DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
試合が終わり、ダガンがデニスに近づいて言う。
「デニス。此処の片づけは私がするから、お前は手続きの方を先に済ませろ」
「分かったよ、父さん。キット君。俺は先に受付の方に向かっているね」
「分かりました」
デニスが仲間の治療をしていたキットにそう言うと、入り口の方へと向かった。
そして、ダガンはキットに近づいて話しかけて来た。
「キットよ。まずは、勝利おめでとう」
「ありがとうございます」
ダガンの祝いの言葉にキットは礼を言う。
ダガンが続ける。
「モンスターの育成をしっかりとして、なおかつモンスターに対する気遣いもする。久方ぶりに良いマスターに巡り合えた」
「えっと、それは当たり前な事では?」
ダガンの言葉にキットが質問すると、ダガンは首を振って答える。
「その当たり前が最初から出来るマスターは少ない。全く嘆かわしい……」
「そうなんですね」
ダガンの呟きに対して、キットは無難に同意の言葉を言う。
そして、仲間の治療を終えたキットは受付の方に向かうために、ダガンに声を掛ける。
「それでは、僕は受付の方に行きますね」
「うむ。今後の活躍を期待しておるぞ」
ダガンの励ましの言葉を頂き、キット達は受付へと向かった。
闘技場を出ると、観客席で見ていたソフィーがキットと合流すると、祝いの言葉を掛ける。
「おめでとう! キット」
「ありがとう。ソフィー」
ソフィーの言葉に、キットは感謝の言葉で返した。
そして、ソフィーは仲間の方を向いて言う。
「皆も、よく頑張ったわね! 凄いじゃない!」
「あれくらい余裕だぜ!」
「うっす! あざます!」
「はい」
「クケ!」
ソフィーの言葉に各々が返事を返す。
一連の流れを見ていたキットが、区切りの場所で声を掛ける。
「そろそろ移動しようか。受付でマスター証を返して貰ったりしないといけないし」
「分かったわ、行きましょう」
「おう!」
「うっす!」
「分かりました」
「クケ!」
キットの言葉を聞いて、受付の方に移動を開始する。
受付ではデニスがキット達を待っていて、到着すると笑顔で声を掛けて来る。
「Eランク昇格おめでとう、キット君。まずは、マスター証を先に返すね」
「ありがとうございます」
キットはマスター証を受け取り、ランクの所が変わっているのを確認して仕舞いこんだ。
次にデニスは、書類を出して説明をする。
「それじゃ、Eランクに上がった事で解放された事をお知らせするね」
「お願いします」
キットの言葉を聞いて、デニスがキット達に見える様に資料を見せながら説明する。
「1つ目はモンスター達に武器の装備が許可されるようになるんだ」
「えっと……今更ですか?」
デニスの説明に、キットはゴロウの方を一度向いて改めて疑問の声を上げる。
ゴロウは既に自前の武器を持っていて、それを持ったまま街を移動していたからだ。
武器が許可制なら、その時点で国の兵士に捕まっているはずだからだ。
そのキットの疑問に、デニスが笑って答える。
「君が疑問に思うのは当然だよ。君が思っているのは武器を携帯の許可で、今回は武器の装備が許可されたんだ」
「それ、何が違うのよ?」
デニスの説明に、今度はソフィーが疑問の声を上げる。
それに対してデニスが言う。
「残念ながら此処では詳しい事を説明する時間が無いんだよ。他に説明しないと行けない事あるし、他の業務もあるんだ。詳しい事はこの地図の場所に描かれている「武器屋」に行けば説明してくれるよ。目印は店先に吊るされた剣と杖が掛かれた看板だ」
「分かりました。続きをどうぞ」
キットはデニスから武器屋の場所が掛かれた書類を貰い、次の説明を聞くことにします。
デニスが次の書類を取り出して説明します。
「2つ目は「星降りのほこら」の利用が許可されるようになったよ」
「おお!」
「わぁ! ビックリした!」
そのデニスの言葉に、キットが喜びの大声を上げてソフィーが驚いた。
その様子に、デニスが笑顔で言う。
「その感じだと、どんな場所か知っているみたいだけど、一応軽く説明するね」
「お願いします!」
「星降りのほこらでは、モンスター同士を配合して新たなモンスターを生み出す場所なんだ」
「へぇ~そんな場所があるんだ」
