DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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~間章~
帰還して小屋の修理


 キットとソフィーが市場で買い物を終わらせる頃には、日も大分落ちて来た。

 2人は牧場へ戻り、エレナの家に近づくと、エレナが食事の準備をしているのか、匂いがしてくる。

 2人は扉をノックして、声を掛けながら中に入る。

 

「ただいま戻りました」

「エレナさん。ただいま~」

「キットさん。ソフィーさん。お帰りなさい」

 

 エレナが2人に返事を返す。

 キットが、スラきちが居ない事に気付いたので、エレナに尋ねる。

 

「エレナさん。スラきちは?」

「今、牧場の方に行っています。そろそろ戻って来ると思いますが……」

「ただいま~! エレナ! 飯!」

 

 エレナと話していると、スラきちが戻って来た。

 スラきちが戻って来たので、食事を始めます。

 

 

 

 食事中の話題は、今回の冒険の話をします。

 商人の女性、リンチが盗賊団だった事、おおなめくじとの戦いでピンチになった事は、エレナが心配しそうなので誤魔化す事にした。

 そして、リンチが盗賊団を止めて、仲間に成る所まで話が進みました。

 

「……んで、リンチの仲間だった奴らは、キットのアイデアで、カーラと一緒に行く事になったんだ」

「へぇ~。キットさんのお蔭で、新しい道で生きて行ける様になったんだ。でも、大丈夫でしょうか?」

 

 エレナは、リンチの元仲間達の今後を心配します。

 それに対して、キットが言います。

 

「僕が出来るのは、戦い以外での生き方を教える事だけでした。それ以上は彼等の努力しだいですね。まぁ、大丈夫だと思いますよ」

「そう思う理由は何故ですか?」

 

 キットの発言に、エレナが質問します。

 キットは笑顔で答えます。

 

「カーラさんって、意外と面倒見が良かったので、彼女が居れば大丈夫ですよ」

「そういえば、そうね」

「成程。御二人がそう言うなら大丈夫ですね」

 

 キットの言葉に、ソフィーも同調します。

 エレナはその言葉を信じて、これ以上聞くことを止めます。

 そして、キットはふと気になった事を聞きます。

 

「そういえば、リンチは大丈夫でしたか? 何か失礼な事をしませんでした?」

「リンチさんですか? 特には何も有りませんでしたよ」

 

 キットの質問に、エレナが問題なかったと答えます。

 スラきちが補足をします。

 

「アイツにはゴロウも一緒に居たし、舎弟気質があるから、普通に言う事を良く聞いてたぞ」

「そっか。それは良かった」

 

 スラきちの話を聞いて、リンチが問題行動をして無い事に安心するキット。

 次にキットは、Eランクに昇格する試験の日程を報告する。

 それを聞いた、スラきちが質問をする。

 

「明後日か。何で、明日じゃないんだ?」

「明日にしないのは、試験を受けるパーティーを決める為だね。リンチやメッキーが入ったから、2人の修行も兼ねて石板の世界で色んな組み合わせで戦って決定するつもりなんだよ」

「成程な。んじゃ、俺は先輩として、そしてパーティーから外されない様に明日は頑張るぜ!」

「頑張ってね! スラきち!」

 

 スラきちが意気込むと、エレナが応援をする。

 その様子を見ていたキットが。

 

(攻撃、補助、妨害が出来る万能なスラきちを外すつもりは無いけど、やる気出してるし黙っておこう)

 

 と、考えて黙っておくことにしました。

 こうして、報告を兼ねた食事会も終わって行くのだった。

 

 

 

 食事も終わり、キットとソフィーは片付けの手伝いをして、帰る準備をする。

 キットが、今回連れて行く仲間をスラきちにお願いして、連れて来て貰う。

 

「連れて来たぞ~」

「お待たせしました」

「キットの旦那。用は何ですか?」

 

 スラきちが連れて来たのは、ゴロウとリンチでした。

 ゴロウは呼ばれた理由を知っているので、リンチに説明をする。

 

「なるほど……分かりやした! 俺様に任せてください!」

「頼りにしてるよ」

(向うに着いたら改めて説明しなおさないとな……)

 

 説明を聞いたリンチは、気合を入れた。

 リンチには改めて説明しなおす事にして、向うの世界に行くためにソフィーの近くに集まる。

 キットとソフィーは、エレナとスラきちの方を向いて別れを挨拶をする。

 

「それでは、エレナさん。スラきち。また明日」

「またね~」

「はい。キットさんとソフィーさん。また明日です」

「じゃぁな~」

 

 エレナとスラきちも挨拶を返す。

 ソフィーは、皆が集まったのを確認してから呪文を唱える。

 

「それじゃ、行くわよ『ルーラ』」

 

 ソフィーが呪文を唱えると、キット達の体を光が包み込み、光が消えると同時に姿が消えた。

 

 

 

 光が収まってくると、キット達が着いたのは拠点にしている小屋です。

 ついて早々、リンチが一言言います。

 

