DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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いつもの森の変化

 城門から外に出る時に、キットは顔見知りの見張りの兵士に挨拶をする。

 キットが挨拶をすると、兵士が聞いて来る。

 

「よお。森に行くのか?」

「そうだよ」

「荷物検査は……軽くでいいから見せてくれ」

 

 キットは兵士の言葉を聞いて、鞄を中を見せる。

 兵士は中を覗いて問題無いと判断して、キットを通す。

 その時兵士が言う。

 

「そういや、森で採取する時は気を付けろよ」

「うん? 何か有ったの?」

 

 兵士の注意に、キットが詳しく聞くと兵士が答える。

 

「この前知り合いと酒場で飲んでる時に、冒険者達の話が聞こえて来たんだが森の様子が変だって言ってたんだ」

「変ってどんな感じで?」

 

 兵士の話を聞いて、キットが質問します。

 それに兵士が答えます。

 

「俺も飲んでたし、その冒険者も報告したがギルドの職員が対応してくれないから、愚痴みたいな感じで言ってたんで詳しく聞けなかったんだ」

「ちなみにその冒険者が話してた森の場所は?」

「それも分からん」

「ええ……」

 

 兵士の言葉に呆れるキット。

 兵士がそんなキットに言います。

 

「まぁ、もしかしたら何も無いかも知れないが、一応そういう噂みたいなのが有るから気を付けろよ」

「分かりました。それじゃ、行って来ます」

「おう」

 

 キットは兵士と別れて城門から外に出て、しばらく移動をしたらルーラで森へと飛ぶ。

 

 

 

 森の入り口について仲間達と合流すると、先ほどの話を皆にする。

 話を聞いたソフィーがキットに言う。

 

「森の様子が変ねぇ……入り口からはよく分からないけど、どうするの? 今日はやめとく?」

 

 ソフィーの提案に、キットが答える。

 

「入るよ。ただ、分かれて採取しないで全員で行動しよう。『せいすい』も使って、皆に見張りをお願いするね」

「分かりました」

「任せてくだせぇ!」

「ぴぃ!」「クケ!」

 

 キットの言葉に全員が返事をした。

 キット達は採取をする為に森の中に入って行く。

 森に入ってすぐ、キットが皆に尋ねる。

 

「どう? 何か変な所はある?」

「ふむ……」

「そっすねぇ……」

 

 キットの質問に、ゴロウとリンチが周りを注意深く見て先にリンチが答える。

 

「俺が感じたのは虫とかの気配が少ないって感じですね」

「そうなの?」

「へい。普通の森ならもう少しいると思うんですけどね」

「ふむ……」

 

 リンチの答えを聞いてキットが悩んでいると、ゴロウが言う。

 

「マスター殿。リンチがそう感じたのは『せいすい』の効果だと思います」

「どういう事?」

 

 ゴロウの話を聞いてキットが質問をする。

 

「どうやら『せいすい』は敵意のあるモンスターだけじゃなく、虫や動物にも効果があるようです」

「そうなの? すげぇ」

「逆に言えば、『せいすい』の所為で森の様子が分かりにくいという事でもあるのです」

「マジか……どうしよう」

 

 ゴロウの説明を聞いてキットが悩む。

 その様子を見て、ゴロウが言う。

 

「ただ、安全を考えるなら『せいすい』を使うのが良いと思いますし、時間経過で効果が弱くなってくればまた分かる様になると思いますので、何か感じたらまた知らせます」

「分かった。リンチもお願いね」

「うっす!」

 

 そう言ってキット達は、改めて森の中を進んで行く。

 

 

 

 しばらく進んで採取する場所に着いたら、キットは採取、ソフィーはその手伝い、残りの皆は周りの警戒を始める。

 採取の間、特に何も起きないのでリンチが退屈そうに欠伸をする。

 それをゴロウに見られたので、リンチは慌てて言う。

 

「すいやせん!」

「まったく。……いや」

 

 ゴロウに怒られると思ったのかリンチが謝ると、ゴロウはため息を吐いて続けて言う。

 

「実際、こう何も無いと気が緩むのも仕方ないか」

「へぇ」

「欠伸をするなとは言わないが、油断をして何か見落としをするな……っ!」

「兄貴? どうし、ん?!」

 

 ゴロウが話の途中で険しい表情になり、森の奥の方を向く。

 話していたリンチが、ゴロウの突然の行動に質問をしようとしてすぐに気づく。

 

「兄貴! 何か来ますぜ!?」

「リンチ! お前はすぐにマスターの近くに行け!」

「うっす!」

 

 ゴロウの指示を受けて、リンチは採取をしていたキットの近くに行く。

 リンチが来た事で、何か遭ったと判断したキットは警戒を強める。

 

「どうしたの?!」

「旦那! 何か来ます! 警戒を!」

「分かった! 皆! 戦闘準備!」

「ぴぃ!」「ケー!」

 

 キットの指示を聞いて、近くに居たスラリンとメッキーも戦闘の構えを取る。

 一方ゴロウは、森の奥からの来る気配を探ってその方向を見ている。

 

(何かが大量にやって来る!)

