DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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キットの考えと別れ

 キットは、ワンダーフールから借りた鎖付きトゲ首輪の片側を改造しだした。

 その行動のお宝の収納していた皆が見に来た。

 

「キット。何してるの?」

「なんだ? なんだ?」

 

 ソフィーとスラきちが、キットが何をしているのか見に来た。

 見ると、トゲとトゲの間に紐の付いた鈴を1つ1つずつ結んでいた。

 思わずソフィーが聞いて来る。

 

「本当に何してるの……?」

「ちょっと待ってねぇ……出来た!」

「なんだソレ?」

 

 キットが片方の首輪に鈴を付けた物を振ると、鈴から音が出る。

 それを見て、ますますソフィーが疑問を口にする。

 

「で? そのガラクタをどうするの?」

「ガラ?! 一応コレでも楽器のつもりなんだけどね……」

「楽器?」

「それが?」

 

 キットが楽器と呼ぶソレを、ソフィーとスラきちが思わず呟く。

 キットはそれを無視して、ワンダーフールに返して説明する。

 

「ワンダーフール。コレを一定のテンポで鳴らして見てくれる?」

「ばう? ばう!」

 

 キットの言われたとおりに、ワンダーフールはその鈴首輪を慣らす。

 最初は奇麗に鳴らすのに苦労したが、徐々に慣れて行き、直に上手く音を出して行く。

 それを見て、キットはリズムを教える様に手を鳴らす。

 そのリズムを聞いて、キットの仲間達が踊り出した。

 

「ぴぃ♪」「キーキー♪」「チュウ♪」「ピピ♪」

「何か楽しくなってきたぜ♪」

「そう?」

 

 踊り出す仲間に、付いて行けないソフィーが疑問の声を出す。

 そして、リカントの部下達も変化が現れる。

 

「ワウ~♪ ワウ! ワウ! ワ~ウ~♪」

「うお?! なんだ?!」

 

 突然歌い出したシードッグに、リカントは驚いた。

 シードッグが歌い出したので、場の盛り上がりが更に増えた。

 そして、それに合わせてサーベルきつねにも変化が現れた。

 

「コン!」

「サーベル?! 突然なんだ?!」

 

 サーベルきつねは自分の武器を構えて、ワンダーフールの音とシードッグの歌に合わせて剣舞を始めた。

 3匹の即興の音楽会は拙いながらも、この場を盛り上げるには十分だった。

 ただし、即興だったので止め時が分からず、最終的にシードッグの歌い終わりに合わせて、他の2匹も終わらせた。

 

「ワ~ウ♪ ワン!」「コ、コン?!」「ばう?」

 

 突然の歌い終わりに、少し困惑したサーベルきつねとワンダーフールでしたが、少し息切れしているシードッグに特に文句を言いません。

 そして、終わったのに合わせて、キットとカーラが拍手を送る。

 

「3人共、中々良かったよ」

「はい。最後の方がバラバラで残念でしたが、そこは練習をして合わせればもっと素晴らしい物になりますね」

「そうね。初めてでココまで出来るなら、確かに凄い事なのね」

 

 そう言って納得したソフィーも拍手をした。

 キットの仲間達も3匹に賞賛の声を送る。

 それを聞いて、3匹は照れながらも喜びの鳴き声を出す。

 

「コ、コン♪」「わう~♪」「ばう!」

「お前等にこんな才能が有ったんだな……」

 

 リカントは、自分の部下の隠された才能に驚き、素直に賞賛した。

 そして、一連の流れが終わった所で、ソフィーは改めてキットに質問する。

 

「それで? コレが何の意味が合って始めたの?」

「それはね、カーラさん」

「はい? 何でしょうか?」

 

 キットに声を掛けられて、カーラは其方の方を向く。

 キットは笑顔でカーラに言う。

 

「先程の音楽は中々良かったでしょう?」

「はい」

「コレって使えると思いませんか?」

「はい?」

 

 キットの質問に、カーラは意味が分からず聞き返した。

 キットは更に続ける。

 

「確かに練習が必要ですが、それでも話題には十分なると思いますよ」

「あの、キットさん。もしかして……」

 

 キットの言葉に、カーラは少し嫌な予感をした。

 そして、キットは笑顔に少し恐怖を覚えた。

 

「と言うわけで、カーラさん。彼等を雇うのはどうですか?」

「キット?!」

「やっぱり?!」

 

 キットの提案に、ソフィーは驚き、カーラは予想通りだと返事をした。

 そして、即座にキットに返答する。

 

「無理ですよ! 私は商人です。モンスターマスターではありません!」

「分かっていますよ。だから彼等を雇ってと、言ってるんです」

「何が違うんですか?!」

 

 キットの言葉に、カーラが質問をする。

 キットは笑顔で答えます。

 

「モンスターを仲間にするのは確かにモンスターマスターの領分ですが、契約を交わして雇うのは商人の領分でしょう」

「そうですが、それは人間の話です! モンスターを雇うなんて聞いた事がありません!」

「じゃあ、カーラさんが世界初になるんですね。やったね!」

「やったね! じゃなーい!」

 