「ふへぇ……この感覚あんまり好きじゃないな……って、あれ?」

「どうした?」

 

 リンチが、ルーラでの移動に対する愚痴を漏らすと、次は疑問の言葉を言った。

 ゴロウが、それに対して聞きます。

 

「ゴロウの兄貴。変ですぜ? つい先まで、辺り暗かったのに、この小屋の壁の隙間から漏れ出てる光が明るいんだ」

「ああ、その事か。それはだな……」

「ゴロウ。少し待って」

 

 ゴロウが説明しようとすると、キットがそれを止めます。

 何故止めるのかと、キットの方を向くと指輪から何かを次々と出している。

 

「マスター殿。何故……それは?」

「コレは、市場で買った木材と、金槌に鋸に釘だよ」

「はぁ……それで何を?」

 

 ゴロウがキットに質問すると、笑顔で答えます。

 

「この小屋の壁の隙間を埋める為に買ったんだ。今日の作業はそれだよ」

「隙間を? ……成程。此の儘ですと、穴から小屋の中を見られてしまいますね」

 

 ゴロウはキットの答えを聞いて、少し考えた後、

 

「その通り。リンチへの色々な説明は作業をしながらしようか。それじゃ2人共、手伝ってね」

「畏まりました」

「おう! 任せな!」

 

 キットの言葉に、ゴロウとリンチは壁の隙間を埋める為に道具を取って、作業を始めました。

 

 

 

 作業しつつ、リンチに粗方説明をすると、リンチが自分なりの解釈で確認の為に聞いて来ます。

 

「つまり、旦那の住んでる国と、スラきちの兄貴やエレナの姉御の住んでる国は物凄く遠いってことなんですか。あ、旦那。もう少し上に」

「まぁ、分かりやすく言うとそうだね。……このくらい?」

「そっす」

 

 リンチが聞きながら、キットに木の板の位置の調整の指示を出して、キットもそれに従います。

 

「んで、旦那の家族が酷い奴等だから、下手に知られるとヤバイから秘密なんですね。ゴロウの兄貴の方はもう少し下で」

「む、こうか?」

「少し下げ過ぎです。あ、そこっす」

 

 キットの反対側を押さえていたゴロウに指示を出して、ゴロウもそれに従います。

 

「そして、旦那が向こうに長時間行ってると色々不都合だから、ソフィーの姉御の魔法でそれを誤魔化しているってわけですね。姉御。板に沿って木炭で壁に線をお願いします」

「そうよ。よっと、引けたわよ」

「どうも」

 

 ソフィーはリンチに言われた通りに、板材を支えにして、壁に木炭で線を引いていく。

 線が引けたのを見て、リンチが次の指示を出す。

 

「よし。1回板を外して、この板に何か接着剤を塗って壁の線に合わせて板を付ければ、とりあえず穴は塞げますね。旦那。接着剤の用意は?」

「もう少しで出来るよ」

 

 キットは板を外した後、焚火に五徳と小さな鍋を使って、接着剤を作っていました。

 焦げ付かない様に鍋をかき回した後、程よい粘りになったのを見て、鍋を離します。

 

「出来たよ。自家製接着剤」

「よく作れるわね。それの作り方も、あのお婆さんから?」

「うん」

 

 ソフィーの質問に、キットは大きく頷く。

 キットはリンチに接着剤入りの鍋を渡すと、刷毛を使って板の片面に塗って行く。

 塗り終わって、壁の線に板を合わせてくっ付ける。

 

「兄貴。この板がちゃんと付くまで押さえて貰っていいっすか? その間、俺は他の所も付けてきます」

「分かった」

 

 リンチの指示に全員が聞くのには理由があった。

 それは作業を始める直前の事。

 

「それじゃ、早速穴に板を打ち付けるか。釘を打つから押さえててね」

「旦那。ストップ! この壁に釘を使うのは止めときましょう」

 

 リンチは、板を持って壁に釘を打とうとするキットを止める。

 なぜ止められたのか分からないのでキットが質問する。

 

「え、駄目?」

「駄目でしょう。この壁板薄いからこんな太い釘を使うと壁が壊れますぜ」

「マジか……どうしよう」

「何か接着剤で板を張り付けるとかどうですか?」

 

 リンチの提案に、キットは頷きます。

 

「分かった。接着剤なら作り方を知ってるから早速作るよ」

「お願いします。その間、俺と兄貴で板を短く切っておきますね」

 

 そう言って、リンチとゴロウが木の板を鋸で切ろうとすると……

 

「ぬお?! 板が割れた!」

「兄貴。力入れすぎです。もう少し手加減をしてください」

「……すまない」

 

 ゴロウに板の切り方を教えたり。

 

「よいっしょ! ふんぬ!」

「……姉御にはそれ重すぎるんで、力仕事以外で手伝いお願いします」

「……そうね」

 

 工具を運ぶのに苦労してるソフィーに、別の仕事を振り分けたり、この場の作業は、リンチの指示を聞いた方が効率的だと判断した3人は、大人しくリンチの指示に従う事にした。