デニスの説明を聞いて、ソフィーが感心した声を上げる。
デニスはほこらの場所の書かれた書類をキットに渡して言う。
「まぁ、色々詳しい事は現地に行けば説明してくれるよ」
「ありがとうございます」
デニスから書類を受け取ったキットは、それを大事にしまった。
そして、デニスが説明を続ける。
「それじゃ、3つ目は道具屋で購入できるアイテムの種類が増えているよ。色々増えているから確認するといいよ」
「成程」
「そして、最後にコレを渡しておこう」
そう言って、デニスが取り出したのは銀色の紙で、それをキットに渡します。
それを渡されたキットは質問をします。
「この紙……チケットは石板屋で交換するんですか?」
「その通りだよ。これを石板屋に持って行くと、少し特殊な石板と交換してくれるよ」
「特殊かぁ……なんとなく予想できる気がする」
デニスの言葉を聞いて、キットは少し嬉しそうにチケットを懐に仕舞う。
それを見ていたデニスが、笑顔で言う。
「以上がEランク昇格した事による特典の説明だよ。ここまでは問題無いかい?」
「はい。大丈夫です」
デニスの確認の言葉にキットが頷くと、デニスが次の書類を取り出す。
「それじゃ最後に、次のDランク昇格試験を受ける為の条件を説明するよ」
「はい」
キットの返事を聞いて、デニスが資料を見せながら説明します。
「条件は2つ。1つは同ランクのマスターとの対戦回数が10回以上で、その内勝利が5回以上。もう1つは、Eランク大会に2回以上出場して、1回は優勝する事だ」
「成程。分かりました」
条件を聞いたキットが頷いて答える。
それを見て、デニスが聞いてくる。
「それで、どうする? 今対戦の方に登録すれば、午後の部で行けるけど、それとも大会の方に登録するかい?」
「いえ、今回はどちらも登録しません」
「え?」
キットの言葉に、思わずソフィーが反応して声を出します。
キットはそれを無視して続けます。
「Eランクに上がった事の特典を色々試してみたいので、また今度登録をお願いします」
「ん、了解。登録は何時でも出来るから待っているよ」
キットの言葉を聞いてデニスは納得をして、資料をしまい込んだ。
そして、キットに告げる。
「以上で説明は終わりだよ。今から君はEランクだ。頑張ってね!」
「はい。ありがとうございました」
キットはデニスにお礼を言って、皆の方に向いて告げる。
「それじゃ、移動しようか」
「そうね」
「おう」
キット達は受付を離れ、建物の出口へと向かう。
建物から出ると、ソフィーがキットに質問をする。
「それで、何で登録しなかったの? キットの事だから登録すると思ったのに」
「俺も思った」
ソフィーとスラきちの質問に、キットが答える。
「1つは、配合が出来るようになったから急いでランクを上げる必要が無くなった事。もう1つは分かりやすい罠を回避だね」
「罠?」
「なん……ああ、そういう事か」
キットの言葉に、ソフィーは疑問を持ちスラきちは納得した。
その様子に、ソフィーがスラきちに尋ねる。
「スラきちは罠の意味分かったの?」
「当然。俺も昔はエレナと一緒に牧場の仕事をしてたんだぞ? 当然、配合を利用してたマスターのモンスターを見たことあるぜ」
「へぇ。それでどんな感じだったの?」
「その配合で誕生したモンスターは最初は弱く見えたけど、すぐに物凄く強くなってたのを感じたぜ」
「へぇ! そんなに凄いんだ」
スラきちの説明を聞いて、ソフィーが感心した声を出す。
それを見ていたキットが言う。
「スラきちの説明通り強いモンスターが出来るんだけど、Eランクのマスターはそれを全員利用してるって事だよ? そんな人達がいる中に上がったばかりで配合を利用してない俺達が対戦をするとどうなると思う?」
「力の差で負けるって事ね。罠って言った意味を理解したわ」
キットとスラきちの説明を聞いて、ソフィーは理解した。
そしてキットが続ける。
「だから先に、配合の方を済ませて強くなってから対戦とか大会を利用するつもりだよ」
「成程ね。しばらくはゆっくりと活動して行く事になるのかしら?」
「まぁ、ランク上げに関してはそのつもりだよ」
「あ、はい」
ソフィーの質問にキットの考えを答えを聞いて、何かを理解した表情をする。
そのやり取りを聞いていたスラきちは内心複雑な感情をしていた。