 キットが親指を立てて良い笑顔に言うので、カーラはそれに思いっきりツッコミを入れる。

 混乱して来てるカーラに、キットは更に畳み掛ける。

 

「ですが、よく考えてくださいよ。今から洞穴に入れたお宝をコレから街に売りに行くんですよね?」

「そうですが……」

「1人じゃアレだけの量を売るのに何往復もしなければ行けません。そうなると色々とリスクが多いと思いますよ」

「それは、確かに……」

 

 キットの言葉に、カーラが考え出す。

 

(確かにアレだけの数を売ると、同業者だけじゃ無くて、色々危ない人達から目を付けられますね……)

 

 考え込むカーラに、キットは言葉を掛ける。

 

「洞穴は彼等のアジトなんですし、洞穴を使わせて貰い、さらに中の品々も守って貰う。コレは既に契約交わして雇っているのと同じだと僕は思うのですが?」

「うぐ……で、ですがぁ」

 

 カーラは考えていると、1つの問題点が浮かび上がった。

 

「そうです! 言葉!」

「ん?」

「契約するなら意思疎通が出来ないと無理です! 私には彼等と会話が出来ません」

「ああ、確かに」

 

 カーラの言葉に、キットは頷いて答えます。

 今度はキットが考え込んで、そしてリカントの方を向いて思いつきます。

 

「それじゃ、リカントも付けますよ。元々彼がこの盗賊団の頭だったんだし」

「旦那?!」

 

 キットの発言に、リカントは驚いて反論を言います。

 

「待ってくださいよ! 俺は強い奴と戦えるから、旦那の仲間に成りたいんですよ?! 商人とじゃそれは無理だ!」

「だけど、君の部下を見捨てる事になるよ?」

「それは……だけどよぉ……」

「部下の為にも、此処は君が男を見せる……ん?」

 

 キットはリカントを説得しようとしていると、不意に服の後ろを軽く引っ張られる感覚がした。

 その方向を見てみると、シードッグがキットの服を引っ張っていたようだ。

 キットはシードッグに声を掛ける。

 

「何か用なの?」

「ワン」

 

 キットが聞くと、シードッグは指を指した。

 その方向にはサーベルきつねが居て、地面に剣先を指して何か書いているようだ。

 キット達はそれを見に行くと。

 

「コレは……文字かしら?」

「本当だ。しかも普通に読める文章になってる」

 

 ソフィーの発言にキットは頷き、その文字を読む。

 

「何々? 『はなし、きいてた』って、君は人の言葉がわかるんだ」

「コン!」

 

 キットがサーベルきつねに聞くと、力強く頷いてさらに続きを書きだした。

 

「『しゃべる、むり、でも、とっくん、する、できる』人の言葉を喋れるように頑張るってこと?」

「コン!」

「そいつは凄い」

 

 サーベルきつねの行動に、キットは驚きます。

 そのやり取りを見ていたリカントが、何かを思い出したのか話します。

 

「そういや、サーベルの奴は、旅の途中で落ちていた人間の紙切れを、結構読んでいたな。それで覚えたのか……」

「読んだだけで覚えれる物なの?」

「不思議だね……」

 

 リカントの話に、ソフィーとキットが疑問を口にします。

 ですが、その事より、これでカーラとの意思疎通の問題は解消されたのです。

 

「カーラさん。コレで問題は無くなりましたね」

「あぐぅ……ですが、モンスターとの契約なんて上手くいくのでしょうか? 不安しかありません……」

「まぁ、そうよね」

 

 カーラの発言に、ソフィーも同意します。

 しかし、キットは言います。

 

「ですが、それって人相手でも同じじゃないですか? 色んな人種や民族、言葉の違いや風習の違い、モンスターも同じ感じだと思いますけど?」

「そ、それは……」

「それらと上手く交渉するのが、一流の商人の道じゃないんですか?」

「うぐぅ!」

 

 キットの言葉に、カーラの心に会心の一撃を受けた。

 キットはその隙を見逃さず、さらに言う。

 

「確かに、行き成りカーラさんのお供にしてくれは急ぎ過ぎたかもしれません。そこでなんですが、お試しでどうですか?」

「……お試しですか?」

「はい。どうせ、コレだけの物を街で交渉して、高値で売り捌くのに時間が掛かると思います。その間、彼等が街の人間に音楽隊として生きて行ける様にカーラさんが仲介人になってくれませんか?」

「仲介人ですか……」

 

 キットの提案に、カーラが少し考えます。

 

「その報酬として、護衛と宝の運搬をするで、契約をするとかどうでしょう? 君等もいいよね?」

「ワン」「ばう」「コーン」『もんだい、なし』

 

 キットはリカントの部下に確認を取ると、全員が頷いて同意します。

 カーラはその様子を見て、一度大きく息を吸って、長い溜息をついた後。

 

「わかりました……それで受けましょう」

「やった! ありがとうございます、カーラさん」

「どういたしまして……」

 

 キットにお礼を言われて、軽く息を吐いて一度気合を入れなおして、改めてリカント達の部下に向かって言う。

 

