DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
リンチは仲間に成った事で、嬉しそうに踊っている。
ただ、これ以上仲間を連れて移動が出来ないので、ジュモクの国に帰る事にした。
「皆、帰るから俺の周りに集まってね」
「分かったわ」
「おう!」
「了解しました」
「へい?」
リンチはよく分かって無いが、他の皆が従っているので、自分も同じようにします。
全員が集まったの確認して、キットは『ルーラ』を選択する。
光がキット達を包み、石板の世界から脱出をする。
光が収まると、台座の間に到着する。
突然の状況に、リンチとメッキーは、思わず声を上げる。
「クケ?!」
「な、なんだ?! 何処なんだ? 此処は?!」
慌てているリンチは、キット達の方を見る。
そして、キット達は特に慌ててなくて、今回の冒険での感想を言っている。
「今回の冒険は反省点が多かったな……」
「だな」
「まぁ、無事に戻れて良かったじゃない」
「そうですね」
「ええ……」
その様子に、リンチは少し引いていた。
それを見たキットが、石板を回収すると、リンチに近づき話しかける。
「とりあえず、説明は移動しながらするから、まずはこの部屋を出るよ」
「わ、わかっ……りました」
少し混乱しているリンチとメッキーを静めて、キット達は台座の間を出る。
鍵を受付に返して、キット達は牧場へ向かう事にした。
神殿を出てから、ルーラを使わず徒歩で移動をしているキット達。
ルーラを使わず徒歩で向かうのは、リンチがエレナ対して、失礼な態度を取らない様に言い聞かせる為だ。
移動しながらある程度説明を済ませると、リンチが確認の為に聞いて来る。
「つまり、そのエレナって人間の女が、旦那が居ない間の面倒を見てくれるって事でいいんですかい?」
「そうだよ。後、エレナさん、ね。其処は気を付けてね」
「う、うす」
キットの言葉の圧を受けて、リンチは思わずたじろぐ。
それを見て、キットは続けて言う。
「エレナさんが皆の世話をしてくれるお蔭で、俺はモンスターマスターをできるんだ。そこの所をしっかり理解して貰わないと困るんだからね!」
「わ、わかりました……」
キットの言葉を受けて、リンチは頷く。
それを見ていたスラきちが話しかけてくる。
「そこまで言わなくても、大丈夫だと思うけどな。俺は」
「スラきちのアニキ」
スラきちは、リンチの緊張を和らげるために声を掛ける。
「キットのは少し大げさだし、多少の事で、エレナが怒る事は無いと思うぜ?」
「はぁ……」
「まぁ、お前が流石にやり過ぎた時は俺が言うから安心しな」
「うす!」
スラきちの言葉に、改めてリンチは気合を入れる。
そうして、牧場まで戻って来たキット達。
エレナを見つけると、大声を出して知らせる。
「エレナさん。ただいま戻りました!」
「エレナさん。ただいまー」
「帰ったぜ~!」
皆の声を聴いて、エレナは小走りでやって来た。
「キットさん。ソフィーさん。お帰りなさい。ご無事で何よりです」
「「ただいま」」
「うおい! 俺には挨拶無しかよ!」
スラきちは抗議の声を上げる。
エレナは笑いながら答える。
「分かっているわよ。スラきちもお帰り」
「おう! ただいま!」
エレナの言葉に嬉しそうに返事をするスラきち。
そして、エレナはキットの後ろに居るモンスター達を見て、すぐに新たな仲間だと分かり、キットに確認を取る。
「キットさん。新たに仲間を増やしたのですね」
「はい。キメラの『メッキー』とリカントの『リンチ』です」
キットは、エレナに2匹を紹介する。
紹介された2匹は、エレナに挨拶をする。
「クケ!」
「リンチだ、です。世話にな、ります」
「ふふ。エレナです。この牧場主をしています。皆さんのお世話を任されていますので、よろしくお願いしますね」
エレナは緊張してるリンチに近づいて、笑顔を向ける。
リンチはその行動がよく分からず、エレナに尋ねる。
「な、なんですか?」
「無理に敬語は使わなくても大丈夫ですよ。此処では、モンスターの皆が快適に過ごして貰いたいので、自分らしく暮らして欲しいんです」
「へ、へい」
エレナの言葉に、少し緊張が和らぐリンチ。
エレナはそれを見て、頷いて言う。
「それでは、牧場の方に案内しますね。スラきち! 手伝ってね」
「あいよ! お前等、こっちだ!」
「私も手伝うわ」
エレナに言われて、スラきちとソフィーは牧場の仕事を手伝う。