(ゆっくりか……牧場の事を考えると、キットには早く上のランクになって欲しいんだけど、エレナの事を考えるとゆっくり行くってのも賛成なんだよな……悩むぜ)
スラきちが悩んでいると、その様子に気付いたキットが声を掛ける。
「スラきち。どうかしたの?」
「ん? 何でもないぜ」
(まぁ、それを決めるのはキットだし、どうせ後で分かる事だ。今ここで俺が言う事じゃねぇな)
スラきちは悩みを一旦置いとくことにした。
そして、キットにこの後どうするか質問をした。
「それで次はどうするんだ? ほこらに行くのか? それとも武器屋か?」
「その前に、エレナさんにEランクに上がった事を報告しようかな」
「そうね。エレナさん報告を聞くのを待ち望んでいるかも知れないわね」
「ああ、それならエレナはもう知ってると思うから後回しで良いぞ。それに牧場に居ないと思うしな」
キットの言葉にソフィーが同意しますが、スラきちが否定をします。
その言葉を聞いて、キットとソフィーがスラきちに尋ねる。
「知ってるって、何で?」
「エレナさん試験場に居なかったわよ?」
「あ~……何て説明すれば良いのか」
キットとソフィーの質問にスラきちが少し悩んでから答える。
「俺が全部言うより、エレナの口から聞いた方が面白いから今は秘密だ!」
「面白いから秘密ってアンタねぇ……」
スラきちの答えにソフィーが呆れていると、キットが質問をする。
「エレナさんが合格の事知ってる事は後で絶対分かるの?」
「ああ」
「エレナさんが牧場に居ないって言ったけど、その理由は?」
「ん~……それなら良いか。お祝いの料理の買出しだな。今回はすげぇ豪華だぜ!」
「あら、それは楽しみね」
スラきちの言葉にソフィーが嬉しそうに反応する。
キットはそれを聞いて頷いて言う。
「分かった、スラきちの言葉を信じて楽しみにしとくよ。それじゃ、牧場に戻るのは後回しにして、先に他の事を済ませようか」
「おう!」
「分かったわ。それで何処に行くの?」
ソフィーの質問にキットは答える。
「武器屋の方に行こうか。星降りのほこらの方は大体理解できるけど、武器を装備って言葉の意味が気になるからね」
「確かに気になるわ」
「だな」
キットの言葉を聞いて、ソフィーとスラきちも頷く。
皆の同意も取れたことを確認したキットは早速向かう事にする。
「ルーラで近くまで飛んで武器屋に行こうか。皆行くよー!」
「「おー!」」
「はい」
「うっす!」
「クケ」
キットは仲間達に声を掛けて武器屋に移動する事にした。
ルーラで市場へと飛んでそこから歩いている道中、後ろでついて来てるリンチが呟く。
「武器かぁ……正直あんまり気乗りしねぇな」
「何故だ?」
リンチの呟きにゴロウが反応して聞き返す。
リンチが答える。
「俺は長年、この自慢の爪で生きて来たんで今更武器を使うってのに違和感があるんすよ」
「分からんでもないな」
リンチの言葉にゴロウが同意をする。
それを聞いて、リンチがゴロウに尋ねる。
「兄貴はどう思っているんですか? その武器かなり長く使っている見たいですけど、愛着とか湧かないんですか?」
「愛着は無いと言えば嘘になるが、俺の我儘で戦力が強化出来ない方が問題だ。だから俺は、新たな武器に早急に慣れて貢献するだけだ」
「成程な~流石は兄貴ですぜ!」
リンチはゴロウの話を聞いてその考えに感動し、武器を使う事に前向きになった
2人の話を途中から聞こえていたキットは内心考えていた。
(やっぱ武器を装備するって抵抗ある子もいるんだよな。リンチみたいに武器装備に前向きな子はともかく、無理な子は強制しない様にしよう)
そう考えて、移動をしていると目印の看板を見つけた。
教えて貰った通り、剣と杖が交差している看板がぶら下がっていて、建物の煙突から煙が出ている。
「此処かしら?」
「たぶんね。見た感じ鍛冶屋も併用してるのかな?」
ソフィーの言葉に、キットは自信なさげに答える。
キットは建物に近づいて中に入るためにドアを開ける。
「こんにちは~」
ドアを開けて挨拶して建物の中を確認する。
中はそこまで広く無くて、正面と右手の壁には様々な武器が飾っている。
そして、左手にはカウンターと店員と思われる女性が立っていた。
女性は入って来たキットに声を掛ける。
「いらっしゃいませ。どうぞ、こちらへ」
キット達はカウンターの方に移動する。