DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編   作:雨宮南雲

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草原に移動して

 森で早々にトラブルに見舞われたので、採取も上手くできず材料の数が少ない。

 さらに時間もまだ昼前くらいなので、ソフィーがキットに尋ねる。

 

「キット。これからどうするの? 一度街に戻る?」

「流石に早すぎるからもう少し採取をするよ。ただ、森じゃなくて別の場所でね」

 

 キットの言葉を聞いて、ソフィーが頷いて聞く。

 

「分かったわ。それで何処に行くの?」

「この前の丘の方だね。それじゃ、皆行くよー」

「はい」

「うっす!」

「ぴぃ!」「クケ!」

 

 キットは皆を連れて、別の採取ポイントに移動を開始する。

 

 

 

 丘に移動したキット達は、早速採取を開始する。

 キットが採取している間、ゴロウとリンチとメッキーが警戒を始める。

 しばらく時間が経ち空腹を覚えて来た時、メッキーが何かを知らせる様に鳴く。

 

「ケー!」

「む?」

「何だ?」

 

 ゴロウとリンチが空を見上げメッキーがある一点を見ている。

 そちらの方を見ていると何か大きな獣がこっちにやって来ている。

 四足歩行で毛皮がゴワゴワして、口に4本の牙を生やしている獣、猪だ。

 しかし、普通に猪と違い体格が一回り大きく下の牙が太くて長い。

 その猪がキット達の方に突進して来る。

 ゴロウとリンチが身構える。

 

「来るぞ!」

「何だアレ?! でけぇぞ!」

 

 リンチはやって来る猪を止める為に、やって来る猪の牙を掴む。

 しかし、猪の突進を止める事は出来ず、少し速度が落ちる程度だけだった。

 そして、猪は頭を少し下げて大きく上に上げて、リンチは空に飛ばされる。

 

「ぬおおおぉぉぉ?!」

 

 リンチは放射状に飛ばされ、そのまま背中で地面に落ちる。

 

「げほぉ!」

「リンチ?! 大丈夫?!」

 

 リンチの叫び声を聞いてそちらの方を向いたキットは、落ちて来たリンチに心配の声を掛ける。

 そんなキットにゴロウが言う。

 

「マスター殿! 次の攻撃が来ます。注意を!」

「ちぃ! メッキー! リンチの回復をお願い!」

「クケー!」

 

 キットの指示を聞いて、メッキーがリンチに近づく。

 それを見届けたキットは、猪の方を見る。

 猪はゴロウの姿を見ると、力を溜めて突進をして来る。

 ゴロウは迎え撃つために武器を構えて、頭を攻撃するが……

 

「せい! ぬう?!」

「びいぃぃぃぃ!」

 

 ゴロウの槍は猪の薄皮を切っただけで、硬い骨で弾かれてしまった。

 しかし、その攻撃で向きがそれたので避けることが出来た。

 

「なんという固さだ。やはり、胸辺りを狙わないと駄目か……だが、どうやって?」

 

 ゴロウがどうやって倒すか悩みながら猪を観察をする。

 猪はまた力を溜めて突進を開始する。

 次に狙われたのはキットだ。

 

「こっちに来た! だけど、スラリン!」

「ぴぃ! 『メラ』」

 

 猪が自分を狙っていると判断したキットは、一緒にいたスラリンに指示を出す。

 それを聞いたスラリンは、攻撃呪文を唱え、生み出された火球は猪目掛けて飛んで行く。

 猪の速度とメラの速度が合わさり、かなりの衝撃が猪を襲う。

 思わず突進を止めて、猪が怯んでいると……

 

「今だぁ!」

「リンチ?!」

 

 怯んで猪に、回復して起き上がったリンチが下顎の牙を掴む。

 そして、今度こそ倒す為に力を籠める。

 

「うおおおお!」

「びぎぃぃぃぃ!」

 

 猪も倒されない様に、必死に抵抗をする。

 

(くそ! このままじゃ……)

 

 また飛ばされる、そうリンチが思った時、一瞬体が光ったと思ったら急に力が強くなった気がする。

 

(何か知らんが今だ!)

「うおおりゃぁぁ!」

「びぎぃ?!」

 

 力を振り絞り猪を横に倒すと、リンチが叫ぶ。

 

「兄貴! 今だ!」

「よくやった! どりゃぁぁ!」

 

 猪が倒れたのを見て、ゴロウが走りながら槍で胸の辺りを突き刺す。

 速度の乗った攻撃は、猪の胸を突き刺し、やがて心臓を貫く。

 

「びぎぃぃぃ!」

 

 攻撃を受けた猪の叫び声がする。

 猪は苦しそうに暴れた後、力尽きて動かなくなった。

 動かなくなった猪を見て、キットが呟く。

 

「倒せたか」

「みたいね」

 