リンチは、エレナとスラきちが離れたのを見て、キットに声を掛ける。
「キットの旦那」
「どうしたの?」
「あのエレナ……さんって人間の女は、何者なんですか?」
リンチは、名前を呼び捨てしそうになって、正してからキットに質問する。
キットは質問の意味が分からないので聞きなおす。
「何者って、どういう意味?」
「俺は結構いろんな所を旅してきたんですが、人間、それも特に女は、俺みたいなモンスターの姿を見ただけで怖がる」
「だろうね」
リンチの言葉に頷くキット。
リンチは続けます。
「だけど、エレナさんは、そんな恐怖の気配を微塵も感じさせなかったんです。かと言って強者って感じでもないんですよ」
「だから、何者か? ってのを聞いたのか」
「うす」
キットは、リンチの質問に少し考えてから答える。
「怖がらない理由はたぶん、元々慣れているからかな? 此処まで移動してる時にモンスターが居たでしょ? この国はモンスターが日常に溶け込んでいるんだよ」
「そういえば、そうだった」
キットの答えにリンチは納得します。
キットは更に続けます。
「後は、俺を信頼していると思う。俺のモンスターが危害を加えないって感じでね。コレはありがたい事だよ」
「う、うす。旦那の信用を傷つけない様に、気を付けます」
「んで、最後に……」
「まだあるんすか?」
キットの言葉に、リンチは気合を入れなおして聞きます。
「リンチより、怖くて強そうなゴロウを最初に見た時に、全然怖がらないで普通だったんだよ? リンチが来た程度で怖がっていたら牧場主をやって行けないよ」
「成程!」
最後の理由を聞いて、リンチは納得した。
「その理由と納得の仕方は少し如何かと思いますが……」
「ごめん」
「すんません」
やり取りを聞いていたゴロウが呟くと、キットとリンチが謝る。
そして、キット達が中々入ってこない事にソフィーが呼びに来る。
「何時までもそんな所に居ないで、早く入りなさいよ!」
「おっと。それじゃ俺は行くね」
キットは、2匹に声を掛けてエレナの家に向かう。
「はい。リンチ。お前はこっちだ」
「了解です。ゴロウのアニキ」
ゴロウは、リンチを連れて牧場の方に向かった。
キットが入ると、エレナ達が作業の準備をしている。
キットとソフィーが声を掛ける。
「エレナさん。何か手伝える事ありますか?」
「簡単な事なら手伝えるわよ?」
「あ、キットさん。もう、準備は終わっているので大丈夫ですよ」
エレナは、キットの手伝いを断り、更に声を掛けてくる。
「キットさんとソフィーさんは冒険で疲れているでしょうし、ゆっくり休んでください。あ、何か飲み物をお出ししましょうか?」
「大丈夫です」
エレナの持成しに戸惑っていると、スラきちがエレナに声を掛ける。
「エレナ~俺も疲れているんだけど?」
「スラきちはまだ行けるでしょ? 声が元気そうだし」
「ちぇ」
スラきちの言葉に、エレナが駄目と言う。
キットは、このままただ待つのは流石にどうかと思ったので。
「それじゃ、少し街の方に行ってこようかな。色々やりたい事あるし」
「そうね。私もいいかしら?」
キットの言葉に、ソフィーも一緒に行っていいか聞いて来ます。
キットは頷きます。
「いいよ。一緒に行こう」
「んじゃ、俺も……」
「スラきち?」
「一緒に行けないから、気を付けろよ!」
スラきちは付いて行こうとしたが、エレナに名前を呼ばれて止めた。
キットはその様子を見て少し笑い、エレナに声を掛ける。
「それでは、エレナさん。僕達は少し街の方に用事を済ませてきます。夕飯頃には戻って来ますので」
「わかりました。どうかお気を付けて」
「行って来まーす」
キットとソフィーは、エレナに声を掛けて家を出てからルーラで移動を開始する。
キットが最初に来たのは、石板屋だ。
キットは扉を開けて中に入る。
入ると、店員がキットを出迎える。
「いらっしゃ~い。本日は~どの様なご用件で~?」
「今日は。実は見て貰いたい物があります」
キットはカウンターに近づき、先ほどの冒険で手に入れた、割れた石板を出して店員に見せる。
それを見た店員は顔を顰めて、キットに言う。
「駄目ですよ~? 石板を~壊したら。衛兵に通報して~逮捕してもらいますよ~?」
「違います! コレは手に入れた時にはすでに割れてました!」
「そうよそうよ!」
「でしょうね~」
「「はい?!」」
キットが焦って弁明すると、店員は笑顔で言う。
その変化に、2人は思わずズッコケてしまう。
