロウはリカントを引っ張りながらキットの元に来ました。

 ゴロウがキットに3匹から聞いた理由を話します。

 

「理由を聞いて来ました」

「ありがとう。それで?」

 

 キットが聞くと、ゴロウが少し複雑な顔をして言います。

 

「戦うのが怖い、だそうです」

「はい?」

 

 ゴロウから聞いた理由に、思わずキットが疑問の声を上げます。

 それを聞いて、リカントが同意の声を上げます。

 

「旦那も変だと思いますよね?! 俺達モンスターが、戦いが怖いなんて臆病者が言う事、ぐぇ!」

「だから、黙っていろ。マスター殿。私は奴等の気持ちが分かります」

「そうなの?」

 

 リカントを絞めつつ、ゴロウはキットに説明をする。

 

「我々モンスターも群れを形成するのが普通です。群れの中で決められた規則に従わなければいけません」

「人間社会でもそうだね」

「ですが、私やこいつ等の様に、群れの規則を乱す者が偶に居ます。そういう奴がいると群れ全体が危険になり、最悪全滅します」

「そうなると、その乱す奴は排除されて、逸れ者になると?」

「はい」

 

 キットの質問に、ゴロウは頷く。

 ゴロウが更に説明を続けます。

 

「逸れになる者の特徴は様々です。私やこの阿呆の様に好戦的な者。そして、此奴の部下の様に戦いが苦手な者など」

「彼等がそうなんだ」

「恐らくは」

「ふむ……」

 

 ゴロウの話を聞いて、キットは考えます。

 それを見て、ゴロウは言います。

 

「決めるのはマスター殿ですが、私はお勧めをしません」

「それは、彼等も仲間にする事?」

「はい。下手に同情心で仲間にした所で、戦えないので牧場で放置になるでしょう。そうなると、他のモンスターが戦っているのに、自分達は何もしていないので他の者達からの視線が辛いでしょう。エレナ殿はお世話をしてくれるでしょうが、それが更に、彼らの心を傷を付けてしまいます。優しさは時として悪い方向に向かいます」

「ふむ……」

 

 ゴロウの説明に、キットは増々考え込みます。

 それを見ていた、リカントがキットに言います。

 

「なら、俺があいつ等の分まで働きますぜ! それならどう、いでぇ!」

「だから、それでは駄目だと言っているだろう!」

「だけどよぉ、それしか無いじゃないですか、アニキ……」

 

 リカントの言葉に、ゴロウが否定の一撃を与えます。

 そしてキットはゴロウの方を向いて言います。

 

「ゴロウ。彼等と会話したいから通訳頼める?」

「わかりました」

「どうするんですか? 旦那」

「まぁ、リカントは黙って見てて」

 

 そう言って、キットはゴロウを連れて3匹に話を聞きに行きます。

 

「君達に聞きたい事があるんだ。戦いが怖いって言ってたけど、それは戦い事が嫌いなの? それとも死ぬかも知れないから怖いの?」

「コン?」「ワウ?」「ばう?」

「質問の意味がよく分かってないようです」

 

 キットの質問に対して、3匹は首を傾げています。

 キットは質問を続けます。

 

「例えば、君達にモンスターが命を狙って襲って来た時はどうする? 一目散に逃げる? それとも戦って追い返す?」

「コ、コン」「う~ワン!」「ばう」

「勝てそうに無いなら逃げるし、勝てそうなら戦うが、相手が逃げるのを追いかけない、と言ってます」

「成程、成程」

 

 3匹の答えを聞いて、満足そうに頷くキット。

 そして、追加の質問をします。

 

「それじゃ、次の質問。お腹を空かせた君達の前に2つの道がある。片方は敵も居なくて、安全だけどその分食べ物は多くないし、美味しくも無い。もう片方の道はとても強い敵が居るが、そいつを倒したら、沢山の美味しい食べ物がある。どっちの道を進む?」

「コン!」「ワン!」「ばう。ばう?」

「ワンダーフール以外は安全な道を選んで、ワンダーフールは少し迷っていますね」

「成程ね。良し良し」

 

 質問の答えを聞いて、キットは満足そうに頷きます。

 キットの質問が続きます。

 

「それじゃ、君達全員が誰かに何か頼み事をされたとする。その頼み事を達成すると、報酬で食べ物が貰えるとしたらどうする?」

「コ、コ~ン」「ワウ? ウー……」「ばう!」

「内容によっては受けるそうです。その内容が戦いなら、相手が強く無かったら受ける。だそうです」

「良し。色々分かった」

 

 キットはこれまでの質問で、この3匹をどうするか決めた。

 リカントは、今までの質問の意図が分からず聞いて来ます。

 

「旦那。この質問で何が分かったんですか?」

「私も少し気になります」

「後で説明するね。さて、そうなるとどうするか……」

 

 キットは辺りを見回して、何か探しています。

 そして、何か思いついた。

 

「ワンダーフール。君の鎖付きトゲ首輪を借りて良いかい?」

「ばう?」

 

 キットは、ワンダーフールから自前の武器を借りる事にした。

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