「私は恩人のキットさんを信じて、貴方達を雇います。貴方達が何か問題を起こしたら、それはキットさんを裏切る事と同じだと思ってくださいね!」

「コン!」「ワン!」「ばう!」

 

 カーラの言葉に対して、リカントの部下達は大きく返事をする。

 こうして、リカントの部下達の問題は解消したのであった。

 

 

 

 問題が解決したので、今度はお宝の運搬をどうするか話し合います。

 どうやって運ぶか、皆で考えます。

 

「何か、鞄みたいなのに詰めて運んで行くとか?」

「でもそれだと。咄嗟の戦闘になった時に動きが鈍くなって危ないと思う」

 

 ソフィーの提案に、キットが問題点を指摘します。

 カーラが目を閉じて首を傾げながら言います。

 

「荷車みたいな物があれば良かったんですが……」

「荷車……もしかしたら」

 

 カーラの呟きに、キットが何かを思いつきます。

 それを見て、ソフィーが聞いて来ます。

 

「また、何か思いついたの?」

「うん。ガレキの中に馬車の残骸があったじゃない? アレを活用して、荷車を作れないかと思ってね」

「なるほど!」

 

 キットの思いつきに、カーラが賛同の声を上げます。

 そして、キットは皆の方を向いて言います。

 

「皆! 今からガレキの所に戻って、荷車を作りに行こう!」

「おう!」

「わかりました」

「アイサー!」

 

 キットは仲間を連れて、ガレキの所に向かいました。

 ソフィーとカーラも一緒に付いて行きます。

 ガレキのあった場所に着き、キットは使えそうな物を探しています。

 他の皆も同じように探します。

 

「これなんて、どうだ!?」

「お、中々良さそうな板材だね。そこに置いといて」

「おう!」

 

 スラきちが1つの板を持って来て、それを基準に他の皆も似たような物を集めます。

 ゴロウやリカントが、また別の物持って来ます。

 

「マスター殿。此方の車輪はまだ使えそうです」

「本当? ありがとう」

「旦那! 使えそうな釘があったぜ!」

「お! それは助かる」

 

 そうして、荷車の材料が集まって行きます。

 キットは材料を前に、気合を入れます。

 

「よし、それじゃ、組み立てて行きますか」

「手伝います」

「俺も手伝いますぜ! 旦那!」

「コン!」「ワン!」「ばう」

 

 人間の様に、手が使えるゴロウとリカントの部下の力を借りて荷車を作っていく。

 しばらくして、荷車が完成した。 

 

「中々良い出来ね」

「わぁ、ありがとうございます」

 

 完成した荷車を見て、ソフィーとカーラが好評な返事をする。

 それに対して、キットも同じように頷く。

 

「うんうん。リカントが意外とこういうのが得意なんだね」

「どもっす!」

 

 褒められたリカントは嬉しそうに言う。

 リカントの部下達を荷車を押すように配置して、キットは言う。

 

「それじゃ、この荷車をアジトへの隠し通路の前に止めて、お宝を積み込もうか」

「わかりました! お前等行くぜ!」

「コン!」「ワン!」「ばう!」

 

 キットの指示に、3匹は荷車を動かして、目的の場所に向かった。

 

 

 

 アジトへの隠し通路の前に荷車を止めて、洞穴からお宝を積み込みが完了した。

 それはつまり、カーラと3匹とのお別れの時が来たからだ。

 リカントは3匹にお別れを言う。

 

「それじゃ、お前等達者で暮らせよ!」

「コン……」「わう……」「ばう……」

「馬鹿野郎! 泣くんじゃねぇよ……」

 

 リカント達は涙の別れの挨拶をしている。

 キット達もカーラとの別れの挨拶をする。

 

「それでは、カーラさん。お願いしますね」

「わかりました。キットさんに頼まれた事です。彼等を任せてください」

「頑張りなさいね」

 

 キットとカーラは握手を交わして、挨拶を済ませます。

 ソフィーもカーラを応援して送り出します。

 カーラと3匹は荷車に行き、出発を始める。

 カーラは大きく手を振って、大声を出す。

 

「本当にお世話になりましたー! また何時か何処かでお会いしましたらよろしくお願いしますー!」

「コーン!」「ワーン!」「ばう!」

「皆さん、お元気でー!」

 

 キットもカーラ達に大声で返事を返した。

 そして、カーラ達が見えなくなるまで見送り、今度はリカントの方を向く。

 

「さてと、君の事なんだが……」

「旦那! よろしくお願いします!」

 

 リカントはキットに頭を下げてお願いする。

 それを見て、キットはその頭を撫でて言う。

 

「分かっているよ。そうなると、名前を付けないとね」

「本当ですか! よっしゃ!」

「そうだね……」

 

 キットはリカントに名前を付ける為に考える。

 考えた末に名前を思いついたので、それを伝える。

 

「君の名前は『リンチ』だ」

「リンチ……ヘヘ♪ よろしくお願いするぜ! 旦那!」

 

 リカントの『リンチ』が新しく仲間になった。

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