 

 そうして構えていると、5匹くらいのゴブリン達が現れた。

 そのゴブリン達のリーダーと思しき者がゴロウの姿を見ると、最初は困惑してすぐに警戒して唸り声を上げる。

 ゴロウは、ゴブリン達の姿を見て武器を構えて警戒し考える。

 

(あの1匹は中々の強さだが、我々が負ける事はない。む?)

 

 ゴロウがゴブリン達をよく観察すると、体や身に着けている物が所々傷だらけだ。

 その様子に、疑問を持つゴロウ。

 

(なんだ? 何故あんなにも負傷をしているの……ぬ?!)

 

 その答えはすぐに分かった。

 ゴブリン達がやって来た方向から更に3体別の存在達が現れたからだ。

 人型をしていて、大きさは人間の大人より二回り大きく、肌の色は茶色、手には剣や棍棒、そして頭部に豚の特徴を持つ存在。

 そいつらの姿を見て、ゴロウが困惑する。

 

(な、なんだこいつ等?!)

 

 ゴロウがその姿を見て混乱していると、同じくその存在を見たキットが声を上げる。

 

「こいつらは、オーク?! 何でこんな所に?!」

「オークって、兄貴と同じの? でも、姿が違うような……」

 

 キットの言葉にリンチが首を傾げながら言う。

 

「今その辺説明するのめんどいから、無視してくれ」

「う、うっす」

 

 キットの指示を聞いて、リンチは警戒に戻る。

 そして、オーク達がやって来た事でゴブリン達の動きが変化する。

 ゴロウを警戒していたゴブリンを除く他のゴブリンが、オーク達に威嚇を始める。

 しかし、その様子が半分恐怖の感情で威嚇しているように見える。

 それを見て、考えるゴロウ。

 

(こいつ等は仲間では無いのか。ならば!)

 

 そう判断したゴロウは、魔物達から目を離さずゆっくりと後退してキットの方に向かおうとする。

 それを見たゴブリンのリーダーは一声鳴いて、ゴブリン達とゆっくりゴロウの方向に移動する。

 そしてそれを見たオーク達は同じく近づこうとするが、突然何かに弾かれるような動きをする。

 

「グルァ?!」

「グゲ?!」

 

 その動きを見てゴブリン達も驚く。

 しかし、ゴロウはその一瞬の出来事をチャンスと判断して行動する。

 振り返りキット達が居る所に迅速に向かい、合流をする。

 

「マスター殿!」

「ゴロウ! 大丈夫?!」

「はい!」

 

 合流した事で、キット達も相手を警戒する。

 三つ巴の状態、まず最初に動いたのはオーク達だ。

 1体が弾かれた場所に向かって持っていた武器を振るう。

 途中で何か抵抗があったが、何かが割れる音と共にそれも消える。

 オーク達は抵抗が無くなったと判断して近づいて来て、ゴブリン達も退く。

 先程の現象に、キットが呟く。

 

「『せいすい』の効果が一気に減った……」

「嘘?! 何で?!」

 

 キットの呟きに、ソフィーが疑問を口にする。

 

「『せいすい』のモンスター避けの効果は、自分達より弱い敵意を持った相手だけ。つまり、あのオーク達は俺達より強いって事だ」

「じゃあ、どうするのよ?!」

「安心して、別の手がある」

 

 キットの説明にソフィーが聞くとと、キットが松明と小瓶を取り出す。

 小瓶の中身を松明の布の部分に掛けると、油の様に粘り気があり直ぐにしみ込む。

 そして、キットが皆に指示をする。

 

「皆! 俺がこれに火を点けるから、すぐに息を止めるんだ」

「わ、わかったわ!」

「はい!」

「う、うっす!」

「ぴ!」「クケ!」

 

 キットの指示を受けて全員が息を止める。

 その様子を確認して、キットが松明に火打ち石で火をつける。

 数回した後、火がつくと松明から煙が辺りに立ち込める。

 その煙に最初に反応したのは、仲間のモンスター達だ。

 

「うぐ」

「うぶ」

「ぴぶ」「ぐげ」

 

 最初に変な声を上げて、すぐに我慢を始める。

 その様子にソフィーが困惑する。

 

(皆どうしたのかしら?)