「そもそも~石板を人の手では~簡単に割れませ~ん。つまり~コレは~元々割れた物なので~す」
「じゃあ、今のやり取りは何だったのよ?!」
「ジョークで~す」
「笑えないわよ!」
「ソフィー。落ち着いて」
その態度に、ソフィーが怒鳴り、キットが落ち着かせる。
店員はそんな事を気にしないで続けます。
「ただ~簡単に~割れないだけで~絶対~割れない事はないので~注意してくださいね~? 本当に~割っちゃうと~逮捕されちゃうので~」
「分かりました。忠告大事にします。それで本題なのですが、その割れた石板を直す事は出来るんですか?」
キットは店員の忠告を胸にしまって、本題の石板の修復を聞く。
店員は笑顔で答える。
「出来ま~す。ただ~時間が~結構~掛かりますね~」
「どの位ですか?」
「ん~そうですね~」
キットの質問に、店員は考え込む。
そして、何かを思いついて答える。
「君の~次のEランク昇格試験を~クリアーしたらで~す」
「何よそれ?!」
店員の言葉に、ソフィーが抗議の声を上げる。
店員がそれに答える。
「私の見立てでは~この石板は~中々危ないのですよ~今の君のランクでは~難しいのですね~」
「その口振りから考えると、次のEランクでは、その問題を解決できる物が解禁されるってことですか?」
「正解で~す♪」
キットの言葉に、店員は嬉しそうに答える。
キットは少し考えた後。
「分かりました。それでは、Eランクになったら取りに来ます。ソフィー。行こうか」
「わかったわ」
「は~い。お待ちしてま~す」
キットとソフィーは店員に別れの挨拶をして店を出る。
店を出た後、キットは次の目的地に行くためにルーラの選択画面を弄る。
その横で、ソフィーが聞いて来る。
「あの内容で、良く納得したわね」
「ん? まぁね。おおなめくじ相手に全滅しかけたから、慎重に行かないと」
「それはそうだけど……」
キットの言葉に、今回の冒険の事を思い出して渋々納得するソフィー。
「それに、その解禁される物が何かは大体予想は出来る」
「そうなの? それは何なの?」
「まだ予想だし、外れたら恥かしいから秘密」
「え~教えなさいよ」
「次の場所に行くよ~」
ソフィーの言葉をスルーして、キットは次の目的地に飛んだ。
一度闘技場に飛んでから、次の目的地まで徒歩で移動をする。
しばらく歩くと目的地の建物に着き、その場所の看板をソフィーが読み上げる。
「『Eランク道場』って、仲間は誰も連れて来てないけど、如何するのよ?」
「今日は試験を受けに来たんじゃなくて、試験の予約が出来ないか確認に来たんだよ」
「ああ、なるほどね」
キットの言葉に納得したソフィーを連れて、建物中に入って行く。
中に入ると、まだ他のマスターが戦闘中なのか戦いの音が聞こえてくる。
キットは、受付に男の人が居るのを確認してから、近付いて話しかける。
「こんにちは」
「はい。こんにちは」
キットに声を掛けられたので、受付の男も声を掛ける。
「今日はどんな用事で来たのかな?」
「まずはコレを見てください」
若干子供をあやす様に話しかける男に、キットは自分のマスター証を見せる。
男はそれを見て、少し驚いた顔をして、すぐに表情を戻して声を掛ける。
「君もモンスターマスターだったのか。ランクは……Fランクと、此処に来た目的はもしかして昇格試験かい?」
「はい。この書類を出せば受けれると聞いてます」
キットは、アンリから受け取った書類を男に渡す。
男は書類を確認する。
「ふむふむ……確かに問題はないね。それでどうする? 今すぐ、は無理だけど今日の全試合がもうすぐ終わるから、終わってから受けるかい?」
男の問い掛けに、キットは質問をする。
「別の日に予約とか出来ますか?」
「可能だよ」
「それじゃ、明後日とか出来ますか?」
「少し待ってね」
男は別の書類を取り出して確認をする。
「明後日ね。それなら午前と午後の何方が良い?」
「では、午前でお願いします」
「午前ね。了解」
男は書類に予定を書き込んでいく。
「それじゃ、鐘が3つ(大体午前8時頃)には此処に来てね」
「わかりました。それでは」
「楽しみにしているよ」
キットは試験の予約を済ませると、受付から離れて建物から出る。
建物から出ると、ソフィーが話しかけてくる。
「まだ時間があるんだけど、次の予定は?」
「このまま市場に行って、あっちの世界で必要な物を買いに行こうか」
「わかったわ」
キットはそう言うと、ルーラを使って市場へと飛ぶことにした。