 キットの呟きに、ソフィーが同意する。

 猪を倒す事が出来て、全員が声を上げる。

 

「よっしゃぁぁ!」

「ふぅ……」

「ぴぃ!」「クケェ!」

 

 ゴロウは一呼吸の後にキットに近づくと声を掛ける。

 

「マスター殿。ロープを貸して頂けませんか?」

「何に使うの?」

「倒した猪の血抜きに使おうと思いまして」

「あー……」

 

 ゴロウの提案を聞いて、キットは何とも言えない顔をしています。

 その様子にゴロウが聞きます。

 

「どうかしましたか?」

「そうだね……もしかしたらこの猪食べられないかも知れないと思ってね」

「それは何故?」

 

 キットの話を聞いて、ゴロウが質問します。

 キットは少し悩んだ後、言います。

 

「説明前に、調べた方がいいね。ゴロウ。リンチ。2人でこの猪の腹を上にしてくれる?」

「分かりました」

「うっす!」

 

 ゴロウと呼ばれたリンチは、キットに言われたとおりに猪の足を掴んで横になっているのを仰向けにする。

 キットはナイフを取り出すと、ゴロウが刺した辺りからナイフを入れて傷口を広げていく。

 そして腕をまくり、その中に手を突っ込む。

 その行動に見ていたソフィーが驚いて聞く。

 

「何してるのよ?!」

「ちょっとねー、ここに有るらしいけど……有った!」

 

 そう言うと、キットは猪の体から何かを取り出す。

 それは小石サイズの赤い玉だ。

 それを見て、キットがため息を吐いて言う。

 

「やっぱりかぁ……てことは、これ食えないんだな……」

「それって、確か魔石だったかしら?」

「正解。よく知ってたね」

「何ですか、それ?」

 

 ソフィーの言葉にキットが頷くと、何も知らないゴロウが質問をする。

 キットがそれに答える。

 

「魔石ってのは、魔物が持ってる臓器でコレを持ってるかどうかで獣か魔物なのか判断する、らしい」

「らしいとは?」

「俺も本とか人から聞いた知識だけで、実際に見たのは初めてなんだ」

「そうなんですか?」

 

 キットの説明を聞いてゴロウが軽く驚く。

 キットは説明を続ける。

 

「んで本の内容だと、魔物の肉を食べると苦しんで死ぬって書かれているんだ」

「そうなの?!」

 

 話を聞いたソフィーが驚きの声を上げると、キットが続けて言う。

 

「ちなみに実際に食べた人から聞いた話だと、味は最悪で臭すぎるって言ってた」

「食べた人いるの?! ってか死ぬって話は?!」

「たぶん。あまりの不味さに悶え苦しむ様子を見て、そういう記述になったんだと思う」

「ええ……」

 

 キットの話を聞いて、ソフィーは何とも言えない表情をする。

 それを聞いていたリンチがキットに聞く。

 

「それじゃあ、この肉捨てないと行けないんですか? もったいねぇ……」

「残念ながら、そうなるね」

「そっかぁ……」

 

 キットの言葉にリンチが残念そうにしていると、ゴロウが言う。

 

「マスター殿の話を聞いて思ったのですが、本や誰かから聞いただけで実際に試されていないようなので、リンチを使って毒見させて、本当に食べられないか確かめて見るのはいかがですか?」

「成程。それもそうだな」

 

 ゴロウの話にキットは頷く。

 

「私も、獲物を捨てるのは勿体ないと思いますので試してみたいのです」

「分かった。それじゃ解体してみるか」

「了解しました。リンチ! 手伝え!」

「了解ですぜ! 兄貴!」

 

 ゴロウの解体作業に、リンチはやる気を出して手伝いを始める。

 解体をして肉の一部を小さく切って複数用意して、キットが用意した焚火に五徳とフライパンに肉を焼いていく。

 肉が焼けたら皿に並べて行く。

 

「味付けは何なの?」

「シンプルに塩」

「成程」

 

 ソフィーの質問にキットが答える。

 そして出来上がった肉とそれを食べる為に串を用意して、リンチの前に出す。

 

「それじゃ、毒見よろしく。一応嘔吐薬も用意してるから」

「うっす! 頂きます!」

 

 リンチは串を取り肉を刺すと、それを口に入れる。

 目を閉じて咀嚼をしていると、すぐに目を開けて口の肉を飲み込む。

 その様子にキットが問いかける。

 

「どう?」

「ちっと臭いですが、普通に食える味でした」

「そうなんだ。俺も食べてみる」

 

 そのリンチの様子に、キットも食べてみる。

 そして咀嚼を始めた瞬間、その動きは止まり、顔色が悪くなる。

 吐き出さない様に口を押えて、すぐに茂みの方に走って行く。

 突然のキットの行動に全員が驚く。

 

「キット?!」

「マスター殿?!」

「旦那?!」

「ぴぃ!」「クケ?!」

 