 こうして、小屋の中での作業を終えると、次は小屋の外の作業に移る。

 

「あ、外に出る時はこのローブを着てね」

「分かりました」

「了解。……ちと動きにくいな」

 

 ゴロウとリンチに、ローブを着せてキット達は小屋の外に出る。

 小屋の周りを調べるとリンチが呟く。

 

「コレは流石になぁ……」

「どうしたの?」

 

 リンチの言葉に、キットが質問をする。

 

「このままただ穴を塞いでも、すぐに駄目になりそうだなって思ってな」

「そうなんだ」

「ああ。強い雨風を受けたら倒壊しそうですぜ?」

「……何とかならない?」

 

 キットが聞くと、リンチは首を横に振って答えます。

 

「流石に俺の腕じゃこれ以上は難しいですな。それこそ大工に頼まないと無理ですよ」

「大工か……」

「此処には大工は居ないんですか?」

 

 リンチの質問に、キットは答えにくそうに言います。

 

「大工は居るけど、ちょっと頼むのは難しいかな」

「何故です?」

「1つは此処がスラム街だから。もう1つはお金が無い」

 

 キットの答えに、リンチは首を傾げます。

 

「スラム街ってのは納得できましたけど、金が無いってゴールドを沢山持ってませんでした?」

「あ~……」

 

 リンチの言葉に、キットはどう説明するか考えます。

 少し考えてから、答えます。

 

「詳しく説明すると長いし理解できないと思うのでバッサリと説明すると、さっきのジュモクの国と此処の国じゃ通貨が違っていてね。あっちの国のお金は使えないんだ」

「はい?! ゴールドが使えない国が有るんですか?!」

「有るんだよ」

「嘘だろ……」

 

 キットの説明に、リンチは大変驚いています。

 それもそのはずで、ジュモクの国……というか、ドラクエの世界はゴールドが共通通貨でそれが絶対なので、通貨が違うなんて事は考えたことすら無い。

 だからこそ、キットの説明を聞いても信じられません。

 リンチは驚きと共に1つの考えが浮かんだ。

 

「あ、それならこんなのはどうです? コッチで売れそうな物をジュモクの国で買って、それを売って資金にするとか」

「それは今は無理だね」

「何故です?」

 

 リンチの提案をキットは無理と否定します。

 それを聞いていた、ソフィーも気になるのか聞いて来ます。

 

「私も気になるわ。何で無理なの?」

「いくつか問題があってね。1つ目はそれを何処に売るのか」

「何処って……道具屋とか?」

「他には、商人かな?」

 

 リンチとソフィーが、思いついた場所を例に挙げます。

 キットはそれを聞いて、首を横に振って言います。

 

「あっちならそれで買い取ってくれるかも知れないけど、コッチじゃそんな事出来ないよ」

「……言われてみればそうね」

「そうなんですか?」

 

 キットの言葉にリンチはいまいち理解できないが、ソフィーは改めて考えると納得します。

 例えば、武器なんかを道具屋に持って行けば、ドラクエじゃ普通に売れますが、普通の店だとそんな事はしてくれません。

 ちゃんと、売る物に合わせた店で買い取って貰わないといけないのです。

 

「後、俺の姿を見てくれよ。子供が大量に売りに来るとか、怪しさ満点だよ」

「「「確かに……」」」

 

 キットの言葉を聞いて、3人は納得します。

 その3人に、更にキットは説明します。

 

「2つ目に、仮に売れたとするよ? 子供が沢山のアイテムを売って大金を手に入れたら、凄く目立つじゃん? それはかなり困るんだ」

「そうなんすか?」

 

 キットの言葉に、リンチが質問します。

 キットが答えようとすると、ソフィーがその前に言います。

 

「そうね。目立つと調べられて、下手したらキットの家族にバレる可能性があるわね」

「正解。あの親なら絶対没収されるよ」

「……そこまで酷いんすか」

 

 ソフィーの話を聞いて、リンチは嫌そうな顔をして呟く。

 そのリンチに対して、更にキットが言う。

 

「それに、俺みたいな子供が金を持ってスラム街や裏通りをうろついてたらどう見えるよ?」

「あ~……めちゃくちゃ良い獲物に見えるっすね」

「そういう事」

 

 リンチの答えに、キットは満足そうに頷く。

 ゴロウとリンチの方を向いて言う。

 

「ゴロウとリンチは強いけど、裏通りの中には2人よりも強い奴は沢山いる。だから、最低でもそういう奴等に負けないくらいの強さを手に入れるまでは、目立つ行動は控えるつもりだよ」

「成程ね。今は無理ってそういう事なのね」

 

 キットの話を聞いて、ソフィーが感心した様に言う。

 それを聞いてゴロウとリンチが言う。

 

「分かりました。コレからも強くなるために努力をします」

「俺もがんばりますぜ!」

「うん。よろしくね。それじゃ、作業の続きを進めようか」

 

 キットの言葉を合図に、壁の穴を塞ぐ作業を再開するのだった。

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