 

 ソフィーの疑問はすぐに解消される。

 次に煙に反応したのはゴブリン達だ。

 

「ギャァァァ!」

 

 ゴブリン達は鼻を押さえて悶絶してその場に転がり出した。

 そして、オーク達にも変化が訪れる。

 

「「「グルァ?! グラァァァァ!」」」」

 

 オーク達も同じように鼻を押さえて苦しみだした。

 先ほどの『せいすい』での事と今回の苦しみを受けて、オーク達の次の行動は。

 

「グラァ!」

「「ガァ!」」

 

 一声叫んだ後、未知の恐怖に逃げ出す事だった。

 オーク達が去ったのを確認したキットは松明の火を消す。

 それを見たソフィーが息を止めるのをやめた。

 

「ぷはぁ! あ~苦しっうげぇ!!」

「あ」

 

 息を吸い込んで喋ろうとしたが、すぐに鼻を襲う匂いに思わず叫ぶ。

 直ぐに鼻を押さえてキットに文句を言う。

 

「一体何なのよ! この匂いは!」

「前に説明した、教えて貰った魔物避け薬。松明とかに塗って使うと辺りに嫌な匂いをまき散らして色んな動物に対して有効なんだ」

「でしょうね!」

 

 キットの説明を聞いて、怒りながら言うソフィー。

 他の皆は事前に鼻を閉じていても、少しくらうのか嫌そうな顔をしている。

 

「むう……」

「ぐぐぐ……」

「び……」「ゲ……」

 

 そして、息を止めておける限界近づいて息を吐きだす。

 

「ぶはぁ! くっせぇ!」

「ぶはぁ! ぬぐ!」

「ぴー!」「グゲー!」

 

 全員が息を吸い込んだことで匂いを感じて叫び出す。

 

「旦那はよく耐えられますね!」

「まぁ、慣れたから」

「それでもこの臭さは……む?」

 

 ゴロウが続けて言おうとしがた、すぐに違和感を言う。

 

「匂いがどんどん消えて行く?」

「え? うわ、ホントだ」

「そう。コレの特徴は、消したらすぐに匂いが消えて行く事なんだ。だから少しの間我慢すれば魔物に襲われないから便利だよ」

 

 キットは自信満々に言うが、それでも全員が嫌な顔をします。

 そして、ソフィーがキットに言います。

 

「その薬の効果は分かったけど、アレどうするの?」

「アレ? あ~……どうしよう」

 

 ソフィーが示す方向を見ると、臭いで悶えているゴブリン達がいます。

 キットがどうするか悩んでいると、1体のゴブリンが起き上がります。

 そいつは、ゴロウを睨んでいたリーダーと思われるゴブリンです。

 そのゴブリンが、今度はキットを先程ゴロウ以上に睨んでいます。

 

(何か凄い怒った顔で睨んで来る……って、あれ? あいつはまさか?)

 

 キットが何かに気付くと、ゴロウがキットの前に出て襲われない様に構えます。

 ソフィーが、この状況に対してキットに聞きます。

 

「あのゴブリン。キットの事物凄く睨め付けているけど?」

「あーうん。心当たりがある」

 

 そう言ってキットは、布袋を取り出して、アイテム欄から果物などの食料をその袋の中に入れて行きます。

 そして袋の口を縛るとゴロウの前に出て、その袋をゴブリンの方に投げます。

 その行動に皆が疑問を覚えて、ゴロウが代表で聞きます。

 

「マスター殿。何をしているのですか?」

「後で説明するよ。とりあえず、全員このままこの森の入り口に戻るよ」

 

 全員キットの指示を聞いて、ゴブリン達を放置して森の入り口に移動することにした。

 ゴブリン達は、キット達が見えなくなるまでずっと睨んでいるだけでした。

 

 

 

 森の入り口に到着したキット達。

 ソフィーは先ほどの行動をキットに聞きます。

 

「それで? なんでゴブリンに食料をあげたのよ?」

「あのゴブリンとは、少し特殊な知り合いでね」

「どういう事よ?」

 

 キットの言葉を聞いてソフィーが詳しく聞きます。

 キットが難しい顔をして言います。

 

「ソフィーが来る前で、昔からこの森で採取してるのは知ってると思うけど、慣れて油断して魔物避けの薬をケチって量を薄めて使ってたら、あのゴブリンに襲われたんだ。その時に幸運で護身用のナイフがゴブリンの顔に当たってね。悶えてる間に逃げれたんだ」

「よく無事だったわね……」

 

 キットの説明を聞いて、ソフィーが呆れて言う。

 キットの説明は続く。

 

「んで、魔物避けをしっかり使って採取してたんだけど、あのゴブリンはそれでも俺の前に良く現れたんだ。だから持ってた食料を投げてそのまま逃げるってのを繰り返してるうちに、薬草採取の間は襲われなくなったんだ」

「成程ね」

「まぁ、そんな感じで食料を払う事で森で採取させて貰うって関係になったんだ」

「それで特殊な知り合いって事ね」

 

 キットの説明にソフィーは納得して言った。

 森でのトラブルは遭ったものの、キット達は森から出る事にした。

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