 茂みに入ったキットは、口の中の肉を吐き出し更にアイテム欄から水を取り出すと、口に含んで濯ぐ。

 

「んべぇ!」

「大丈夫なの……?」

 

 その行動にソフィーが心配していると、顔色を悪くしたキットが戻って来た。

 そして、顔を上げて言う。

 

「聞いた通りで味は最悪だし、凄く臭かった……リンチはよく普通の顔で食べられたね……」

「うえぇ?! 俺が食べたのはそんな感じじゃなかったんですが」

「私も食べてみます」

 

 ゴロウがそう言うと、肉を食べて咀嚼を始める。

 そして飲み込むと、特に顔色を変えず言う。

 

「……確かに、リンチの言う通り普通の味ですね」

「嘘だぁ……」

 

 その様子にキットが呟くと、ソフィーが言う。

 

「私も食べてみるわ」

「大丈夫? ヤバかったらすぐに吐き出しなよ?」

「ええ」

 

 ソフィーは肉を口に入れと咀嚼を始める。

 味を確かめる為か、目を閉じて咀嚼を続ける。

 その様子にキットが心配の声を上げる。

 

「ソフィー?」

「ん~……」

 

 キットの声に反応して、ソフィーが声を上げると飛んで茂みの方に向かった。

 茂みから戻って来たソフィーに、キットが声を掛ける。

 

「大丈夫? 水いる?」

「大丈夫よ。それより、何でキットだけが食べられないのか判ったわ」

「本当?!」

 

 ソフィー言葉に、キットが驚いて聞く。

 ソフィーが説明を始める。

 

「原因は魔力摂取したことによる拒絶反応ね」

「どういう事?」

 

 ソフィーの説明を聞いて、キットが詳しく聞く。

 

「分かりやすく言うと、魔力は植物や動物全てが持っていて、個体1人ずつで全員違うのよ。それで他人の魔力を体に受けるとそれを拒絶するために苦しんだりする感じね」

「うん? つまり、肉が物凄く不味く感じるのはそういう事? でも、普通の肉とかはそんな感じしないけど?」

「少量程度なら問題無いわよ。空気にだって含まれているんだけど呼吸は苦しくないのはそれね」

「成程」

 

 ソフィーの説明にキットが頷く。

 ソフィーが説明を続ける。

 

「ただ、魔石ってのは、その魔力が見えるレベルで結晶している物。そんな物を体に宿している魔物の肉は大量の魔力を宿しているのは当然な事よ。そんな物を食べれば、体が拒絶するのは当然よ」

「成程。でも、ゴロウ達が大丈夫な理由は? 別の世界の住人だから?」

「ゴロウ達はモンスターよ? 色々なモンスターを倒して、その力を吸収して強くなって行くん存在だから問題無いんでしょう」

「経験値とレベルか!」

 

 キットの言葉に、ソフィーが大きく頷く。

 その言葉に、反応したのはゴロウとリンチだ。

 

「マスター殿が今言った言葉の意味は分かりませんが、確かに敵を倒した時、強くなった感覚があります」

「てことは、このまま肉を食ってれば俺ってめちゃくちゃ強くなるわけか!」

「残念ながらそれは駄目ね」

 

 リンチの考えを、ソフィーが否定する。

 それに対して、キットが聞く。

 

「何で駄目なの?」

「そうね。説明する前にキット。『まもののエサ』を出して、それをゴロウとリンチに食べさせて」

「? 分かった」

 

 キットは、ソフィーに言われるままアイテムから『まもののエサ』を出してゴロウとリンチに与える。

 2匹はお互いに首を傾げつつ食すと、ゴロウが何かに気付いたのか発言をする。

 

「コレは……微かにですがいつも食べてる物と味が違う気がします」

「そっすか? 言われたら確かに……やっぱいつも通りな気が」

「そんなはずは……む、いつもの味に戻った?」

 

 ゴロウとリンチが混乱しながら食べている。

 その様子を見て、キットがソフィーに尋ねる。

 

「これ、どういう事?」

「確かにリンチの言う通り、魔物肉を食べたら強くなるかもしれないけど、その分食べれば食べる程理性を失って、最終的に目につく全て相手を攻撃するようになるわ」

「何それ、やべぇな」

 

 ソフィーの説明を聞いて、キットが恐怖の顔で言う。

 そんなキットに、ソフィーが安心させるように言う。

 

「ただ、『まもののエサ』系列のアイテムを与えれば問題ないわ。今回食べた量も少なかったから、1つで十分みたいね」

「成程。魔物肉は与えない方が良いってのは分かった。今2人のステータス確認したけど、経験値の量増えてる感じないし効率悪そうだ」

「そうね。それが良いわ」

 

 キットの言葉に、ソフィーが笑顔で同意をした。

 こうして、魔物を討伐して食料にする考えは駄目だと言う事が分かったのであった。

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